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美しく驕慢な女に無条件でひれふす男達の姿は宗教的法悦境にあるかのよう。絢爛な文体と鮮やかな風俗描写、小説の神髄に酔いしれる。
※この電子書籍は1966年4月に文藝春秋より刊行された『現代日本文学館 16 谷崎潤一郎 I 』に収録された作品の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
◆痴人の愛
とんでもない毒婦に骨抜きにされて、骨の髄までしゃぶり尽くされるおじさんの話。
主人公の譲治は行きつけのカフェの女給・ナオミに目をつけ、彼女を自分好みの女に育てようと奉公を辞めさせて引き取って世話をする。
この時、譲治28歳、ナオミ15歳。
この二人が堕落していく八年間の記録。
初めは譲治はロリコンで気持ち悪いなと思って読んでいたが、ナオミがあまりにも高慢で我儘で口汚くてビッチで譲治に同情を禁じ得なくなった。
譲治の援助で英語とピアノを習わせてもらっているのに、家事は何一つせず(靴下ひとつですらもクリーニング!)、家は散らかし放題、譲治を見下して自宅に複数の男を平気で連れ込み、譲治に浮気がバレたら色仕掛けで仲直りする。
ナオミがひどすぎて早く別れればいいのにと途中からずっとイライラしながら読み進めた。
譲治も浮気が発覚したときに一度はナオミを家から追い出したのに、すぐ未練たらたらになって、最終的にはナオミの前に跪いて許しを乞う始末。
ナオミに同じように翻弄された盟友・浜田がせっかく「ナオミのことは諦めろ」と譲治に忠告してくれたのに。
ナオミに贅沢させるために譲治が郷里の母にお金の無心をしても、嫌な顔ひとつせずお金を送ってくれた母が死んだときに譲治は悔恨の涙を流したのに。
譲治が浜田および母の亡骸の前で見せた涙は、まったくの無駄になってしまったのだと、読んでいてとてもやるせない気持ちになった。
譲治はナオミの肉体無しに、ナオミは譲治の援助無しには生きていかれないから、この二人はこれからも歪に寄りかかり合いながら生きていくのだろう。
カタルシスが何も無い、とても後味の悪い話だった。
イライラしながらも一気に読み進めたので、文章はさすがに読ませるものがある。
譲治が家出から戻ってきたナオミに依頼されて、彼女の背中の毛を剃ってやるシーンがとても艶かしかった。
ナオミが譲治に引き取られたばかりの、まだほんの少女だった時分に、譲治がナオミを風呂に入れて背中を流してやった純粋な思い出との対比となって切なかった。
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