内田樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
内田樹氏の本を読み終えると、不思議なことに『読まねばならない本』が増えている。
日本人の多くが趣味欄に「読書」と書くが、その実、どのような本をどれくらい読んでいるのかは人によってまちまちだろう。
僕が読む本の著者はだいたい生きている。
著者が生きているのでいつのまにか新刊が出る。
すでにこの世にいない作家の本はこれ以上出ることがない。
しかし長い年月読まれた本はいろんな人の中を通り、それぞれの解釈が蓄積されていくように感じる。
『読まねばならない本』が増えていくのは、僕にとって内田樹というフィルターを通して夏目漱石であったりレヴィナスを見ることが心地よいからだ。
そういう存在を「先生」と呼 -
Posted by ブクログ
内田センセイがいっていたように、「本文を読んでいる限り、性別も、年齢も、職業も、居住地も、よくわからない。」「共感を呼ぶ物語」が多かった。にナットク。短歌を読んでいるような、シンパシーとワンダーが同居します。アメリカ版(未読ですが)は私の人生に起こったことという印象が残るそうですが、日本版は誰にでも起こりうることと思わせる、みんな同じだねという話を投稿する傾向にあるということを読後に感じます。源一郎さんからは本当のお話をテクニカルに書くことをたしなめるようなコメントに受け取りました。活字にしても本当のお話自体にあるパワーをそのまま伝える!ことの難しさが読後に残ります。
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Posted by ブクログ
何よりもまず前書きが面白い。
はじめに―――
ノーベル文学賞受賞のヴァーチャル祝辞
そういう表題の下で、ユニークな前書き文が始まっている。2006年の10月、ノーベル文学賞者発表の前日に、あるマスコミから依頼されて記したというコメントである。村上春樹党の党員としての凛とした筆致がとても印象的である。
この書こそ世に云う「村上春樹心酔派」の筆頭とも目されている評論家による「村上春樹論」であり、何故に春樹さんは凄いのかということを手を変え品を変えて特異なる緩い筆致で読者を巻き込みながら啓蒙しようという魂胆を(たぶん)隠し持った1冊となっている。
やはりと云うべきなのだろうか、最も興味を引い -
Posted by ブクログ
いやー、最近は内田樹関連の本しか読んでないな(汗。これからも当分そうかもしれない。
対話集だし深く考えずさらっと読んだので、特に熱をもってレビューする気もわいてこない。普通に面白かった。大事なことは「距離感」と「肩を張らないこと」かな。別にそんなことを直接言ってるわけではないけど、内田樹はどの本でも一貫してそういう姿勢だから(おっと、何でも「大事なこと」という名のもとまとめてしまうの良くないな)。名越康文は最近流行りの精神科医なんだっけ?雑誌とかでたまに見かける。二人は仲の良い知り合いでした。
対話集独特の、相手を肯定しあいながら対話が進む雰囲気(それが対話の基本的な文法なんだろうか)がイ -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
生きづらさを、晴れやかに解き放つヒント。
「閉じられた心の世界」を打ち破る精神科医と、「身体からの信号」に耳を澄ます仏文学者の説教ライブ。
[ 目次 ]
第1章 世代論に逃げこむな
第2章 「自分探し」はもうやめよう
第3章 人間は、わかり合えっこない
第4章 個性とこだわり幻想
第5章 健全な肉体に狂気は宿る
第6章 まずは身体に訊け
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参っ -
Posted by ブクログ
読んでいて、思わずふむふむと納得してしまう論の進め方が見事だと思った。
本当に気をつけてないと、本当にそうか?という視点を持てず、「読まれて」しまう。
しかし、我が意を得たりと思った部分があった。
みんな古典を読もうぜ。
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(読書上のアドバイスを聞かれて)
できるだけ今の自分と生きた時代も生きた場所も縁の遠い人間の書いた本を読むこと。
世界観も宗教も感受性も身体感覚も、まるで違う人のものを読んで、それにぶるぶるっと共振するものが自分の中に見出せたら、その震えは「人間にとってかなり汎通性の高いもの」だということである。
ある種の書物が歴史の風雪に耐えて何百年、何千年と生き残ってきたも