夏目漱石のレビュー一覧

  • 三四郎

    購入済み

    広田先生や与次郎の描き方

    10年以上前に発表された小説なのだが、青春恋愛ものという普遍的なテーマを扱っているせいか古さを感じさせない。三四郎や美禰子の造形も相当に良いが、広田先生や与次郎の描き方がとても面白い。初期の作品の「吾輩は猫である」や「坊っちゃん」で大いに発揮されたユーモアがまだまだ残っているところが嬉しい。この作品でヘリオトロープを覚えた。

    0
    2024年06月08日
  • こころ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    漱石の後期三部作の第三作。

    書生の「私」は、鎌倉の海水浴場で出会った「先生」の不思議な人柄に強く惹かれ、先生のもとに通うようになる。
    そして、「先生」が、恋人を得るため親友Kを裏切り、彼を自殺に追い込んだ過去は、先生の遺書によって「私」に明かされてゆく。

    下宿先の一人の女性「お嬢さん」に恋をした、親友どうしの「先生」とK。
    Kがその胸の内を先生に打ち明けたにもかかわらず、先生はそれを握りつぶし、お嬢さんに結婚を申し入れる。
    親友に裏切られ、恋に敗れたKは失意のうちに自殺する。
    以後、先生は、自分がKを死に追いやったと罪悪感に苛まれ続ける。
    「私」の目に世捨て人のように見えた先生は、お嬢さんと結ばれたにもかかわらず、この暗い過去のため、「死人のようにして」暮らしていたのだった…。

    主人公が交代しながらも一貫して自我の苦悩を捉え続けてきた三部作ですが、ここへきて主人公が自殺してしまうという事態に。
    「私は淋しい人間です」と言って静寂のうちに暮らす先生はひたすらに孤独。
    誰にも相談できないでいた先生が、唯一その内心を明かせたのは「はらの底から真面目な」書生の「私」だった。
    抱えきれないほどの痛みに、人はどう向き合うのか。
    漱石が対峙し続けた問いは、今なお読者に響く。

    0
    2024年06月07日
  • 草枕

    購入済み

    文化論社会論

    冒頭部分の名セリフから始まって語り口の良い名文句が並んでゆく。当時としては進んでいたであろう直裁的な語り口が現在読んでも心地よい。もっとも現在では全く使われなくなった漢語が多いので突っかかるところは多いが。ストーリーはそれほど凝ったものではなく、漱石自身の文化論社会論として読むべき作品かと思う。

    0
    2024年06月07日
  • 三四郎

    Posted by ブクログ

    恋の駆け引きはやはり自分の性に合わないとしか言いようがない。ぶつかって玉砕しても、仕方ないからといってはずれた形に収まりたくはない。

    0
    2024年05月28日
  • 門

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最初の方でごく普通のように見えながら少し不穏な家庭の様子が書かれていましたが、後になってその秘密がわかりました。秘密が分かってからは日常のような場面でもかなり怖く感じます。
    最初からずっとあったわだかまりは結局消えないまま残っていたのもまた恐ろしかったです。

    0
    2024年05月27日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

    Posted by ブクログ

    絵が綺麗で気になっていたシリーズ。
    昔の話というのもあるので、絵があると情景が想像できてよいですね。
    お話は第一夜がお気に入りです。とても美しいお話だなと感じました。
    不思議で難解ですが、そこがまた解釈が分かれて想像力がかきたてられます。
    第九夜も、悲しいお話だけれど好きです。
    わからないもの、というのは自分の想像によって自由に変えることができる。
    というのが面白いなと思います。

    0
    2024年05月11日
  • それから(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    最後の方の展開に釘付けになり、本から手が離れなくなるような不思議な感覚。数年経ってからもう一度読みたいと思う。感情の描き方が、理屈チックでありながらも秀逸。さすが漱石、表現が巧くて脱帽。

    0
    2024年05月08日
  • それから(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    親の脛をかじり悠々自適に暮らして来た代助。金に困らぬ故か、冷静かつ平常心でいる事を常としていた。
    が、平岡夫妻が上京し、三千代が不幸と知る。三千代へ気遣っているうちに、次第に慕情が募ってくる経過が見事だ。あの代助が、三千代の為なら今までの自分を全て捨てて一緒にいたいと。
    最後は、果たして代助と三千代は一緒になれるのか不安な終わり方で、読者に委ねる形か。後半から夢中で読んだ。

    0
    2024年05月03日
  • 私の個人主義

    購入済み

    色々と自分のみの処し方や今後について悩んでいたので、励みになった。徹底的に自己本位でやってみて腹の底から納得することが肝要だ。

    0
    2024年08月17日
  • 坑夫(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    最初に読んだときは、…???
    さっぱり意味がわかりませんでしたが、解説を読んでから読み直すとすらすらと読めるようになりました。

    特別な事件が起こる訳ではありません。
    いま流行りの伏線回収もありません。
    何かの意味や、コスパを求めて読む人には向いていないかもしれません。

    それでも本書を読み終えると何か〈文学〉を読んだという感じで満たされます。

    主人公が〈地獄の三丁目〉で見たものとは?そこで下す決断とは?
    華厳の滝で「立派」に死ぬことなのか、それとも現実社会で生きてゆくことなのか…。

    漱石先生の隠れた名作だと思います。

    0
    2024年04月21日
  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    夏目漱石の小品集ですね。
    7篇の作品集です。
    朝日新聞社の依頼で執筆されたそうです。
     
      文鳥
      夢十夜
      永日小品
      思い出す事など
      ケーベル先生
      変な音
      手紙

    小品と書きましたけど、私は随筆と思って読んでいました。
    解説の三好行雄さんは『日本の近代文学には〈小品〉と呼び慣わされた独自のジャンルがある。小説ともつかず、感想ともつかず、いわば短編小説と随筆との中間にひろがる曖昧な領域なのだ。』と位置付けされています。
    漱石もモーパッサンの短編小説『二十五日間』を〈小品〉と呼んでいるそうです。
    また、この小品集を三好行雄さんは、「漱石の〈私小説〉と呼んでよいかもしれない」とも語られています。
    確かに読んでいて、随筆とはおもむきが異なるようです。筋書きがしっかりしていて、物語性を感じますね。それだけ読むのが楽と言うか、読み進め易さがあります。もともと、漱石の文章は、私には親しみ易さを感じてもいましたが、漱石自身の〈私小説〉ならば余計に親近感が湧くのは当然の事でしょう。
    ともあれ、この『小品集』は面白かったです。何回読んでも味が有ります。出版社も様々出ていますので、それぞれで読み直せるのも醍醐味ですね。

    0
    2024年04月14日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    猫が人間のように人間を批判するのがおもしろい。実際に猫はこんなことを考えているんだろうかと思った。しっかりとオチがあって読後の感覚もよかった。題名は英語なら、I am a cat(吾輩は猫である)となる。人間が主猫公(動物だから主人公はおかしいかもしれない)と同じように語ったら、見下す感じになるかもしれないが、猫が語ることによって、鮮やかに受け入れられやすいものとして読むことができる。

    0
    2024年04月09日
  • 門(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    "こころ"で夏目漱石に惹かれて、内容もわからずとりあえず読んだ一冊。
    起承転結がはっきりしているSFが好きな私でも、日常に潜む些細な感情を独特なセンスで表現している本書に読む手が止まらなかった。宗助と御米との幸せな夫婦生活の裏にある確かな影が人生の儚さと奥ゆかさを感じさせられた。タイトルにもある"門"と宗助との繋がりも読んでいただきたい。

    0
    2024年04月07日
  • 坊っちゃん 9

    Posted by ブクログ

    言わずと知れた夏目漱石の名作。児童用にまとめられており、挿絵もカラーで資料も豊富に揃っているので、極めて読みやすい。こんな本が自分の子供時代にも欲しかった。

    0
    2024年03月23日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

    Posted by ブクログ

    夏目漱石先生+しきみさんのコラボ!即購入しました。イラストが凄く綺麗。鑑賞用として買っても後悔しないと思う。小説を読んでいても思ったけど、やっぱり夏目漱石先生の文章って凄く言葉遣い良いですよね。全巻集めたいけど、結構な値段するので月に一度のペースで買おうと思っています。シリーズの名前が凄く尊い。乙女の本棚、最高。

    0
    2024年03月20日
  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    夢十夜目当てで読んだら意外と長かった。
    思い出す事など、が結構好き、意図してないタイミングで好きになる作品って運命感じて好きよ

    0
    2024年03月13日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    大事なことがいっぱい書いてあった
    夏目漱石さんがご存命の時代から今まで、何ら変わってないんだな。、、

    0
    2024年03月03日
  • 虞美人草

    Posted by ブクログ

    中盤こえるくらいまでやたらと難しい言い回しがくどくどと続く印象。漢籍や西洋の書籍からの引用が多いとかそういう話ではない。解説で、正宗白鳥は今作を批判したと読んだが、わからんでもない。
    しかし終盤になると俄かに展開が速まり、筋に重きを置いたからなのか、格段と読みやすくなった。小野さんが突如として「真面目」になったのには少し狐に摘まれた感じがしたが、宗近一の言葉はなるほど人を動かす熱さがある。思わずじんと来た。
    これまでに漱石の作品は『吾輩は猫である』『坊っちゃん草枕』『彼岸過迄』『こゝろ』『明暗』を読んだが、どれもそれぞれに特徴があっておもしろい。向田邦子の文章も好きだが、あの人のは反対にどれを読んでも変わり映えしないので、その対比からなおさら作品によって表情の違うのが面白く感じた。
    解説によると、正宗白鳥は今作を説教くさいというような趣旨で批判したらしい。正宗白鳥の作品は『入江のほとり』を岩波文庫で読んだくらいだが、割と好き。しかし正宗白鳥が批判する今作も別の味があってよい。どの作家も同じ文章書き始めたら世も末。あまんきみこじゃないが、みんな違ってみんないい。

    莫邪路と干将路というのが蘇州市内にあり、どっかの将軍(干将)と悪玉の親分(莫邪)の故事でも引いているのかと当時思っていたが、なるほど干将は剣匠でその妻が莫邪というのかと今作の註釈を読んではじめて知った。

    0
    2024年03月18日
  • 硝子戸の中

    Posted by ブクログ

    がらすどの「うち」 と読む方がいいようだ。
    漱石がすでに亡くなった親族のこと、昔住んでいた場所のこと、犬猫のこと…と身近な材料で語る。

    印象的だったのは、妻と喧嘩していたり、義理で引き受けた講演会の謝礼が届いてなんかイラッとしたりする、めんどくさおじさんの漱石が透けて見える箇所と、死に美しさを感じながらも生に固執もしてしまう中で、とある女性に「そんなら死なずに生きていらっしゃい」と声をかけるところ…。

    0
    2024年02月27日
  • こころ

    購入済み

    自分のアタッチメント障害から漱石もそれ患っていたことを知り、再読する。
    学生時代以来、ウン十年ぶり。

    アタッチメント障害からの観点での感想ですが、登場人物の心理描写が私の考え方に酷似する場面が多々あり、漱石の経験をもとにしての事ならば自分と同じ思いをしていたのかと親近感が湧く。
    アタッチメント障害の若者が増えている現代において、登場人物がなぜあのような結末を選択したか、昔よりも共感できる人は増えているのではないかと思う。

    #共感する

    0
    2024年02月15日