谷崎潤一郎のレビュー一覧
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ネタバレ「芋虫」「駆け込み訴え」は読みやすかった。「駆け込み訴え」は聖書の新たな読み方って感じ。イエスがマリアに恋してたのかどうなのか、気になります。
「瓶詰地獄」は初めは近親相姦の罪か、くらいにしか思わなかったが、太郎の異常さに気付くとやばいです。アヤ子は太郎のことを好きじゃないが、太郎が好きだと勘違いしていると仮定すると、アヤ子に同情しかない。
「刺青」は谷崎潤一郎はこういう女が好きなのかなぁというのを感じた。少女が途中から女と表記が変わってるのも良い。女が作った網(色仕掛けとか?)に引っかかってきた男を肥料として成長するのを蜘蛛に見立ててるっぽい。足フェチっぽいのに、背中に墨を掘ったのは意外だった、なんでなのか調べてみようかな。
「影」は難しいけど、文章が綺麗なのとハラハラドキドキ感は伝わる。けど、難しくて日を置いて再読したい。
「白蟻」は推理小説。頭使いました。
「身毒丸」は恋には抗えないみたいな感じなのかな??
「浮舟」は難しすぎる。
「桜の森の満開の下」「夢十夜」は既読でした。 -
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学生時代以来の谷崎センセ。
表紙の猫サマ(竹内栖鳳『班猫』)に惹かれて、中公文庫版を手に取りました。
内容は、一匹の雌猫「リリー」を巡る、一人の男と二人の女性の心理劇。
主人公・庄造のマザコン気質でどうしようもない「だめんず」っぷりに呆れつつも、リリーにメロメロになって振り回される姿はどこか憎めません。
リリーのほうも、人間のそんな生々しい思惑をどこ吹く風で、小悪魔的な可愛らしさを振りまく姿が実に良いですね~。
中でも元妻の品子さんの変化にはニヤリとさせられました。
最初は庄造の気を引くための打算&自分を追い出した姑や後妻への当てつけでリリーを引き取ったはずが、気がつけば彼女自身がリリーを溺愛しちゃう羽目に至るという・・いやはや、猫の魅力の底知れなさには恐れ入りますね。
結局、どんな人間の意地や打算も、一匹の猫の可愛さの前には無力化してしまうのを見て、「やっぱり猫は最強!」と思い至った次第です。
ということで、谷崎さんの流麗な文体と軽妙な台詞のリズムに乗せて、人間の愛おしい愚かさと猫の魔性を堪能させて頂きました。
あと、本書には未完の短編「ドリス」も併録されています。
こちらは延々と“美容広告”を読まされるという謎展開ですが、併せて描かれるペルシャ猫・ドリスちゃんの美猫っぷり(あちこちに“粗相”しまくるのはアレですが・・汗)は、伝わってきます・・てか、これどういう着地を想定してたんだろ?
ある意味気になる一篇ではありましたねw
何はともあれ、猫好きにはたまらん一冊かと思います♪ -
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幼少期、田舎にある祖父母の家に行くのが好きでした。
コンビニも街灯も無い、辺り一面田んぼで、夜はカエルの鳴き声が響き渡るほど田舎です。
そんな環境下での楽しみは星空を見ることでした。街灯が無い分、真っ暗闇に映る星空は圧巻でした。
著者の谷崎潤一郎さんは、美しさとは「光そのもの」にあるのではなく、「光と影が織りなす、微細なグラデーション(陰翳)いんえい」の中にこそ存在すると説きました。
重厚な石造りの建築の中で、いかにして暗闇から部屋を隅々まで明るく照らすか考えてきた西洋の文化が伝来し、影=悪、光=善のような考えが少しずつ浸透していきます。
そうして、和室の障子からうっすら差し込む光と影のコントラストといった陰翳が日本から失われていったといいます。
何事にも光をあてすぎず語りすぎず、いろんなものや情報が溢れている今だからこそ「引き算の哲学」を大事にしたいです。 -
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ネタバレ耽美派と言われ、背徳の世界を描いた作品群という印象が拭えない著者。本作も「陰翳」の文字に、どこか淫靡で秘めごとめいたイメージをこれまで持っていたが、実は、軽妙洒脱なエッセイではないか? と著者の意外な面を垣間見た気になった。
明治生まれで、自分の生まれた年まで生きていたことを思うと、当時の男性にしては長寿だったろう。本書を記したころは50前後で、現代なら脂の乗り切ったところであろうが、
「早い話が、街頭の十字路を号令で横切るようになっては、もう老人は安心して町へ出ることが出来ない。」
と、日本の高度経済成長、一足飛びの発展に戸惑う老人としての感慨も述べていたりもする。うん、エッセイだな。
なにしろ、冒頭の方で、
「日本の建築の中で、一番風流に出来ているのは厠であるとも云えなくはない。」
と、いきなり小学生のネタか? と思えるような場所から語りはじめるのだから、どこか可笑しい。
「やはりああ云う場所は、もやもやとした薄暗がりの光線で包んで、何処から清浄になり、何処から不浄になるとも、けじめを朦朧とぼかして置いた方がよい。」
これなど、マジで語っているのか、面白おかしく書いているのか、どちらだろうと笑えてくる。
ともかく、まずはPIE INTERNATIONさんの装丁、企画としての本書に賞賛を送っておかなければ。
このシリーズ、大川裕弘氏による写真との組み合わせでいくつか出ていて、去年、たまたま軽井沢に立ち寄ったときに現地の書店で『茶の本』(岡倉天心著)を見て、いいなと思ったもの。
それより先立ち、本書が出ていたが、勝手に恐れ多くて、手に取る順番が逆になったが、本書も、写真と共にキーフレーズが抜き出され、『茶の本』同様に、視覚的にも著者の意図を補完するような美しい写真と共に、非常に読み応えがある作りとなっている。
『茶の本』同様に、東洋文明、日本古来のアートセンスを、文字通り“礼賛”する内容で、日本文化に改めて敬意を払いたくもなり、誇りを感じることができる好著だ。
漆器や日本画の金箔のつかい方、その見方もさることながら、それらが置かれている日本家屋そのものの芸術性を高く評価しているところが白眉だろう。日本の美の全ての基礎は、建物からなるという論旨だ。
「寺院のみならず、宮殿でも、庶民の住宅でも、外から見て最も目立つものは、或る場合には茅葺きの大きな屋根と、その庇の下にただよう濃い闇である。」
「左様にわれわれが住居を営むには、何よりも屋根と云う傘を拡げて大地に一廓の日かげを落し、その薄暗い陰翳の中に家造りをする。」
「日本座敷の美は全く陰翳の濃淡に依って生れているので、それ以外に何もない。」
こうして、漆器、建築のみならず、陶器や料理、能や歌舞伎といった芸能など、ありとあらゆるアートを語り、そこにある陰翳の意味を解いていくが、最後に記す一文が、自身の本分、文学に触れているところは、流石、『文章読本』を記した大作家だけのことはあると感心する。
むしろ結論は、そこにあったか?! とさえ思えた。
「われわれが既に失いつつある陰翳の世界を、せめて文学の領域へも呼び返してみたい。文学という殿堂の櫓を深くし、壁を暗くし、見え過ぎるものを闇に押し込め、無用の室内装飾を剥ぎ取ってみたい。」
お見事!
※本書の翌年に上梓した『文章読本』も、改めて当たってみようと思った。 -
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ネタバレ「独占」という究極の形
春琴という存在を、誰にも触れさせず、自分だけの領域(記憶の中の美しさ)として永久保存したかった。それを成し遂げるために、彼は「自分の目」という代償を差し出し、彼女の顔を見ないことで、彼女を「一生自分の手の中にだけある美しい偶像」として固定した。
物理的に殺してしまえば、そこには死体しか残らないけど、自分を盲目にして共に生きることで、佐助は春琴を「永遠に色あせない、自分だけの春琴」として飼い殺し(あるいは共に閉じこもり)続けることができたのかな。
・誰にも見せない
・自分も見ない
・だからこそ、誰にも汚させない
この「究極の独占欲」が、表面的には「献身」という美しいヴェールを被って完結しているあたりが、この物語を単なるメロドラマに終わらせない「妖しい魅力」になっているなと感じた。
「誰かに取られるくらいなら殺してしまおう」の安全バージョンみたいなイメージ。
普通の嫉妬だと、相手を破壊するか、自分が壊れるかの二択になりがちだけど、佐助は「自らの感覚を捨てる」という第三の道(それも極端な)を選んだ。それは「安全」と捉えられて、この物語の狂気と純粋さを同時に見られた感じがして、すごく面白かった。
現代の感覚で読むと「そんなことまでして?」と思うけど、佐助にとっては、春琴を失う(あるいは彼女の美しさが衰えていくのを目の当たりにする)ことの方が、目が見えなくなることよりもずっと恐ろしい「地獄」だったんだろうな。 -
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ネタバレ一番興味深かったのは譲治。
なぜそこまで愛せるのか…。
ここまでやっても大丈夫なら、ナオミはもう無敵なんじゃないか。
じゃあ逆に、何をしたら譲治はナオミのことを嫌いになるのか?
それは、ナオミが普通の奥さんになった時なのかも。そう考えると、案外ナオミも楽ではないのかもしれない。
私は息子がいるので、譲治の母親のことも気になってしまった。
真面目で倹約家だった息子の変化に、母親は気づいていたと思う。
私だったら心配で聞かずにはいられない。
それでも何も聞かなかった母親は、何を思っていたんだろう…。
ナオミの肌や髪の質感、匂いまで伝わってきそうな描写。
他の作家が書けば下品になりそうな内容なのに、エロセンサーに厳しい自分でもまったく嫌な感じがしなかった。
谷崎潤一郎はやっぱり読みやすい。
無駄のない文章でどんどん先へ読ませる。
テレビも娯楽も少なかった時代に、この作品は相当面白かったと思う。
ちなみに、2人がよく行く「活動写真」とは何のことかと思ったら、映画のことだった。
大森海岸で泳ぎ、目黒が郊外として描かれていることにも時代を感じる。
物語だけでなく、約100年前の東京へタイムスリップしたような楽しさもあった。
Audibleにて。 -
Posted by ブクログ
河合は自分の事を「君主」と言ったり、女性に対しても勉強が出来ることや品行方正を求めている割に
ナオミの性格や下品な言動に不平不満を漏らしつつナオミの美しい容姿や魅力的な肉体に翻弄されてしまい、ナオミにお金を使われたり数多の男と不倫されても離れられないところになんだか 男 を感じた
ナオミも自分の魅力が男にとって魔力になると理解していて、自由奔放に我儘に生きながら時には猫みたいに擦り寄って非常に打算的で女として良い生き方だなーと思った
男に憎まれれば憎まれるほど女は美しくなるという一節が印象的。その通りだと思う
ナオミは色んな男と関係を持っているけど、そこに関して性描写も無いし、そういう表現が苦手な人でも読みやすいと思う
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