内田樹のレビュー一覧

  • 価値観再生道場 原発と祈り

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    内田樹氏と名越康文氏の対談は相変わらずおもしろい。

    脱線し、予想を裏切るような展開になりながらも心に「すっ」と響く言葉の数々。

    僕らは散々原発の恩恵を受けたきたのに、ダメになったとたん排他的になるのはいかがなものだろうか。人類のエゴをその身いっぱいに背負った原発に対して、「祈り」を捧げたという橋口いくよ氏の行動を皆もっと見習うべきだ。

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    2012年04月29日
  • 街場の読書論

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    •遡及的に推理する
    •「あなたに言葉を伝えたい」という親たちの抑制することのできない激しい欲望
    •受信者が「あ、これオレ宛のじゃないわ」と思えば、メッセージは虚しく空中に消え去るしかない

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    2013年01月05日
  • 街場の大学論 ウチダ式教育再生

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    これを書いた当時は神戸女学院の教授だった内田樹先生の本。

    以前に読んだ「下流志向」はかなり真面目な本だったんですが、
    この本では、結構くだけた感じの文章でかなり読みやすくかつ面白い考え方が満載でした。

    たとえば
    ・今の教育制度は国民を管理しやすい小粒にすることが目的だが、その制度が成功しすぎたため、網にも引っかからない超小粒人間が増えて管理できなくなってきている。
    ・日本の小学生をもっと勉強させる方法。下位5%を差別・いじめの対象にする。(問題あるが、さすがにみんな勉強するだろう)

    この人の本も教員を目指す人には読んでほしいです。

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    2012年04月24日
  • 期間限定の思想 「おじさん」的思考2

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    読書の大切さは「自己崩壊と再生の物語を受け入れること」という説明に納得。他にも色々示唆にとんだ文章が満載で、何年かしたら読み返してみようと思う。「おじさん」というタイトルで読者を限定してしまうのは、少々勿体無い。大学生とかに読んで欲しい。

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    2012年04月23日
  • 身体知―カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる

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    体はなんでも知っている、直感に従おう、頭でばかり考えないで直感を磨こう、というような本。

    いいから黙って結婚しなさい、そして黙って子供を産みなさい、子育ての間は細々と仕事して、早く子育てを終えたらまたバリバリ働けばいい、というようなお話を、民話やらなんかで裏づけしながら話す対談集でした。
    結婚は誰としたって結局同じだ、とか、批判を浴びそうなこともたくさん書いてあったけど、面白かった。私も割りとそう思う(夫よ、ごめん)。

    内田先生は男性なのに、父子家庭で子育ての時期は仕事は細々とつないでいたそうな。こんな男性は珍しいよね。子育てガッツリしてたからこその感性というのもあるのだろうなーと思った。

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    2012年04月13日
  • 「おじさん」的思考

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    内田樹の本は、いつも自分に新たな視点を与えてくれる。会社の後輩に何か面白い本はないですか?と聞かれて紹介したのだが、読んでないと様にならないので、すぐに買ってみた。自分としては紹介して正解だったと思う。世の中で、常識・当たり前・一般論と言われているものに切り込んでいき、全く違う世界を示す。知的刺激を求めるのに格好のテキストだ。

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    2012年04月12日
  • 村上春樹にご用心

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    ドッグイヤーいっぱい。ライ麦畑のキャッチャー、私たちの平凡な日常そのものが宇宙的なドラマの「現場」である、存在しないものを共有する人間の数に限界はない、他の人々が単なる指示的機能しか認めないセンテンスに私だけが「私宛のメッセージ」を聴き取る…などなど、むむむと唸る表現が数々ありました。やっぱり春樹が好きだなあーでもこれからは内田さんの本も読んでみよう。

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    2012年03月31日
  • 14歳の子を持つ親たちへ

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    出産は得なのだそうだ。
    子供を産むと、
    母親自身の身体的・知的ポテンシャルは向上するし、
    子育ての過程で人間的に成長できるし、
    社会的パフォーマンスも上がる。

    けれども実際の行政の出産育児を「支援する」という発想は、
    「出産は苦痛で育児は苦役」というネガティブな前提でもって語られているため、
    まったくインセンティブにはならない。

    ふむ、納得できる。

    たぶん結婚もそうなのだろう。
    結婚は社会的にも人間的にも大きな効用がある。

    うーん。

    結婚とか恋愛について、
    なんか色々考えがめぐるけれど言葉にならないなぁ。

    また後で考えるか。

    「知性は情緒の豊かさ」と

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    2012年03月30日
  • 村上春樹にご用心

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    本書は、「国内文壇であれほどまでに憎まれ孤立している村上春樹が、なぜ世界中で読まれ絶賛されているか」について解明しようとするものである。
    ただ、この本はその目的のために書き下ろしたのではなく、気がつけば溜まっていた「村上春樹に関する文章」を拾い集めてみたというものなのでまとまりはない。
    いうなれば、村上春樹に関する雑文集のようなものだ。

    村上春樹に関する疑問のその一は、「なぜ村上春樹が国内批評家や作家から憎まれるのか」である。純文学を気取る批評家たちに特に嫌われるのだ。かの大作家の強い反対で彼に芥川賞が与えられなかったのは、つとに有名な話だ。
    この答えは簡単で単純だ。そりゃ嫉妬をおいて他にな

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    2012年03月24日
  • 嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    2012.03.19. 日本が物語る、とあとがきで語られているけど、まさにそうなのかもしれない。どれも淡々としていておもしろい。内田さんのまえがきで、ふむふむと思い、そういう視点で読んだから余計にそう感じるのかもしれない。日常の些細な一コマは、切り取ってみると意外とおもしろいのかもしれない。時々挟まれるほしさんのイラストも微笑を誘います。お気に入りは、「桐生ヶ峰」青春バンザイ。

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    2012年03月22日
  • 街場の大学論 ウチダ式教育再生

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    大学を取り巻く教育(研究も少し含めて)の問題の本質を示してくれている。
    中にはわたしが学んだ大学のマーケティングと相容れない説も多く説かれている。マーケティングはアメリカ起源の概念であるのに対し、内田教授はヨーロッパの大学事情に親しいというところからくるものかもしれない。

    「メディアで発言する人たちも、大学を企業と同一視して、マーケットに選択されなければ、大学は粛々と退場しなければならないと簡単に言い切ってしまっている。だが、一般の企業と大学は成立の歴史的経緯も違うし、担っている社会的機能も違う。それを企業と同じルールで律するところに無理がある。」(p.278)

    社会的な役割とか、大学なら

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    2012年03月20日
  • 狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論

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    ジャンルに迷いますが。ストレートで学生生活を七年もする身として、大学の存在意義を考えられたことはよかった。ネームバリューではないというのは身をもって実感しているので、内田先生のお話がよくわかった。いろいろ話がとんで一冊通して集中するのは難しかったけど、内田先生のスタンスはずれないので安心して読める。本筋ではないけど、消費者としては学べないというで学びの構造はいつもいつも、納得させられてしまう論理です。

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    2012年03月04日
  • 「おじさん」的思考

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    大好きな内田樹先生の一冊。
    10年程前のブログからの抜粋+α。
    その+αの「夏目漱石」話が秀逸です。
    欲望の無い(かのような)人に欲望する。
    「これだったのかっ」っと、思いました。
    夏目漱石を読んでない無知者なので、
    読まねば・・・と焦りました。

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    2012年02月21日
  • 嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト

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    ポール・オースターがアメリカでやったナショナル・ストーリー・プロジェクトの日本版。高橋源一郎と内田樹が選び出した短いお話のアンソロジー。
    正直、アメリカ版の方がかなり面白さは質も量も言わざるを得ないって感じ。

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    2012年02月19日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    ネタバレ

    だいたいおんなじいつものあの話。
    まーでも飽きない。

    賢いリスクヘッジをしたと思っている人は、
    無意識的にリスクの多い選択をしてしまうという例えに、
    中古車の話をしている。

    「ぶつけても大丈夫なように中古車を買ったら必ずぶつける、
    だってそうしないと中古車を買った意味がないんだもの。」
    これ至言。

    また、
    人間が「個人」になるプロセスの話が面白い。

    これはラカンの鏡像段階とか、
    先ごろ読んだ「ミラーニューロン」にも近いものがあって、
    産まれた時、
    人は世界全体と溶け合っていて、
    自分とそれ以外という分節をしていない状態にある。

    だから、
    「個人」としての「自

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    2012年02月22日
  • 期間限定の思想 「おじさん」的思考2

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    (以下引用)
    ●男が女を「守る」には、2つの仕方がある。「女の成長を妨げる」守り方と「女の成長を待ち望む」守り方である。(中略)「女の成長を待ち望む」男は、彼女の自立を、つまり彼女がもう「支えなし」に生きていけるようになる日を、その男自身が不要になる日を逆説的に待ち望んでいる。この逆説的期待に有り金を張れるような男はレアである(P15-16)

    ●男が「君が何を望んでいるか、私はわかったよ」ということを女は決して許さない。(中略)彼女が愛する男性が「彼女が何を欲望しているのか」分からずに悩む姿を見ること、それは女性にとって尽きせぬ快楽の源泉である。(P70)

    ●恋愛の本質は「失敗することにあ

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    2012年05月08日
  • 呪いの時代

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    相変わらず面白かった。ブログで書いたものを寄せ集めて作ったパターンの本ではなく、硬めの雑誌に連載したものをまとめた本のようなので、論調も硬めで、論理構成も一層しっかりしている内容が多かった気がする。
    最近に書かれたものなので、今という時代にフォーカスした、タイムリーな話題が多く、それがまた面白いところだった。
    これまでの本で言っていたことと重なる内容もいろいろとあるのだけれど、そういう場合でも、また、同じ事を角度を変えて説明しているので、より理解が深まった気がする。

    【面白かった話し】
    ・思っていることを完璧に表現することが可能な日本語という言葉が母語であることは例外的に幸せなこと。
    ・万人

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    2020年07月15日
  • 14歳の子を持つ親たちへ

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    その年代の娘がいるので読んでみた本。
    途中難しいところがあったけど、最後までとにかく読みました。
    問題は子供にあるのではなく、親や周りの大人の関わり方、環境にある。
    とりあえず、あんまり子どもをいじり過ぎない、ってことですね。
    ・・・・って勝手に簡単にまとめちゃいけないんですよね。。。

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    2012年07月02日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

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    読み始めてから、この本は読んだことがあったということに気がつく。そんなに多くはないけれども、これまでもない訳ではないという類のことだし、前に読んだこと自体を忘れてしまっているわけなので、内容についても覚えていることは少なく、初めて読むのと別に変わらない。

    最初の方に出てくる「言葉の力」というコラムは面白かった。題材は「言葉は感情的で、残酷で、ときに無力だ。それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。ジャーナリスト宣言。朝日新聞」という朝日新聞のコマーシャルコピーだ。日本のテレビを見る機会がほとんどないので、今でもやっているのかどうか知らないけれども、僕が日本にいた時には、テレビコマーシャルで

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    2012年01月14日
  • 14歳の子を持つ親たちへ

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    タイトルに即した話題は前半だけで、後半は結構脱線。
    これだけの知識人二人が2年かけて話したのならそりゃそうか。
    別に14歳の子を持つ親じゃなくても、例えば14歳の子が読んでも、大学生が読んでも満足できる内容です。
    平易な文で、内田樹の思考に触れられやすいという点でも良書です。

    1つの大きなテーマはまえがきの「子どもは何を考えているかわからなくて当たり前」だから、腹を括りなさい、ということ。
    子に対して「訳のわかる存在であること」を強要している親が増え、
    あいまいな言葉しか持たない子に「要するにあんたは、こうなのね」と言い、端数を切り捨てる。

    二人の主張は「曖昧で、いいじゃない!」てこと。

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    2012年01月04日