夏目漱石のレビュー一覧

  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    学問に対する志は確かに大切だと思う。ただ金力を余りにも毛嫌いしすぎている印象はあった。ラストの展開、中野君は高柳君の作品見たさもあって金を融通したのではないか。もしそうなら高柳君の行動は中野君の見当違いになりはしないか?事象や主張が明確なだけに、疑問の多い作品だった。それだけに、反論やら別の展開を想像しやすいのは面白かった。あと、同意できる部分や上手い表現は他の作品に劣らず多かった。
    結婚式で、立派な中野君と見窄らしい高柳君が出会った時、お互いがお互いを「これは」と思ったとあるが、この辺りは言葉の選び方が秀逸だと思う。「これは」と思うだけで、その先はお互いの友情やら思い遣りが考えるのを一歩留ま

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    2017年10月14日
  • 坊っちゃん

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    読み始めてすぐ一行一行面白くて声に出して笑ってしまった。こんな文学あるのか。
    主人公は一本気で曲がったことが嫌いな典型的な江戸っ子。話を読んでいくと完全な勧善懲悪ものになっていくんだろうな、というもので、一応主人公は懲悪を遂げる。しかし、気持ちがスカッとしただけで解決にはならない。出だしの軽妙な面白さからわくわくしながら読み進めると、最後は少し寂しい気持ちにもなる。
    そう考えると清の存在というのは唯一の救いだろう。この人物がいなかったらただの悲しい話になってしまっていたと思う。

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    2017年09月24日
  • 漱石文芸論集

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    漱石の作品が本書に述べられているように理論的に著されていると思うと感慨もひとしおだ。しかしまた、東大での英文学の講義が理に走り過ぎて最初は不評だったことも頷ける。西洋文明に対する批判的態度も、実際に彼が英国留学を経験したうえでのことで、当時の多くの日本人や現在の自分などが想像しえない境地にいるからだと思える。講演録もユーモア溢れるものだったが、「道楽と職業」が最も楽しめた。

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    2017年08月21日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    高校生の頃に読んだ。終いまで鉛筆で手書きのルビがふってあった。でも内容が全然頭に残っていない。今読み返すと、須永が千代子に対して抱く嫉妬も含めた思いと、行動には移せない態度が我がことのように感じられた。宵子の亡くなる場面を描いた場面は、漱石の実体験を基にしたものだけに切なさが伝わってくる。序盤の敬太郎のエピソード、須永の長い独り語り、松本の締めくくりの話というのは、推理小説の謎解きのようで構成そのものを楽しめた。

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    2017年08月21日
  • 道草(新潮文庫)

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    解説から、これが漱石の完成された最後の小説であったことを知る。何故『道草』と題したのか? 妻にも子にも優しくできず、元の養親からは無心され、思うように生きられない苦しさが、目的地へたどり着けないもどかしさと重なったのだろうか。漱石の自叙伝でもある本作は、読み手にとっても苦しさ、やりきれなさを感じさせる。だから、途中から妻・鏡子の『漱石の思い出』を読み始めた。そこには多少なりとも温かい家庭人としての漱石が見出されて安心した。漱石の作品を通じて所々で味わう江戸言葉も良い。

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    2017年08月19日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    晩年の夏目漱石の随筆。死についての随筆が多い。太田達人との会話を契機に、美しい破滅や死 から 生への執着や則天去私へ 心境の変化が起きていると思う

    タイトルの意味は 狭い硝子戸の中にいる漱石の身近な出来事を筆に随って書いた本ということ

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    2017年08月11日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    夏目漱石は面白いと思うものと面白くないものが自分の中ではっきりしているのだけど、坑夫は何年か前に読んだ時はひどくつまらないと思って途中で読むのをやめてしまった作品だった。

    しかし何年かぶりに再読してみて、とても面白かった。
    ストーリーらしきストーリーがないという評判なのだけど、ストーリーらしいストーリーに食傷気味の自分にとっては、逆に興味深かった。

    人間は矛盾に満ちている、という主人公の考え方は、現代のアイデンティティみたいな概念に対するアンチテーゼとして読めた。日記のように淡々と進んで行くが、出てくる登場人物たちがみな生き生きしているように感じた。

    やっぱり、夏目漱石は読みを極めて行き

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    2017年08月09日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    「私は凡ての人間を、毎日々々恥を掻く為に生まれてきたものだとさえ考えることさえある」と綴っているが、凡ての人間とまでは言わなくても、殆どの人間は恥を感じることなく生きているように感じる。俺が感じている生き辛さの正体はまさしく生きていることが恥ずかしいという実感である。硝子戸の外に出ると、他(ひと)との交わりが意識の上に昇ってきて、他と話している自分の表情や発する言葉、全ての交わりがぎこちなく感じられて、生きていることが恥ずかしいと感じるのである。

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    2017年08月05日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    書かれた時代がバラバラで、順番も意図があるかは分からないが、夢十夜を除いてエッセイ集のような感じだった。夢十夜はたまらん

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    2017年07月26日
  • 三四郎

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    最初、ずーんと暗くて無理だと思ったが、
    読み進めるとくすぐったいような爽やかなような青春小説だった。これが所謂"エゴイズム"??

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    2017年07月25日
  • 道草(新潮文庫)

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    夏目漱石が伝えたかったのは 則天去私(私心を忘れて 天に任せる)だと思う。

    厄介な親類との陰鬱な心理戦が多いが、寂しさでスタートした物語が 妻と赤ちゃんの幸せのシーンで終わり、主人公の それでも 生きなきゃいけない というメッセージは感じた。タイトルから 考えると 道草をしたが、則天去私の境地で、落ち着くところに 落ち着いた ということだろう

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    2017年07月17日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    「野分」
    最初の「白井道也は文学者である」に 引き寄せられた。白井道也だけでなく 高柳君も 夏目漱石なのだろうか。「野分」は 夏目漱石の決意書であり、若い学者への職業論。最後の演説は 野分という言葉の通り、台風のような 強い言葉。風が吹くタイミングで ストーリーが転回している

    著者が文学者として伝えたかったのは 「文学は 人生そのものである〜苦痛であれ、困窮であれ〜それらをなめ得たものが 文学者である」

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    2017年08月03日
  • それから(漱石コレクション)

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    日本文学に手を出してみた。
    文章の美しさに触れたくて、あらすじをあらかじめ押さえてから読む。
    終盤にすすむにつれて、代助がだんだんと人間らしく強さと弱さを持つようになってくるのが面白い。
    解説を読んで当時の時代背景や小説の構造や用いられている暗喩を理解すると一層面白くなる。

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    2017年06月26日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    『野分』について

    小説の体を成していますが、思想的な主張の色彩が濃く表れています。

    学問とはかくあるべしと主張をする者と、それに共鳴する者が主軸になりますが、彼らが最後に報われるというわけではありません。その点で、理想を宣言しつつ、理想主義者が肩身の狭い思いをする現実を批判した作品のように思います。

    各々の言い分にうなずける部分があって、それぞれの主張の中間地点に、歩きやすい道があるんじゃないかと思ってしまいますが、その中途半端な考えは、彼らの方からするともっての他なのでしょう。

    幕引きが突然に訪れる感があります。その分劇的ですが、もう少し先まで顛末を知りたいと思いました。

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    2017年06月24日
  • 明暗

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    最長にして未完の絶筆。これはとてつもなく強烈。登場人物それぞれがそれぞれに感情移入できない不愉快さだし、そんな彼らの展開する会話劇がまたぐいぐいひりひり気分悪い。中途半端なところで終わっているものの、それがどうしたというくらいすごく面白い。それに比べて、いかに「こころ」が生ぬるいことか。最後の最後でこんなのを書いてしまうのだから漱石はすごい。

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    2017年06月03日
  • こころ

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    15年ぶり3度目くらい。
    漱石の中ではさして面白くないと改めて思う。代表作とされてるのは、単に、後期漱石としては圧倒的にシンプルで、読みやすい、教材として使いやすい、というだけなんじゃないだろうか。
    第3部の先生の遺書なんて、だらだら長くて辛気臭くてけっこうつらいもの。(漱石にしては面白くない、というだけで、十分に面白いのは間違いないのだけど)
    名作だ古典だとこれから入ってしまい、漱石嫌いになる人も多そう。もしそうなら読み手も漱石も作品もかわいそうだと思う。漱石はもっと面白いんだよ。

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    2017年05月16日
  • それから

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    明治末の「高等遊民」を主人公にした小説。夏目漱石の前期三部作の2作目。大きな筋は一種の恋愛小説であるが、社会との関係、友人との関係、家族との関係など、いろいろな要素が盛り込まれた小説となっている。
    主人公と立場・状況は違うが、アンニュイな気分など、主人公の考えに共感できる部分も少なくなく、100年前の小説とは思えない新鮮さがあった。

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    2017年05月14日
  • 虞美人草

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    すごく面白い。地の文は漢文調で読みにくいけど、それでもぐいぐい読ませる。
    虚栄と道義の対立、旧時代と新しい時代の相克、とかなんとかいろいろ読みはあるだろうけど、シンプルに「婚活小説」として読むのがいいと思う。見栄と打算と離層のせめぎ合いの中で、お互い探り合い位置どりする感じが、なんとも東京カレンダーのアレ的な下世話さでよい。
    漱石ってほんとすごいよなあ。

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    2017年03月25日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    全編穏やかで静かな文体ながら、内容は死を意識したものや、今は亡き人々の思い出が多い。
    中でも飼い犬のヘクトーの死は印象的。意外にも猫よりも犬が好きだったらしい。
    また夏目先生ともなると、さすがに様々な人から勝手なお願いをされることが多かったのだなと改めて知った。
    子供のころの思い出、両親とのこと、母への想いなども知ることが出来て、興味深かった。

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    2017年03月10日
  • 生れて来た以上は、生きねばならぬ―漱石珠玉の言葉―(新潮文庫)

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    単なる抜粋集なわけだが、成功していると思う。石原先生によれば、「漱石は「女の謎」を書き続けた作家である」。ていうか、石原先生流の『恋愛のディスクール』なのね。「ここのところ、読めますか?」みたいな。トイレとかに置いとくのがよい。

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    2020年06月15日