内田樹のレビュー一覧
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大学論・・・神戸女学院大学文学部教授の内田先生が、大学の存在意義、教養の必要性、いまどき大学生の考え方・知的劣化など昨今の大学事情を鋭く分析したエッセイをまとめた本。
内容によってはちょっと何を言いたいのかよくわからない部分があり難儀したが、文部科学省の「杉野剛」氏との対談場面は、すべての大学生・保護者・教育者に読んでいただきたい。
まなびの現状・本質を突いた明快でためになる話がとてもわかりやすくまとめられている。こういった方々が教育現場の第一線で試行錯誤しているという事実に少しは救われる思いがする。
大学施設の増・少子化の波で、大学が市場原理の淘汰圧にかかり生き残りをかけたサバイバル時代になっているが、「実用性」ばかり売りにし、文学科や仏文科、教養学科が絶滅状態にある。目先の利点(つまり就職にいかに有利にはたらくか)ばかり追い求めていけば、ただでさえ学力低下が著しいのに、歯止めがきかなくなる。
危機感は誰しも持っているのるはずなのに、彼らを雇う立場にある会社側は、早くから「優秀な人材」を確保しようと内定時期を早め、大量に公募を募り、ふるいにかけ、大多数を落としていく。
激しい生存競争をかけ、即戦力ばかり追い求めた企業の姿勢が、結果として大学の「実利主義」に拍車をかけているという現状に、子供の学力低下を嘆く大人も反省すべき点がたくさんあるはず。
立花隆著「東大生はばかになったか」もあわせて読めば効果倍増! -
Posted by ブクログ
タイトル通り、オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」の日本版。
当然様々な人が寄せた体験談が集まっているので、それぞれが短く、細切れの時間にパラパラっと読むのにピッタリ。
ハラを抱えて笑えるものあり、背筋がスーッと寒くなるものあり、ほのぼのとさせられるものあり、短い中に人間の本質が現れているような深い話あり、正直、どこかで聞いたような…という話もありですが、肩ひじ張らずに楽しめる。
最後の柴田氏と内田氏の対談の日本人論みたいなのが面白かった。
アメリカ人との精神性の違い、っていうのよくわかるな~。国民性というか、環境や文化が違う中で生きるってこういうことだよね。 -
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書店で内田樹、高橋源一郎、という名前と題名をみて、「おお、オースターの日本版だね!」と思って購入。
読んだ感想としては、ううん、面白いんだけど、なんだかどこかで読んだことがあるような感触。よくある読者の体験談を集めた本の一つみたいな感じ?もちろんそこに、内田センセイの解説(?)や、柴田元幸との対談があったりするのはいいんだけど、、、
日本人の文章はとても均質だ、ということを内田先生はおっしゃっていて、その通りだろうとは思います。社会階級や地域による話し方の違いは、日本では例えばイギリスなどに比べるとすごく小さいし、とくに書き言葉になるとその差はさらに縮まるでしょう。でも、Web雑誌ではなくて、NHKとか大手の新聞みたいに、ネットを使いなれない人でも目にする媒体で募集したら、もっと違う文章が集まったような気もしました。昔ほどではないにせよ、今もネットを使っているのは比較的若い層、比較的インテリ層、比較的富裕層(少なくともものすごく経済的に困窮しているわけではない層)が多いと思うので。
ちなみに何も書いてなかったけど、ポール・オースター他関係者の皆さんの許可は取ったんでしょうか。まあ、柴田先生がからんでいるならオースター本人には連絡してそうですけどね。 -
Posted by ブクログ
内田樹の最初の単書らしい。最近のものに比べて若干わかりづらいのは、彼が今ほど多数の読者を想定していなかったからかもしれない。
ともあれ本書の中で彼自身がレヴィナスやデリダ、ラカンらのことを「非常に難解で、全て理解しているとは思えない」と示唆しているように、彼の中心にあるのは「自分が知らないということを知ることの大切さ」という事だと思う。だからこそ倫理という大層なことを語るのに「ためらい」があってしかるべきだと考えるのだろう。極論は目立つので大きく左右に振れがちなのだが、その間のどこかに真理があると信じているからこそ、弱々しく、ためらいがちな意見になってしまう。その事を恐れずに肯定することで世の中はまともに進んでいくように思う。「論語・擁也」に見える孔子の言葉「中庸の徳たる、其れ到れるかな。民鮮きこと久し」というのもこれに近いのかも知れない。 -
Posted by ブクログ
内田樹氏の本を読み終えると、不思議なことに『読まねばならない本』が増えている。
日本人の多くが趣味欄に「読書」と書くが、その実、どのような本をどれくらい読んでいるのかは人によってまちまちだろう。
僕が読む本の著者はだいたい生きている。
著者が生きているのでいつのまにか新刊が出る。
すでにこの世にいない作家の本はこれ以上出ることがない。
しかし長い年月読まれた本はいろんな人の中を通り、それぞれの解釈が蓄積されていくように感じる。
『読まねばならない本』が増えていくのは、僕にとって内田樹というフィルターを通して夏目漱石であったりレヴィナスを見ることが心地よいからだ。
そういう存在を「先生」と呼ぶ。
そしてその先生は「先生」であるのと同時に「おじさん」である。
・・・と無理やりタイトルにつなげてみたものの、全然レビューになってないですね。すみません。 -
Posted by ブクログ
内田センセイがいっていたように、「本文を読んでいる限り、性別も、年齢も、職業も、居住地も、よくわからない。」「共感を呼ぶ物語」が多かった。にナットク。短歌を読んでいるような、シンパシーとワンダーが同居します。アメリカ版(未読ですが)は私の人生に起こったことという印象が残るそうですが、日本版は誰にでも起こりうることと思わせる、みんな同じだねという話を投稿する傾向にあるということを読後に感じます。源一郎さんからは本当のお話をテクニカルに書くことをたしなめるようなコメントに受け取りました。活字にしても本当のお話自体にあるパワーをそのまま伝える!ことの難しさが読後に残ります。