無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
夏目漱石が学習院大学で講演した内容をまとめた本。漱石自身が悩み抜いた人生について、わかりやすく伝えている。自分に刺さる部分が多い。
教師に向いてないのに教師の職に就いて、心の中は不本意なことをしているとなんだか煮え切らない気持ちでいっぱいなところも、悩んで書物を読み漁るところも自分と重なる。
結局、漱石はこうした懊悩を経て、自己本位の4文字を手にし、自分で概念を作り上げる必要があることを認識し、ここに目指すべきところがあったと自覚していく。
自分も今まさに悩み抜いているのであるが、漱石のように自己の道を切り開いていけるのかと考えさせられた。数年後の自分と比較して、答え合わせをしたい。
Posted by ブクログ
「もしあなたがたのうちですでに自力で切り開いた道を持っているかたは例外であり、また他(ひと)の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとはけっして申しませんが、(自己に安心と自信がしっかり附随しているならば、)しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分の鶴嘴で掘り当てる所まで進んで行かなくっては行けないでしょう。
行けないというのは、もし掘りあてることができなかったなら、その人は生涯不愉快で、終始不愉快で、終始中腰になって世の中にまごまごしていなければならないからです。」本文より
ためになる内容だった。
繰り返し読んで自分の中に落とし込みたい。
Posted by ブクログ
私の個人主義
著:夏目 漱石
紙版
講談社学術文庫 271
夏目漱石の講演をまとめたものであるが、かなり読みにくい。けっこう難渋しました。
複文、重文のかたまりであり、かなり時間がかかりました。
明治という、近代化を始めたばかりの日本にある、自立と開化の雰囲気がよいとおもいました。
気になったのは以下です。
■道楽と職業
・こと昔の道徳観や昔気質の親の意見やまたは一般世間の信用などからいいますと、あの人は家業に精を出す、感心だと褒めそやします。いわゆる家業に精を出す感心な人というのは取りも直さず真っ黒になって働いている一般的の知識の欠乏した人間にすぎないのだからおもしろい
・職業というものは要するに人のためにするものだという事に、どうしても根本義をおかねばなりません。人のためにする結果が己のためになるのだから、元はどうしても他人本位である。
■現代日本の開化
・要するに、2つの乱れたる経路、すなわちできるだけ労力を節約したいという願望から出て来る種々の発明とか器械力とかいう方面と、できるだけ気儘に勢力を費したいという娯楽の方面、これが経となり緯となり千変万化錯綜して現今のように混乱した開化という不思議な現象ができるのであります
・現代の日本の開化は前に述べた一般の開化とどこが違うかというのが問題です。
西洋の開化は内発的であって、日本の開化は外発的である。
ここに内発的というのは、内から自然に出て発展するという意味でちょうど花が開くようにおのずからつぼみが破れて花弁が外に向かうをいい、また外発的とは外からおっかぶさった他の力で已むをえず、一種の形式を取るのを指した積なのです
・もう一口説明しますと、西洋の開化は行雲流水のごとく自然に働いているが、御維新後外国と交渉を付けた以後の日本の開化は大分勝手が違います。
・学者は解ったことを分かりにくく言うもので、素人は分からない事を分かったように呑込んだ顔をするものだから非難は五分五分である
■中身と形式
・相手を研究し相手を知るというのは離れて知るの意でその物になりすましてこれを体得するのとは全く趣が違う。いくら科学者が綿密に自然を研究したって、必竟するに自然は元の自然で自分も元の自分で、決して自分が自然に変化する時期が来ないごとく、哲学者の研究もまた永久局外者としての研究で当の相手たる人間の性情に共通の脈を打たしていない場合が多い
・なおこの理を適当に申しますと、いくら形というものがはっきり頭に分かっておっても、どれほどこうならなければならぬという確信があっても、単に形式の上でのみ纏まっているだけで、事実それを実現してみない時にはいつでも不安心のものであります。
・要するに、形式は内容のための形式であって、形式のために内容ができるのではないというわけになる。
もう一歩進めていいますと、内容が変われば外形というものは自然の勢いで変わってこなければならぬという理屈にもなる
・一言にしていえば、明治に適切な型というものは、明治の社会的状況、もう少し進んで言うならば、明治の社会的状況を形作るあなた方の心理状態、それにピタリと合うような、無理の最も少ない型でなければならないのです。
■文芸と道徳
・近年文芸の方で、浪漫主義及び自然主義、すなわち、ロマンチシズムと、ナチュラリズムという2つの言葉が広く使われてまいりました
・今日の有様では道徳と文芸というものは、大変離れているように考えている人が多数で、道徳を論ずるものは、分限を談ずるをいさぎよしとせず、また文芸に従事するものは、道徳以外の別天地に起臥しているように独り極めて悟っているごとく見受けますが、けだし、両方とも嘘である。
■私の個人主義
・自力で切り開いた道を持っていく方は例外であり、また他の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとは決して申しませんが、しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分のつるはしで掘り当てる所まで進んでいかなくってはいけないでしょう
・第一に、あなた方は自分の個性が発展出来るような場所に尻を落ち付けべく、自分とぴたりと合った仕事を発見するまで邁進しなければ一生の不幸であると。
しかし、自分がそれだけの個性を尊重し得るように、社会から許されるならば、他人に対してもその個性を認めて、彼らの傾向を尊重するのが理の当然になってくるでしょう
・我々は、他が自己の幸福のために、己の個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。
・私のここに述べる個人主義というものは、決して俗人の考えているように国家に危機を及ぼすものでも何でもないので、他の存在を尊敬すると同時に自分の存在を尊敬するというのが私の解釈なのですから、立派な主義だろうと私は考えているのです。
目次
この本によせて
1 道楽と職業
2 現代日本の開化
3 中味と形式
4 文芸と道徳
5 私の個人主義
ISBN:9784061582712
出版社:講談社
判型:文庫
ページ数:170ページ
定価:660円(本体)
1978年08月10日第1刷
2018年04月17日第81刷改版発行
2020年09月15日第83刷
Posted by ブクログ
(2018年2月のブログ内容を2020年11月に転記したものです)
夏目漱石は英文学を専攻し、学校は出たものの、文学とは何かということをつかめず、悶々とする日々を送っていました。幸いにも教師の職にはありつきましたが
“「その日その日はまあ無事に済んでいましたが、腹の中は常に空虚でした。空虚ならいっそ思い切りが好かったかも知れませんが、何だか不愉快な煑え切らない漠然たるものが、至る所に潜んでいるようで堪らないのです。」。”
そして、ついにはロンドンに留学したが、分からない。しかし、そうしているうちについに分かったのです。「文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自分で作り上げるより外(ほか)に」途(みち)はない。当時は文学といえば、外国の評論家が別な外国人の文筆家を批評していったことをそのままコピーして吹聴してまわってありがたがるということが多かったのです。
逆に、漱石は、ついに、自分の文学は自分で作るという境地「自己本位」に行きついたのです。自己本位、自分が右だといえば、他人が左だといえども曲げる必要はない。といことです。ある評論家がある文学についてこうだといったからといって、自分が反対の意見を持ったとしてもよいし、むしろ、自分だけが持てる意見を大事にしなければいけないということに気が付いたのです。
こういうと、「自分勝手」と誤解されてはいけないのですが、その点についても夏目漱石は論考しています。他の人が同じように自由に考えることを阻害してはならないという形でなされなければならない。
“「我々は他が自己の幸福のために、己れの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。」”
現代の私たちにとってはとても当たり前のことのように思えますが、実践できている人となると、どれくらいいるでしょうか。漱石は「妨害」してしまう要因として「お金」と「権力」を挙げています。そして、自分がこれを持つ立場になったときには気をつけよと論じています。人は生活するうえで、権力やお金をもつ立場に立ってしまうのは仕方ないものですが、そうした場合、知らず知らずのうちに、他人の「自己本位」を妨害してしまいかねない。これに気を付けてさえいれば、自分を自分の考えで満たすことに全力で取り組むべきであると、若者に向けて語っています。
漱石はその後帰国した後、自分の思うように職が得られない時も、神経衰弱になった時も、この「自己本位」という言葉(概念)が胸にあったため、不思議と気に病むことなく、生活を送ることが出来たといいます。
自分が何者なのか、見つけられるきっかけは突然訪れます。それを個人の経験に照らしながら、醸成していくのが、人生ということでないでしょうか。性自認に限ってみても、体と反対の性であるとか、性の境界であるといった場合の自分の位置づけは、なかなか定まるものではないでしょう。
各々が作り上げて発信していく、その一端を担う仕事ができたら、それがわたしに直結する自己本位ということなのだろうと、思っています。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
少年・青年マンガ
少年・青年マンガ
少年・青年マンガ
少年・青年マンガ
小説・文芸
試し読み
小説・文芸
試し読み
小説・文芸
試し読み
小説・文芸
試し読み