内田樹のレビュー一覧
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あとがき(by橋本治)より
「今をときめく内田樹が橋本治と対談をしているのである。なにも知らない人がこれを聞いたら、「きっと、すごく重要なことを縦横無尽に語っているのだ」と勘違いしてしまうかもしれないが、この本には「重要なこと」なんかろくにない。なにしろ、この対談集の主たるテーマは、「橋本治」だからである。」
まさにそう、そう勘違いしてしまっていました。
基本的には、橋本治の盛大な自分語りの本。橋本治を大好きな内田樹に促されるままに、語る語る。そのための本だから良いんだけど、これを享受できるだけの橋本治愛は、いまの私にはまだなかった。読んだことのあるいくつかの本は全てとても面白かったのだけれ -
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中田先生は東大在学中にムスリムに改宗し、現在はカリフ制再興を唱える変わった先生です。
ので、先生の語る宗教観や中東情勢にはそれなりのバイアスがかかってますが、ニュースで見聞きするポイントのつかみづらい話よりはずっと深く理解しやすいです。
そういう私も、西欧化された現代社会で無意識に生活するなかで今の社会システムやものの考え方を当たり前に感じてしまってるわけです。
(議会なんてのが神のアナロジーだとか考えませんわね、ふつう)
そして日本も、アメリカ主導のグローバリズムが提案する人間と社会のありように飲み込まれつつありますが、
その点イスラーム圏の価値観は良い意味で全く異質です。
自分が当たり -
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内田樹の大学教育論。いつものようにブログ等に記載された記事を集約した本。雑記帖のようなエッセイで、読み終わってみるとあまり記憶に残らない内容も多い。それでも共感できた部分があった。それは、著者が現代の大学教育がビジネスとして捉えられ、就職予備校化していることに危機感を感じていることだ。それは自分も時々感じることがある。大学の最終年は今と同じように就職のことばかり気にしていた。内定をもらうと、目標を達成した気分になり、卒業に必要な単位の取得と形だけの卒業論文を書いただけで、その後の人生に身になるような知識の習得がおろそかになった。大学時代の不勉強は、社会に出て永年勤めてみて身にしみることだ。大学
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【マンガリテラシー】
子どもは葛藤の中においてのみ成長があるのだ、ということを、井上雄彦の作品を通じて主張する。そうだ、白黒はっきりさせてはいけないのだ。ハチクロやもやしもんのように、大学というのはわけのわからない人が跋扈し、そこでまた少年少女はおかしな成長を遂げていくのだ。内田本の御多分にもれず、概ねブログの抜き取りなので、自分語りも多いのだけど、それは織り込み済み、でいいだろう。
インプットよりアウトプットが多く、オタクにもマニアにもなれないという著者。インプットが圧倒的に多く、オタクとマニアの間を揺れ動く僕。少年漫画と少女漫画はそれぞれ真名と仮名であり、両方を読んでバランスをとる、少 -
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毎度同じことを書いているような気がするが、内田本はまえがきをよく噛んで味わうのがよい。本書もまた、朝日新聞に二度と頼まれたくないと思って書いただとか、仕事を減らしたかったなどの説明がついているが、僕の気持ちを汲んだかのように、『では、また「あとがき」でお会いしましょう』とある。
さて、あとがきには、堤防の蟻の一穴に小石を詰めて塞いでいこう、ということが述べられています。本文中に繰り返し出てくる企業の恫喝による人件費低下へのプレッシャーと、互恵社会の形成のこと。マーケットから転落するのではなく、自発的で静かな「市場からの撤収」のこと。
世論じみたことは言わないほうがいい、それが「呪い」からの身の -
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ネタバレ漫画という文化を至極真面目に論じる。
作者の内田樹さんのことを知らなかったので、もっと「このマンガのこのくだりが好き!」みたいなミーハー論調なのかと思ったら全然違いました笑
井上雄彦、手塚治虫、萩尾望都、羽海野チカ、鳥山明、赤塚不二夫、、、
数多もの漫画界のビッグネーム作品を取り上げながら、なぜ漫画が日本文化にこれほどまでに強く根付いたのか、日本語の持つ漫画への適応性などを大学の講義でも聞いているかのように学ぶことができました。
読めば読むほど日本人に生まれて良かったなー!と声を大にして叫びたくなります。日本語も日本のマンガも大好き!
養老先生との対談の中で語られる、漫画家の進化の話が印象 -
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著者が日本の現状に思うところを、エッセイの形で論じていく。
明快な語り口で、滑らかに問題点を論じていくので楽しく読めた。
中身のない発言であったとしても、その発言をせざるを得ない背景から読み取れることはある、という考え方のアプローチは面白かった。
一方で、各論を行うときに、極論ではなく中庸を目指す必要性を訴えておきながら、橋本市長の行動や原発論を行うときには極端な事例を引き出し、それがさも全体全てに当てはまるような論じ方はずるいと思う。
TPPや脱グローバル論、「廃県置藩」といった具体論は納得できなかった。
小さい単位で経済を営み、コンテンツではなく贈与の過程こそに価値があるというが、その