内田樹のレビュー一覧
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内田樹が、浄土真宗の僧侶である釈徹宗を相手に、仏教の根本的な思想についてたずねるという趣旨でおこなわれた往復書簡をまとめた本です。二人のやりとりの合間に「間狂言」という章が挟まれており、釈が仏教の基礎についてコンパクトな解説をおこなっています。
おそらく内田の心積もりとしては、彼自身の宗教にかんする突っ走った議論を、釈が仏教の立場から広く大きく受け止めるという展開を期待していたのではないかと忖度するのですが、どうも内田の投げかける問いのエッジが利きすぎている印象を受けました。むしろ、釈の仏教概説に、内田が自由な立場からコメントを入れるという構成のほうがよかったのではないかという気がします。 -
Posted by ブクログ
おじさん二人の対談集。東日本大震災が起きる前と、起きたあと。日本は何が変わって何が変わらないのか。
この中で、原発に30年反対し続ける瀬戸内海の小島、祝島の話がよかった。
毎日デモやっているといっても、ほとんど世間話しながら島の決まった場所を歩きつつ、たまに思い出したかのように「原発反対」と声を上げる。
それに、飯を作ってたからとか、飯作りにとかで途中参加したり離脱したりして、それを30年間続けている。
高齢化率が高止まりして限界集落になり、やがて人がいなくなるのが確実になっているのに、老人たちはやめない。
そういう地域の繋がりというもの、今は日本のどこにあるだろう。
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Posted by ブクログ
現在の聖地巡礼は大人の遠足なんだよね。今に比べては申し訳ないが昔の人はそれなりのリスクを抱え巡礼に赴いていたのだろう。
まあやっぱりこれだけの清々しさを持つ場所には誰しも一度は行ってみたい。だけど現代人には昔ながらの覚悟はない。
ならば、今はこの聖域を壊さず足さず現状を保ち未来に残す義務を持つこと。それが一番難しいのかな。
原発は日本人だけが持っているわけではない。韓国も中国も十分すぎるほど所有している。原発事業も科学である。
自分は常に正しい側で相手は間違っているという排除のボーダーを持っている、二項対立をしているのはむしろ著者側だろう。
原発を含め科学の進歩と -
Posted by ブクログ
著者がブログに掲載した文章をまとめた本です。
著者のブログは、コピー・フリー、転載フリー、盗用フリーを謳っています。それは、ブログに発表された考えを一人の主体性を持ったパーソンに帰することはできないという立場を、著者が採っているためです。そしてこうした立場の基礎は、「人間が語るときにその中で語っているのは他者であり、人間が何かをしているときその行動を律しているのは主体性ではなく構造である」という、フランス現代思想の構造主義の考え方があります。
本書で取り上げられているさまざまなテーマも、こうした構造主義の立場から現代の世相を見たとき、どのような光景が映るのか、というものになっています。とく