夏目漱石のレビュー一覧

  • 坑夫(新潮文庫)

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    夏目漱石は面白いと思うものと面白くないものが自分の中ではっきりしているのだけど、坑夫は何年か前に読んだ時はひどくつまらないと思って途中で読むのをやめてしまった作品だった。

    しかし何年かぶりに再読してみて、とても面白かった。
    ストーリーらしきストーリーがないという評判なのだけど、ストーリーらしいストーリーに食傷気味の自分にとっては、逆に興味深かった。

    人間は矛盾に満ちている、という主人公の考え方は、現代のアイデンティティみたいな概念に対するアンチテーゼとして読めた。日記のように淡々と進んで行くが、出てくる登場人物たちがみな生き生きしているように感じた。

    やっぱり、夏目漱石は読みを極めて行き

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    2017年08月09日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    「私は凡ての人間を、毎日々々恥を掻く為に生まれてきたものだとさえ考えることさえある」と綴っているが、凡ての人間とまでは言わなくても、殆どの人間は恥を感じることなく生きているように感じる。俺が感じている生き辛さの正体はまさしく生きていることが恥ずかしいという実感である。硝子戸の外に出ると、他(ひと)との交わりが意識の上に昇ってきて、他と話している自分の表情や発する言葉、全ての交わりがぎこちなく感じられて、生きていることが恥ずかしいと感じるのである。

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    2017年08月05日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    書かれた時代がバラバラで、順番も意図があるかは分からないが、夢十夜を除いてエッセイ集のような感じだった。夢十夜はたまらん

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    2017年07月26日
  • 三四郎

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    最初、ずーんと暗くて無理だと思ったが、
    読み進めるとくすぐったいような爽やかなような青春小説だった。これが所謂"エゴイズム"??

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    2017年07月25日
  • 道草(新潮文庫)

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    夏目漱石が伝えたかったのは 則天去私(私心を忘れて 天に任せる)だと思う。

    厄介な親類との陰鬱な心理戦が多いが、寂しさでスタートした物語が 妻と赤ちゃんの幸せのシーンで終わり、主人公の それでも 生きなきゃいけない というメッセージは感じた。タイトルから 考えると 道草をしたが、則天去私の境地で、落ち着くところに 落ち着いた ということだろう

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    2017年07月17日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    「野分」
    最初の「白井道也は文学者である」に 引き寄せられた。白井道也だけでなく 高柳君も 夏目漱石なのだろうか。「野分」は 夏目漱石の決意書であり、若い学者への職業論。最後の演説は 野分という言葉の通り、台風のような 強い言葉。風が吹くタイミングで ストーリーが転回している

    著者が文学者として伝えたかったのは 「文学は 人生そのものである〜苦痛であれ、困窮であれ〜それらをなめ得たものが 文学者である」

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    2017年08月03日
  • それから(漱石コレクション)

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    日本文学に手を出してみた。
    文章の美しさに触れたくて、あらすじをあらかじめ押さえてから読む。
    終盤にすすむにつれて、代助がだんだんと人間らしく強さと弱さを持つようになってくるのが面白い。
    解説を読んで当時の時代背景や小説の構造や用いられている暗喩を理解すると一層面白くなる。

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    2017年06月26日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    『野分』について

    小説の体を成していますが、思想的な主張の色彩が濃く表れています。

    学問とはかくあるべしと主張をする者と、それに共鳴する者が主軸になりますが、彼らが最後に報われるというわけではありません。その点で、理想を宣言しつつ、理想主義者が肩身の狭い思いをする現実を批判した作品のように思います。

    各々の言い分にうなずける部分があって、それぞれの主張の中間地点に、歩きやすい道があるんじゃないかと思ってしまいますが、その中途半端な考えは、彼らの方からするともっての他なのでしょう。

    幕引きが突然に訪れる感があります。その分劇的ですが、もう少し先まで顛末を知りたいと思いました。

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    2017年06月24日
  • 明暗

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    最長にして未完の絶筆。これはとてつもなく強烈。登場人物それぞれがそれぞれに感情移入できない不愉快さだし、そんな彼らの展開する会話劇がまたぐいぐいひりひり気分悪い。中途半端なところで終わっているものの、それがどうしたというくらいすごく面白い。それに比べて、いかに「こころ」が生ぬるいことか。最後の最後でこんなのを書いてしまうのだから漱石はすごい。

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    2017年06月03日
  • こころ

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    15年ぶり3度目くらい。
    漱石の中ではさして面白くないと改めて思う。代表作とされてるのは、単に、後期漱石としては圧倒的にシンプルで、読みやすい、教材として使いやすい、というだけなんじゃないだろうか。
    第3部の先生の遺書なんて、だらだら長くて辛気臭くてけっこうつらいもの。(漱石にしては面白くない、というだけで、十分に面白いのは間違いないのだけど)
    名作だ古典だとこれから入ってしまい、漱石嫌いになる人も多そう。もしそうなら読み手も漱石も作品もかわいそうだと思う。漱石はもっと面白いんだよ。

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    2017年05月16日
  • それから

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    明治末の「高等遊民」を主人公にした小説。夏目漱石の前期三部作の2作目。大きな筋は一種の恋愛小説であるが、社会との関係、友人との関係、家族との関係など、いろいろな要素が盛り込まれた小説となっている。
    主人公と立場・状況は違うが、アンニュイな気分など、主人公の考えに共感できる部分も少なくなく、100年前の小説とは思えない新鮮さがあった。

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    2017年05月14日
  • 虞美人草

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    すごく面白い。地の文は漢文調で読みにくいけど、それでもぐいぐい読ませる。
    虚栄と道義の対立、旧時代と新しい時代の相克、とかなんとかいろいろ読みはあるだろうけど、シンプルに「婚活小説」として読むのがいいと思う。見栄と打算と離層のせめぎ合いの中で、お互い探り合い位置どりする感じが、なんとも東京カレンダーのアレ的な下世話さでよい。
    漱石ってほんとすごいよなあ。

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    2017年03月25日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    全編穏やかで静かな文体ながら、内容は死を意識したものや、今は亡き人々の思い出が多い。
    中でも飼い犬のヘクトーの死は印象的。意外にも猫よりも犬が好きだったらしい。
    また夏目先生ともなると、さすがに様々な人から勝手なお願いをされることが多かったのだなと改めて知った。
    子供のころの思い出、両親とのこと、母への想いなども知ることが出来て、興味深かった。

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    2017年03月10日
  • 生れて来た以上は、生きねばならぬ―漱石珠玉の言葉―(新潮文庫)

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    単なる抜粋集なわけだが、成功していると思う。石原先生によれば、「漱石は「女の謎」を書き続けた作家である」。ていうか、石原先生流の『恋愛のディスクール』なのね。「ここのところ、読めますか?」みたいな。トイレとかに置いとくのがよい。

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    2020年06月15日
  • 三四郎

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    高校の授業でこころをやって以来2作目の夏目漱石。ストーリーをなぞるだけでは漱石の伝えたいことを汲み取ることができないのだろうなと思いながらも、隠されたメッセージを受け取ることは難しかった。解説を読んで、近代以降の自我を持つようになった女性との恋愛をどうするべきか示唆しているのだとわかった。
    三四郎の平凡であるが故の魅力は読みながらも感じていた。
    時間を置いてからもう一度読めばまた新たな発見がありそうだと感じた。

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    2017年02月02日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    夏目漱石の、随筆としては最後の物ということだ。
    “随筆としては”ということわり書きは、その後に「道草」と「明暗」が書かれているからということ。

    風邪で寝込んで、硝子戸の中から外を見ている…という心持なのだが、内容は、今見ている物というより、回顧録に近い。
    とりとめない。

    写真に撮られるときに笑わなくてはいけないことへの抵抗感。
    ヘクトーという名の犬の事。猫が有名になったけど、本当は犬の方が好きなのだと知人に漏らす。
    身の上話をする女。
    作品を見て欲しいという人たち。実は「どこかに掲載して欲しい」つてを求めているのが真実。
    厚かましく、しつこい依頼をする男(頭おかしいな。漱石先生かわいそう)

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    2017年02月02日
  • 三四郎

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    てっきり姿三四郎の話だと思っていたのですが、全く違ったんですね。恥ずかしい。

    物語は純粋な三四郎の心の動き襞を克明に描写しながら進む。現代では、こんな恋愛あり得るのかと思うところは多々あるが、案外変わってないかなと思うところもある。なんだか愛おしく見守ってあげたい気持ちになりました。

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    2017年01月21日
  • 草枕

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    有名な智に働けば角が立つから始まる作品。俳句的な文体、漢文調で書かれているので、ややとっつきにくいが、ならてくればその独特の文体の世界を味わうことができる。新潮文庫解説の柄谷行人によれば、過去を切り捨てた近代文学に対しあくまでもそれらとともにあろうとした漱石。何かを表現しようとするのではなく、文体そのものを味わうことを求めた。筋自体も何かを表現しようとした刹那、宙ぶらりんのまま別の話に推移しており、独特な感覚を覚える。

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    2017年01月03日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    初読時のような感興は得られず。
    寧ろ、奥歯に物が挟まったような言い方、悟ったふり、今風に言えば天然ぶっているような。
    好きではある。

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    2016年12月28日
  • それから

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    夏目漱石作品に外れなし‼︎の私としてはうーん今回の話はいまいちかなーと思ったけど終わり方が想定外で吃驚。

    そしてこの題名である。
    鳥肌が立った。


    ずーっと気になってたんです。
    この題名の意味するところはなんだろうと。

    まさかのまさかでした。
    題名だけで星1つ分増えた。

    そして『門』へ続く…か。


    今からだと気が急いでしまうから来年またゆっくり読もう。

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    2017年01月30日