内田樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
知性が拙い私は慣れない新書を読むのに体力が必要だったけれど、内田さんなりの「文武両道」の解釈が興味深く、感銘を受けた。
他人を批判して、相対的な優劣を語ることをやめた話。
誰かや何かを批判をして自分が成長するならいくらでも判するけれど、批判したところで自分は何も成長しない。
だから誰かに批判されても誰とも論争はしたことがない。
指摘されたことが正しければ、そのまま「そうですね」と頷いて受け入れ、指摘されたことが間違っていれば、相手にすることはない、と。
それを合気道の師匠から学んだという話。
できることなら、門人の全員が自分より先へ進んで欲しい。自分を超える弟子を育てること、それが教育の開放性 -
-
Posted by ブクログ
日本版『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』。
一般の方から寄稿してもらった嘘みたいな本当の話を集めた短編集。
都内某所のイベントで、古本のくじを引いた際に当たった本。
アメリカの普通の人たちに寄稿してもらったショート・ストーリーの中から佳作をラジオ番組で朗読する『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』。
それの日本版です。
すべて誰かの身に起きた実話、とのことですが、本当に嘘みたいに不思議な話、奇跡のような話がたくさん集められています。実話かどうかはちょっと疑いつつも、「友人から聞くスベらない話」っぽくて面白い。
読み心地としては、新聞とか雑誌に載っている読者からのお便り紹介。あれ -
Posted by ブクログ
ネタバレ巡礼ということで分類では旅ジャンルに入っているんですが自分は宗教かなとそっちに登録。
シリーズ化していて1作目読んでいて、二作目と思って手に取ったらこちらはまさかの三作目でした。
長崎ということで興味津々。
神仏混淆は聞いたことがありますがまさかの神仏デウス混淆(p160)
本書を読むまでキリシタンと呼ばれる人たちがカトリックであると意識したことがなかったので言われてみると確かにそうだなとそんなところから納得。
バスチャンの預言と言うものを読んで信仰の強さの凄まじさのようなもの(うまく表現できません)を感じました。拷問や踏み絵についても別の書籍などでこれまで読んだことはあり、それについても -
Posted by ブクログ
一般の方から募った短編集。一つ一つが1,000文字以内ということなので、さらさら読める。短いのは一行だったり。
アメリカのナショナルストーリープロジェクトの日本版ということだそう。
私は最初から通して読んだけど、手元に置いて、好きなとこだけ読むのもありかもしれない。
新聞の読者投稿の小話みたいなのを読むのが好きだったけど、そんな感じのもあり、ブフォッと笑ってしまうのもあったりする。
元の?アメリカのものとは違うタイプのに仕上がってるとのことで、そちらと読み比べてみたくなった。
たまにオチというか、ポイントがわからないのがあって、選者の内田先生に聞いてみたい気にもなった。 -
Posted by ブクログ
日本社会が全体として老成し、あるがままの個人を受け容れる寛容さを持つようになった一方で、そのことが個人の「甘え」を助長している側面もありそうだ。「多様性の受容」というのは本来、異なる価値観や意見を積極的に理解し、折り合いをつける営みであり、日本ではそれが「相手を否定しないこと」として形骸化している部分がある。
結果として、対立を避け、深い議論に至らないまま、それぞれの価値観が並列的に共存するだけの状態になっているのかもしれない。ネット社会の影響も大きいだろう。SNSでは、多様な意見に触れる機会が増えたはずなのに、実際にはアルゴリズムの影響で似た価値観の人々とつながりやすくなり、「連隊意識」の -
Posted by ブクログ
レジェンド少女漫画家と、それを読んで育った武道家・哲学者の対談。
僕自身が少女漫画読者でなく、かつ時代が違うので、なかなかグッと話に入っていけなかったけど、その時代を想像して楽しめるだけの話の濃さとリアリティとユーモアでした。
内田「音楽についてトリビアルな知識を持っている人間が『これはこれとこれのパクリだ』と言うと、その知識自体が何か批評性を持っているかのように見なされる。でも、マンガの場合は、そういう話はしませんよね。この人のこの絵柄とかコマ割りは誰それのパクリだと言っても、誰も反応しないでしょ(笑)。」
竹宮「誰が何をやっても構わない。ただただ、マンガはオープンソースなだけです。」
-