夏目漱石のレビュー一覧

  • 行人

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    本当は裏でこう思っているのではないか。そう疑い始めたら、人付き合いは苦しくて仕方ない。普段そういうことを考えない習慣を自然と身に付けているんだろう。一郎のように突き詰めたいという衝動とそれに向かって行けば行くほど幸福から遠ざかる。ではどこまで妥協すればいいのか。どこまで見て見ぬ振り、意識的な「思い込み」をすればいいのかー。そういう煩悶を共感してくれる者もいない。ただ、三沢という受け止めてくれる人がいてくれたことが、ものすごく救いになってるように思えた。

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    2011年11月08日
  • 行人

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    「死ぬか気違うか、そうでなければ宗教に入るか」

    学問をやりすぎたために、人を信じられず、妻さえも自分を愛していないのでは無いかと疑い出した一郎。
    その弟の二郎は兄や友人、下女など様々な人の使いとして結婚とは何か、愛とは何かの現実を見る。そんななか、どうしようもないほどに精神衰弱な兄の影響を受け、二郎も結婚について疑問を抱き始める。

    この作品の底にあるテーマは結婚に関すること、人を信じること。明治以前の家が関わる旧式の結婚制度、恋愛結婚などなど様々な形で夫婦になり、こどもが生まれ、年をとる。
    そうした、夫婦間の関係について、疑問を投げかける作品です。

    漱石作品として相変わらず、登場人物に起

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    2011年11月02日
  • それから

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    社会の掟に背いて友人の妻に恋慕をよせる主人公の苦悶は、明治40年代の知識人の肖像でもある。三角関係を通して追求したのは、分裂と破綻を約束された愛の運命というテーマであった。

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    2011年10月24日
  • 明暗

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    ネタバレ

    「彼岸過迄」「行人」「こころ」の後期三部作や、それがさらに私小説的にドグマった「道草」より全然暗くない。複数の視点に立って、ありもしない「本当の自分探し」から進化したと言えば、言葉が軽すぎでしょうか?

    結末の予想に関しては、おおむね日本文学畑の人は全てが未解決のまま終わり、海外文学系の人はドラマチックな結末を迎える、というような傾向に分かれるというようなことが書かれた研究書を読んだ記憶がありますが、「なるほど」という感じもします。日本文学派の中には、「明暗」の次には「猫」に戻ったような作品を書いていただろうという予測もあり、またまた「なるほど」と。「続明暗」がまさに、筆者が外国系だから、まさ

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    2012年01月23日
  • 草枕

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    いつにもまして美文。
    いつにもまして何も起こらない。
    そんな小説。
    非人情な読み方を求めているのかしら。
    春のうららかな陽の下で読みたい。
    漱石の物の見方が地の文にありありと表れていて興味深かった。

    読後感を一言で表すと、
    「ああ、とても美しかった。」

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    2011年09月19日
  • 草枕

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    ネタバレ

    実家から出られず母親の古い古い本をあさり読んで。

    *
     智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
     住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
     人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらする唯の人である。唯の人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりも猶住みにくかろう。
     越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、くつろげて、束の間の命を、束の間でも住み

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    2011年08月28日
  • 虞美人草

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    まず際立っているのが文章の難解さ。地の文が凄まじいまでの美文であり、知らない単語が怒涛のように押し寄せる(私が無知なだけですね)。漢文や故事の素養を下地にした表現も多用されており、ページを捲るたびに自分の無学をひしひしと感じる・・・。
    でも、そこがよいのです。読み進むうちに絢爛豪華な文体を味わうのが癖になる。彫琢された文章ってこういうことを言うのね、と思う。
    それになんといっても漱石作品は会話が面白い。藤尾と小野の恋の駆け引き、甲野と宗近の気心の知れた友人同士のおしゃべりなど、気の利いたやりとりが素敵。

    さて、肝心の物語だが・・・
    筋書きだけ見ると、まあ、メロドラマである。あらすじを言ってし

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    2011年08月28日
  • 吾輩は猫である

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    22歳にしてようやく「吾輩は猫である」を読んでみる。
    漱石の本は「こころ」についで2作目。

    レビューなんてのは全く自分の無知蒙昧を広めるだけのものであると思うけれども、せっかく読んでみていろいろ思うところがあるので書くことにする。


    やはりまず第一に感じたのは、猫に語らせることの妙である。
    人間ではなく、猫自身が語ることで、社会科学的に言えば、漱石自身の鋭い観察眼及び人間のバイアスをより鮮明に対象化することに成功していると思う。皮肉も人間が語るよりもずっと効いてくる。正直、ギャグ漫画を読んでいるような心持であった。

    クライマックスで、人間どもに一種の漱石的講義(?)を語らせ始めたかに見え

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    2011年09月07日
  • 吾輩は猫である

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    再読。やっぱ本家は面白いなー。
    一回目に読んだときは幼すぎて気づかなかったけど、現代から考えたら女性蔑視とも取れる女性論も書かれていたんだなぁ。
    迷亭君みたいな友人がほしいです。

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    2011年07月27日
  • 門(新潮文庫)

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    漱石の小説の中では一番好きかもしれません。夫婦の距離感がなんか好き。

    出だしから終わりまで、何も進まず、何も解決せずに終わる物語。
    日常の断片なんですな。
    罪悪感をせおう善良な夫婦のなにげない会話の数々が良かったです。
    この小説の主人公は宗助といいますが、『崖の上のポニョ』の主人公と
    同じ名前です。宮崎駿さんは、映画を作るときにこの「門」を読んでいた
    といいます。それで、主人公が同じ名前になったんでしょう。
    崖の上の坂井という人物も出てきます。タイトルもそこからとったのかもしれません。
    この本の解説で柄谷行人さんが、欠陥のある小説だみたいに書かれていましたが、
    そういうところがあったとしても

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    2025年06月12日
  • 門

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    ネタバレ

    前期三部作の第三部。

    宗助と御米は不倫の末結ばれた夫婦で、他人との交流を最小限に抑えてひっそりと慎ましく暮らしていた。彼らの不義は社会的な制裁のみならず、運命的な力も彼らを苦しめる。宗助は不安を解消するために宗教にすがるが、何も変わらないまま季節は移ろいでゆく。

    宗助・御米夫婦は、互いを慈しみ支え合って生きている。きっと理想的な夫婦と言えると思う。しかし、「彼は門を通る人ではなかった。また門を通らないで済む人でもなかった。要するに、彼は門の下に立ち竦んで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であった。」(P224)のイメージが示すように、悲哀や不幸、憂うつから逃れるすべをもたない。哀しくて切

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    2011年06月25日
  • それから

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    明治時代のニートこと代助の横恋慕。

    明治も平成も人(青年)はそんなに変わらないということ。もっとも、現代では人妻を奪ったからといって親に勘当されることはないだろうけど。そう言う意味では、人は「自然」に従って生きやすくなったのかな?

    面白かった。三部作の最後「門」も読むぞ。

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    2011年06月25日
  • 行人

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    ネタバレ

    【概要・粗筋】
    学者である一郎は、妻・直の本当の気持ちがわからず、信じることができず、夫婦の間は冷え切っていた。直はそのようなこと気にするそぶりもなく冷淡であった。しかし、一郎は妻の本心が知りたくてたまらない。そして、一郎は妻の貞操を試すために、弟である「自分」に嫂と二人きりになるよう依頼する。知識人の孤独と狂気を描いた小説。

    【感想】
    第一章「友達」から第三章「帰ってから」までと第四章「塵労」では作品の雰囲気ががらりと変わった。三章までは長男夫婦の不和に周りの家族が巻き込まれていくというある平凡な家族の姿を描いていたのに、四章からは一郎の内面が掘り下げられて家庭小説の枠をはみ出した。

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    2011年06月19日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    「夢十夜」
    第一夜
    「百年、私の墓の側に坐って待っていてください。きっと逢いに来ますから」

    夢ってなんだか不気味だ。私はろくな夢を見ない。

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    2011年06月11日
  • 道草

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    起承転結の起伏が無いと感じるのに、面白いところがスゴイと思う。
    状況が同じ輪の上を回る様に、人間関係も回って何とかならんかなーと感じるのは何時でも同じなんだなぁ。
    細君が随分と恰好良い。男尊女卑の時代に、尊敬して欲しいなら尊敬される人格でないと、てのは強くて好き。細君がちょいちょい良い味だしてる。

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    2011年05月23日
  • それから

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    最近だが通勤の満員電車の中で狭苦しく冊を開いている。
    そんな中で迫りくる代助と三千代の心の荒波に、思わず涙がこぼれた。

    繊細な心の動きを華麗に表現しているのは凄い!

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    2011年05月23日
  • 行人

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    兄一郎が弟二郎に妻の節操を試して貰いたいというところは狂気であり作中の圧巻である。 直の本心は謎のままである。一郎も二郎も直に翻弄されている。直は恐れない女である。

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    2011年05月14日
  • 門

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    ネタバレ

    漱石前期三部作のトリを飾る作品『門』。

    世間から冷たい目で見られる覚悟を互いにしてまで不倫関係となった代助と千代子。その二人は今後どう生きていき、どう世の中を渡り歩いていくのか。その答えが『門』にあると、『それから』の解説では述べられていた。

    自分自身その事が気になっていただけあって、「門=不倫後の話」を頭の中で繰り返しつつ読み進めていった。けど、どこにも見当たらない。気付けば残るページは1/3。ここから先にようやく出てくるのかと思いきや、迫りくる事態に対処できる自信をつけるために参禅し、戻ってきたら無事暗雲は過ぎ去っていきましたとさ、めでたしめでたし。気付けば注訳のページになっていた。

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    2011年05月15日
  • 草枕

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    「山路を登りながら、こう考えた」と始まる非人情の旅物語。
    非人情とは世間的な人情を放棄して住みにくいこの世を離れた気分になること。人間の感情で溢れかえる住みにくい都会を離れ、非人情を求めて田舎への旅に出た画工。

    当時の西洋化の流れで登場した「芸術」という観念で括られるようになった様々な表現活動。絵画と詩の対比がよく登場する。はじめは手応えがなくとも休むことなく続けるものだという詩作りと葛湯作りの比較がいい。

    「菓子箱の上に銭が散らばり、呼べど待たれど人は来ず」
    田舎で垣間見られる20世紀らしからぬ非人情の世界。
    おばあちゃんが店番したままうたた寝していた近所の駄菓子屋さんのようなシーン。

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    2011年05月02日
  • 坊っちゃん

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    愛媛県民なのに坊ちゃん読んでないのもどうなのと思って県外に引っ越してから読みました…噂通り愛媛の扱いはひどいけど(笑)子規もお手紙でそう書いてたものね^^
    漱石先生の小説はうんうん唸って読むような難解さがなくってとても読みやすいんだけど、決して軽い、薄っぺらいものじゃない。こりゃあすごいことだとしみじみ。
    江戸っ子・坊ちゃんのいきおいや情があざやかに描かれています。なんにせよ坊ちゃんは最後まで坊ちゃんでした。こうやって見るとちょっと昔の小説ってタイトル付けが非常に秀逸…

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    2011年05月02日