内田樹のレビュー一覧
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体はなんでも知っている、直感に従おう、頭でばかり考えないで直感を磨こう、というような本。
いいから黙って結婚しなさい、そして黙って子供を産みなさい、子育ての間は細々と仕事して、早く子育てを終えたらまたバリバリ働けばいい、というようなお話を、民話やらなんかで裏づけしながら話す対談集でした。
結婚は誰としたって結局同じだ、とか、批判を浴びそうなこともたくさん書いてあったけど、面白かった。私も割りとそう思う(夫よ、ごめん)。
内田先生は男性なのに、父子家庭で子育ての時期は仕事は細々とつないでいたそうな。こんな男性は珍しいよね。子育てガッツリしてたからこその感性というのもあるのだろうなーと思った。 -
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出産は得なのだそうだ。
子供を産むと、
母親自身の身体的・知的ポテンシャルは向上するし、
子育ての過程で人間的に成長できるし、
社会的パフォーマンスも上がる。
けれども実際の行政の出産育児を「支援する」という発想は、
「出産は苦痛で育児は苦役」というネガティブな前提でもって語られているため、
まったくインセンティブにはならない。
ふむ、納得できる。
たぶん結婚もそうなのだろう。
結婚は社会的にも人間的にも大きな効用がある。
うーん。
結婚とか恋愛について、
なんか色々考えがめぐるけれど言葉にならないなぁ。
また後で考えるか。
「知性は情緒の豊かさ」と -
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本書は、「国内文壇であれほどまでに憎まれ孤立している村上春樹が、なぜ世界中で読まれ絶賛されているか」について解明しようとするものである。
ただ、この本はその目的のために書き下ろしたのではなく、気がつけば溜まっていた「村上春樹に関する文章」を拾い集めてみたというものなのでまとまりはない。
いうなれば、村上春樹に関する雑文集のようなものだ。
村上春樹に関する疑問のその一は、「なぜ村上春樹が国内批評家や作家から憎まれるのか」である。純文学を気取る批評家たちに特に嫌われるのだ。かの大作家の強い反対で彼に芥川賞が与えられなかったのは、つとに有名な話だ。
この答えは簡単で単純だ。そりゃ嫉妬をおいて他にな -
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大学を取り巻く教育(研究も少し含めて)の問題の本質を示してくれている。
中にはわたしが学んだ大学のマーケティングと相容れない説も多く説かれている。マーケティングはアメリカ起源の概念であるのに対し、内田教授はヨーロッパの大学事情に親しいというところからくるものかもしれない。
「メディアで発言する人たちも、大学を企業と同一視して、マーケットに選択されなければ、大学は粛々と退場しなければならないと簡単に言い切ってしまっている。だが、一般の企業と大学は成立の歴史的経緯も違うし、担っている社会的機能も違う。それを企業と同じルールで律するところに無理がある。」(p.278)
社会的な役割とか、大学なら -
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ネタバレだいたいおんなじいつものあの話。
まーでも飽きない。
賢いリスクヘッジをしたと思っている人は、
無意識的にリスクの多い選択をしてしまうという例えに、
中古車の話をしている。
「ぶつけても大丈夫なように中古車を買ったら必ずぶつける、
だってそうしないと中古車を買った意味がないんだもの。」
これ至言。
また、
人間が「個人」になるプロセスの話が面白い。
これはラカンの鏡像段階とか、
先ごろ読んだ「ミラーニューロン」にも近いものがあって、
産まれた時、
人は世界全体と溶け合っていて、
自分とそれ以外という分節をしていない状態にある。
だから、
「個人」としての「自 -
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(以下引用)
●男が女を「守る」には、2つの仕方がある。「女の成長を妨げる」守り方と「女の成長を待ち望む」守り方である。(中略)「女の成長を待ち望む」男は、彼女の自立を、つまり彼女がもう「支えなし」に生きていけるようになる日を、その男自身が不要になる日を逆説的に待ち望んでいる。この逆説的期待に有り金を張れるような男はレアである(P15-16)
●男が「君が何を望んでいるか、私はわかったよ」ということを女は決して許さない。(中略)彼女が愛する男性が「彼女が何を欲望しているのか」分からずに悩む姿を見ること、それは女性にとって尽きせぬ快楽の源泉である。(P70)
●恋愛の本質は「失敗することにあ -
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相変わらず面白かった。ブログで書いたものを寄せ集めて作ったパターンの本ではなく、硬めの雑誌に連載したものをまとめた本のようなので、論調も硬めで、論理構成も一層しっかりしている内容が多かった気がする。
最近に書かれたものなので、今という時代にフォーカスした、タイムリーな話題が多く、それがまた面白いところだった。
これまでの本で言っていたことと重なる内容もいろいろとあるのだけれど、そういう場合でも、また、同じ事を角度を変えて説明しているので、より理解が深まった気がする。
【面白かった話し】
・思っていることを完璧に表現することが可能な日本語という言葉が母語であることは例外的に幸せなこと。
・万人 -
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読み始めてから、この本は読んだことがあったということに気がつく。そんなに多くはないけれども、これまでもない訳ではないという類のことだし、前に読んだこと自体を忘れてしまっているわけなので、内容についても覚えていることは少なく、初めて読むのと別に変わらない。
最初の方に出てくる「言葉の力」というコラムは面白かった。題材は「言葉は感情的で、残酷で、ときに無力だ。それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。ジャーナリスト宣言。朝日新聞」という朝日新聞のコマーシャルコピーだ。日本のテレビを見る機会がほとんどないので、今でもやっているのかどうか知らないけれども、僕が日本にいた時には、テレビコマーシャルで -
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タイトルに即した話題は前半だけで、後半は結構脱線。
これだけの知識人二人が2年かけて話したのならそりゃそうか。
別に14歳の子を持つ親じゃなくても、例えば14歳の子が読んでも、大学生が読んでも満足できる内容です。
平易な文で、内田樹の思考に触れられやすいという点でも良書です。
1つの大きなテーマはまえがきの「子どもは何を考えているかわからなくて当たり前」だから、腹を括りなさい、ということ。
子に対して「訳のわかる存在であること」を強要している親が増え、
あいまいな言葉しか持たない子に「要するにあんたは、こうなのね」と言い、端数を切り捨てる。
二人の主張は「曖昧で、いいじゃない!」てこと。