内田樹のレビュー一覧

  • 武道的思考

    Posted by ブクログ

    内田樹がすごいのは、当たり前でなさそうなことをそれなり説得力を持って語れるところであると思う。

    それができるのは、誰もが納得できる事実に対し誰よりも考察を働かせているから、つまり普通の人が考えないところまで考える力を働かせることができるからだと思われる。

    そしてもうひとつの普通の人が知らないことをあたかもわかっているかのように語るからである。例えば、武道が何であるかということは普通の人は知らない。武道をやっている人間でさえ、内田さんのように考えたことはないだろう。

    それを武道とはこういうものである、ということそれなりのレトリックでもって語るので、読んでいる人にはそういうものかなと思ってし

    0
    2010年10月31日
  • 態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い

    Posted by ブクログ

    文章全体から漂ってくるあの何とも言えない雰囲気が好きだ。

    特に好きなお話。
    「時の守護者」
    「喧嘩の効用」
    「私のハッピー・ゴー・ラッキーな翻訳家人生」
    「卑しい街の騎士」
    「死者の無権利」

    特に「卑しい街の騎士」は、拙い言い方ではあるけど、かっこいいとしか言いようがない。中には難しくて理解しにくい話もあった。いつか今以上に理解できる日が来るまで、何度か読み返したいと思う。
    (2006年05月02日)

    0
    2010年08月02日
  • 日本辺境論

    Posted by ブクログ

    お掃除の要諦は「徹底的にやってはいけない」ということです。とりあえず「足元のゴミを拾う」ことで満足する。手のつけられないほど散乱した場所を片付けるという経験をされた方はおわかりでしょうけれど、足元のゴミを拾うところからしかカオスの補正は始まらない。(p.5)

    右の端には「あの国」があり、左の端には「この国」があり、その間のどこかにわが国のポジションがある。そういう言い方でしか自国の立ち位置を言うことができない。それは毅然としていない、とかポリシーがないとか、そういうことではなくて、日本は本態的にそういう国だということです。(p.38)

    「世界標準に準拠してふるまうことはできるが、世界標準を

    0
    2020年07月15日
  • 14歳の子を持つ親たちへ

    Posted by ブクログ

    超えてはいけない一線があるのではなく、「超えてはいけない一線が私たちの内部に実在するということにしませんか。」ともう一度道徳と言うフィクションを再構築しないといけない。
    私も親を殺したいと思った。でも殺したら自分の方が損だなと思って、何くそ!と戦ってきた。きっと、子供のころにそんな風に考える人は少なくないのではないか。だから、少年犯罪は、特異なことだと型通りに決めつけるのはおかしい。
    だから、子供達がそのような犯罪を犯さないように人を殺してはいけないという道徳を親が教えなおして子供達の心に再構築すればいい。
    「ルーティン(躾)は大事」植木鉢の土と同じで練れば練るほどよい花が咲く。「親は役割」母

    0
    2010年07月16日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

    Posted by ブクログ

    なぜついつい内田樹の本を手に取りたくなるのかが、読み始めて5年目(くらい)にして初めて気が付いたような気がする。単純に話題が豊富で話が面白いというのもあるけど、何より読んでいて「気持ちよく」なるからなのだと思う。内田樹自身も、自分が気持ちよくなるような仕方で文章を書いている(あるいは話している)のは間違いない。その気持ちよさが読者にもよくよく共振するのだと思う。まあ文章に限らず、氏は人生においても自身の気持ちよくなるようなそれを希求しているのだろう。だから氏は疲れる対談は絶対にしない。その姿勢は見事に濁りのないもので、ある種の清清しさすら感じられる。またそうした生き方は、一つ間違えれば非常に”

    0
    2010年08月02日
  • 村上春樹にご用心

    Posted by ブクログ

    最近『スプートニクの恋人』を読んだ。ぐいぐい惹き込んでいくような面白さがあったので、英語版も買おうかなと(英語の勉強になるし)、昨日新橋の文教堂で迷ったんだけど、あまりの値段の高さ(1920円)に断念した。

    それはさておき、こういう文学批評っていったいどこにその価値があるのだろうか。橋本治が「批評とマーケティング」で言っていたように、批評が社会をリードするのは(批評に意味があるのは)、”社会はいつでも未完成で、しかし、その社会にすむ人間は、いたって簡単に「未完成である」ということを忘れてしまうから”というのが一つの理由として考えられる。
    また人間は一人一人その価値観、世界観が違うから、その「

    0
    2010年08月02日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

    Posted by ブクログ

    著者二人の意見にはかなりの部分まで同意できるので、読んでいて楽しかった。

    内田さんは女子大教授という職業柄もあってか、母と子ども(特に娘)の例えで語ることが多く、面白い。弱い子どもに群れからはぐれないでほしいと思っているとか、自分が傷つけられた言葉が最強のウエポンになる、など。

    このタイトルは、ちょっと考えると当たり前だ。衣食足りて初めて内面について悩めるわけだから。

    0
    2010年06月03日
  • 村上春樹にご用心

    Posted by ブクログ

    文化的雪かき仕事という表現がとでも印象深かった。
    誰も評価してくれる訳ではないけれど、この世に必要不可欠な仕事。

    村上春樹に僕が惹かれる理由が父性の欠如にあるということを認識できたことが収穫だった。

    0
    2010年05月04日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

    Posted by ブクログ

    今までモヤモヤしていた思考をスッキリ解決してくれた、ありがたい一冊。
    だけど、コレを理解出来たら出来たらで、ますます生きにくくなってしまった気がします(笑)
    ずっと受身の人生で良いなら、読まないことをオススメします。

    0
    2010年04月08日
  • 態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い

    Posted by ブクログ

    おもしろい。全てがブログからのものではなく、依頼を受けて書いたものらしいので、いつもとちょっと手触りが違う気もする。
    第5章の『作品からの呼び声』は特によかった。

    0
    2010年03月14日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

    Posted by ブクログ

     この人の「考え方の構造」を考える。

     考え方のテンプレートがある気がする。
     対外考え方を量産できる人は、それなりの、自分なりのテンプレートを持っているもんだ、と考えるからだ。

     気にかかることを、なぜ気にかかるか徹底的に考える。

     ヒントになるフレーズがあったな。

     「親密圏について」の件
     私は骨の髄までビジネスマインデッドな人間なので、どのような社会制度についても、「この制度は、いかなる人類学的起源を有するものか、これまでどのような歴史的使命を果たしてきたのか、現状では、どのような点で制度疲労や機能不全を起こしているか、どのへんを補正すれば使いの延ばせるか、どのあたりのタイミン

    0
    2009年12月06日
  • 村上春樹にご用心

    Posted by ブクログ

    村上春樹のことだけでなく、いろんなことについて感じて自分なりに考えて、意見を持って。でも、それが果たして正しい考えなのか、ほかの人はどう考えているのか意見を聞いてみたい。

    そういうときに、この筆者の考えはすごく説得力があって、共感できるし、新しい発見も多い。

    村上春樹の文学では、「雪かき仕事」の大切さがよく取り上げられているというのも慧眼だった。
    「雪かき仕事」は特に賃金が払われるわけでもなく、社会的敬意も向けられないけれど、誰かがやらなければ必ず困る人がいる。
    生活の中で突然ふりかかる「邪悪なるもの」に取り込まれてしまわないために、「僕」は「雪かき仕事」をきちんと続けている。

    0
    2009年10月11日
  • こんな日本でよかったね 構造主義的日本論

    Posted by ブクログ

    違う角度から物を見ることが出来て刺激的。
    たまにすごく、まっとうな指摘も。
    小学校の英語教育についての不安、白川静先生追悼、親族の基本構造、ひとはなぜ葬礼を行うか、少子化問題は存在しない、日本辺境論、など。
    少子化について、行政がそれを問題だと思うのは納税者が少なくなるから。日本は狭い国で社会的資源が不足しているから、人口が減るのは自然な現象。少なくなった方がむしろ住みよい??もう一つ、家族単位で消費していた人たちが個人の好みで生きるようになった。他人を我慢しなければ共同体は成り立たない。う~ん、なるほど…
    「不快という紙幣」は、両親の不機嫌さを見て、子供達は自分も嫌なことをしている、それが仕

    0
    2009年12月17日
  • 現代思想のパフォーマンス

    Posted by ブクログ

    現代思想の解説だけでなく、その考え方で文学、映画などを読むとどう読めるかを解説した点が面白い
    世の中は本当に奥が深い。この思想・技術を持って世界を感じることができれば、もっとおもしろいだろうな。
    これらの思想は20世紀のものであるが、21世紀はこれらをベースにどんなに発展するのだろう。
    サイードは興味がもたず未読。内田はわかりやすい、すごいね

    0
    2009年10月04日
  • ためらいの倫理学 戦争・性・物語

    Posted by ブクログ

    戦争論の部分がいちばん役に立った。ちょうど考えていてうまく整理できていないところだったので。国内の死者の魂を鎮めることと対外への謝罪を同時に行うことができればそりゃいちばんいいと思う。けれど、果たして可能なのか。といえば、不可能だろうと答えざるを得ないが、そこに向かっていこうと試みることはできると思う。フェミニズムへの言及はあんまり納得できない。どうして、そう考えるのかと思われるところがあった。カミュに関しては、サルトルとの論争もざっくりしか知らずあまりきちんと読んだことがなかったので、しっかり読んでみようと思う。

    0
    2011年09月03日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

    Posted by ブクログ

    僕は基本的に親子関係は希薄な方がいいという考え方。取り越し苦労はやめよう。なにが起こるのかわからないのだから、全方位的にリラックスして構えていないと対応できないよということ。取り越し苦労するひとは、その最悪の事態の到来を願うようになる。  育児というのは待つことなしにはあり得ない事業。子供相手にすぐ結論をだせっていったって無理なんだから。大切なことは時間に委ねるしかない。育児を経験すると、即断即決なんてできないことの方が世の中には多いことがよくわかる。  結婚生活のトラブルはその八割が双方の親族が原因でおこる。   宣言というのは幽王。人間て、自分がいったん口に出した言葉には本当に呪縛されちゃ

    0
    2009年10月07日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

    Posted by ブクログ

    内田樹と春日武彦(精神科医)との対談本。対談していた内容は幸福論や人生に対するスタンス、社会システム、身体論や医療の話、精神病患者を基にした話など。会話の中で両者が得意としている(テッパンの)話をぶつけ合っているので、理解しやすいかたちで伝わってくる。おもしろかった。

    0
    2009年10月04日
  • 態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会い

    Posted by ブクログ

    ちょいと難しいエッセイ集である。前半が特におもしろかった。文体が高圧的ではなかったので、いらいらせずに読めた。

    そのなかでも「待つこと」についてかかれた文章について記す。
    筆者は携帯電話の普及によって待ち合わせの美風が消えつつあると指摘する。全く同感。
    「決められた時間に決められた場所にピンポイントでたどりつく」能力、これはかなり高度な能力の一種である。(本文より)確かに今では「待つ」ということをしなくなっている。いや、上述の能力をもった人がほとんどいないと感じる。

    他にも興味深い話があるからぜひ手にとって欲しい。

    0
    2009年10月04日
  • 狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論

    Posted by ブクログ

    読みやすい、共感できるウチダ論だ。私としては第9章はいらないかと思った。

    「先生はえらい」も良かった。

    私学の運営も大変だ。もし、身内に娘がいたら神戸女学院を薦めたいのだが……。


    0
    2009年10月04日
  • 現代思想のパフォーマンス

    Posted by ブクログ

    哲学にダイレクトに関する本というのを初めて読んだかも。思想家の解説とその思想の例題として小説や映画が紹介されている。なにか踏み込んだゆるがないものに触れたような、自分が賢くなったような気がする。もちろん気がするだけである。しかしまぁ、久しぶりに読むのがつらいのにやめられないという不思議な体験をした。賢くなった幻想の喜びよりも、知ってしまったという恐怖に引きずられた気がする。

    0
    2009年10月04日