夏目漱石のレビュー一覧
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夏目漱石は面白いと思うものと面白くないものが自分の中ではっきりしているのだけど、坑夫は何年か前に読んだ時はひどくつまらないと思って途中で読むのをやめてしまった作品だった。
しかし何年かぶりに再読してみて、とても面白かった。
ストーリーらしきストーリーがないという評判なのだけど、ストーリーらしいストーリーに食傷気味の自分にとっては、逆に興味深かった。
人間は矛盾に満ちている、という主人公の考え方は、現代のアイデンティティみたいな概念に対するアンチテーゼとして読めた。日記のように淡々と進んで行くが、出てくる登場人物たちがみな生き生きしているように感じた。
やっぱり、夏目漱石は読みを極めて行き -
Posted by ブクログ
『野分』について
小説の体を成していますが、思想的な主張の色彩が濃く表れています。
学問とはかくあるべしと主張をする者と、それに共鳴する者が主軸になりますが、彼らが最後に報われるというわけではありません。その点で、理想を宣言しつつ、理想主義者が肩身の狭い思いをする現実を批判した作品のように思います。
各々の言い分にうなずける部分があって、それぞれの主張の中間地点に、歩きやすい道があるんじゃないかと思ってしまいますが、その中途半端な考えは、彼らの方からするともっての他なのでしょう。
幕引きが突然に訪れる感があります。その分劇的ですが、もう少し先まで顛末を知りたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
夏目漱石の、随筆としては最後の物ということだ。
“随筆としては”ということわり書きは、その後に「道草」と「明暗」が書かれているからということ。
風邪で寝込んで、硝子戸の中から外を見ている…という心持なのだが、内容は、今見ている物というより、回顧録に近い。
とりとめない。
写真に撮られるときに笑わなくてはいけないことへの抵抗感。
ヘクトーという名の犬の事。猫が有名になったけど、本当は犬の方が好きなのだと知人に漏らす。
身の上話をする女。
作品を見て欲しいという人たち。実は「どこかに掲載して欲しい」つてを求めているのが真実。
厚かましく、しつこい依頼をする男(頭おかしいな。漱石先生かわいそう)