内田樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2019.12.15
【感想】
なるほど、そんな考え方があるのかあ、となる本
結婚に対して「キラキラしたもの」「憧れ」という認識があったのだけれど、
「今よりも不幸にならないように結婚する」
「結婚は社会契約である」
の言葉たちが少し冷静にさせてくれた
そして自分がパートナーに多くを求めすぎていると反省
「よくわからない人」と共に生活していることは感動的なのかそうかそうか…
【印象に残った言葉】
目の前にいる人よりもっとましな相手がいるんじゃないか(略)というのは「自分はこの程度の人間じゃない」という自負の裏返しです。(P24)
→耳を塞ぎたくなる人多そうだなあ(笑)
配偶者が変わ -
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ネタバレ筆者の半生を綴ったエッセイ。
ウエブ マガジンのロング・インタビューを元に構成してあるそうだ。
学生運動について、時々モノクロ写真で見たり
フィクションのスパイスとして出てきたりして知っている程度だったので
当時の肌感覚で書かれているのが興味深かった。
師弟関係について、
弟子を伸ばすために言うことと潰すために言うことは表面上似ていて
識別が難しいという件もとても興味深い。
武道家は勝敗や強弱を競う境位を離脱し、
いるべき時に、いるべきところにいて、なすべきことをなす人間になることが修行の目標であり、
道場は楽屋、一歩外に出たところが本番の舞台というのは
共感するところだった。
実践する -
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さまざまな雑誌などに寄稿された著者の論考・エッセイを収録している本です。
著者のブログ記事をまとめた本とはちがい、字数制限のためか尻切れトンボの感のあるエッセイも多少見受けられるように思いますが、身近な話題から思いもかけない理路を通って見晴らしのきく場所へと読者を連れ出す著者らしい議論の運び方が随所に見られます。
個人的には、橋本治の思想、とくに身体論、他者論、歴史論にかんしては、内田樹の思想を通して読み解くことではるかに理解しやすいものになるのではないかという見通しをもっており、「速度と祝福 God speed you―書評『蝶のゆくえ』橋本治著」の橋本治論は興味をもって読みました。「速 -
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子供を育てるというのは、「世の中思いどおりにならない」ということを骨の髄まで味わうということですからね(内田)
ポルトガル語で「マオ・レゾルビーダ」という言葉があります。英語で無理やり言うと、badly resolvedとでもいうのでしょうか。ある地位を得て、ひとかどの人間のように思われているけれども、実際には、自分の個人的な生活とか人間的成長を大事にしていない人、自分ではそういうことを解決したと思っているけれども、本質的には何も解決してない人のことをさすんです。(三砂)
評価コストって、けっこう深刻なシステム問題なんですよ。精密な評価をするということが自己目的化すると組織の中の人間は活気 -
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ネタバレ天下の内田センセイとヨーガ行者成瀬師の対談本。
なるほどの犬の耳多数。二人そろってインプラントにしていてこれはいいと語り合っているのが怪しすぎて笑えたwただ最後の章は切れ味鈍り残念。身体性が至上、ゲームパチンコカジノはダメ、ひきこもりノンアクティブは問題、と頭から切り捨ててしまっていて、そこら辺のジジイと同じレベルとなってしまっている。
P5 どんな異能であっても、「そういうことができた人がいる」という話は受け入れる。だってそれによって失われるものなんか何もないんですから。自分の中に潜む可能性を信じようと信じまいと、日々の稽古そのものに割く時間と手間は変わらない。だったら「そういうことができ -
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レヴィナスを中心にユダヤ思想を主な研究領域としてきた内田樹が、イスラーム学者の中田考を招きイスラーム思想の現代的可能性について対話をおこなっています。
ユダヤ教とイスラム教というバックボーンのちがいだけでなく、さらに国民国家が破滅的なクラッシュを起こしてしまうことの危機を訴える内田に対して、中田は「カリフ道」の復興を説くという点でも、両者の立場にはかなり大きなちがいがあるのですが、本書ではアメリカを中心とするグローバリズムへの対抗思想という点で両者の議論は一致点を見いだしています。もっとも、だからといって刺激に欠けるということはなく、まったく異なるバックボーンからともにグローバリズムへの批判 -
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ネタバレ【気になった場所】
メディアの不調=視聴者の知性の不調
仕事と適性の順番
◯仕事を通して自分の適性を見つける
×自分の適性に合った仕事を探す
→能力は開発するもの
人間の才能を開花させるのは、他人のために働くとき
情報を評価する最優先の基準
→その情報を得ることで世界の成り立ちについて理解が深まるかどうか
各メディアの不調の原因
・テレビ→ジャーナリストの知的な劣化
・新聞→テレビの不調を指摘できない点
ジャーナリストの知的な劣化の背景
→なぜ弱者の味方をするかを自問してない
→その思考停止が知的な劣化を招く
テレビのシステムにも欠陥がある
→ミスをしないことを優先し、何を放送す -
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自然にあるものはすべての人にとって平等に出現する。でも、「額縁の内側のもの」はそうではない。それは平等には与えられない。額縁の中で示された物語をどう受肉するかという仕事は個人の責任で果たさなければならない。額縁というのは、「そこの中にあるものについては、一人一人が違う意味を汲み出しなさい」というメッセージの解釈についての指示のこと。額縁をどこにつけるのか、何を額縁で囲むのか、ということは、思いがけなく大切な仕事。
人間が何者であるかは、その人が「何であるか」という本質的な条件によってではなく、「なにを生産し、いかに生産するか」によって決定される。
自分のことを善良で有徳な人間であると思いこんで -
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一時期どっぷりはまって片っ端から著作を読んでいた。最初に読んだのは「ためらいの倫理学」だったかな。こんなに腑に落ちる論考を読んだのは、岸田秀「ものぐさ精神分析」以来だと思ったのを覚えている。(「ものぐさ~」はロングセラーだそうだ。今でも名著だと思う。)どんどん出版されるのをいつ頃まで追いかけていただろうか、神戸女学院を退官されて、凱風館を建てられたあたりから、さしたる理由はないが読まなくなったように思う。
これは「自伝」だというので、ちょっと興味が湧いて、久々に読んでみた。小中高の学校時代の話が詳しく書いてあって面白かった。やっぱりずいぶんとんがった少年だったんだなあ。一方、東大時代のことは -
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2011年に長年勤めてきた神戸女学院大学を去った著者が、そのころにおこなった講演のうち、6本をまとめた本です。
最終講義ということもあって、著者がとくに力を入れて取り組んできた問題のひとつである教育問題について率直な議論が展開されています。講演がもとになっているということもあって、他の著書よりも若干「前のめり」で議論がなされているような印象を受けました。そのぶん、著者のエネルギーを感じます。
また、『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)について著者みずから解説をおこなった、日本ユダヤ学会での講演も収録されています。こちらでは、レヴィナスと武道に打ち込んできた著者がみずからの内なる「反米」とい