内田樹のレビュー一覧

  • 「おじさん」的思考

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    初内田先生。
    普段からtwitterで拝見していたけれど、やっぱりパワフルなちょい悪おじさんでした。

    色々思った事はあるけれど、一番思ったのは一周回って「文学」読まねぇとなってことかな。

    今のところ僕のロールモデルは『ダンス・ダンス・ダンス』の主人公なわけだけれども。

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    2012年08月22日
  • 価値観再生道場 原発と祈り

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    ネタバレ

    40年間働き続けた原発に感謝を、祈りを。
    そして鎮魂の儀式を。

    どういう心持ちでいたら、暗く重いものに足を引っ張られずに済むのか。
    明るくさばさばして充実した方向へ向かえるのか。
    それがわかる一冊だと思います。

    「辺境ラジオ」で語られたことと重複してはいますが、
    何度聞いても何度読んでも、いいものはいい。

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    2012年08月09日
  • 態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い

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    タイトルで選んで手に取った次第の本。著者の語り口と題材にしているものがとても興味を引くもので面白く読めました。ブログやら取材やらで書いたものをまとめたエッセイ集みたいなもので、次々読めて重たい感じはありません。もう一回読み返すとさらにおもしろいかも。

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    2012年08月06日
  • 武道的思考

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    生きるとは変化するということである。そして変化の仕方の多様性は、そのまま「生きる力」に相関する。自己同一的であることに固執する生物は「生きる力」を失う。

    全員が満足するような解が見つからない問題については、「全員が同じ程度に不満足なあたりを『おとしどころ』にする」、全員が同じ程度痛む和解案を探すこと。

    知識としてではなく、考え方の指針を提示する、著者のエッセイ集です。

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    2012年07月31日
  • 橋本治と内田樹

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    有意義な雑談って感じですね。内田樹さんを知らなかったのですが、内田さん「私は性格悪いから」と繰り返し対談で語られてましたが、橋本治と比べるとかなり普通のおじさんに感じてしまいます。内田さんの聞き上手ぶりが冴えてる不思議な一冊だと思いました。橋本さん、借金は返せたのだろうか…(余計なお世話)。

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    2012年07月31日
  • 価値観再生道場 原発と祈り

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    私も東日本大震災で人生観が変わってしまった一人ですが……
    何だか人間のイヤな部分ばかり目についてしまってショックだったんですよ〜。

    原発反対派の話を聞くにつけ、『原発建てないと間に合わない様な世の中にしたのは誰なの!?』って思っていたんです。

    しかし、『原発と祈り』のくだりを読んで、自分の持っていた違和感が薄れてきました。祈りの気持ちを持つという視点はいいですね。

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    2012年07月17日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    働かないことが「労働」である根拠として、他人が存在する不快に耐えることを「貨幣」としているという洞察がしっくりきた。ゆとり世代の自分にも経済的価値観の一つとして体内に流れていることは間違いない。

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    2012年07月16日
  • はじめたばかりの浄土真宗

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    あの世からこの世、彼岸と此岸、hereとthere、これら遠く離れたところを行き来して、物事を見つめようというのが宗教性なんですな、と理解。客観視の究極の形か。

    また、善業を積み重ねることで浄土にいけるという考え方は子供的な浄土観であり、人間中心主義に過ぎないというのが、なるほどー。念仏をたくさん唱えて善業ポイントを稼げば天国にいける権利を得られる、つまり自分の力でなんとかできるのだと考えることこそが甘い、そもそも人間の考える善悪の判断など移り変わるもので、あなたの善悪判断基準は、こことは違うあの世や彼岸で通じるという保証など何もない、だから「他力本願」なのだというのが親鸞なのかなと思った。

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    2012年06月30日
  • 街場のメディア論

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    ネタバレ

    テレビ、出版、新聞、音楽…。
    そういったマスメディアが衰退していっている昨今、
    その意味をときあかしていくのが本書です。

    大学のメディア論の講義をまとめたものなので、
    語りかける感じで進んでいきます。

    第一回の「キャリア教育」では、
    これこそ、メディアの世界で生きていこうとしている大学生を対象に、
    まず、その前段階である、仕事というもの、適性というもの、の説明から入ります。
    仕事が適性に合っていない、自分の能力がここでは発揮できないというようなことで
    仕事を変えていくのは間違っている、仕事とはそういうものではないと著者は述べます。
    そしてびしっと彼なりの答えと理路を教えてくれます。

    そん

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    2025年06月18日
  • 「おじさん」的思考

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    初めての内田樹さんの本。
    大人、とは。他にも、教育のこととか色々なことにも触れていて興味深かったです。この本に収まっている文章は2000年前後に書かれたものなのですが、今でも当てはまることが多いと思います。

    ただ、カタカナ(どういえばいいのでしょうか。外国語の言葉をその音で表す)が多すぎると私は思いました。それがちょっと苦手です。

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    2012年06月19日
  • はじめたばかりの浄土真宗

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    実に刺激的で面白い。身を乗り出したくなるような話題が次々登場するので、一気に読んでしまった。

    ・「尊師は空を飛ぶんです」と言うオウム信者の若者に対してどう応ずるのがいいのか。

    ・「創世記」の「イサク奉献」は何を意味するのか。

    ・この世の成り立ちについて「何も知らない。わからない」という自覚がニヒリズムに結びつかないためには何が必要か。

    ・「オカルト」と科学の境界線とは何か。

    もちろん、これらについて述べられていることがぜーんぶわかった!というわけではない。最後の対談でお二人がおっしゃっているように十年くらいかけて繰り返し読んでいきたい。

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    2012年06月15日
  • いきなりはじめる仏教入門

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    合気道の道場で神棚を拝み、大学では賛美歌を歌い、いずれ菩提寺で戒名をいただく「シンクレティスト」内田先生と、浄土真宗の僧侶である釈先生による、丁々発止の往復書簡。いやあ面白かった。

    宗教的な態度とは「世界と存在を超えるもの」に対する謙虚な構えであるという内田先生の言葉に、まずはうんうんと納得する。

    「喩えて言えば、『どういうルールで行われているのかわからないゲームに、気がついたらもうプレイヤーとして参加していた』というのが人間の立ち位置だと思います。
     このときに、『私には分からないけれどもこのゲームを始めたものがあり、そうである以上、このゲームにはルールがあるはずだ』というふうに推論する

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    2012年06月13日
  • 村上春樹にご用心

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    ところどころ難しい表現があるも、おおむね理解。
    村上春樹の作品は好きで読むけれど、理解できているかどうかは不安だった。けど、村上春樹の文章を読むと、荒らされてぐちゃぐちゃだった部屋(気持ち)が、だんだんと整理され、家具やら何やらがあるべき場所に戻っていく感じ(うまくいえないけど)が実感としてあった。
    この本を読んで、今までの自分の村上春樹の読み方はアリと言えばアリなんだなと思えた。

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    2012年06月04日
  • はじめたばかりの浄土真宗

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     これ実は単行本で別の名前ででていて、あとがきに内田さんが注意しているのに、また、文庫本で買ってしまった。

     なんか、宗教の本に惹かれるところに自分の弱さや疲れが感じされるが、あまり自分を責めないでおこう。

     内田さんが浄土真宗のお坊さんである釈さんんにいろいろ厳しい質問をして、釈さんが答えるという手紙文のやりとり形式。

     内田さんの最後の「釈先生の話をきいていると、本当に日本の仏教っていいなあって気がしてきます。宗教がもたらす美徳があるとしたら、その最大のものは寛容だと思うんですよ。」(p163)

     これにつきるな。自分の宗教の中での寛容さだけでなく、その外、他の宗教や無宗教的な人へ

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    2012年06月03日
  • 「おじさん」的思考

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    「おじさん」という単語から俗世間のおやじの愚痴みたいなのを無意識の内に想像していたが、人生の先輩と言う意味での「おじさん」でした.さすが内田樹.

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    2012年05月27日
  • 街場のアメリカ論

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    (以下引用)
    このような条項が入っているのは独立戦争のときにアメリカには正規軍が整備されていなかったことが理由にあります。国家的独立を守るためには市民全員が武装しなければ間に合わないという状況的要請があって、市民の武装はむしろ国家の側から懇請されたのです。その結果、アメリカでは二億二千二百万の銃が民間に存在し、毎年二万人が銃で殺されるという銃大国になっていますが、それはまた別の話です。(P.156)

    訴訟に至らないまでも、大学にクレームをつけてくる親の数は年々急増しています。これは大学人としての言い分ですが、それほどに大学の教育サービスの質が落ちたとは思いません。むしろ、トラブルが起きた時に

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    2012年05月26日
  • 嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    日本人の「嘘みたいな本当の話」を集めることで、日本とは何かを見出そうとした、日本版ナショナル・ストーリープロジェクト。
    収録されているそれぞれのストーリーももちろん面白いのだけれども、それ以上に内田樹氏の解説と、最後の批評的対談が面白い。

    ポール・オースターのナショナル・ストーリー・プロジェクトでは、その人独自の社会・文化的背景を持つ個人が、それぞれのストーリーの中から浮かび上がってきたのに対し、本書の中で紹介されている日本人たちのストーリーは、ほとんど同じ形式を持ち、他の人にも共感してもらえること=「あるある!」と共感を持って読んでもらえるようなストーリー。
    このことは、本書に収録されてい

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    2012年05月21日
  • 街場のアメリカ論

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    街場の中国論からアメリカ論を続けて読みました。数年前のアメリカ論ですが、今でも読んで損はない内容でした。

    アメリカンドリーム
    This is America

    アメリカのイメージっていつも強気で夢が叶うようで、自由で・・・そんなイメージのアメリカと、その中に囚われたアメリカ病が凄く納得できました。
    「アメリカは初めから夢の国である」という考えがまさに全てだと感じました。アメリカに対する期待はアメリカが出来てからずーーっと、(アメリカ人だってもそうじゃない人も)変わらないんだね。

    現状、覇権国家として、先進国として今までのアメリカのイメージが崩れてきた今だからこそ、この本の内容がすっとはいり

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    2012年05月19日
  • 街場の大学論 ウチダ式教育再生

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    キャリア教育の抱える問題点は、
    著者がいろんなとこに書いているけれど、
    教育現場は実学を教える場所ではない、
    というのは一貫した主張であるし、わたしもそう思う。

    キャリア教育や教育ビジネスが間違っているのは、
    教育が本来担っている「社会の成員を育成する」
    ということをまったく勘定に入れずに、
    個人主義や市場原理主義のアポリアに陥っているところである。

    そもそも市場原理は、
    ある条件のもと個人の利益を最大化するように市場に参加する人々が振る舞えば、
    結果的に公共の利益にもなる、
    という考えである(たぶん)。

    しかし現在は「長期的に見る」という点がすっぽり抜け落ちてい

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    2012年05月02日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    例によって、なるほどと納得する快感を味わった。線を引いた箇所の抜き書きだけ読み返すと、普通のことしか言っていないみたいですが、そこにもっていく展開に説得力があり、エンタメ的サービス精神にもあふれています。以下、ページ数はすべてバジリコ刊の単行本のページ数。

    「格差社会」というのは、格差が拡大し、固定化した社会というよりはむしろ、金の全能性が過大評価されたせいで人間を序列化する基準として金以外のものさしがなくなった社会のことではないのか。(111ページ)

    法規と現実のあいだに齟齬があるときには、「事情のわかった大人」が弾力的に法規を解釈することは決して悪いことではない(中略)
     だが、

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    2012年05月01日