夏目漱石のレビュー一覧
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「明暗」の題名は(意)。漱石が小説執筆中に芥川龍之介と久木正雄に示した漢詩のなかの語「禅家で用ひる熟字」と説明された「明暗双々」の解釈を中心に論議されてきた。たとえば小宮豊隆はいわゆる「則天去私」と結びつけて、「私の世界」とそれを超越した「天の世界」と明・暗と考え、禅語との関りに消極的な荒正人は、登場人物各自の立場や状況に応じた価値観の「明と暗の交錯」に題意を求めている。昼の世界と夜の世界、日常と非日常、現実と異界など、明と暗を分つ説は従来ささまざまだが、人間関係・因果関係に視覚的問題も加えて、見える(と思っている)ものと見えないものとの別を措定することも可能だろう。諸説それぞれに異同はあって
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「夢十夜」
もう何度も読んでいるけれど、やはり第三夜の印象は強い。
この気味の悪さ、リアルな夜の手触り。
自分もその静けさに包まれているかのように感じる。
第六夜もよく覚えている作品。
子どものときに読んで、いや、木に埋もれているわけではないだろう、と、笑った記憶がある。
なんとなくただよう気味の悪さの裏に、人間の感情や情念がちらちら見えて、正しく夢のかけらを集めたかのような作品群だと思う。
「文鳥」
美しい文鳥と、それに対する心の動き・流れが、水のように流れ込んでくる、そんな文章だった。
文鳥を死なせてしまったときの彼の心が、そのしんとした行間からあふれてくる。
「あふれる」という表現では -
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ネタバレ難しい。格別面白かったわけではないんですが、面白くないと断定できるほどこのストーリーの全てを味わい尽くしたかの自信がもてません。読み返そうとは今思えないのですが、何か認識しづらくて小さいヒントみたいものが散りばめられていそうな文章のように感じてしまって、読んだ実感はあっても理解できた実感が0です。
読み終えて真っ先に思ったのは、「安井の元から宗介とお米がいかにして離れたか見当がつかないので、宗介の苦しみに共感できない」ということでした。夫婦で社会からのつまはじきものとして生きることにしたこと、この結論だけしか分かりません。なんかこういうよく分からんけど結果そうなったみたいなのが全編多いです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ親を亡くし、弟を引き取ってひっそりと妻御米と暮らす宗助。御米はかつて宗助の友人安井と同棲していたが、宗助が略奪してしまったことが割と後半に明らかになる。それまでは子どもがいないことを気に病む御米の描写や、御米をやや疎んじる宗助の弟小六の様子があるけれど、その伏線が全編の真ん中くらいにあるこの略奪婚の話で急に回収され、そこからは、後ろ暗い罪故に子どもができないと悩む御米と、隣人坂井から坂井の弟の友人である安井を引き合わされそうになって戦く宗助が描かれる。宗助はそれを気に病んで鎌倉の禅寺に行き、十日間籠るが、悟りの門は閉ざされたまま、家に帰ってくる。そこで安井はまた東京を出て行ったと聞いて一時の安