内田樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「だからあれほど言ったのに」。失敗した人を前にすると、つい口をついて出る。忠告した側には正しさがあり、聞かなかった側には落ち度がある。話はそれで終わりそうに見える。だが、教育とは正解を先回りして教えることではないのだと思えてくる。人は間違い、遠回りし、ときには傷ついて、初めて自分の頭で考える。その時間まで奪ってはならない。成熟した共同体とは、失敗しない人々の集まりではない。失敗した人が、もう一度戻ってこられる場所である。「あれほど言ったのに」をのみ込み、「さて、これからどうしよう」と言える人。その人がいるところから、共同体は始まるのかもしれない。この方向はかなり面白いです。さらに「だからあれほど言ったのに」という題名そのものを最後に反転させる文章となっている。
-
Posted by ブクログ
何のために学ぶのかなんて学ばないとわかんないよ
20年経って
学校は完全にサービス業
保護者「学校や先生はうちの子の為に何をしてくれるんですか」
生徒「学校とか勉強なんて意味あるんすか」
「勉強した方がいいかもやけど、それだけが全てじゃない」
「タイパ・コスパ悪い それやったらもっと楽に生きる方法ある」
何かを変えたり作り出したりする主体(市民)であるという自覚はない
サービスを受ける側(消費者)であるという自覚はある
だから、現時点の価値でしか評価しない
待てない、対価交換を求める
自戒を込めて…
「みんなやってないし もしくは ひとそれぞれやし」
で、止まっちゃうのが
学んでない証拠
思考停止・成長停止
こういう考え方もこういう考え方もあって
こういう理由で
これが大事やから
私はこれを選び、行動する
そういう人になる
そういう人を育てる
-
Posted by ブクログ
この書は著者内田樹氏の「自叙伝」(履歴書)と言う。「自分らしく」とは「なんとなく」を選択、それは「直感に従い勇気を持って行動すること」と言う。多くの人と会い、話を聞き、その時相手の一番いいところ、面白いところ、ユニークなところだけを見て、「いいところを褒める」ことで良い人間関係が築ける、と言う。 内田樹氏の祖父が「戦争」についての言葉が気になった。『戦争」とはつまらん奴が国の舵取りをし、政策を立て、軍略を策し、それを国民に押し付け、従わない者に非道な振る舞いを「上位下達」の全てのレベルで行い、「上がバカな奴だった」と言う印象を残した』と言う。現実米国、イスラエル、ロシアのそれぞれ元首、たった一人の人間がそのように見えても不思議ではない。戦争で得るものは何もない、それどころか遺るのは物・心が破壊された姿、そして多くの恨みが残るだけである。結局、無意味となる戦争は元首の欲望を満たすため国民が犠牲となり、復興には多大な労力と重税が課せられしかないのだ。
-
Posted by ブクログ
映画や漫画などで、本当の自分や生まれてきた意味を確信するシーンをよく見る。感動的だが、ウソくさいのである。
本書で寝ながら学んだ構造主義はそのウソくさい演出をウソだと断じながらも、同時にホントの演出も無いよ、と言ってくれる。これはある意味ホッとする。存在するかも分からないホントの自分を探すのは疲れるからだ。
他者との言葉を使ったやり取りの中でしか自分は定義され得ず、他者から独立した純粋な自分はいないのである。言い換えれば、他者との関係性をうまく設計できれば、より良い自分を作り上げることができるのである。
構造主義とは全ての常識を括弧に入れるような考え方であり、なんとも歯切れが悪い。しかし、そうしないが故に特定の価値観に固執して人は精神を病むのも事実である。
今の自分にとっての常識や客観視は、ある時代・ある地域の偏見に過ぎないことを意識する。すると、本当に自分が身を置くべき場所が分かるのでは無いだろうか。 -
Posted by ブクログ
全世界共通言語である英語話者と、そうでない我々のような日本人を比較して、彼らを羨ましく思うと同時に、未知の世界について学ぶチャンスがないという主張には納得させられた。また人の批判をしてもうまくならないというのは全くその通りだが、それは陰口や論破を目的とした場合のみではないかという違和感をもった。論争そのものを否定している(私自身そういう解釈をした)が、真に大切なのは、喧嘩になったとしても自分の意見を言い、相手の意見を知る。そうすることで初めて、場合によっては自分が間違っていたことを認める勇気を培うとともに、自分の考えに対して他人はどう思うのかを知るそれこそ未知の世界を切り開くチャンスなのではないかと私は考える。
-
Posted by ブクログ
教育=公と私の間で葛藤する作法を身につけること
チャンスはジョブとジョブの隙間に発生する
組織のトップ 親切で寛容で好奇心旺盛であれば組織マネジメントは充分
集団のパフォーマンス 多細胞集団としてのふるまい 化学変化 ≠個人の加算
道徳=行動知 学ぶ=自分を開く ノブは自分の側にしかついていない
corollary 論理的思考=あり得る可能性を捨てない すべての事実説明のストーリー
市民的自由 統治コストが高い時 経済的にも文化的には熱くなっている
コストを下げるには規制で自由を削減→成長も抑制 大学の授業料∝親の監視
民主主義の脆弱性 性善説に基づく長期の利益のために
権力者 公共財を私物化=貧乏くさい 公共財(コモン)を豊かに 私の身を削る -
Posted by ブクログ
【2026年81冊目】
著者が長年に渡り取り組んできた「合気道」における、修業、鍛えることとは何か。瞑想をどう捉えるか。司馬遼太郎は竜馬を、修業をどう見ていたのか――内田樹が語る「修業のあれこれ」
内田樹さんの本はこれで四冊目ですが、なかなかどうして哲学的でした。貸してくれた人には師がいるんですけども、この本を読んでいて「ああ、なるほど」と師に対する態度なんかに少し納得できたりしました。
司馬遼太郎が、坂本竜馬についての長編を書いているのに、修業にまつわることはちっとも書いていないというのは面白い気づきでした。物語には作者の意向とかが反映される(無意識かもですが)例だなぁなんて思ったり。
こんな薄い感想しか書けませんが、めちゃくちゃ難しい内容というわけではないです。あとがきに書かれているように「するめ本」だと思います。また時間を置いて手に取ってみようかな。 -
Posted by ブクログ
民主主義論や教育論(コロナ下における学校教育)については非常に示唆的で興味深く読んだが、著者自身が「実際に脳内で起きているのは結論が先なのである。いきなりアイディアが浮かぶ。どうしてその結論に自分は立ち至ったのか、何を見て、私はそう思ったのか、というふうに時間を遡るのである。」と言っているとおり、改憲論はじめ政治的な点では、反右翼・アンチ自民党とという結論ありきで、論理が飛躍している点が随所に見られるほか、法律に関する点については解釈誤認も見られる。
また、教育現場が大きな負荷の下にあることは事実であれども、文科省等の行政も輪をかけて大きな負荷の下にあり、そう単純な問題構造ではないと思った。 -
Posted by ブクログ
"寝ながら学べる"といいつつ、寝ながら学べるほど簡単ではなかった(笑) というのが最初の感想。
2回目読むともうちょっとすんなり入ってきそうかも。でも、他の専門書や入門書よりは確かにわかりやすく表現されているのかもしれない。
今では当たり前となった「構造的に物事を理解する、説明する」概念としての構造主義を、さまざまな哲学者の歴史的なバトンを引き継ぎながら述べている。
最終章のラカンの精神分析の話は「カウンセリングとは何か」を読んでいたから理解しやすかった。
もう一回読んでみようかな。
以下、メモ
--------
善悪の観念は元々あったまのか?違う。みんなが自分の利益を追求する社会の場合、他人から奪い取ることが正当化される。結果、自分の資産が保護できない。だから、自分の資産・利益を最大限にする前提で、他人の資産は手を出さないようにする→これが規範の根本の考え方。そのために大衆を束ねる司法や政府ができた。
これが加速して、大衆は「みんなと同じである」ことが目的となった利他主義になってしまった。ここに自分の利益を最大化する目的はない。頭で考えることをやめてしまった。これを批判しているのがニーチェ。
ニーチェは大衆にならないために、貴族であれ。もっというと超人であれ。という。しかし、超人がどういうものか、は定義されてなく、「どういうものでないか」だけ定義している。だから常に自分が大衆より上であることを確認できるように下の大衆を置いておかないといけないという、なんとも感じの悪い定言がなされている。
------
ここまでが地ならし。
ここからが構造主義の始祖。
言語はいかにして生まれたか。
星空を見て、それをただの星として見るか、星座を知っている人には多くの星座が見えるように、枠組みをどのように設けるかが言語の役割。
日本は「肩が凝る」という表現を疲れたニュアンスで使うが、英語では” have a pain on the back.”というらしい。つまり、背中に痛みを感じるということ。人間の作り上痛む場所は同じだが、苦労したというニュアンスをどこで感じとるか、どういう枠組みとして切り取ったのかはその言語によって異なる。
-
Posted by ブクログ
大好きな内田樹先生と、白井さんという方の対談
政治的な話が多く、ちょっと肌感がない自分は、ピンとこない部分も多数あった。
一つ心に残ったのは、「加速主義」の話しで、
現在「もうやばいなら、いっその事、一度めちゃくちゃにしてやろう」という思想のことで、資本主義が色々な歪みを生みまくっている現代で蔓延っているという話があり、確かに自分もその念に駆られる時ある一面があってハッとした。
脇の話だが、
内田先生が書いた「先生はえらい」という本が大好きなのだが、その本の話も対談に出てきて、内田先生としてもターニングポイントになった本の一つなのだと思って嬉しくなった。 -
Posted by ブクログ
映画で描かれていることの奥にある構造や思想的な背景を分析している。著者曰く「かなり分かりやすく」説明しているらしいが、フロイトの心理学を交えたあたりはそこそこ難解。
ハリウッド黄金期の名作から比較的最近の作品まで、それぞれ異なった切り口で分析している。フロイトの心理学を下敷きにしたものは性的なことを、ハリウッドのマッチョが主役の作品には「女性嫌悪」という表現を使っている。製作者がそこまで意識していたのか、あるいは無意識にそうなったのか。
ゴッドファーザーと北の国から(テレビドラマ)を「家族の絆を主人公が求めたために家族が崩壊していく」という共通点があると論じているところは興味深かった。