【感想・ネタバレ】二人の稚児(乙女の本棚)のレビュー

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Posted by ブクログ

わぁい!
きれいな本! きれいな本!
と思わず手にとってしまいました。
たぶん、二人の稚児という作品は、挿し絵のない活字だけの本で何回か目にしています。
作品への印象はかなり違います。
実をいうと、登場する二人の稚児を一方は、世俗で成功し、一方は努力して信仰において成就したのだと、文字のみで読んだときにそう読んだのですが、どうも、そのようではないのではないか。
そもそも、ふたりは身分に隔たりがある。
こんな例って、他に何かあったろうか、と思ったら、そういえば、モーツアルトの歌劇「
魔笛」では、王子のパミーノ(?)と鳥刺しのパパゲーノの対照的な結末があり、そこでは高貴とおもわれる夜の女王の娘のパミーナ(?)と王子のパミーノが試練の末に結ばれ、いささか大衆的で子沢山のイメージでパパゲーナがパパゲーノと結ばれるというような対照的な結末がしくまれていたのでした。魔笛では、太陽を思わせる父王が、夜の女王を滅ぼし、大団円をむかえるのですが、かなり意図的に対照的にえがかれている感じがします。
登場人物の属性が、実は最初から設定にあつて各々の結末であるような用意周到さが、オペラの楽しさとは別にあるようです。
そう思った時に二人の稚児の作家は誰に向けて書いたのだろう、と実をいうと思いました。
発表された当時、この作品がどのようなかたちで、人の目に触れたのか。
稚児の二人の稚児の行く末に違いを考えたのはなぜなのか。
当時、小説はどんな風に読まれていたのだろう。
それを知ってどうというわけでもないのだろうけれど、かたちを変えて何度も目にする理由はたぶん作品に力があるからなのだと思います。

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2024年05月09日

Posted by ブクログ

幼いときから稚児として寝食を共にしてきた千手丸と瑠璃光丸。成長とともに“煩悩”への向き合い方が変わって、それぞれの道へと分かれていく。女性の姿の描写が細かく丁寧で、谷崎さんの嗜好が現れているなあと…。どちらが正しいとか間違っているとも言えない難しいお話だったけど、“耽美”という言葉がピッタリな、“綺麗”なお話だと思った。

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2024年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「乙女の本棚」シリーズ37弾。

幼少期から一緒に稚児として育ってきた千手丸と瑠璃光丸。女人禁制の比叡山で成長してきた二人の運命の分かれ道。
二つ違いの年齢で、成長の具合がズレてしまうのが、なんともいえない。
どちらが正解いうのでも、幸せかというのでもなく、個々人の選択の結果を、耽美に表現しているのが面白い。
夜汽車さんのイラストが、また秀逸。

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2024年03月20日

Posted by ブクログ

 乙女の本棚シリーズから、谷崎潤一郎さんと夜汽車さんのコラボ作品『二人の稚児』です。夜汽車さんのイラスト、とってもきれいで好きなんです。

 幼いころから稚児として比叡山で過ごしてきた千手丸と瑠璃光丸…寝食をともにし、精進してきた二人だったが、世の“煩悩”の中でも、その最たるもの“女人”に対しての興味を持ちはじめた…。その後二人の運命は…。

 大筋では理解できたつもりですが、ちゃんと理解するのは難しい感じでした。今回も夜汽車さんのイラストに助けられました。ラストがなんとも切なくて…キレイな余韻を感じることができました。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

何だかとても美しい世界をみせられた感じ。
大事に育てられるのは良いことだが、ある程度世の中は知っておいたほうか楽しいと思わされた。
瑠璃光は最後は結局どうなったのだろう…

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2024年03月12日

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