【感想・ネタバレ】橋本治と内田樹のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年05月10日

橋本治と内田樹の2004~2005年の対談本。「私的なところがなく」「自分のことなんかどうでもいいと思っている」(ただし自己犠牲的な意味では全くなくて)とにかく天才としかいいようのない橋本治の魅力が浮き上がる内容になっている。早世といってもいい年齢での逝去が惜しい。

興味深い対話がたくさんあったが...続きを読む、今読んで特筆だなぁと思うのは、能力を必要とする「参考にする」という行為がだんだんできなくなり「参加」するしかなくなってきて、「全員参加型社会になる」という兆しを指摘している点。15年後のいま、まさに参加する/しないの二択しかないかのような世の中になっているが、中間である縁側を設けてそこに身を置き、ひととの距離を置いてひとを参考にしてひととの関係を深める、そんなありかたへの回帰の必要性に気づかされる。

多神教と神仏混淆に対する解釈も目鱗である。

P48 (橋本)「橋本さんの小説ってえが見えるんですよね」とか言われて、「おうやった!」とかって思って。そうしたらそういう言い方してくれる人ってビジュアルの仕事してる人だけだったんです。(内田)そうなんですか。僕は橋本さんの書いたものではむしろ音が好きですけどね。ものすごく音響的に非常に響きがいいんですよ。

P61 (内田)1950年代ってなんかね、まだ江戸時代の尻尾を引きずっているような感じだったじゃないですか。

P69 (内田)僕は橋本さんのその能力が多分ものすごく貴重な部分だと思いますね。歴史的に過去にも拡大して行けるけれど、多分同時代でも、水平方向に、性別とか年齢とか職業とか関係なしに、想像力で体感を追体験できる。

P78(橋本)アルバート・フィニーの時代って、男に天然が入ってるじゃないですか、エキスみたいな。[中略]今の人ってみんなそう(人工的)なんですよね。男も女も。だから、何かしない限り、その人工から脱せられないというのがあるんじゃな
いかなあ。だからえぐい役やりたがるっていうのがあって。

P89(内田)世の中というのは、向こうから「おいでおいで」って言ってこなきゃ入れないもんなんだから。誰かがどこかで「おいでおいで」してるから、それを探しなよっていうんです。(橋本)「入れて」って言って「だーめ」って言われるっていう経験を積んで、何回か後に「いいよ」っていう「承認を得る」っていう経験をしてない子はなんか人間関係が根本でダメですね。(内田)共同体というのは向こうからしかドアが開かない。どうやって開けてもらうかそれを考えなよっていうんですけれど。

P104 (橋本)技術ってある程度のところに行くと余分なことをしたくなるものだっていうことをわかってない人ってとっても多いですよね。[中略]でもできない人って「その余分は要らないから基本だけ教えてください」っていうんだけど、それは絶対に技術と結びつかない。余分という開花のしかたをしないから、決して幸福にならないんですよ。

P121 (内田)先生っていうのはね「君は才能があるよ。それはみんな気が付いてないけど」っていう、一種あれですよね、愛の告白と同じで。[中略]「この人だけしか、わたしの本当のいいところを知ってる人はいない」って思わせるのが先生の大切な仕事ですよね。(橋本)先生ってそういう意味で愛人じゃないから、「あなたの本当のいいところを私だけが知っているのよ」っていうことを、わからないようにいうんですよね。だから言われたほうはね「本当かな、嘘かな」って怯えてね、それで勉強するようになるっていう。

P124(橋本)こっちの体力から言ってもね、そんなにすべての人の中に潜り込んでその人のいいことを発見するってことはできないですよ。それはその人を好きになることなんで。嫌いになったまんまでいたい奴っているんだもん。

P156(橋本)「時代遅れになっている。けど当人は一向に気にしていない」みたいな。あ、それは素敵(笑)と思って。

P158(橋本)カミソリの小技はないんだけど、ナタ振り回して円空仏みたいのを作れるような、大技と小技の区別がないみたいな、そういう感じというのは年寄りになるとあるなぁと思いましたね。

P188(内田)橋本さんてすごくパブリックな人だっていう話をしたじゃないですか。基本的にあんまり「私的なところ」がないんですよね、橋本さんて。

P219(内田)ボランティアとか介護したいとか、スクールカウンセラーになりたいとか、その子たちの体が動いてないんです。動くんじゃなくて、まず観念があって...(橋本)あんたにその能力あるの?というそこから始まらなきゃいけないんです。役に立ちたいとしても役に立てないんです。(近所のうちで鳥にハコベを食わせるという話を聞いて)一生懸命摘んで「はい」って渡したんです。そのときに、「どうもありがとう」と言われたことが、すごくうれしかった。道ばたでハコベが咲いているのを見ると、柔らかくて鳥が好きなんだなと摘んで、自分の手で握り締めてて茎が萎れてた感じまで思い出すんです。

P228 (橋本)俺はパブリックな人だから自分の仕事の範囲は責任をもってやるけど、それ以外は他人の仕事で他人がやるもんだと思ってる。他人を信用してそこをやらないでいるというのがパブリックでしょう、と。

P241(橋本)偉い人は意地を張ってでも偉くなくちゃ駄目。[中略]なんか若い人に色目を使う年寄りって嫌じゃないですか。若い人に慕われてもピンとこない年寄りのほうが素敵でしょう。

P259(橋本)参考にするということができないから、参加するしかなくなってしまったんですね。(内田)「全員参加型の社会」ですか。(橋本)参考にするためにはある種の器用さみたいなのがなくちゃいけないし、上手な人のを見ながら自分もうまくなってみたいなことがあったけれども、参加というのは行くだけでしょう。「私には参加をする権利がある」と言ってしまえば、そういう、うまくなるもへったくれもないじゃないですか。

P283(橋本)戦うと戦うほうも戦われたほうもみんな傷つくじゃないですか。本当に戦う力があったら、モノを作っていけばいいのに。

P285(橋本)モーゼが杖をかざせば紅海が2つに割れるというのはあるけれど、そういう時代ではどんどんなくなって来てる。今は小さな人たちが何か能力を持っていなくちゃいけないんだけど、その能力の使い方を間違えているから、プライドだけ高くなって、統合障害になるみたいな方向に行くだけの話。やっぱり参加じゃなくて、何かを参考にしなきゃいけないんですよね。それで、参考にする以上、縁側なないと困るという、そういうものだと思う。人と人との間に微妙な距離を置かない限り、人との関係は深まらない。

P298(橋本)わたしは批評が要らないんです。ちゃんと紹介してくれれば。ちゃんとした紹介が最大の批評だと思ってるんです。「私がこう読みましたというのが紹介になっているけれども、それじゃ感想文じゃん。「これはこういう本だから読むべきです」というのがちゃんとした紹介文なんです。

P310(内田)使えるストックって「おや、こんなところにこんなものが。いやこれはラッキー、なぜか今しているこの仕事にぴったりだわ」というものですからね。
(橋本)わかるのは具体的なことだけで、わかったら一度忘れるんです。膨大な具体的なものでも「こうなのか、こうなのか、」と飲み込んでいったらすとんすとんと入っていって、その時に忘れていくんです。忘れたことによって自分の中で一変発酵して、「結局はこんなんだ」というわかり方をするんですけれども。

P314(橋本)拾えるものは拾えるのになんでいきなり(宗教に)救いを求めるんだよっていう。(内田)救いってよくないですよね。(橋本)貧乏ったらしいよね。

P315(橋本)「(古事記の最初は)結局自分の必要なものに一つずつ神様というものを存在させていく。そこのところがとても感動的だったんです。「初めに光があった」とかというんじゃないんですよ。[中略]でも一つだけ欠けているものは何かというと、「自分自身に対応する神」なんですよね。自分が病気になったときに助けてくれる神様がいないんですよ。病気を起こす神様はいるけれども。そうすると仏教は薬師如来が対応してくれるんです。人に対応する神が外国からやってきたから、地域共同体という前近代の中に近代がすっぽり入るという形で神仏混淆は起こるんだと。

P319(橋本)(アメリカに)王様がいないということと吸血鬼がいないということは同じですね。[中略]もう状況的にアメリカが馬鹿だみたいなところになっちゃってるけど、アメリカってかわいそうなんです。ものがなさ過ぎて。

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Posted by ブクログ 2012年05月01日

大好きな橋本治と、最近興味を持った内田樹の対談集ということで読んでみました。

橋本治が自信を持ってあちこち話題が飛ぶのを、内田樹が常識でつなぎとめようという感じの対談でした。

たとえば、橋本治は桃尻娘を書くときに、

  俺が知っている十二年分、彼女が知らないんだな。そういう引き算をしちゃ...続きを読むったんです。

と、主人公のキャラクターのパーソナリティの作り方を明かすと、内田樹が、

  先生は誰でもそういうことができると思ってるんでしょ。引き算が。あえてしないんじゃないんです。「できない」んですよ。引き算なんて。

と応じてみせる。うん。全般そんな感じのやり取りが続く本です。

★★★

また、内田樹が自身のブログの敷居が高いと言われたけど、敷居の下げ方が分からないとこぼすと、インターネットをしていない橋本治が、

  簡単ですよ。書き手の個性をもろ出しにしてしまえば、敷居は低くなるんですよ。テヘッとか、入れるとか。

  (snip)

  普通に書くということが、偉そうであるということに、もうなってしまったんですよね。

この回答が内田樹の役に立ったかどうかは分からないけど。ww

★★★

あと、これは大切だって思って思わずツイートしてしまったのだけれど、

  内田 壊すのは簡単なんですよ。物を壊すのって。作るのは壊す百倍くらい手間がかかるから。
  橋本 でも何かを作ると、ちゃんと壊れるんですよ。最大の破壊は建設なりと思っていますから。
  内田 すごい、これは名言! そうか、そういうことを考えるんだ。
  橋本 だって新しいものがあって、古いものあったら、もういらないな、となって、古いものって完全に捨てるじゃないですか。中途半端な捨て方は、捨ててないんですよ。破壊なんかされると、破壊しちゃったけれど、ちょっと惜しかったんじゃない? といわれますから。
  内田 ほんとうにそうですね。批判なんか、あまりしても意味がないんですよね。批判するくらいなら、批判されているものよりもいいものをこっちで作っていれば、自然に不用品は捨てられちゃうんだし。


ということで、おもしろいですよ。おすすめ。

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Posted by ブクログ 2012年04月30日

タイトルそのまんま、お二人の対談集。
5年くらい前の対談ですが、内田先生が言っていることが震災後も全然ブレてないのがすごい。
二人が掛け合うごとに話がどんどん広がっていって、面白い。橋本さんの著作は読んだことがないのですが、すっかり橋本先生のファンになりました。

橋本さんの「教養というのは、くだら...続きを読むないことを分かるためのパーツ」という話がおもしろかった。ことにこのお二人の対談は、哲学から古文から映画から義太夫・能楽に宇多田ヒカルまで知ってないと、すみずみまでは楽しめないものなぁと実感。あぁ、世の中のことが全部知りたい。

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Posted by ブクログ 2012年02月22日

本にマーカー引きすぎてえらいことになっている。
それくらい「そうだよな!」とか「そうだったのか!」が詰まっている。

身体知は大事。
水泳ばかりやってたら水泳に有利な身体になるように、
文句ばっかり言ってたら文句を言うのに有利な身体になる。
この前読んだ「ミラーニューロン」も、
人間が形か...続きを読むら変化することを証明しているのではないかな。

特に唯物論的なことを言いたいのではない。
心というものはあると思う。
愛とか勇気とかと同じくらいには。

愛とか勇気とか国家とか常識とか、
それらすべては共同幻想だから、
なんとなく皆が「在る」と思っているものは「在る」ことになっている。
その方がこのよくわからん世界を生きるために都合がよろしいのだろう。

幽霊もそう。
天皇もそう。
天皇が万系一世というのも実際にそうである必要はなくて、
そういう物語が共有されているというのが大切。
その方が上手く社会が廻る。
少なくとも今までは廻ってきたわけであるからね。


以下、
興味のあった話題を羅列。

・文明化された都市で残された自然は身体である。
とするとピアッシングやタトゥーは身体の文明化になる。

・「、」と「・・・」の違い、タメの表現。

・タフネスの理由は幸福な思い出にある。

・「義務教育」を「教育を受ける義務がある」と思っている学生が多い。
「オレ様化する」のは無時間モデルの消費者思考だから、
少ない労力(授業に出ない・聞かない)で、
どれだけ利益(単位・点数・学歴)を得るかに執心する(コスパ)。
とりあえずクレームつける、とかは典型的な「賢い消費者」の行動だろうな。

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Posted by ブクログ 2011年10月16日

対談集の苦手な私が珍しく楽しめた。
たとえば文学者の語る公共の概念が特に面白い。
社会学者や政治学者ではなく、文学(研究)者と文学(執筆)者が語る公共:一人ひとりが自分のできることを「お互いさまだからね」と差し出すこと。相手のそれを受け取ること。
橋本治が「理解できないことを書かない」「理解してから...続きを読む書く」「理解するとは、自分がその話し手になりきれること」という基準を持っていることにも驚き、その責任感に胸が暖かくなった。
今度、ひとつ読んでみよう。

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Posted by ブクログ 2011年07月30日

とてもおもしろかった。頭のよい(独自の視点を持ち深くよく物事を考えておられる)ひととひとの、忌憚なくなされるおしゃべりを一緒に聴く楽しみ。

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Posted by ブクログ 2019年07月16日

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橋本治さんが亡くなり、内田先生が何度もその知性を褒めたたえるので、読んでみたくなったが、正直自分には対談本を読むだけでは知性のすばらしさがわからなかった。面白かったのは、官打・位打という言葉。これは初めて聞いた概念だが、とても面白かった。何かというと、武家が増長していった時代に、頭角を現すも...続きを読むのをつぶす方法である。実力のある者に対して、明らかに不つり合いな大出世をさせる。しかし、不釣り合いな仕事をこなせるわけもなく、その人物は失墜するというエスタブリッシュを武器にした攻撃。後白河法皇の義経の猛プッシュは官打だったという。平安の貴族たち、和歌を詠んでるだけじゃなくて、なかなか手ごわい。。

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Posted by ブクログ 2014年06月28日

賢い人って世の中にはいるんだなあと実感。
でも、あの窯変源氏を書き上げる人が
まともなはずないの(笑)
でも、気張りすぎてないので、
電車の中で読むのにちょうど良かったです。

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Posted by ブクログ 2013年08月28日

天才橋本治について、内田センセイが尋常ならざる興味を持って切り込んでいく、という体の対談。したがってこのタイトルはちょっとヘンだな、と思う。内田樹ミーツ橋本治なのである。どちらも世の常識からすると相当ヘンな人なのだが、やはり橋本治という人はどこか超越してしまっているような風格がある。人を食ったような...続きを読む、でもこれ天然なのかな?とかよくわからない。それでいてその言葉がしばしば本質を鋭く突いているように感じるから始末が悪い。データで説得しない説得力の最たるものではないだろうか。

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Posted by ブクログ 2013年03月06日

読む人を選ぶ本である。五十歳代の男性なら、共感できるところが多いだろう。対談集だが、どちらかと言えば、橋本治が主で、内田樹が控えに回っているところが面白い。内田樹といえば、今や飛ぶ鳥を落とす勢いで、次々と本を出しまくっている超売れっ子である。

一方、橋本治はといえば、「背中の銀杏が泣いている。止め...続きを読むてくれるなおっかさん。」のポスターで売り出したことを知っている人が今どれだけいるだろうか。それよりも、『桃尻娘』や、その桃尻語で訳した『枕草子』に始まる日本の古典の現代語訳シリーズのほうが今では有名かも知れない。美術、歌舞伎にも造詣が深いマルチ・タレントとして異彩を放つ。

ではあるが、橋本の本はまともに書評されたことがないのだそうな。「小説現代」でデビューした橋本は文芸二に属していて、「文学界」や「群像」のような所謂文芸一との間には、一本の線が引かれているらしく、文二のほうは中間小説と呼ばれ、文一の「純文学」とは同じ扱いをされないのだという。この文一、文二という分類の仕方が可笑しい(橋本と内田はともに東大卒)。

ジャンルを軽々と飛び越え、編み物の本も書けば、ちくまプリマー新書(このシリーズを企画したのも橋本)のように教科書風の本も書くという橋本のような書き手は、批評家としても批評しにくい相手にちがいない。そういう意味では、この対談集は内田による「橋本治」解剖という狙いがあるのではないだろうか。そう考えると、誰にでも喧嘩を売ると豪語する内田のここでの低姿勢ぶりが理解できる。

実際、東大の先輩にあたる橋本に対し、内田は以前から秘かに尊敬の念をあたためていたらしい。評者などは読んだこともない「アストロモモンガ」だとか「シネマほらセット」などというばかげたタイトルの本や「デビッド100コラム」や「ロバート本」などという巫山戯たものまで読破しているらしい。頒価が1100円だったところから『ナポレオン・ソロ』を洒落てみたというが、分かる人がどれだけいたことか。

『窯変源氏物語』九千枚を書く中で、夕霧中将が漢詩を書くのだが、紫式部も実際の漢詩までは書いていないのを平仄から勉強して漢詩を作ってしまったというから、橋本治、並みの凝り性ではない。また、それをごく自然にやってしまうというあたりにずば抜けた才能を感じるのだが、評者などから見れば対談相手の内田樹もそんじょそこらのインテリとは頭の良さがちがうと常々感じていたのに、橋本相手だと内田がただの優等生にしか見えないほど、橋本のパーソナリティはブッ飛んでいる。

橋本の放つ言葉に、「はあはあ」とか「ふーむ」と返事をするばかりの内田に、ファンはいつもとちがう焦れったさを感じてしまうにちがいない。「ひさしを貸して母屋を取られる。」ということわざがあるが、今売り出しの内田センセイが、どこかの知らないご隠居に説教されているような雰囲気が濃厚なのである。

しかし、そこは賢明な内田センセイのことだ。はじめから、そういう狙いでこの対談を受けたにちがいない。素晴らしい才能が世間にまともに評価されていないことに業を煮やし、自らヨイショに出たのだろう。狙いは当たったのではないか。ヨイショに気をよくしたわけでもないだろうが橋本治が結構素顔を見せている。

啓蒙家的な素質を持つ橋本治と大学教授でもある内田樹の対談である。若者や教育について卓見が光る。また、身体論、古典芸能への傾倒ぶりもある年齢を迎えた読者には興趣が深いものがある。喫茶店の隅で、煙草でも吸いながら、頭のいい二人の話を聞いているようで実に愉しい。特に近頃どこでも肩身の狭い思いをしている愛煙家にはお薦め。溜飲の下がる思いのすることうけあいである。

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Posted by ブクログ 2012年07月31日

有意義な雑談って感じですね。内田樹さんを知らなかったのですが、内田さん「私は性格悪いから」と繰り返し対談で語られてましたが、橋本治と比べるとかなり普通のおじさんに感じてしまいます。内田さんの聞き上手ぶりが冴えてる不思議な一冊だと思いました。橋本さん、借金は返せたのだろうか…(余計なお世話)。

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Posted by ブクログ 2012年01月03日

ファンを公言しているので、内田先生が橋本氏に多少寄っているところがあるのはやむを得ないとして、まあそれを差し引いてもとてもおもしろい対談集であった。けっして引かれたレールの上を歩こうとしない、というのが橋本氏の一貫した姿勢なんだろうけれども、内田先生もよくその姿勢に合わせられるなあと、頭のいい2人だ...続きを読むからこそできた対談ではなかったかと。

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Posted by ブクログ 2019年08月13日

橋本治と内田樹の対談を収録しています。

もっぱら橋本を深く敬愛する内田が、橋本のすごさを引き出そうとしていますが、話をまとめようとする内田を振り切って、橋本が思いもかけない方向へと議論を拡散させていくために、けっきょくまとまりのつかないかたちで話がどんどん進んでいってしまうという印象があります。そ...続きを読むれをおもしろいと思うか、それとも散漫だと思うかで、評価が分かれそうです。

橋本治を批評するひとがいないことを問題視する内田の主張は、おなじことを強く感じていた読者としては、あの内田ですら橋本治をつかまえることができずにいる本書の対談を読んで、いささか絶望的な気分にもなってしまいます。それでも、橋本治における「公共性」のありかたなど、いくつか興味深い着眼点が示されていて、感心させられることもけっしてすくなくありませんでした。そのうえでなお、隔靴掻痒の感がのこります。

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

 橋本治って知らなかったのだが、いつも上から目線の内田樹を軽くいなし、叩いていくところが痛快。
 橋本治著、「窯変 源氏物語」も面白い(第一巻で挫折中)

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Posted by ブクログ 2014年08月17日

あとがき(by橋本治)より
「今をときめく内田樹が橋本治と対談をしているのである。なにも知らない人がこれを聞いたら、「きっと、すごく重要なことを縦横無尽に語っているのだ」と勘違いしてしまうかもしれないが、この本には「重要なこと」なんかろくにない。なにしろ、この対談集の主たるテーマは、「橋本治」だから...続きを読むである。」

まさにそう、そう勘違いしてしまっていました。
基本的には、橋本治の盛大な自分語りの本。橋本治を大好きな内田樹に促されるままに、語る語る。そのための本だから良いんだけど、これを享受できるだけの橋本治愛は、いまの私にはまだなかった。読んだことのあるいくつかの本は全てとても面白かったのだけれどね。

それでも随所随所、私が少なからず興味をもっている「なにか」について、たとえば戦後の民主主義教育のことや、小津映画のこと、おしゃれについて、神仏混こうについて、、、語っている箇所は、それぞれへ~と思えて楽しかった。

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Posted by ブクログ 2012年06月30日

橋本治と内田樹の対談。本書で内田先生が述べている通り、「橋本治とは何者なのか」を橋本フリークの内田先生が対談で解体していくような本。ところが橋本先生は、解体できるような、生半な存在ではなかったとまざまざと思い知らされる本。面白かったです。

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