内田樹のレビュー一覧

  • はじめたばかりの浄土真宗

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    なかなか一回では内容が汲み取れないですが、最後の対談にあったように、仏教ってクール、喜びにも悲しみにも支配されるな、そこにこそ安住がある、植物のように生きろと言っている気がするという釈さんの言葉をひとまず心にとめておきます。悲しみより、喜びに支配されない態度をととることは難しそうですね。

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    2012年08月02日
  • ためらいの倫理学 戦争・性・物語

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    内田樹の本を読むのは今年これで3冊目。カミュのことについて書かれた評論が収録されており、自分が高校生(?)の頃に「異邦人」や「ペスト」を読んだ時のことを思い出しつつ、作品にそんな哲学的省察が込められていたことに新鮮な驚きを感じました。

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    2012年07月28日
  • 態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い

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    (以下引用)
    すべてのサラリーマンは自分の給料は不当に安いと思っているが、それは彼らが稼いだ「上前」をはねることで株式配当や設備投資が行われている以上当然のことである。「そんなのイヤだ、稼いだ分だけ稼いだ人間に戻せ」ということになると企業は資金も調達できずシステムの変化に対応できずテクノロジーの進化にも追いつけず、遠からず破産する。(P.32)

    同じ食物を分け合うということは、食物が乏しいときには、全員が一様に空腹を感じ、腹をこわすときには全員下痢になるという、ある種の運命共同体を立ち上げることである。同じ元を食べているとそのうち解剖学的組成が似てきて、似たような体型、似たような顔つき、似た

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    2012年07月15日
  • 期間限定の思想 「おじさん」的思考2

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    内田さんの著書にしては、あまりぱっとしなかったです。
    『「おじさん」的思考』のほうが断然おもしろかったかな。
    しいて言うなら、中村天風さんの節に出てきた弱さの話と、変化を前提とした社会理論が興味深かった。
    あまりおもしろくなかったと思いつつも、この読みやすさ、内田さんの本のリーダビリティはすごい。

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    2012年07月08日
  • 態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い

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    ブログのエッセイを編集したものらしい。
    自分の体を「ソリッドな単体」のイメージで動かすのと「水のような細粒の集積」のイメージで動かすのでは、発動する力がまったく変わるらしい。なるほど、肩コリもこの発想で治るんじゃないかい。いろんな発想の転換が詰まった本。

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    2012年07月07日
  • 橋本治と内田樹

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    橋本治と内田樹の対談。本書で内田先生が述べている通り、「橋本治とは何者なのか」を橋本フリークの内田先生が対談で解体していくような本。ところが橋本先生は、解体できるような、生半な存在ではなかったとまざまざと思い知らされる本。面白かったです。

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    2012年06月30日
  • 嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    1000字規定のショートストーリーならば誰でも書けそうだ。

    でも聞き手の心を掴むような体験が簡単にできるとは限らないね。
    だから生きるっておもしろいんだよと、そう囁かれてさわやかな気持ちになれる一冊。


    もともとアメリカで行われた「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」の日本版だそう。

    日本人に作品の応募をかけると、没個性で平均的な情景描写が多いんだって。


    本は厚めだけど、見かけ倒し。
    30分くらいでざざざーっとおいしいところを頂いて満足としましょ。

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    2012年06月27日
  • 呪いの時代

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    ネタバレ

    「漫画の絵の部分は表意文字で、吹き出しが表音文字である」(養老孟司)

    漢字は外来の記号体系であり、
    「かな」は、それを土着の言語のための音声記号に流用したものである。
    外来の言語を図像情報として、土着の言語を音声情報として、脳内の2か所で並列処理している。そんな思考をしている言語集団は日本人のみである。

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    2012年11月14日
  • いきなりはじめる仏教入門

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    内田樹さんと釈徹宗さんが、往復書簡形式で仏教について解説してくれる本。
    入門、と銘打っていますが、自分にとってはかなりむずかしかったです…。宗教には興味がないわけではないので勉強したいのですが…。
    自分の不勉強のためにあんまり身にならなかったので、またチャレンジしたい。

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    2012年06月16日
  • はじめたばかりの浄土真宗

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    便利になりすぎて効率ばかり求める世の中、宗教的な長い時間軸というか、大局的にものを考える捉えることの方が大事ではないかと。
    一見効率化しているようにみえても、実は無駄で無価値で生産性ゼロの仕事ばかりしてしまうケースが多いのではないかと。
    特に後半、そんなことをあらためて感じた一冊。「自分が内蔵している時間意識」なんて言葉が出てくるけど、時と場合に応じてそれを長くしたり極端に短くしてみたり、使い分けする必要があるなあと思った。

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    2012年06月07日
  • 期間限定の思想 「おじさん」的思考2

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     ゼロ年代初頭に書かれたものが文庫化。時事ネタが多いため「期間限定」とあるが、しかしその切り口は未だに賞味期限が訪れていない感があります。

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    2012年05月20日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    (以下引用)
    人生はミスマッチである。私たちは学校の選択を間違え、就職先を間違え、配偶者の選択を間違う。それでも結構幸福に生きることができる。チェーホフの『可愛い女』はどんな配偶者とでもそこそこ幸福になることができる「可愛い女」のキュートな生涯を描いている。チェーホフが看破したとおり、私たちは誰でもどのような環境でもけっこう楽しく暮らせる能力が備わっている。「自分のオリジナルにしてユニークな適性」や「その適性にジャストフィットした仕事」の探求に時間とエネルギーをすり減らす暇があったら「どんな仕事でも楽しくこなせて、どんな相手とでも楽しく暮らせる」汎用性の高い能力の開発に資源を投入する方がはるか

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    2012年05月08日
  • 14歳の子を持つ親たちへ

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    ネタバレ

    内田先生と名越先生が相思相愛というのがよくわかった(笑)

    まあそれは置いといて、私は中学生の親ではないですが、個人的には学ぶことが多く、勉強になる本でした。ただ対談形式で表記されているのでぱっと見わかりにくいのがちょっと残念。ホントに読んだ方がいい親や人はまず読まないし、理解できない内容だと思うけど、出来る限り万人にわかるようにこういう本は作って欲しい。

    特に印象に残ったのは第8章
    ・あんまり子どもをいじりすぎない
    ・叱るのは親の敗北
    ・大事なのはルーティン(繰り返し)、世界に一つしかない花を咲かせようと焦って、土いじりを怠ると根をおろす場所がなくなる

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    2012年04月15日
  • 村上春樹にご用心

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    村上春樹の世界性、については前々から興味があったものの、わたしは村上春樹の小説にあらわれるあの『非日常性』にあまり惹かれない。それが、今まであまり村上春樹の作品を没頭して読めなかった理由。でも、村上春樹はたぶん、自分の本を必要としていて面白いと感じる人だけ読めばいい、と言っている。村上春樹の小説を面白いと感じる人間の方が文学的感性に富んでいて、わたしはその人間ではないというところにいつも劣等感を感じていたけれど、この本を読んで村上春樹についてはそんなことを考えることすら無意味なのではないか、と思った。村上春樹がキャッチャーインザライで言うところのキャッチャーの役割を社会的に担っているという自覚

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    2012年04月12日
  • 期間限定の思想 「おじさん」的思考2

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    流行りの内田樹が、今ほどお偉方じゃないけど、でもとっても旬だった頃に書いた本。率直な断定型口調は歯切れよく、100% agree!!!!!!!といかずとも、成る程ね!目から鱗よ、と思える点が幾つかあった。そういう意味では筆者自賛の如く、readable。10年前に『私を代弁しえないマスメディア』をいいあてているのはすごい。見よ、このソーシャルメディア時代を!って感じですよね。論理性や一貫性に固執しすぎず、自分の思考直感に誠実な姿勢が、このひとの魅力なんだろうな。この本のなかに答えを求めるより、この本を思索のきっかけにする、そんな本だと思います。

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    2012年04月19日
  • 狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論

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    (以下引用)
    「近代史上もっとも成功した教育システムである「幕末の私塾」がなぜ放棄されて、明治の公教育システムが構築されたのか。(中略)「幕末の私塾」が産み出したのが「回天の英傑」ばかりだったからである。そんなものにぞろぞろ輩出されたのでは近代国家のプロモーションは成り立たない。「政体を転倒するほどのスケールの大きい人間を生み出す教育システムはもういらない」ろいうことを暗黙の前提として、明治以降近代の公教育システムは構築されたのである。(P.28)

    今日、社会的上位者には教養がない。かわりに「シンプルでクリアカットな言葉遣いで、きっぱり物を言い切る」ことと「自分の過ちを決して認めない」という

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    2012年05月08日
  • 「おじさん」的思考

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    (以下引用)
    生物学者が種の多様性の根拠を「生命システムでは、似たような機能を果たすファクターや性質や行動にはある程度なばらつきがあったほうが、システムダウンのリスクを回避する可能性が高い」という事実のうちに見ている。同じ話を国際社会に当てはめてみよう。なぜ、全世界的な規模のグローバリゼーションの圧力にもかかわらず、これほど多くの国民国家や種族や宗教共同体が地球上にはあふれかえり、それぞれの差異を言い立てているのか。それは「エコロジカル・ニッチの多様性」が人類の存続に必須である、ということを人々がどこか身体の深いところで直観しているからである。(P.10)

    どれほど合理的で厳密な規定であろう

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    2012年05月08日
  • 嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    ネタバレ

    新聞の投稿小話系の話が好きなので、楽しめた。かといって残るか、といえば残っていない、まるで狐に騙されたかのような。これが日本人均質性の賜物なのか。

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    2012年02月14日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    感想
    「カテゴライズはやめましょう」と言っていながらたびたび「若者は」とか「明治時代の人の方は」とか言っているのが非常に気にはなったが、全体としては「確かに」と思うことが多かった。
    病の状態の人を「優先順位が明らかに異常な人」と定義していたのには納得できたし、著者の言葉の使い方がさすがに文学部教授というだけはあるなと思った。

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    2012年02月12日
  • 街場の大学論 ウチダ式教育再生

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    短編集だけど,言いたいことよくわかる本.
    内容には共感するし,こうあるべきと思うけれど,実際に良い方向にもっていくにはどうしたらいいんだろう.

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    2012年02月08日