内田樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ先日山崎さんの裁判の支援を内田先生がされていたという記録のブックレットを読んで、その後お二人でされた日本社会の現状や世界情勢についての対談本が出ていたことを知り手に取りました。
出た頃に読みたかったと思いましたが、本書が出た一年前にはイスラエル側にいるアメリカがイラクを攻撃するなどということがまさか起きるとは誰も予測してなかったことを思うと、出版後すぐ読むのと今読むのでは捉え方や感じ方、意味合いなど変わるのではとも思いました。
(p196)(アメリカも中国もロシアも)他の国のリーダーシップの下で中東が安定するよりは、誰も停戦工作ができないまま中東がカオス化するほうが「まだまし」という計算がある
現実は一層複雑化しカオス化したように感じます。今の戦争がどのように幕引かれるのか想像することができないです。
(p234)海外の紛争地に深くコミットすることはアメリカの国益を損なう可能性が高いということは経験則として学んでいる
今の戦争は完全に一線を超えたと言えると思います。
(p200)もともとヨーロッパ諸国がユダヤ人に対して宥和的であり、彼らを自国のフルメンバーとして受け容れるという努力を19世紀末から真剣に行っていれば、そもそもイスラエルは建国されていないし、今日のパレスチナ問題も起きていないのです
と内田先生が言ってるのを読み、先日読んだ「聖地巡礼コンティニュード(釈徹宗・内田樹 共著)」で釈先生が「イスラエルが満州あたりに建国されていたら今ほどこじれた状況にならなかったかも」と言っていてそれに対して内田先生もそうですねと答えていたことを思い出しました。…でもそうだろうか、と私はどちらも疑問です。
(p248)起きたことについては歴史家はその理由を説明してくれますけれど、起きなかったことについてはなぜ起きてもいいことが起きなかったのかは説明してくれません。
見落としがちですが確かにそうだなと。起きてもいいことが起きなかったことにはたぶん理由がある。それを考えることも歴史を読み解くうえの大事なヒントになるのではと目からウロコ。結局その理由は分からないことが多いでしょうけれどそういうものの考え方をしていくことが自分の頭で考える、自分の目で世の中を見つめていく姿勢になると思いました。
他にも気になることがたくさん。
公益通報の不条理(p71)文字メディアだけで情報収集していると音声的に再現できない固有名詞を含む話題を回避する傾向が生まれる(p46)報道の危機や政治の空洞化などなど。
インタビューを一方的に没にしておいて連絡も謝礼もなし、こちらからどうなったか聞いたら形式的謝罪のみってひどすぎ。そんな対応が通るような仕事をするメディアがあるんだと驚くけれどもきっとそこだけの話ではなくて、どこもウエが「やめろ」とか「はい、没」と言ったら終了する取材や記事はたくさんあるのでしょう。ドラマなどでたまにそういうの見ますが、現実の方がもっとドライにたくさん起きてそう。
やってないことをやったと自白させられてうまくその場をやり過ごした友達とあくまでもやってないことはやってないと言い続けた内田先生自身の子供の頃の話が出てきますが(p143)自分も似たようなことがあり。
やってないことをやったと自白させられるのはトラウマになります。内田先生が、嘘をついて罰を逃れようとしたら自分の中の何か大切なものが穢されてしまうと言っていますが、それは多分その通りでずっと残ります。
本当のことを言っているのに自分の思う返答をするまで責め立てた教師を半世紀近く経った今でも私は許せないです。とっくの前に亡くなられていますが。
(p296)子どもたちにオーラルを教えて、テクストを読むことを抑圧するのは植民地における教育の基本です
近頃小学校では国語で教科書の音読をやらなくなったと聞きました。やらなくていいという方針が出たという話ですが、そういう時間も取れないほど他にやらせたいことが詰まっているというのもあるのでしょうけれど、どんどん自分で考える力を失わせる教育や指導が増えていると怖くなります。
山崎さんは、決して絶望しないしぶとさを持つことが大事と言っています。小学校の指導方針に疲弊している友人も「納得できない、このままではだめだと思うことはだめだと言い続けなければ、止めさせなければならない。諦めたらそこで終わりだから辛くても言い続けなければならない」と言っていました。
…言い続けなければならないけれど言い続けられるだろうか、と弱気になります。
世界は混沌とした動乱期に入ってしまったように感じます(p185)
数年後、本書を読み返したらきっとまた今とは違う感じ方になるでしょう。本書の中の懸念の方がまだましだったと世界がならないことを願うばかりです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ序盤はスイスイ読めるのだけれど、宗教と「機」の思想部分は難しくてよくわからない部分がかなり残る。
たしかに「辺境人」である心当たりは何個もある。それを脱却しようというのがよくある論じ方だけれども、この本ではそのままやっていこうやという提案をするのが面白い。
表音文字と表意文字の組み合わせで物事を理解する我々の特異性について語られる。ここはかなり面白く感じた。漢字は絵なんだよっていうロンの説得力がかなり強い。たしかに漢字はぱっと見で読める。すごい装置なんだなあと思った。漢字だけを用いる中国語では表意文字の純粋性が劣る、みたいなことが書いてあったけど本当かなあ。中国語に明るくはないけど、於とか做とかはおそらく助詞的に用いられているけど、なんとなく意味がわかるような気がするから表意文字としての純粋性の多寡には関係ないような気もするんだよなあ。中国語が外来語を漢字でその音のまま表記するってのは確かに日本語と違うけど。日本語でも漢訳できてない外来語は無数にあってカタカナで表してる。あんまり違いがわからん。
師を求める時の我々の態度の考え方も面白い。確かに何も知らないけど、師事してからだとさまざまなことが見えてくるし、そういうふうにして見えてくることを私たちは求めている節はある気がする。これを前駆的な知識といったふうに表現するのは面白い。
ある物語を述べる時に、その考えに至った自分史的な語り口ができるか否か。という部分はかなり重要な気がする。たしかに受け売りの意見だと交渉と譲歩はできない。自分の頭で考えろ、と言われた気がする。
よくわからんところも多かったから、また今度読み直さないといけないなあという気持ち。 -
Posted by ブクログ
同じホフスタッターの「反知性主義」を基にしていても、森本あんり氏の『反知性主義』と論点が違って面白かった。森本氏はアメリカの宗教や建国史を背景に「反エリート主義」として反知性主義を捉える一方、内田氏は「集団の知的パフォーマンスを下げる振る舞いをする人」として論じていた。本書がもともと『コロナ後の世界』という題名だったことも印象的だった。執筆時期がコロナ禍の真っ只中であり、コロナ禍という危機的状況が水面下にあった排外主義や陰謀論を増幅・可視化していったように思う。コロナがある程度落ち着いた(勿論完全に無くなったわけでは無い)今でも、コロナ禍で表面化したこれらはまだ続いている。SNSで切り取られた一部の動画だけではなく、実際の現場を見たり、自分と違う意見を持つ人と対話したり、さまざまな年代や背景を持つ人と関わってみたり、そうやって自分の無知を知り考え続けるが大事なのだと思った。
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Posted by ブクログ
それぞれの章には、含蓄ありまくりのいつものウチダ節が書かれていて、たくさんアンダーラインも引いたのだが、せっかくの往復書簡なのにその良さが台無し。編集者からの人生の質問に答える、という形なのだが、普通なありきたりな質問で途中からこの質問の部分を飛ばし読みするようになった。
往復書簡の良さとはお互いに自分の批評的な考えを述べ合って本としての論考があらぬ方向に進んでいく、というものだが、この本だと往復書簡の体をなす意味がない。ただただ内田樹が人生についてのエッセイを書いている、という感じ。そしてそれは彼の多くの他の本にある。あまり読んだことがなかったのは友情論とか結婚論かな? -
Posted by ブクログ
一万円選書で送られてきた一冊。
内田樹とサコさんの対談形式で進んでいく。
大学の教育現場にいる2人によるトークはとても面白かったし、そもそもマリ共和国出身のサコさんがどのようにして日本にたどり着いたのか経歴が面白かった。
もっと日本人はダラダラしても良い、という言葉が良かった。周りの評価が重要な日本ではもっと自由にしていこというメッセージを感じた。
また日本国民がちゃんと政治について興味を持って声を上げていかないと行けないということや
民主主義なのに監視し合うような日本社会はどちらかというと共産主義寄りということが頷けた。
内田樹は大学受験の塾で小論文のためによく読んでいたので懐かしい気持ちになった。
他の感想でも一万円選書で送られてきた〜という内容を読んでいると日々肩身狭く感じてしまっている人に向けて選ばれている本なのかなと思った。
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Posted by ブクログ
「映画は全て構造で出来ている」から始まります。
いや違う!という人はぜひ読んでみてください。
構造とはたぶんパターンだと解釈しました。
かと言って映画を批判や虚偽しているわけではないようです。
やはり癖にもなりまた観たくなる。
単純にそれでいい。
しかしそれが慣れると、その構造から違う構造の映画も観たくなる。
例えで宮崎駿監督のお話しや、倉本聰の北の国からの解説が分かりやすかったと思います。
映画の批評家はたくさんいる中で、内田樹さんはオルタナティブ批評として楽しく読めました。
もう少し最近の映画やA24の映画も解説されていれば、なおよかったかなと思います。