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文豪漱石は、座談や講演の名手としても定評があった。身近の事がらを糸口に、深い識見や主張を盛り込み、やがて独創的な思想の高みへと導く。その語り口は機知と諧謔に富み、聴者を決してあきさせない。漱石の根本思想たる近代個人主義の考え方を論じた「私の個人主義」、先見に富む優れた文明批評の「現代日本の開化」、他に「道楽と職業」「中味と形式」「文芸と道徳」など魅力あふれる5つの講演を収録。
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Posted by ブクログ
「もしあなたがたのうちですでに自力で切り開いた道を持っているかたは例外であり、また他(ひと)の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとはけっして申しませんが、(自己に安心と自信がしっかり附随しているならば、)しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分の鶴嘴で掘り当て...続きを読むる所まで進んで行かなくっては行けないでしょう。 行けないというのは、もし掘りあてることができなかったなら、その人は生涯不愉快で、終始不愉快で、終始中腰になって世の中にまごまごしていなければならないからです。」本文より ためになる内容だった。 繰り返し読んで自分の中に落とし込みたい。
私の個人主義 著:夏目 漱石 紙版 講談社学術文庫 271 夏目漱石の講演をまとめたものであるが、かなり読みにくい。けっこう難渋しました。 複文、重文のかたまりであり、かなり時間がかかりました。 明治という、近代化を始めたばかりの日本にある、自立と開化の雰囲気がよいとおもいました。 気になった...続きを読むのは以下です。 ■道楽と職業 ・こと昔の道徳観や昔気質の親の意見やまたは一般世間の信用などからいいますと、あの人は家業に精を出す、感心だと褒めそやします。いわゆる家業に精を出す感心な人というのは取りも直さず真っ黒になって働いている一般的の知識の欠乏した人間にすぎないのだからおもしろい ・職業というものは要するに人のためにするものだという事に、どうしても根本義をおかねばなりません。人のためにする結果が己のためになるのだから、元はどうしても他人本位である。 ■現代日本の開化 ・要するに、2つの乱れたる経路、すなわちできるだけ労力を節約したいという願望から出て来る種々の発明とか器械力とかいう方面と、できるだけ気儘に勢力を費したいという娯楽の方面、これが経となり緯となり千変万化錯綜して現今のように混乱した開化という不思議な現象ができるのであります ・現代の日本の開化は前に述べた一般の開化とどこが違うかというのが問題です。 西洋の開化は内発的であって、日本の開化は外発的である。 ここに内発的というのは、内から自然に出て発展するという意味でちょうど花が開くようにおのずからつぼみが破れて花弁が外に向かうをいい、また外発的とは外からおっかぶさった他の力で已むをえず、一種の形式を取るのを指した積なのです ・もう一口説明しますと、西洋の開化は行雲流水のごとく自然に働いているが、御維新後外国と交渉を付けた以後の日本の開化は大分勝手が違います。 ・学者は解ったことを分かりにくく言うもので、素人は分からない事を分かったように呑込んだ顔をするものだから非難は五分五分である ■中身と形式 ・相手を研究し相手を知るというのは離れて知るの意でその物になりすましてこれを体得するのとは全く趣が違う。いくら科学者が綿密に自然を研究したって、必竟するに自然は元の自然で自分も元の自分で、決して自分が自然に変化する時期が来ないごとく、哲学者の研究もまた永久局外者としての研究で当の相手たる人間の性情に共通の脈を打たしていない場合が多い ・なおこの理を適当に申しますと、いくら形というものがはっきり頭に分かっておっても、どれほどこうならなければならぬという確信があっても、単に形式の上でのみ纏まっているだけで、事実それを実現してみない時にはいつでも不安心のものであります。 ・要するに、形式は内容のための形式であって、形式のために内容ができるのではないというわけになる。 もう一歩進めていいますと、内容が変われば外形というものは自然の勢いで変わってこなければならぬという理屈にもなる ・一言にしていえば、明治に適切な型というものは、明治の社会的状況、もう少し進んで言うならば、明治の社会的状況を形作るあなた方の心理状態、それにピタリと合うような、無理の最も少ない型でなければならないのです。 ■文芸と道徳 ・近年文芸の方で、浪漫主義及び自然主義、すなわち、ロマンチシズムと、ナチュラリズムという2つの言葉が広く使われてまいりました ・今日の有様では道徳と文芸というものは、大変離れているように考えている人が多数で、道徳を論ずるものは、分限を談ずるをいさぎよしとせず、また文芸に従事するものは、道徳以外の別天地に起臥しているように独り極めて悟っているごとく見受けますが、けだし、両方とも嘘である。 ■私の個人主義 ・自力で切り開いた道を持っていく方は例外であり、また他の後に従って、それで満足して、在来の古い道を進んで行く人も悪いとは決して申しませんが、しかしもしそうでないとしたならば、どうしても、一つ自分のつるはしで掘り当てる所まで進んでいかなくってはいけないでしょう ・第一に、あなた方は自分の個性が発展出来るような場所に尻を落ち付けべく、自分とぴたりと合った仕事を発見するまで邁進しなければ一生の不幸であると。 しかし、自分がそれだけの個性を尊重し得るように、社会から許されるならば、他人に対してもその個性を認めて、彼らの傾向を尊重するのが理の当然になってくるでしょう ・我々は、他が自己の幸福のために、己の個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。 ・私のここに述べる個人主義というものは、決して俗人の考えているように国家に危機を及ぼすものでも何でもないので、他の存在を尊敬すると同時に自分の存在を尊敬するというのが私の解釈なのですから、立派な主義だろうと私は考えているのです。 目次 この本によせて 1 道楽と職業 2 現代日本の開化 3 中味と形式 4 文芸と道徳 5 私の個人主義 ISBN:9784061582712 出版社:講談社 判型:文庫 ページ数:170ページ 定価:660円(本体) 1978年08月10日第1刷 2018年04月17日第81刷改版発行 2020年09月15日第83刷
夏目漱石のことを偉大で凡人が理解の範囲外に押し切られるような人物だとどこか考えていましたが、自分が読んでも素直に納得できる(凡人にも理解ができる)発言を淡々と述べられる人物だということを知り、ただただ身近な存在に感じることができました。 他のものも手をつけて行きたいと思います
およそ100年前のスピーチとは思えないほど、今の時代に通ずることが多くて人生の指針にしたくなるような本だった。 何度も読み返したい
著者は1867〜1916まで生きた人ですが、現代でも通用する「バランス感覚」と「先見性」がある人だと思い、この本を読んで、めちゃくちゃ好きになりました。 とても参考になることが多く書いてあり、とてもいい本に出会えました! ぜひぜひ読んでみて下さい。
漱石が自分自身を見つけるまでの話。 100年以上前の講演にも関わらず、人間の本質を的確に捉えた言葉が私の心を勇気づけてくれる。漱石の悩みと自分の悩みがどこかで重なり、言葉の力で、何だかそれを乗り越えられるような光が指す瞬間があった。これこそ本を読む醍醐味。
夏目漱石の演説をその言葉遣いのまま文字起こししたもの。 漱石の言葉遣いの面白さを感じられる。 内容も現代に通じるところがあるので、なお面白い。YouTubeに朗読版があるみたいなので、それも聞いてみたい。
(2018年2月のブログ内容を2020年11月に転記したものです) 夏目漱石は英文学を専攻し、学校は出たものの、文学とは何かということをつかめず、悶々とする日々を送っていました。幸いにも教師の職にはありつきましたが “「その日その日はまあ無事に済んでいましたが、腹の中は常に空虚でした。空虚ならい...続きを読むっそ思い切りが好かったかも知れませんが、何だか不愉快な煑え切らない漠然たるものが、至る所に潜んでいるようで堪らないのです。」。” そして、ついにはロンドンに留学したが、分からない。しかし、そうしているうちについに分かったのです。「文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自分で作り上げるより外(ほか)に」途(みち)はない。当時は文学といえば、外国の評論家が別な外国人の文筆家を批評していったことをそのままコピーして吹聴してまわってありがたがるということが多かったのです。 逆に、漱石は、ついに、自分の文学は自分で作るという境地「自己本位」に行きついたのです。自己本位、自分が右だといえば、他人が左だといえども曲げる必要はない。といことです。ある評論家がある文学についてこうだといったからといって、自分が反対の意見を持ったとしてもよいし、むしろ、自分だけが持てる意見を大事にしなければいけないということに気が付いたのです。 こういうと、「自分勝手」と誤解されてはいけないのですが、その点についても夏目漱石は論考しています。他の人が同じように自由に考えることを阻害してはならないという形でなされなければならない。 “「我々は他が自己の幸福のために、己れの個性を勝手に発展するのを、相当の理由なくして妨害してはならないのであります。」” 現代の私たちにとってはとても当たり前のことのように思えますが、実践できている人となると、どれくらいいるでしょうか。漱石は「妨害」してしまう要因として「お金」と「権力」を挙げています。そして、自分がこれを持つ立場になったときには気をつけよと論じています。人は生活するうえで、権力やお金をもつ立場に立ってしまうのは仕方ないものですが、そうした場合、知らず知らずのうちに、他人の「自己本位」を妨害してしまいかねない。これに気を付けてさえいれば、自分を自分の考えで満たすことに全力で取り組むべきであると、若者に向けて語っています。 漱石はその後帰国した後、自分の思うように職が得られない時も、神経衰弱になった時も、この「自己本位」という言葉(概念)が胸にあったため、不思議と気に病むことなく、生活を送ることが出来たといいます。 自分が何者なのか、見つけられるきっかけは突然訪れます。それを個人の経験に照らしながら、醸成していくのが、人生ということでないでしょうか。性自認に限ってみても、体と反対の性であるとか、性の境界であるといった場合の自分の位置づけは、なかなか定まるものではないでしょう。 各々が作り上げて発信していく、その一端を担う仕事ができたら、それがわたしに直結する自己本位ということなのだろうと、思っています。
バイブル的存在の一冊。 あくまで一つの考え方ではあるものの、物の考え方、姿勢の在り方は参考になる。 今でも通用する内容なので人間の本質って変わらないという事か。 本当の意味での個人主義とは自立、自律、寛容、責任、義務と深く結びついており、他者排除ではない。 何度も読み返す価値あり。
漱石による講演の書き起こし。ネガティブな枕からあれよあれよと話題が転じて最後にピタッと着地する。オススメ!
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