内田樹のレビュー一覧
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本書の前半には、2012年に相愛大学でおこなわれた内田樹の3日間の集中講義が収められています。後半には、内田が館主をつとめる凱風館で釈徹宗がおこなった、鈴木大拙の『日本的霊性』についての講義が収められています。
内田の担当しているパートでは、これまで内田がさまざまな著書のなかで述べている内容をまとめたもので、武道などの体験を通じて内田自身がその存在を実感している身体知の重要性を指摘し、そうした目に見えないものについての感受性をないものとしてあつかってきた現在の社会のありかたに対する危惧が表明されています。
他方、釈の担当しているパートでは、大拙の主著である『日本的霊性』の解説というかたちをとっているものの、内田の議論に通じるような問題へと話を接続することがくわだてられており、大拙が「霊性」と呼んだ感受性のありようを、ある種の知性のかたちとみなすとともに、「人間的な領域」と「非人間的な領域」の境界を感知する能力として、その役割を説明しています。このような能力は、内田がサリンジャーの『ライ麦畑で捕まえて』のなかの「歩哨」についてのエピソードを参照しながら語っていた能力であり、二人の著者の話がおなじ着地点へと向かっていることがわかります。
著者たちが、現在のわれわれの分明な知性によっては把握することのできない知の可能性に対して開かれた態度をとろうとしていることは、それなりによく理解できたように思います。ただその一方で、そうした知のありかたについて、なぜこんなに分明に語ることができるのかという疑問も感じます。 -
Posted by ブクログ
内田樹先生の本の読み方にはコツがある。
真面目に論を追わない
信じすぎない
楽しむ
である。
私が内田先生の本を数十年手に取っているのは、
いつも同じことを言っている
からである。
日本や世界でさまざまな出来事が起こっても新しいテクノロジーがでてきても
いつも同じことを言っている
のである。
さまざまな出来事に揺さぶられ、新しいテクノロジーを持て余してしまう自分には、変わらぬ内田先生を確認することで、自分の頭をマッサージしているのである。
もっと自由に考えて行動していいんだよ
本書のメッセージはまさにいつも内田先生が繰り返していること。
今回の内田節はウスビ•サコ先生ともうまくマッチ(時々困らせて)していて、それもよかった。
読書術とかは駆使せず、メモも取らず、ゴロゴロだらだら読んでください。 -
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斎藤幸平さんの名前があったので読んでみた。
一番心に残ったのは平川克美さんの文章だろうか。会社勤めするようになって当たり前のように見聞きしてきた経済合理性。原価を絞り、無駄を排除して、より低価格の製品を提供する。お客様の要望に応え、お客様が期待する以上の価値を生み出すこと。製造業をはじめ、経済はそのようにして成長するものだと思っていた。
しかし、現在は総供給が総需要を上回っている状態。必要ないものを売るための広告やマーケティングなど、ブルシットジョブ(この本で言及してる人の多いこと!)が蔓延し、限られた利潤を確保するために「集中と選択」という言葉に現れるように、偏った資源配分をし、競争優位性のない部門は排除すべきとの考え。この競争優位性、経済合理性といった考え方は、巨大企業や金融市場が成長を続けるために流布されたもの。これが人々の価値基準や判断基準のモノサシとなり、格差やブルシットジョブを生み出すことになった。コロナ禍はその脆弱性を露呈させた。無駄を排除した結果、緊急時の備蓄がない、余剰人員を持たない保健所や医療現場、高齢者より若者を優先すべきだとの優生思想。さらに、経済かコロナ対策か、という議論自体が、経済合理性というただ一本のモノサシで語られているということ。
大学生活が単に勉強をすること、即ちオンライン授業さえ受けていれば事足りるのとは違うということもコロナ禍で見えてきた。
仕事とは何か、大学とは何をする場なのかを再考する機会を持とう、社会で当たり前とされる考え方、メディアの喧伝するものに次第に染まってしまう危うさを意識するようにしよう、そう思った。 -
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撤退論 内田樹編 晶文社
歴史のパラダイム転換に向けて
題名に惹かれて手に取ってみたけれど
前書きを読んで学者の限界を感じた
まず仲間内で先生と呼び合うのをやめてからにしてほしい
少子化がいけないと決めつけてからの話では
答えが出ないだろう
問題は噂されている
権力を振りかざしている側の都合で
少子化を作り出して不安をばらまいていることの真偽を
確かめることが前提だろう
識者とされた多くの人が原稿を寄せた中で
唯一面白く読ませてもらったのは
『個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か』
というタイトル始まるお話だ
広い目線で現代文明が陥っている
物質至上主義の問題の急所を捉えている
いやもう一つ
夫婦で語る「撤退女子奮闘記」と「撤退のマーチ」が面白い -
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内田樹さんとえらいてんちょう(矢内氏)との対談。 矢内さんの生い立ちから社会まで。 矢口さんは全共闘マルクス主義の家庭に育ち、一般人とは全く違う人生を歩んできた。 社会への関心は子供の頃からあったらしい。 小さなビジネスを次々と立ち上げて、社会で暮らす人たちを応援している。対談内容は、ビジネス資本主義、共同体、教育や福祉、宗教、YouTube、将来の日本アジアのあり方など。 内田さんの対談集は、話があちこちに飛んで面白い話も多いけれど、読み終わるとあまり記憶に残っていない。この本もそんな感じ。タイトルと中身が合っていないように思う。
内容をざっくり知りたいなら、目次を見れば良い。 対談は面白いけれど余計な話もたくさんあるので、目次を見て自分が何を知りたいのかを考えてから読んだ方が良さそうだ。 -
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お二人のマルクス本に対するスタンスの違いを、如実に感じるものでした。僕が最も違いを感じたのは誤解という言葉でした。石川先生はこの言葉を多く用いていた印象を持ちました。
歴史や社会などのコンテクストの中のマルクス理論に価値を置くのか、活動の背景としてのマルクス理論それ自体に価値を置くのかと単純化して理解しました。マルクス理論自体が行動の根拠となる場合に、理論を崩さないこと自体が大事な世界なのかなと、想像し興味深かったです。内田先生の返答はとても興味深いです。あと、先行はやりづらそうです。ユダヤ人関連の反論は成立してたのか、僕には難しかったです。
誰を相手として想定した文章なのかに最初に言及している点などはじめ、書き手としての力量な気がしました。 -
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東日本大震災前後の時事対談たが、あまりにも状況が変わってなくて驚く。
震災後は日本は変わる、変わらねばと言っていたが、その後の安倍政権の下、そのままの状況が続き、深化しただけだったのか。
この本で評価されているシールズなど影も形もなく、ローンウルフ型犯罪ばかりが目につく。父がいなくなったと盛んに言っているが、安倍氏はとても父というタイプではなかったが、その戯画化または代用だったのか。
維新の会も伸びは止まったが、維新と安倍は同根だし、トランプ型の大きなうねりの一つの流れ。明らかにグローバル化にストップはかかり、ローカルになってきたが、内田や高橋の予想や希望とは異なる方向と思う。 -
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1章 日本人は辺境人
・日本人には、世界標準の制定力がない。それは、自分の行動を裏付けする価値観を自分の中に持ち合わせておらず、外部にしか求めることだできないからである。これ自体は、国の誕生物語を持たないこと、そして古来から「中華」に対して「辺境」の立場として、相対的な価値観に準じて国を発展させてきたからである。よって、日本は何かを目標としてそれにキャッチアップすること、模倣することには類いまれなる才能を発揮するが、主体的に価値観を生み出し他国をリードしていくことはやったこともなく出来もしない。だからこそ、主体性を発揮する訓練をしよう!ではなく、特異的な「日本人の辺境性」を生かす方策を考えるべき、と筆者は主張している。
2章 辺境人の「学び」は効率がいい
・人が妙に断定的で、すっきりした政治的意見を言い出したら、眉に唾をつけて聞いたほうがいい。人間が過剰に断定的になるのは、大抵の場合、他人の意見を受け売りしている時。自説を形成するに至った自己史的経緯を語れる人とだけしか私たちはネゴシエーションできない。
3章 「機」の思想
4章 辺境人は日本語とともに