あらすじ
いまだ続く原発問題をどのように捉え、震災後も不安が続く日本でどのように暮らしていくのか。悲しみや怒りに囚われて心が壊れてしまいそうなとき、心と体をととのえるための「祈り」の力とは? 雑誌『ダ・ヴィンチ』連載「価値観再生道場 これなんぼや?」を書籍化。
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Posted by ブクログ
知識人同士の対談って、本当に面白い。
尊敬する、内田樹さん、名越康文さん。
ここに加わる橋口いくよさんが、とても良い。
震災直後の日本人の変化が
キーワードなんだけど、
10年以上たっても
示唆する部分の本質は
変容しておらず、
確信をつく会話だなあ、と
あらためて感じる。
3人の自然な阿吽の呼吸で
展開していくトークは
仮面ライダー、ショッカー、ゴジラの話から、死生観まで幅広く、
楽しく一緒に会話しているような錯覚に陥る。
怒りの感情からは
何も生まれない、って言葉が印象に残っている。
昔は綺麗だったとか
大恋愛したとか
そんなことは
ただの持ちネタ、つまんない、
ってのも、小気味いい。
肝に銘じておこう。
Posted by ブクログ
今の自分の心の状態にぴったりだった。心構えとは、死ぬ準備であり、大切なものを捨てる心構えである、ということを、なんとなく思っていたけど、やはりそうなのだ、と。それから、祈ってみたい気持ちにもなった。
Posted by ブクログ
40年間働き続けた原発に感謝を、祈りを。
そして鎮魂の儀式を。
どういう心持ちでいたら、暗く重いものに足を引っ張られずに済むのか。
明るくさばさばして充実した方向へ向かえるのか。
それがわかる一冊だと思います。
「辺境ラジオ」で語られたことと重複してはいますが、
何度聞いても何度読んでも、いいものはいい。
Posted by ブクログ
私も東日本大震災で人生観が変わってしまった一人ですが……
何だか人間のイヤな部分ばかり目についてしまってショックだったんですよ〜。
原発反対派の話を聞くにつけ、『原発建てないと間に合わない様な世の中にしたのは誰なの!?』って思っていたんです。
しかし、『原発と祈り』のくだりを読んで、自分の持っていた違和感が薄れてきました。祈りの気持ちを持つという視点はいいですね。
Posted by ブクログ
内田樹氏と名越康文氏の対談は相変わらずおもしろい。
脱線し、予想を裏切るような展開になりながらも心に「すっ」と響く言葉の数々。
僕らは散々原発の恩恵を受けたきたのに、ダメになったとたん排他的になるのはいかがなものだろうか。人類のエゴをその身いっぱいに背負った原発に対して、「祈り」を捧げたという橋口いくよ氏の行動を皆もっと見習うべきだ。
Posted by ブクログ
内田さんは、武道家で哲学者、名越さんは精神科医、橋口さんは小説家。
三人が、原発事故のあとに鼎談。
なんとなく、もやもやした国の雰囲気を、三人とも感じている。
①内田:僕、原発の事故が起きてから今日まで、とにかく自分が変わらなきゃいけないと思ってきた。発想も変えなければいけないし、生き方も変えなければいけないし、身体組成も変えなければいけないって。そうしないと状況に対処できないじゃない。(p95)
②橋口:何かにむかって、他の人のことを祈っているのだけど、自分と自分のまわりの世界がわーとみえてくる。私利私欲だけを見つめているときには得られない感覚なんですね。(p66)
③名越:祈ると病が転化しやすくなる。病が居着かなくなる。(p108)
東日本大震災と福島原発のあと、自分の心にわいた妙なあせり、罪悪感と、周囲のたるんだ空気との差について、よく考えさせられた。
やはり、今、原発に祈ることと、自分が変わることが必要だと痛感する。