夏目漱石のレビュー一覧

  • 二百十日・野分

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    金持ちの禄さんと、貧乏だが腕っ節の強い圭さんが阿蘇山に旅をする話。地の文が少なくて会話文が多いため、テンポ感のある2人のやりとりが心地いい。まるで落語を聞いているようだった。華族や富裕層をシニカルに批判して社会の不条理が浮き彫りになっていく。金持ちがのさばる世の中に苦言を呈する様が爽快だった。登山中に禄さんが体格のいい圭さんに置いていかれたり振り回される場面も愉快で面白かった。

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    2026年02月01日
  • それから(新潮文庫)

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    2026年6冊目『それから』(夏目漱石 著、1948年11月 初版、1985年9月 改版、新潮社)
    漱石前期三部作の第二作。高等遊民の代助が、封建的道徳感と近代的思想の狭間で煩悶する様が描かれた姦通小説。連載は1909年。
    前作『三四郎』にあった青春の匂いは見事に消え失せ、まるで祭りの終わりの様な寂寞さと空虚感が物語を支配している。後半の展開は頁を繰る手も止まってしまうほどに苦しいが、破滅ではなく目醒めを予期させる読後感はむしろ清々しい。

    〈代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した〉

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    2026年01月31日
  • 吾輩は猫である

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    漱石の本、最初の語りが有名すぎるの多いですね。私には読み続けるためには粘りがいりました。初めて聞く語句が多い。猫の語りの格調の高さ、あっぱれ。

    何度か読みかけて、今回は最後まで読めました。(^^)

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    2026年01月30日
  • 門

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    ネタバレ

    高校時代に読んで以来で、8年振りくらいに再読。
    話の筋は覚えてたけど細部はすっかり忘れてた。
    宗助とお米が結ばれて社会と決別する流れを覚えていなかったのだけど、元々その辺りは詳細に書かれていないから覚えているはずもなかった。
    でも書かれていないおかげで色々想像できた。
    過去の過ちに報いる形でお米が死んだり、宗助が耐えきれず狂ったり、安井との一件を知った坂井が激昂したり、安井と宗助とお米が再会したり…っていう安直な展開にならないのが好き。
    過ちが生活の所々に影を落としながらも時々幸福を感じて細々と命を繋いでいくことが示唆されるラストのやり取りも好き!

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    2026年01月29日
  • 草枕(新潮文庫)

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    注釈に目を通す事が多く、読むのに難義した。字面を追っていただけの感があるが、語彙の豊かさと文章のテンポが良く、花鳥風月の描写は美しく感じた。いつの世も住みづらく生きづらく思うことがあるものだ。

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    2026年01月27日
  • 吾輩は猫である 下

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    猫の目を通した社会風刺
    やっぱり出てくるキャラクター、その語りが魅力的でした^^
    ラストは苦沙弥先生、迷亭先生、寒月君、東風君、独仙君達が明々活々と語り出して盛り上げてくれました。明治の世から見た漱石なりの未来観も興味深いですね

    個人的には、「逆上」のあたりのくだりと、「ヴァイオリン」の秋の日がかんかんと…のあたりのくだりが好きです(笑)

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    2026年01月21日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    いやぁ、これはすごいなぁ。漱石の語彙力は半端ないです。他の作品でもそういう面がないわけではないですが、この作品は特に描写がねちっこいです。山を見るだけでも、どれだけの言葉が紡がれるのか。右へ行ったり左へ行ったり、上へ行ったり、下に行ったり、ぐるぐると回りまわって主人公の心の内が描かれます。本当に目が字を滑るような感覚が何度もありました。
    話の筋的には大したことは起こっていません。いやそれなりに起こっているのかな。とはいえ、そういうことではなく主人公の心のうちに起こるちょっとしたさざ波の、その微妙な揺れ方をこれでもかこれでもかと、手を変え品を変え描き出すその執着というか、こだわりというかなんとい

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    2026年01月19日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    夢十夜、あまりにも良かった、神秘的とか、恐怖とかいろんな言葉で語り尽くされていると思うけど、この不思議さが心地いいかも、
    まあ、語尾等の表現が昔なのでその分体力を使うのは事実ですが、

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    2026年01月18日
  • こころ

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     主人公である私と、先生や私の家族との交流が描かれる前半パート、そして先生の過去が告白される後半パートに分かれる物語。
     先生が世間と関わりを持とうとしない姿を前半で読んだ際は、これは過去に何かトラウマを抱えているんだろうと思ったが、後半に明かされるその内容は想定以上のものだった。先生は、金によって人が善人から悪人になること叔父から知り、愛でもまた人が大きく変わることを自身から知った。つまり、先生の世間及び人間全体に対する失望感は、他人からの被害的経験だけでなく、己の加害的経験にも起因するものであった。私は前者の要因ばかり予想していたため、後半の物語展開に対してはやはり驚きを感じた。
     
     「

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    2026年01月18日
  • 吾輩は猫である 上

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    猫である吾輩から見た主人達の人間社会の日常生活を、シニカルに描いた作品(=^・^=)

    (カバー絵はだいぶ可愛く描かれてますが)だいぶ批評家的な目線です^^;
    明治の文明開化に対する作者の思いも乗せてある様な。

    個人的には「鼻」が出て来て、俄然面白くなりました(笑)

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    2026年01月14日
  • こゝろ

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    高校の国語の教科書に載ってた作品。
    今更ながら、初めてちゃんと読んだ…!
    1節が短くて、意外と読みやすかった。

    恋愛に関する愚かな行動は私ならしないけど、
    先生の生死に関する考えは、今なら分かってしまう。

    自分を含めた人間の原罪みたいなものを抱え込んで、
    逃れられなくて、でも仕方なく生きている。

    大事な人を傷つけたくはないから、
    むやみに深い関わり合いになりたくない。
    というかなれない。
    恋愛や結婚は特に、覚悟がいること。

    殉職ってこれまで理解できてなかったけど、
    ただのきっかけでしかないのかな。
    それまでずっと、死ぬ時機を待っていただけで。

    私はこの手紙を受けて、どう生きていくのだ

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    2026年01月15日
  • 明暗

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    一対一の会話文がとにかく長い。
    つまらないことにくどいという方が的確かも。
    様子を伺ったり、心の中を探り合う様をよくよく描いており、しつこさを追求し切っている。
    これを見事に描き切るしぶとさはすごい。
    人の嫌なところがよく出てくる。
    清子と津田の会話は少しだけどラストで読めてよかった。

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    2026年01月13日
  • こころ

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    ネタバレ

    10年ぶりに読んだら面白くて一気に読み進めた。最後の内容はわかっていても先生のミステリアスな過去について惹き込まれるような文章表現から飽きずに読み進められた。
    高校時代に読んだ時は恋で人はそんなに狂うのか?と懐疑的な感想だったが、今読むとKや先生の自殺する理由も一定の理解はできる。

    ・先生は自殺してしまった。Kを騙してまで手に入れたお嬢さんとの幸せな結婚生活かと思えば、その奥さんをみればKへの罪悪感から自分自身を追いつめてしまい、自殺することが自分にとって一番救われると感じてしまったのかもしれない。それは仕方のないことかもしれない。
    ・Kの「覚悟」とは何だったのか。学問に進む覚悟であれば自殺

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    2026年01月08日
  • こゝろ

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    ネタバレ

    日本で最も読まれている長編小説のひとつと評される、夏目漱石『こころ』。
    1914年(大正3年)4月20日から8月11日まで、『朝日新聞』に「心―先生の遺書」として連載され、同年9月20日、岩波書店より漱石自身の装丁で刊行されています。
    百年以上を経た現在も、世代を越えて繰り返し読まれている作品となっています。

    小説は、
    上「先生と私」
    中「両親と私」
    下「先生と遺書」
    の三部から構成されています。
    高校の国語教科書では、多くの場合、この「下」からの抜粋が用いられていたのではないでしょうか。

    高校当時、小説の抜粋という読み方がどうにも許せない生意気な女子学生だった私は、
    そのまま新潮文庫版『

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    2026年01月06日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    後期三部作の1作目 
    1912年(明治45年)朝日新聞に連載

    短編を集めての長編で、章立ては以下の通り

    ・風呂の後
    ・停留所
    ・報告
    ・雨の降る日
    ・須永の話
    ・松本の話
    ・結末

    主人公は田川敬太郎。大学卒業後、就職が決まらず、友人の須永市蔵の叔父、田口に就職の世話を依頼。任された仕事は、なんと探偵。ある男を尾行する描写が、地味〜いにおもしろい。

    中盤から後半が、この小説の本丸。さらに、おもしろくなる。その中心人物は、田川の友人、須永。彼の恋愛話。恋愛対象の女性は、千代子。2人は、いとこ。知的でナイーブで1人の女性のことで頭がいっぱいになり考え過ぎてしまう男性心理に、共感はできないので

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    2026年01月06日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    人事を観察し、ただ驚嘆したいという視点から見られた須永は、その点において「観察できない」他者の内面に恐れを抱く人ではないか。
    須永は自身の懊悩を当然よく自覚しているし、他者にもそうした不可視の内面がありうることを知っている。そしてそれを千代子に予感するからこそ、近づくに近づけない。
    そうした懊悩は、いわば彼自身の「外発」性に起因するということだろうか。松本の精神的私生児としての須永は、外面的には画一化して現れつつその実内面に主体性を秘める複雑な社会に疲弊し、関西へ向かう。関西弁の中に個性を見出しつつ精神を癒すのはその点でありうべき展開である。
    漱石において「金策」と「恋愛」は当然重大事だが、こ

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    2026年01月05日
  • こころ

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    恥ずかしながら、初めての漱石。現代においても読み続けられているのは、普遍的な人間の心理からか?この読み易さからか?淡々と進む感じは時代特有の書き方か。

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    2026年01月04日
  • 草枕(新潮文庫)

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    神様のカルテを読み、主人公の愛読書だったことから興味を持ち読み始めた。
    これまで夏目漱石は学校で学んだ程度で自発的に読んだことはなかったため、最初の一冊が本書となった。
    有名(と言われている)出だしの1文から始まり芸術の意味など強く共感できるスタートであったが、難解な言葉の数々で読み終えることが目的になりそうなほどに必死になった。
    彼の哲学を美しい情景と併せて読む本だと解釈した。読み終えてみると、言葉は難しいが考え方は共感できるし内容は大変シンプルなところは好き。
    漢詩など斜め読みでほぼ飛ばした部分もあるので、こんどからはその部分をゆっくり読んで理解を深めるもよし、また気に入った文章をかい摘ま

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    2026年01月01日
  • 門(新潮文庫)

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    略奪婚の先に幸せはあるのか。
    あるんじゃないか、と読み終わって感じた。不安なことは沢山あるけど案外何とかなってくのでは。
    隣の一家が幸福のように描かれていたが結局外から見るとどこもそこそこ幸せに見えるんじゃないか。
    解説に書かれていた「ある女を情熱的に欲するのはそれが第三者に求められている時であり、獲得した途端情熱はさめ、何となく相手を憎らしく思う」というのは少々共感するとこもある。

    まあ、情熱的な愛の行く末なんでこんなもんですよね。俺は物語で楽しむだけでいいや。平和に生きたい。

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    2025年12月29日
  • こゝろ

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    ネタバレ

    中盤までの話は先生のキャラクターを引き立てるためにつくられたんだろうなってくらいに後半が濃い、主人公のその後がきになったりはするけど、それよりも先生の遺書の内容にどんどんのめり込んで見れた
    呑気な意見だけど、行動の内容には時代背景やその人自身の性格などが大きく反映しているとはいえ、以前読んだ椿姫でも男がメンヘラ発揮してたところをみるに、どの時代でも同じような恋の苦悩があるのだと感じて人間の精神性のある種の共通項?のようなものを発見できて面白かった、例えば、先生は恋は罪悪と言っていたけど、いうなら若さは罪悪なんじゃない?なんて共通項もあるのかな?と
    椿姫でも若さゆえに男が暴走するシーンが序盤に色

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    2025年12月29日