夏目漱石のレビュー一覧
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心配性の兄を持つ「自分」の日常をつらつらと書き記した一冊。
大きい山場はないのだけれど、不思議に頁をめくる手が止まらない。
兄から、兄嫁の節操を試すために一夜の旅をしてくれ、と言われるところが山場といえば山場。
その依頼を断り、ただ出掛けで話を聞くだけという妥協案を出したものの、荒天により結局旅先で兄嫁と宿で一夜を過ごすことになる。
自宅へ帰った後も兄の猜疑は消えず、彼の言動が狂い始める。
その兄に旅を勧め、共に旅をした兄の友人から自分に手紙が届く。そこには心配性どころでなく、深く神経を病んだ兄の姿があった。
近代知識人が急速な社会の変化に惑う姿を、兄という装置を使って描いたのかも。
手紙の中 -
Posted by ブクログ
夏目漱石 「明暗」
三角関係を中心に複雑に交錯する人間関係から 自意識を描いた心理小説?
全体の雰囲気は「行きどまりの先にまだ奥がある」という正体不明の不安や陰気さに包まれている。
自意識の強い人物と社会規範的な人物を対称的に描いているが、外から見た自分と 内から見た自分の二重構造を意図しているのでは?
絶筆未完。社会に背立し、物質的不安を抱える津田夫妻、小林、清子がどう変化するのかが読みたかった
津田妻「自分の過失に対しては、自分が苦しみさえすればそれで沢山」
小林「僕には細君がないばかりじゃないんです。何もないんです。親も友達もないんです。つまり世の中がないんです〜人間がないと -
ネタバレ 購入済み
囚
自分の過去に囚われすぎて,心を閉ざし,社会を遠ざけ,絶体絶命のピンチを目前に寺に籠もってしまう。
己と向き合うふりをして,逃げ続ける。
後ろを向いたまま,自分だけの悲しみに酔いしれることは,何の奇跡ももたらさない。 -
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恋物語
結ばれても不幸だったり,結ばれないのが幸せだったり。
昔の人たちの恋愛は,今よりも縛りが多くて,大変な苦労と我慢が必要であっただろう。
今も昔も,完璧に人を愛することなんて,完璧に人に愛されることなんて,きっと誰にもできない。 -
購入済み
決断
どんなに頭の切れる冷静な人であっても,恋心によって,理性や道徳心を見失ってしまうことが多々あるらしい。
そして厄介なことに,やたらと大義をつけたがる。
千代子の覚悟には,痛々しさと同時に一種の美しさを感じた。
女性の決断はいつだって重い。 -
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ネタバレ(個人的)漱石再読月間の11。あと4!
短編をいくつか重ねてひとつの主題に迫るという手法。当時は新しいものだったらしいが、現代の小説で普通に慣れ親しんだ形なので、さすが。
主題は「嫉妬」
ひとつひとつがとてもクオリティが高く、特に幼児が突然亡くなる話しは緊迫感がすごい。
漱石は探偵という職業をとても卑しいものと考え、何度も作品中登場人物にそう語らせていたが、それを遂に形にした話しもとても良かった。ポンコツ見習い探偵ものとして、むりやりミステリーだと言ってみようか。
所々覚えてる箇所もあるが、ほとんど忘れている…というかこんなに面白かったっけ?