夏目漱石のレビュー一覧
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ネタバレ途中から一気に引き込まれて全部読んでしまった。自分の感覚でいくと、遠距離で、しかも5年も会ってないのであれば、そりゃ気持ちなんて変わって当然だろう、と思う。
ただ、それがいかに無理のある婚約だとしても、人にそれを伝えにいかせるのは小野さんのずるさであって、井上先生がキッパリ怒るのはよかったです。
藤尾さんはプライドが高く、素直じゃないけど、心から小野さんを愛していたようにみえ(それはけして打算ではなく)、プライドが傷ついたから自殺した、ではないと感じました。そして小野さんも藤尾さんの気高さとか美しさに心から惹かれていたのでは。
感じたことは、この時代では結婚って当事者の気持ちより、親の約束や建 -
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漱石の本を5冊ほど読みました
語弊を恐れず言うと現代人からすると、漱石の中でも特に読み辛い本だと思います(追記:後日読んだ漱石入門の本でも難しい部類に分けられ強ち間違いではないかと思いました)
文語体であること、漢学表現に富み教養がなければ想像しにくいこと、何か刺激の強いドラマチックなストーリーではないことなど、他人にオススメできる要素は正直ありません
ですが、それでも私が読んで良かったと思えるのは、話の冒頭と終わりのテンポとキレの良さ。
あとは漱石の人柄が知れたことかなと思います。
元来気性の荒い人だったそうですが、、、草枕全編を通して、自然主義文学や近代小説への批判ともとれる主人公を -
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のつこつと読んだ。 昔いっぺん読んだことがあって、浜寺の料亭の場面だけが印象に残ってて、そこを確認したくって読んだら、かなり前の方にでてきてほんの数行だけやった。あとはほとんど忘れていてまるで初めて読む気分。 病院の場面が面白いっていうか映像として想像つかない。病室は畳張りで布団やったんやろうか。それやったら靴は何処で脱いでたんやろうかとか。どうも看護婦さんはそれぞれ専属で部屋の前の廊下で待機してるみたいな。声がかかるまで柱にもたれて本を読んで時間潰してる表現があったり、その看護婦さんに病人のこと聞いたら何でも教えてくれてプライバシーダダ漏れやったり。
その上病人の都合で入院したり退院したり。 -
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古本屋で1983年出版のこちらを発見し手に取ってみた。
私の中の夏目漱石といえば写真のイメージのみで、はっきりとこの作品読んだといえるものはない。
中でもこちらはエッセイで新聞に掲載されたものだそう。
読み始めて、驚いた。
いくら現代語訳されたものとはいえ、1933年ごろに書かれたとは思えないくらいスラスラと読める。単純に面白い。
堅苦しい難しい言葉の羅列など一切なく、夏目漱石の過去の思い出、部屋に出入りした人とのやりとりなど回顧録の形を取っている。読んでいて夏目漱石の人柄がプラスになった。気難しく繊細なイメージだったが、気の利く(というより効かせすぎる?)、優しいおじいちゃん、と言った感じ。 -
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漱石の朝日新聞社員としての処女作。
発表当時に都内で開かれていた東京勧業博覧会の様子や、直前に旅した京都の様子などを織り交ぜて当時の一般大衆にとっても面白い読み物にしつつ、エリート・漱石らしい知識や美麗字句が散りばめられた小説。とても面白かった!
糸ちゃんは甲野さんとくっつけてよかったし、甲野さんは糸ちゃんとなら幸せになれそう。宗近が言っていた「糸公は君の知己だよ。御叔母さんや藤尾さんが君を誤解しても、僕が君を見損なっても、日本中が悉く君に迫害を加えても、糸公だけは慥かだよ糸公は学問も才気もないが、よく君の価値を解している。糸公は金が一文もなくっても堕落する気遣のない女だ。」は本当にそうだと思 -
漱石といえば
三角関係
これに該当しない、こころ、と坊ちゃんが教科書の
素材として多用されているのはご存知の通り。
猫の話もありますが、あれは習作。
まあ、面白いですが、どれ、読み手の方々を楽しませてやろう、
と気合入れてる様子が浮かぶくらい、書いていて楽しんでる
様子が目に浮かぶようです。
今日では三角関係と呼べるか怪しいくらい淡白な話ですが、
虞美人草に繋がる習作と考えると、これはこれで有りかと。
虞美人草読んだこと無いなら、一読をおすすめしときます。
お好みで。
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「略奪婚の先に幸せはあるのか?」と本の裏表紙に書かれているけど、そこがテーマなのか?と個人的には思った。
むしろ幸せの有無というよりは、そこからくる罪悪感との向き合い方を描いた作品じゃないかなぁ。
巻末の解説がとても的を射ている。同じ出来事に対する罪悪感の違い。御米は自責の念から子供ができないことを天罰だと思い苦しみ、宗助は略奪した相手に対する罪悪感を感じている。
その対応の仕方もそれぞれ違う。御米は宗助に打ち明けることでどこか少し軽くなったような気がする。かたや宗助は誰にも打ち明けられず、一人でなんとかしようと寺にまで赴くが、結局は何かを得るわけでもなく、ただ時が経ちその場をやり過ご -
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ネタバレ以前に授業で読んだ印象と、今回読んだ印象は違った。例えば、三角関係よりも先生の「こころ」の内のドロドロとした感触が印象に残った。
「私の心臓を立ち割って、温かく流れる血潮を啜ろうとしたからです。~中略~私は今自分で自分の心臓を破って、その血をあなたの顔に浴びせかけようとしているのです。私の鼓動が停った時、あなたの胸に新しい命が宿る事ができるなら満足です。」149p
そして、明治と現代の空気感の違いも新鮮だった。西洋文化を取り入れることが「エリート」の条件で和風を少し見下した論調や家父長制に見られるジェンダー意識など当時を反映した作品を読む体験ができたのは一つの収穫だと思う。 -
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「夢十夜」。
黒澤明監督「夢」の元となった、「こんな夢を見た」で始まる(実際には前半のお話だけだけど)不思議な十篇の物語。
「文鳥」。
細部にわたる情景や心情などのうつろいの描写に感嘆した。ひょっとしたら初めて夏目漱石の偉大さにふれたかもしれない。
「永日小品」。
随筆とも短編ともつかない、落語の小噺のようで、それでいて漱石の身の回りを語ったものもあり、お話が詰まったショートショート。漱石の才能に振り回される。
ページ数は少ないが、声に出してみるようにゆっくり読むのがおすすめ。
正直、教科書から出ることなくなじめなかった漱石のイメージが、変わった。