夏目漱石のレビュー一覧

  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    20冊目『硝子戸の中』(夏目漱石 著、1952年7月 初版、2011年8月 改版、新潮社)
    死の前年にあたる1915年1月〜2月に朝日新聞で連載していた、漱石最後の随筆。タイトルは漱石の書斎がガラス窓に囲まれていたことに由来するが、異なる位相から世情と自らの過去を俯瞰するかのようなその内容を言い表してもいる。
    床に伏せることが多くなっていた漱石は、やはり自分の命が長くないと意識していたのだろう。「死」をトピックにしたものが多く、彼の心情が慮られる。

    〈私は「そんなら死なずに生きていらっしゃい」と云った〉

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    2026年03月18日
  • 草枕

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    大学時代に受講した哲学の授業で本作が紹介されたことがきっかけで学生時代に一度読んだものをだいぶ時間が経ってから再読。

    当時は全く意識しなかったが、改めて読み返してみると、難しい言葉遣いを多用していることに驚かされる。一方で、こうした言葉遣いを多用しているからこそ、リズム感のある文章で、すらすらと読み進めることができる。

    いろいろな人物が登場するが、基本的には主人公と那美のやり取りであり、その過程での両者の心の中を読むという構成であるので、文体は古いが比較的読みやすいだろう。

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    2026年03月17日
  • 思い出す事など 他七篇

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    病から 看病してくれた人々への感謝、長閑な生活や幸福感を見出した闘病回想記。漱石のイメージがかなり変わる


    岩波文庫 夏目漱石 思い出す事など


    修善寺の大患を通して、漱石は 「自然や社会を敵とせず、自分に関係する人々に感謝し、善良な人間であろうとする考え」に至っている。則天去私というより、人間の普遍原理という感じ









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    2026年03月16日
  • 吾輩は猫である

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    何度か脱落した本書ですが、ようやく読み終えることができました。話はそれなりに面白いのですが、次から次へとダラダラと続く感じが少しつらいところです。寝る前に少しずつ少しずつ読み進めていきました。登場人物たちのキャラがつかめてきて、ようやくスイッチが入った感じです。

    「草枕」ほどではないですが、かなりの教養が問われる作品です。巻末の注釈とにらめっこしながら、何とか読み進めました。当時の読者はこれを注釈なしで読んでいたんでしょうか。感心します。

    最後の方は後期の作品、例えば「こころ」にもつながるような話があります。Kや先生が自殺した、その理由はこの「吾輩は猫である」に書かれてあることがその一つな

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    2026年03月07日
  • 漫画 こころ

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    夏目漱石の名作『こころ』を漫画で読んでみませんか??

    ✾漫画こころ
    ✾夏目漱石・漫画:有栖サリ
    ✾文響社

    夏目漱石の『こころ』は一度は読んでおきたい日本文学の教養。

    それが有栖サリさんの圧倒的な画力での漫画になっています。

    “葛藤”

    “罪悪感”

    “エゴイズム”

    “贖罪”

    文章とはまた違う『こころ』に触れてみませんか??

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    2026年03月08日
  • 三四郎(新潮文庫)

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    「君、不二山を翻訳してみたことがありますか」と意外な質問を放たれた。
    「翻訳とは……」
    「自然を翻訳すると、みんな人間に化けてしまうからおもしろい。崇高だとか、偉大だとか、雄壮だとか」
    主人公「小川三四郎」名刺には里見美禰子とあった。友人、佐々木与次郎、野々村先生、妹よし子、先輩、広田先生、原口さん画工、里見恭助。法学士だ。美禰子さんのにいさんだ。原口さんの絵の知り合い、三井さん

    「彽徊家(ていかいか)」は、物思いにふけりながら、あちらこちらと行きつ戻りつする人(彽徊する人)を指す言葉です。

    三四郎には三つの世界ができた。一つは遠くにある。与次郎のいわゆる明治十五年以前の香がする。すべ

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    2026年03月18日
  • 行人(漱石コレクション)

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    兄さんの思想、そういう視点もあるのかーって不思議。賢い人の頭の中って楽しい。
    生きにくそうな人を見ると生きにくそうだなぁってそれだけの感想で終わってしまうけど、その人への理解をそこで諦めてることになるのかな。親しさ。仲がいいだけでなく分担して前に進むこと。

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    2026年02月28日
  • 草枕

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    「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」

    上記の有名な冒頭で始まる本書は、夏目漱石自身の体験をもとに、二週間ほどで執筆されたものだという。

    物語はあってないようなもので、著者の「非人情」的芸術論が主な内容になっている。
    この「非人情」の意味が明確に示されることはなく、主人公は非人情、非人情と言いながらも、当人にもその意味ははっきりとわかっていない様子。

    著者もその主人公の矛盾を意識しているようで、自虐的に描かれている。
    『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『野分・二百十日』に続いて本作を読んだが、改めて夏目漱石は愛嬌のある人だと思った。

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    2026年03月01日
  • 坊っちゃん

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    とても読みやすい。親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている、とお馴染みの文言から始まる。
    彼の根底にあったのはきっと清の存在だと思う。清がいつも褒めていてくれたから、彼は横道に逸れずに愚直すぎるくらいに生きられたのかなと。
    そして中で描かれる人間模様は今にも通ずることばかり。親切そうな人がそうではなく失敬な人が意外に理解者であったりする。上に媚びへつらうもの、自分の地位にふんぞりかえる人。うらなすこと古賀くんが何を思っていたのか知りたい、マドンナも。どれも第三者からの描写しか得られない。

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    2026年02月25日
  • こころ

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    心の中が何も届かない閉ざされた部屋のようであったなら、互いに感じ取れるのは襖の隙間からの溢れ日だけで、大きな声を出しても出されても、きっとその、分厚いこころの壁に邪魔をされるだけなのだと思う。

    そういうこころの部屋は、きっと誰しもが持っているのでしょう。それでも何処かへひとつ、逃げ出せる入り口があれば何か変えることはできたのでしょうか。

    #2026 #9

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    2026年02月26日
  • 坊っちゃん

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     この世の中、正直者が馬鹿を見て、方便ばかり上手なずるいやつがのさばってやがる!!…と、読んでいると、私の心のうちに住む不器用快男児が共鳴して叫びだす。
     四国に行くまでの部分が長かったように感じたが、十一章のうちの一章だけだったので錯覚だった。四国での話が波乱(?)に富んで面白いから短く感じたためもあるかもしれないが、あのはじめの一章に坊っちゃんとキヨの結びつきの強さが込められているから、東京編を色濃く感じたのかもしれない。キヨがいてくれて、本当に良かったね。

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    2026年02月23日
  • 吾輩は猫である

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     有名作だがちゃんと読んだのは初めて(読んだというか、オーディオで聴いた)。抱いていたイメージは、「滑稽もので、他の名作に比べると、そんなに熱心に読む価値は…どうだろ?」といったものだったが、音声コンテンツで別のことをしながら流し聞くにはとても良かった。ポッドキャスト「吾輩通信」アーカイブ全エピソード一気聴取、みたいな感じだった。文字の本では冗長すぎて読みきれなかったかもしれない。  
     スタイルはたしかに滑稽風味だが、達観した猫や胃弱でぶーたれたくしゃみ先生の語る内容は、私は共感できることが多く、当時連載を楽しみにしていた読者の気持ちは、今なら様々なSNSのお気に入りアカウントの更新を楽しみ

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    2026年02月20日
  • 草枕

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    草枕
    著:夏目 漱石
    解説:重松 泰雄
    出版社:岩波書店
    岩波文庫 緑10-4

    智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

    で始まる有名な小説というか、その冒頭の一言以外は、あまり内容を知らない

    山本七平氏曰く、日本教のテキストにて、日本教を知りたいならば、草枕を読めと、勧めているので、手にとりました

    まず題名がいい、草枕、旅のまくらことばであり、そのおももちは、万葉の昔を彷彿とさせる
    いくらなんでも、すぐに、これは紀行文だということがわかる

    だが、近代小説としては、三十一文字ではなく、十七文字を主にしている
    それに、漢詩あり、Poem

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    2026年02月12日
  • 明暗

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    水村美苗さんのお勧めの本でした。
    読むのに時間がかかってしまいました(涙)。
    続いて「続明暗」を読んでいきます。
    どんな展開が待っているか楽しみです(笑)。
    「則天去私」学生時代、試験問題で出てきましたが、ちんぷんかんぷんでした(笑)。

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    2026年02月03日
  • 草枕(新潮文庫)

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    「智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」

    冒頭にあるこの有名な句を読む機会があり、読んでみました。
    東京から温泉宿に宿泊した画家とその宿の出戻り娘の出会いを描いた作品。

    自分はストーリーそのものというよりは、夏目漱石独特の人物や情景の描き方だなぁと思いながら、読んでいて心地よい感じがしました。何がと言われてもうまく説明は出来ないのですが。

    とにかく言葉が難しいです。本文はこの文庫で170ページ強くらいですが、注釈は30ページ以上あります。一つ一つ注釈を参照しながら読んだので、かなり読み終えるのに時間がかかりましたし、もし注釈を参照せずに

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    2026年02月01日
  • 二百十日・野分

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    金持ちの禄さんと、貧乏だが腕っ節の強い圭さんが阿蘇山に旅をする話。地の文が少なくて会話文が多いため、テンポ感のある2人のやりとりが心地いい。まるで落語を聞いているようだった。華族や富裕層をシニカルに批判して社会の不条理が浮き彫りになっていく。金持ちがのさばる世の中に苦言を呈する様が爽快だった。登山中に禄さんが体格のいい圭さんに置いていかれたり振り回される場面も愉快で面白かった。

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    2026年02月01日
  • それから(新潮文庫)

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    2026年6冊目『それから』(夏目漱石 著、1948年11月 初版、1985年9月 改版、新潮社)
    漱石前期三部作の第二作。高等遊民の代助が、封建的道徳感と近代的思想の狭間で煩悶する様が描かれた姦通小説。連載は1909年。
    前作『三四郎』にあった青春の匂いは見事に消え失せ、まるで祭りの終わりの様な寂寞さと空虚感が物語を支配している。後半の展開は頁を繰る手も止まってしまうほどに苦しいが、破滅ではなく目醒めを予期させる読後感はむしろ清々しい。

    〈代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した〉

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    2026年01月31日
  • 吾輩は猫である

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    漱石の本、最初の語りが有名すぎるの多いですね。私には読み続けるためには粘りがいりました。初めて聞く語句が多い。猫の語りの格調の高さ、あっぱれ。

    何度か読みかけて、今回は最後まで読めました。(^^)

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    2026年01月30日
  • 門

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    ネタバレ

    高校時代に読んで以来で、8年振りくらいに再読。
    話の筋は覚えてたけど細部はすっかり忘れてた。
    宗助とお米が結ばれて社会と決別する流れを覚えていなかったのだけど、元々その辺りは詳細に書かれていないから覚えているはずもなかった。
    でも書かれていないおかげで色々想像できた。
    過去の過ちに報いる形でお米が死んだり、宗助が耐えきれず狂ったり、安井との一件を知った坂井が激昂したり、安井と宗助とお米が再会したり…っていう安直な展開にならないのが好き。
    過ちが生活の所々に影を落としながらも時々幸福を感じて細々と命を繋いでいくことが示唆されるラストのやり取りも好き!

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    2026年01月29日
  • 草枕(新潮文庫)

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    注釈に目を通す事が多く、読むのに難義した。字面を追っていただけの感があるが、語彙の豊かさと文章のテンポが良く、花鳥風月の描写は美しく感じた。いつの世も住みづらく生きづらく思うことがあるものだ。

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    2026年01月27日