あらすじ
ルールって必要なの?理不尽でも従うべき?破るとどうなる?
自縄自縛的ルールが氾濫する現代社会を問い直し、生き抜くヒント考察する。
■読んだ後に、世界が変わって見える本!
学校のブラック校則、守られない就職活動の紳士協定、職場の意味不明な規則……。
私たちを取り巻く理解不能の「謎ルール」は枚挙に暇がない。
だが、他人に振り回されずには生きられない私たち社会的動物にとって、最大の謎はルールを必要とする「社会」それ自体。「謎ルール」の誕生は、この社会の本質と深く関係している。
なぜ人は社会を築き、互いを縛ることにしたのか。人はルールなしではやっていけないのか。
ルールは人を育てるのか。
ルールへの適応に必死なルール依存症の私たちは、一体誰によるどんな支配を受けていて、本当の自由とはどこにあるのか。
社会の原点を原典に求め、教育思想家と旅する人類史約600万年の時空旅行。
読み終えたら、きっと身の回りのあらゆるルールや組織が、これまでと違ってみえるはず!
監修=内田樹氏
〈目次〉
■PART 1.謎ルールに従ってしまうワケ
第1章 他人に振り回される私たち
ルールまみれの現代社会/なぜ会話はOKで社内通話はNGなの?/身近な生活に潜むルール/「泣き寝入り」で生きる私たち/歴史は繰り返さない――こうして現代人は仕事中毒になった/大人になる=大人しくなる?/謎ルールに鈍感になったツケ――生きがいの行方不明/自明を問いに付す――「当たり前」の再検討
第2章 謎ルールに服従してしまうカラクリ
群れつつも孤独な現代人/人類はいつから孤独になったのか/「昨日までの世界」の姿/孤独の原点――「定住革命」/分業の罠――他者なしでは生きていけない/協調性というルールの加速/理不尽でも服従してしまうメカニズム/「裏のカリキュラム」――無意識の刷り込み/一致団結が難しい時代/現代人を支配する正体――他人指向社会と承認欲求地獄
■PART2.ルールがもたらす功罪
第3章 謎ルールの長所――まずまずの安心とそこそこの満足
社会をつくる目的は「保護と繁栄」/ルールで高まる社会のコスパ/秩序維持装置としてのカネ/カネよりもコスパがいい統治ツール「知識」――だから国家は教育を手放さない/国家とは「教育団体」である/国家が教育を独占できるのは――「外部効果」という社会貢献/「性弱説」――社会を誰に任せるか/脱個人依存――民主主義とは荊の道/母なるルール――イノベーションとバリエーション/条件が人間の条件
第4章 謎ルールの短所――自動で増えない「善」
仏作って魂抜ける――手段の目的化/思考停止――手段目的化がもたらすもの/人はなぜ社会を築いたのか――手段目的化の起源/社会的記憶喪失――目的の再考/社会――「一時休戦」の手段/統治者――社会に尽くす公僕/「社会の趣味」とのお付き合い/社会可変説――社会は変えられるという事実/コンセプトの忘却――社会に備わる根本精神/悪の飼育――社会の初期設定に組み込まれていた双子/「決まりだから」――大人の常套句のなぜ/「落ちこぼれ」・「浮きこぼれ」・「吹きこぼれ」――「自転車カゴのゴミリレー問題」/自発の蒸発――活気のない秩序という終点/2つの「大きなお世話」
■PART3.謎ルール社会を人間的に生き抜くために
対談 内田樹×高部大問
「謎ルール」にぶつかった際の若者の反応は三つある/「近代社会はよくできたフィクションである」という前提を知る/教育が目指すべきは「市民的成熟」である/謎に対する「葛藤」が成熟を生む/定型化が空洞化を招く/複雑な人間になりなさい/自分の中に「局所的な無秩序」を抱え込め!/教育の目的は「社会化」と「解放」/「謎」や「未知の領域」との遭遇の重要性 /「戦え!」
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Posted by ブクログ
10代向けにフリガナを多用した本だが、これは大人にも十分読み応えがある。
というか、ここまで考える大人はいないだろう。
表紙、タイトルの雰囲気からもっとおちゃらけた本だと思っていたが、
とんでもない。
深い。重い。そして的を射ている。
日頃の私の問題意識にぴたっと当てはまっている。
なんでこんなタイトルにしたんだろ。
最初に私が思ったような軽い感じで読み始めたら、離脱者続出だろう。
しかししっかり読み進めば、日本の病巣を抉り出すような内容。
タイトルって難しいよなあ、、、
さて本題。内容。目次はこう。
■PART 1.謎ルールに従ってしまうワケ
第1章 他人に振り回される私たち
ルールまみれの現代社会/なぜ会話はOKで社内通話はNGなの?/身近な生活に潜むルール/「泣き寝入り」で生きる私たち/歴史は繰り返さない――こうして現代人は仕事中毒になった/大人になる=大人しくなる?/謎ルールに鈍感になったツケ――生きがいの行方不明/自明を問いに付す――「当たり前」の再検討
第2章 謎ルールに服従してしまうカラクリ
群れつつも孤独な現代人/人類はいつから孤独になったのか/「昨日までの世界」の姿/孤独の原点――「定住革命」/分業の罠――他者なしでは生きていけない/協調性というルールの加速/理不尽でも服従してしまうメカニズム/「裏のカリキュラム」――無意識の刷り込み/一致団結が難しい時代/現代人を支配する正体――他人指向社会と承認欲求地獄
■PART2.ルールがもたらす功罪
第3章 謎ルールの長所――まずまずの安心とそこそこの満足
社会をつくる目的は「保護と繁栄」/ルールで高まる社会のコスパ/秩序維持装置としてのカネ/カネよりもコスパがいい統治ツール「知識」――だから国家は教育を手放さない/国家とは「教育団体」である/国家が教育を独占できるのは――「外部効果」という社会貢献/「性弱説」――社会を誰に任せるか/脱個人依存――民主主義とは荊の道/母なるルール――イノベーションとバリエーション/条件が人間の条件
第4章 謎ルールの短所――自動で増えない「善」
仏作って魂抜ける――手段の目的化/思考停止――手段目的化がもたらすもの/人はなぜ社会を築いたのか――手段目的化の起源/社会的記憶喪失――目的の再考/社会――「一時休戦」の手段/統治者――社会に尽くす公僕/「社会の趣味」とのお付き合い/社会可変説――社会は変えられるという事実/コンセプトの忘却――社会に備わる根本精神/悪の飼育――社会の初期設定に組み込まれていた双子/「決まりだから」――大人の常套句のなぜ/「落ちこぼれ」・「浮きこぼれ」・「吹きこぼれ」――「自転車カゴのゴミリレー問題」/自発の蒸発――活気のない秩序という終点/2つの「大きなお世話」
■PART3.謎ルール社会を人間的に生き抜くために
対談 内田樹×高部大問
「謎ルール」にぶつかった際の若者の反応は三つある/「近代社会はよくできたフィクションである」という前提を知る/教育が目指すべきは「市民的成熟」である/謎に対する「葛藤」が成熟を生む/定型化が空洞化を招く/複雑な人間になりなさい/自分の中に「局所的な無秩序」を抱え込め!/教育の目的は「社会化」と「解放」/「謎」や「未知の領域」との遭遇の重要性 /「戦え!」
「謎ルール」という言葉でくくっているが、その意味は深い。
以下は本の要旨ではなく、私が日ごろ思っていることに、この本で整理できたものを織り交ぜている。
人類の歴史をひもとけば、狩猟、農業、工業と、一人で活動するより、大勢で活動したほうが、成果物は大きい。
力を合わせるということ、分業するということが、生産量を増やし、結果一人の取り分も大きくなる。
力を合わせるため、分業するためには「ルール」が必要になる。
皆がてんでんばらばらに動いていては、総量は増えない。むしろ減ることすらある。
適切的確なルールが必要。
村の単位、藩の単位、そして国の単位でルール化する。日本はそれで明治維新、富国強兵を興した。
ルール化すると、それを管理するものが必要になり、身分、地位が生じる。これがややこしい。
明日の生産力である子供たちにもいち早くルールを身につけさせたい。これが「学校」になる。
最適なルールを学校で身につけ、社会に出たらそれを活かして生産力を高め国力を高める。
。。。
ここまでの理屈は良い。
むろん、この分業の過程で、一人でものを作る喜びは奪われるし、ルールに縛られ自由がなくなるという
デメリットはある。
しかしそれを補って余りある、成果物収穫物の増大があれば、そちらを選択した。
そういう前提があって人々はルールを甘受した。
しかししかし、世の中は変わる。
ルールが陳腐化する。
現行のルールの管理者は、そのルールを変えたがらない。
それはそうだ。今のルールだから管理者は上に立てる。
新しいルールではその優位性はなくなる。
そこにずれが生じるし、既得権益、地位にしがみつく、という状況が生まれる。
なぜか日本は一度できたものに執着する傾向がある。
住まいに関しては台風や地震があるからか木造で長持ちしないのが前提で、
ヨーロッパのレンガ造りの何百年持つ家とは違うのに、
ルールに関しては固執する。
大東亜戦争の敗北は、軍服も軍靴も先方も日露戦争時のままだったのが原因という。
何より今の学校の規則も、工業化時代のそれのまま。
そもそも憲法も80年変わってない。
平和憲法の是非はおいておいても、今の世に馴染まないことは多々ある。
とにかく変わらない。
えーと、10代向けの本だったから学校に戻すと、
そんな昔のルールに固執している学校だから、不登校児が出るのは当たり前。
皆が同じことをさせられるのに我慢できない子が出るのは当然。
まして、いい中学いい高校いい大学いい会社、なんていう路線を引かれるのもまっぴら。
これに素直に従う偏差値エリートが、官僚になり、大企業に入り、日本を引っ張る。
自分で考えることを放棄した人に世の中に合ったルールが作れるはずがない。
だからさらにどんどんずれる。
立法府である国会はその議員の多くが世襲になる。
地盤看板かばんをもった世襲には選挙で勝てない。
世襲議員も親の教えの通りに動く。自分で考えない。
考えない人が世にはばかる。
過去の考えに仕える奴隷だ。
今の日本はそんな状態なのだろう。
なぜヨーロッパはそうでないのか?もちろんそういう側面もあるのだろうが、
日本より変わるペースがはるかに早いように聞こえる。
天皇制が邪魔しているのか?
しかし今の天皇はむしろリベラル。
保守を名乗る人たちは男系天皇制は大事だが、今の上皇・天皇の考えを良しとは思っていない。
なんなんだ。
本に戻ると、こういったルールのおかしさを「謎ルール」とこの本では呼んでいる。
・・・わたしはてっきり、「スカート丈はどう」とか「髪は黒」とか、そういう変な校則を取り上げる本だと
思って手に取っていた。
それよりはるかに重要な内容だったが、果たして重要さを理解してこの本を手に取って読み切る人がどれだけいるのか、、
心配になる。
しかしいい本だ。
Posted by ブクログ
数多ある謎ルールを紹介し、それに対する疑義提示みたいな内容なのかと勝手に思い込んでました。ではなく、もっと根源的な問題究明が目指されていて、そもそもルールって?とか、それが必要とされた歴史的背景とか、かなり踏み込んだ論説が展開される。
Posted by ブクログ
すべてのルールには、そもそもの作られた目的がある。時の流れはルールだけを所与のものとして、「いいから従え」という杓子定規な息苦しさがのこる。ルールは所詮間に合わせの道具なのだから、本来果たすべき役割が果たせなくなるのならば、変えればいい。もちろんルールを守らせるためのルール、もあるだろうが、増え過ぎればそれこそ謎ルールの氾濫、になってしまう。起源を時に問うてみるメタ視点を持つこと、首尾一貫は時に毒にもなりうること、昨日と意見を変えたっていいこと、1人でも多くの人が、生きやすい世の中になるよう、そのマインドセットだけは変えないでおこう。