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77歳、元気ハツラツ!「今日ハオ爺チャン、ネッキングサセタゲマショウカ」――文豪・谷崎が〈老年の性〉を追究した晩年の最高傑作。挿絵・しりあがり寿。
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Posted by ブクログ
谷崎の瘋癲老人日記、久々に読み返す。 瘋癲老人日記といえば、棟方志功の挿絵。 今回は、しりあがり寿さんの挿絵での新装版。 ここ二、三十年の漫画は、ほとんど存じ上げておらず、しりあがりさんのも読んだことはない。 但し、京都での「ドラえもん展」で、しりあがりさんのシュールなドラえもん動画は観ており、...続きを読むすごぶる面白かった。 思わず、Tシャツも買ってしまった。。。 で、しりあがりさんの瘋癲老人日記の挿絵。 この奇妙さと滑稽さが表裏一体な、ひとりのジイさんの物語にピタっとハマっている。 ※棟方志功の挿絵だと、棟方しか浮かんでこない.... 何回読んでも、このカタカタ文章、これがなんか怖いよね。 谷崎って、文体における視覚的な実験、こういうのも狙った作家なのかしら? 大体、「卍」でも全編関西弁のオンナのひとり語り。あんな異様な文体の小説、他にあるんだろうか? 主人公、卯木督助。77歳。 このひとりのジイさんの日記が延々と綴られていくのが、この小説。 冒頭、歌舞伎の話が出てきて、 その昔十五世羽左衛門の助六を観たと語っている。 意休が(おそらく)七世中車で、揚巻が五世歌右衛門という垂涎の顔ぶれ。 なんとも羨ましいかぎりである。。。 文庫の帯に、"老人の性を極上のエンタメにした"って書いてあって、それは確かにそのとおりだと思う。 谷崎って、やっぱり偉大。 なんか諸々の意味も含めて。。。 巻末の窪美澄さんの解説もすばらしいです。 谷崎は、何度読んでも飽きません....
何を読まされているんでしょう。息子の嫁に執心する77歳の老人の話。 これが谷崎潤一郎でなければ、認知症で抑制が効かなくなった老人の性的異常行動の話しでしかないのだが、谷崎先生の作品なのだから一筋縄ではいかない。エンタメに仕上げられたエロくて哀れな話。 まず主人公一家の豪勢な生活に驚かされる。 自家...続きを読む用車を乗りまわし、ボクシングの世界戦(東洋チャンピオン?)を観戦し、プリンスホテルのナイトプールに行く。歴代の飼い犬はボルゾイ、グレーハウンド、コリー。舞台は昭和35年頃であるから第2次世界大戦から15年しか経過していない。かなりの富裕層の生活だ。 ちょっと調べてみたが、当時の自動車所有率は3%に満たない。そんな上級国民の家長の爺様が色呆けしてしまい、最後はどこまでが現実でどこからが老人の妄想なのかさえ曖昧になってしまう。 当時の人たちはこの作品をどのような思いで読んだのだろう?侮蔑?同情?笑話?艶話? エンディングを曖昧にすることで、いろんな受け止め方を可能にしているところが上手いと思った。
77歳の老人文筆家・卯木督助による旧かなづかい(カタカナ)形式の日記。督助は相当な資産を持ち、地位もあるが、体のあちこちに痛みがあり、寝たり起きたりの日々を送っている。彼は、同居する息子の嫁でダンサー上がりの颯子に特別な思いを寄せていた。颯子の足に性的魅力を感じ、その足で踏まれたいという倒錯的な感情...続きを読むを抱いている。 颯子はそんな督助につけこみ、300万円のキャッツアイを買わせたり、督助の気持ちを弄んだりする。 老人のフェティシズムやマゾヒズムが主題となっているが、コミカルタッチで描かれており、陰鬱さや深刻さは全くない。 ただ、カタカナの文面は読みづらく、最後の10頁余りで、お抱えの看護婦や娘・五子の手記がひらがなで語られる部分は正直、ほっとした。 また、督助が使う薬の名前ががやたらに多く出てくるのも、著者のこだわりがあるのだろうが、少し違和感があった。 谷崎が自分の内面を投影した作品であろうと思われるが、抗いたいがどうすることもできない肉体の衰えに耐え、逆にそれをユーモアに変えて表現しようとしたところに作家としての意地と情熱を感じた。
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