夏目漱石のレビュー一覧
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“山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。”
『草枕』の冒頭、受験勉強で暗記したので、今でも覚えています。しかし、
その先をこれまで読もうとしませんでした。情けないこと、この上なしです。
とにかく、今回読めて良かったです。芸術的感性が文章全体にあふれ出ていました。多彩な漢語が散りばめられていて、湯水のごとく出てくるようでした。東洋の神秘を感じました。
1人の青年画家が、絵を描くために温泉場にやってきて、那美さんという女性に出会います。2人はいい関係になるのかなと期待していたのですが・・・
色々な人との世間話 -
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夏目漱石を初めて読んだのはたしか高校生の頃。
学校で習うような人物がなかなかの生々しい恋愛ものを書いていることに衝撃を受け、『思ってた以上にゲスかった』という感想だけしか残っていませんでした。
それがこころだと思っていたけど、ちがうな。
坊ちゃんだったのか⁈もう30年以上昔なので、あの時読んだ物語が一体なんだったのか思い出せない。
そして30年以上ぶりに目にした漱石先生の物語。
上中下に編まれていて、中の終盤あたりから読書スピードも加速。
先生からの手紙がこんなにも長いのかと思いつつも、タイトルが『こころ』というわけはここにあるのか⁈と思ったり。
こんなにも横文字の少ない日本語で編まれた物語 -
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ネタバレ健三は学問によりいち早く「近代」を吸収したが、個人主義の目をもって故郷を眺めたとき、それは「家族」という名の伝統的価値観によって彼を縛るしがらみでしかなかった。また教員という職業から高給取りとみられていた彼は、かつての養家島田を筆頭に親族一同から常に金銭的援助を求められていた。しかし健三の家にも資産がないばかりか家計は火の車なのである。家族や慣習とったしがらみに悩まされ、また金策に苦労する中で健三は妻御住との夫婦関係も悪化させてゆく。二人の関係が冷えるほど、御住は当てつけの如く産まれたばかりの子どもの世話に傾倒する。しかしそんな妻を健三は冷ややかに見てしまう。「家族」というコミュニティが解体さ
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ネタバレ健三は学問によりいち早く「近代」を吸収したが、個人主義の目をもって故郷を眺めたとき、それは「家族」という名の伝統的価値観によって彼を縛るしがらみでしかなかった。また教員という職業から高給取りとみられていた彼は、かつての養家島田を筆頭に親族一同から常に金銭的援助を求められていた。しかし健三の家にも資産がないばかりか家計は火の車なのである。家族や慣習とったしがらみに悩まされ、また金策に苦労する中で健三は妻御住との夫婦関係も悪化させてゆく。二人の関係が冷えるほど、御住は当てつけの如く産まれたばかりの子どもの世話に傾倒する。しかしそんな妻を健三は冷ややかに見てしまう。「家族」というコミュニティが解体さ
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娯楽というよりは勉強だった。
これは夏目漱石の「小品(しょうひん)」が七編入っていて、そもそも小品って何?ってところから私は分からなかった。
最初は小品の意味も分からず読んでいて、これは何?小説?それとも漱石のセッセイ?とどんどん分からなくなったので、解説を一旦読んでみると、何となく分かった。
小品は日本特有とも言えるジャンルで、小説でもなく、感想でもなく、短編小説と随筆の間のような、曖昧な領域なのだとか。
面白い。
でもそれで少しこの文体とかになっとく。
最後まで読んだけど、ちょっと難しい(不慣れな)ところもあって、全部を全部堪能できた訳ではいけど、最初の「文鳥」はとんでもなく良か -
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要約としては、「国家主義」の理念が大変盛んで、国家の利益のために生きることが強調されていた時代において、漱石は「個性こそ発展させるべきである」という”個人主義”の立場を主張する。
学習院でのこの講演の流れとしては、まず松山中学校から第五高等学校(現熊本大学)の教師時代、その後、ロンドン留学・・・と彼が歩んだ人生を振り返る形で話は進む。
その中で今の世は「他人本位」に生きる人が多いが、「自己本位」で生きてきたことを語る。そして若い人たちも自己本位に生きる道を勧める。
後半は、権力と金力とともに得られる自由(他人の自由を尊重すべき)、そして権力と金力を持つ人間として果たすべき義務について語る。
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『夢十夜』のみ読んだ。
夏目漱石の作品は全然読んでないけど、この十編を読むだけで彼の凄さが分かった。語彙こそ難しいものの、非常に簡潔で分かりやすい文章。そして「夢」の再現として優れている。「高熱のときにみる夢」とかいう安直な喩えが心底嫌いなのだけど(喩えられているそれは多くの場合単に混沌としているだけ、そして俺はそんな夢見たことがない)、そういった紛い物の「夢らしさ」とは違い、微細な異常や潜在的な恐怖が的確に表現されており、それでいて引力が強い。勿論多少の作者の恣意は否定できないけど、かなり再現性の高い「夢」だと思った。
お気に入りは第一夜と第七夜。死を前者は甘美なものとして、後者は恐怖と