夏目漱石のレビュー一覧

  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

     苦沙弥先生をはじめとする登場人物を猫の視点に預けて痛快に批判する漱石の感性に脱帽である。個人的には口達者で自分勝手な美学者迷亭の言動が小気味よく面白かった。もっとも、彼のようにデリカシーのない人物が実際にいても友達にはなりたくないが(笑)

    0
    2021年03月07日
  • 虞美人草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    意外にも面白く夢中で読んだ。確かに人物設定は類型的て役割通りかもしれないが、言葉による駆け引き、微妙に移ろう心理描写は漱石ならでは。経済的にも社会的にも恵まれ、精神的に安定し、大らかで義を尊ぶ宗近一家の描写には己が望んでが得られなかったものへの漱石の憧憬が感じられる。私もそれは同様だ。

    0
    2021年03月06日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

    Posted by ブクログ

    すっかりこのシリーズのファンになりました(*^^*)
    絵本あるいはイラスト集感覚で読める文学シリーズ。
    夢十夜はところどころ深く読まないと理解できないところもありましたが(私の理解力が足りず…)イラストとともに楽しく読めました。
    第七夜は特に好きです。自分で選択した死を死しか選べなくなった瞬間に生きたいと思ったがもう遅かった。なんて切ないんでしょうか。夢だとしても辛いですね。
    第九夜のお話も母の気持ちを思うと悲しくなってしまいます。

    0
    2021年03月06日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    後期三部作の1作目。

    短編が集まって長編の形式を取っているし、序盤は割とお気楽な感じだから読みやすい。

    中盤からとても濃ゆい。前期三部作とは全然違う。
    あれも恋愛の話には違いないが、こちらの方がズドンと迫ってくる。
    男の嫉妬心と猜疑心がとても良く描かれている。
    私個人としては、須永の気持ちも分からんでもないけれど、千代子とくっついた方が幸せになれると思う。
    ただ、千代子の気持ちに応えられるか分かんないんだよね須永は。
    何だか二人の関係がもどかしくてもどかしくて。
    これは、現代人が読んでも十分に楽しめる。

    印象的なシーンも多々。
    楽しかったり、悲しかったり、物寂しかったりもするけれど、漱石

    0
    2021年02月21日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    誰もが知る超名作。人間の営みや世の真理に隠された明暗を純然たる猫の視点から解き明かすという甚だ興味深い作風。諧謔性の暴力ともいえるほどの極めてユーモラスな文体にはついつい笑みがこぼれてしまう。圧倒的会話量を以ってして迫真性を突きつけ、凄まじい熱量を感じた。細部に渡るディティールで稀代の滑稽味とリアリティを紡ぎ出す漱石のメソッドには感服の念が絶えない。日本随一の文豪の源流を肌で感じ、ますます敬愛が深まった。

    0
    2021年01月26日
  • 私の個人主義

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    標題の「私の個人主義」は大正三年、大病を患った後に学習院でおこなった講演の内容だが、今読んでもさすが漱石というか、構成もメッセージもすばらしい。青空文庫で読めるので未読の人はぜひ。

    講演として読むと、初めは前振りが長くいつテーマに入るのかと思うほどだが、気づくとすっとテーマに入っていて、それが最後のメッセージまでしっかりと繋がっている。

    前半は人生の指針としての自己本位主義、後半はその前提となる個人の自由とそれに伴う義務と責任、という内容。

    まず前半は、漱石自身の懊悩とその打破という経験を若い人たちへのメッセージに転化しているが、これによって人生の方向を決定された学生も当時いたのではない

    0
    2021年01月22日
  • 虞美人草

    Posted by ブクログ

    神経症的な甲野、彼の異母妹藤尾、甲野家と縁戚続きで飄々とした感のある外交官浪人生宗近、その妹糸子、甲野達の友人である小野と彼の恩師の娘である小夜子、この六人の六角関係を扱う。
    序盤は古文、漢文、口語文を融合したような地の文と、登場人物の区別に苦労するも、人生に迷える小野君と彼を慕う小夜子に感情移入できた時点から、やっと物語世界に入って行けた。
    藤尾とその母を徳義心に欠けた人物として書くが、こういった人は当時はともかく現代では結構普通にいるような気もしないではない。甲野家の財産を我の物とするために画策する藤尾と母、それに利用される小野という構図。
    終盤でそれまで何を考えているかわからず、風に吹か

    0
    2021年01月19日
  • それから

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前期三部作の2作目。三四郎よりも好きだ。
    これは、とても良い本だと思う。
    有り体に言えば、まぁ不倫ものみたいな感じなのかも知れないが…。

    「最初に三千代を好きになった時点で、何で仕事探さなかったの??そもそも何で結婚しなかったの?最後に好きって言うくらいなら!!」と思わずにはいられなかった。
    読んでいるうちに、段々と嫂の梅子の様な気持ちになってきてしまった。つい、没入してしまった。

    ただ、代助の気持ちも分からないでもなくて…今の生活が心地よいから、親が持ってきた結婚の話も断り、ついそのまま過ごしていく、みたいな。好いた女もいるし、みたいな。

    平岡に自分の気持ちを告げたあと、家族から絶縁さ

    0
    2021年01月13日
  • 行人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    結婚前にして、とても勉強になった。
    ムハンマドが山を呼んで動かそうとする話が、未だに心に残っている。

    0
    2021年01月03日
  • 私の個人主義

    Posted by ブクログ

    何度も読み返すほど、元気をもらえる本。
    特に、社会に馴染めていなかったり、我が道を行かんとする方におすすめ。

    0
    2021年01月03日
  • こころ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高校の時の現代文の教科書には後半のKの話の、特に大事な部分が載っていたので興味を持ったけれど
    、最初からちゃんと読んでみると先生の過去がなかなか分からない感じにサスペンスのような要素もあって面白い。

    吉永みち子の解説?には先生のことをインテリ症候群(?)のように書いてあって、確かにそんな気もするけど、先生のような境遇の人だとそうなっても仕方がないかもしれません。
    「人間らしくて」私は好きです。

    0
    2021年01月03日
  • 行人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    心配性の兄を持つ「自分」の日常をつらつらと書き記した一冊。
    大きい山場はないのだけれど、不思議に頁をめくる手が止まらない。
    兄から、兄嫁の節操を試すために一夜の旅をしてくれ、と言われるところが山場といえば山場。
    その依頼を断り、ただ出掛けで話を聞くだけという妥協案を出したものの、荒天により結局旅先で兄嫁と宿で一夜を過ごすことになる。
    自宅へ帰った後も兄の猜疑は消えず、彼の言動が狂い始める。
    その兄に旅を勧め、共に旅をした兄の友人から自分に手紙が届く。そこには心配性どころでなく、深く神経を病んだ兄の姿があった。
    近代知識人が急速な社会の変化に惑う姿を、兄という装置を使って描いたのかも。
    手紙の中

    0
    2020年12月19日
  • 明暗

    Posted by ブクログ

    夏目漱石 「明暗」

    三角関係を中心に複雑に交錯する人間関係から 自意識を描いた心理小説?

    全体の雰囲気は「行きどまりの先にまだ奥がある」という正体不明の不安や陰気さに包まれている。

    自意識の強い人物と社会規範的な人物を対称的に描いているが、外から見た自分と 内から見た自分の二重構造を意図しているのでは?

    絶筆未完。社会に背立し、物質的不安を抱える津田夫妻、小林、清子がどう変化するのかが読みたかった

    津田妻「自分の過失に対しては、自分が苦しみさえすればそれで沢山」

    小林「僕には細君がないばかりじゃないんです。何もないんです。親も友達もないんです。つまり世の中がないんです〜人間がないと

    0
    2020年11月28日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    高等遊民とか言ってみたい。
    死と恋愛も非常に重い。
    読むのにも非常に時間がかかった。
    語り手が代わる代わるでてくるから感情移入するのに時間がかかるが、それだけに、斬新かつ新鮮。誰に対しても特別扱いではないんだなと知らしめてくれる感じが、非常に文豪の凄みを一層感じさせてくれる。誰にも媚びてないだなと。

    0
    2020年11月09日
  • それから

    Posted by ブクログ

    当たり前だけど略奪愛に対して世間や家族はいい思いはしないのはわかっていても応援したくなる。代助のだらけ格好悪いところも嫌いになれない。人はなかなか決心できず、行動できないものだと再確認させられた。門を早く読みたいと感じた。

    0
    2020年09月07日
  • 草枕

    Posted by ブクログ

    夏目漱石の本をちゃんと読んだのはこれが初めて。人里離れた旅館で画家が出会った人とのやりとりや妄想めいた話が淡々と描かれていて大きな事件がある訳ではないが、語彙なのか表現力なのか、難解な言葉ながら情景が目に浮かぶのがすごいなと。
    夏休みに田舎で蝉の泣き声を聞きながら読むのにピッタリな本だと思った。

    0
    2020年08月14日
  • 漱石 ホラー傑作選

    Posted by ブクログ

    短編集のような感じで
    夏目漱石初心者には読みやすかった
    気になる文章がいくつかあったので
    その作品を改めて読んでみようと思う

    0
    2020年08月10日
  • こころ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    夏目漱石の『こころ』は、太宰治の『人間失格』と共に累計発行部数を争っているらしい。『人間失格』は前に読んだけど、『こころ』は未読だった。日本で最も売れている作品がどんなものなのか、興味があった。

    この作品は、「上 先生と私」、「中 両親と私」、「下 先生と遺書」の3部に分かれている。主人公の「私」と「先生」との関わりが、作品のほとんどを占めている。

    「私」は夏の鎌倉で「先生」と知り合い、それから頻繁に「先生」の家に通うようになる。「私」はなぜこれほど「先生」に好意を持つようになったんだろう? 後からその辺りの理由が明らかになるのかと思ったけれども、特にそれらしいことは明らかにならないまま物

    0
    2020年08月01日
  • 門

    ネタバレ 購入済み

    自分の過去に囚われすぎて,心を閉ざし,社会を遠ざけ,絶体絶命のピンチを目前に寺に籠もってしまう。
    己と向き合うふりをして,逃げ続ける。
    後ろを向いたまま,自分だけの悲しみに酔いしれることは,何の奇跡ももたらさない。

    0
    2020年07月30日
  • 三四郎

    購入済み

    恋物語

    結ばれても不幸だったり,結ばれないのが幸せだったり。
    昔の人たちの恋愛は,今よりも縛りが多くて,大変な苦労と我慢が必要であっただろう。
    今も昔も,完璧に人を愛することなんて,完璧に人に愛されることなんて,きっと誰にもできない。

    0
    2020年07月15日