夏目漱石のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ漱石の凄まじい教養と文章力に圧倒される。難解な表現は多いものの、軽快な会話劇も同時に展開されていくので思っていたよりスラスラと読み進めることが出来た。
にしても大バッドエンドである。
登場人物がそれぞれに背負っていた業は最後に全て藤尾に押し付けられ、藤尾は死んだ。彼女だけが自己中心的?小野も井上親子も甲野も宗近も糸子も濃淡あれどそれぞれ自己中心的ではないか。優柔不断な上に姑息な手段で縁談を断ろうとした小野、小野の気持ちなんぞ確認もせず東京へ出てきて世話になる気満々の井上親子、分かったようなことばかり並べ立てる宗近(彼がわざわざ時計を壊したのは自分を軽んじた藤尾への憎しみからではないか)……。 -
Posted by ブクログ
津田の入院中に起こる事件や疑念の数々は読んでいてどきどきした。変に浮世離れしたことでなかっただけに余計どきどきした。
それが温泉宿に行ってお延から離れてしまい、世界がガラッと変ると妙な物足りなさを感じ、それがまた未完で終ったために、清子の人となりも充分に読み取れないまま終了。致し方ないとは言え欲求不満に近いものが残った。
最後の大江健三郎の解説は正直なにが言いたいのかわからなかった。漱石の研究者でもなし、作品が未完である以上『明暗』の終結を知っているわけでもなし、説得力が元々乏しいところに来て、何かよくわからない分析のし方で、読んでいると小説の余韻が打ち壊される気がしてとばした。
また、註 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大学の時に初めて読んで、多分これで3回目かな。
すごく、ぼやーっとした淡い恋愛(青春?)小説。まるでピンボケしたレンズで主人公たちの感情をのぞいてるような…
でも次第に淡々としてられなくなって、溢れる思いを投げかける場面もあって、最後は、切ない!
100年前の小説だから、当時の人にしか通じない話題もあったり、ところどころよく分からない言い回しがあるのも事実だけど、そこはスルーしても十分物語として楽しめる作品でした。
これを機に他の夏目作品も読み進められたらと思う。(こころは高校の授業で読まされたけど、当時の自分には苦痛だったな笑)
p95
「風が女を包んだ。女は秋の中に立っている。」
この一 -
Posted by ブクログ
過去により満足な地位につけず、淡々と日々を送る。夫婦仲は良好。過去の重荷は、時間がゆっくりと解決する、そう思うしかなくやり過ごしていく。あり得た未来の姿としての坂井、過去の自分の映しとしての弟。そのコントラスト。
しかし不意の再来によりその手法は解決でないと知る。悟るために禅寺に赴くが、修行に専心することもできず、かといって問題を放擲することもできない。立ちすくむしかない。
門がメタファーなのは間違いないが、それが禅寺でのエピソードのメタファーだけなのか。作品全体のそれなのか。いや。後者なのだろうがどのような意味で?
また、屏風の一件もとてもメタフォリックなのだが、解釈が難しい。 -
Posted by ブクログ
「こころ」の次に読んだ漱石の小説。
とにかく、主人の「くしゃみ」を中心とした登場人物たちの会話が面白い。
長編小説としては、話の筋に一貫性がないが、これも一興というところか。
近代日本語?を操り、ち密に物語を構成していく文体は、日本語の美しさを大いに知れたし、各人物の滑稽話は笑いが絶えなかった。
それでいて、現代批判を婉曲的、比喩的に言い表し、滑稽話の中に自然と織り交ぜ、考えさせてくれる語り口は圧巻だった。
終盤は厭世主義的な考えが垣間見え、ダークなゾーンを感じた時もあって今の世の中に対しても自分なりに考えを深めるきっかけをくれた。
ぜひともまた読んで考察を深めたい。
個人的には、くしゃみ先 -
Posted by ブクログ
夏目漱石の随筆集ですね。
12月9日は漱石の命日でした。
夏目漱石は文豪の中でも一番のお気に入りです。
岩波の漱石全集は三回くらい読みましたが、我が家が何回か引っ越す度に、何処かに紛れ込んで見つかりません。
誰かに貸した覚えもあり、三度買い換えたのが三度目もまた、何処かに行き方知れずのままです。
この本は、漱石の修善寺の大患後の生死感の移り変わりを綴ったものです。
鋭利な感受性と冷静な観察力で静かに語っています。
漱石は温故知新の人生を歩んだように思われます。古い芸術も愛し、自ら英語の教師として英文学を学び、学者の生活を捨てて文筆家の道を選んだ苦悶にも悩まされながらも、家族を支えるためも、「則 -
Posted by ブクログ
家族との関係、結婚についてや、夫婦関係、友達などが描かれていて読み応えがあった。
生きていく上で、人間関係は外せないけど、不器用でうまく人と関われない人もいる。私も得意ではない。
この本の登場人物の兄さんは、不器用で真面目で知識人だ。頭はいいけど、人との付き合いが苦手。考えすぎてしまって不安になってしまう。1+1=2のように答えの出るものや予測がつくことはいいけど、人のこころなんてわからない。こうしたらこうするだろうって、期待するから裏切られる。むしろ何も考えないで、期待しないで、意外な答えが返ってきても、あー、そうきましたか。ぐらいに柔軟に考えた方が人付き合いってしやすい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ途中から一気に引き込まれて全部読んでしまった。自分の感覚でいくと、遠距離で、しかも5年も会ってないのであれば、そりゃ気持ちなんて変わって当然だろう、と思う。
ただ、それがいかに無理のある婚約だとしても、人にそれを伝えにいかせるのは小野さんのずるさであって、井上先生がキッパリ怒るのはよかったです。
藤尾さんはプライドが高く、素直じゃないけど、心から小野さんを愛していたようにみえ(それはけして打算ではなく)、プライドが傷ついたから自殺した、ではないと感じました。そして小野さんも藤尾さんの気高さとか美しさに心から惹かれていたのでは。
感じたことは、この時代では結婚って当事者の気持ちより、親の約束や建 -
Posted by ブクログ
漱石の本を5冊ほど読みました
語弊を恐れず言うと現代人からすると、漱石の中でも特に読み辛い本だと思います(追記:後日読んだ漱石入門の本でも難しい部類に分けられ強ち間違いではないかと思いました)
文語体であること、漢学表現に富み教養がなければ想像しにくいこと、何か刺激の強いドラマチックなストーリーではないことなど、他人にオススメできる要素は正直ありません
ですが、それでも私が読んで良かったと思えるのは、話の冒頭と終わりのテンポとキレの良さ。
あとは漱石の人柄が知れたことかなと思います。
元来気性の荒い人だったそうですが、、、草枕全編を通して、自然主義文学や近代小説への批判ともとれる主人公を -
Posted by ブクログ
のつこつと読んだ。 昔いっぺん読んだことがあって、浜寺の料亭の場面だけが印象に残ってて、そこを確認したくって読んだら、かなり前の方にでてきてほんの数行だけやった。あとはほとんど忘れていてまるで初めて読む気分。 病院の場面が面白いっていうか映像として想像つかない。病室は畳張りで布団やったんやろうか。それやったら靴は何処で脱いでたんやろうかとか。どうも看護婦さんはそれぞれ専属で部屋の前の廊下で待機してるみたいな。声がかかるまで柱にもたれて本を読んで時間潰してる表現があったり、その看護婦さんに病人のこと聞いたら何でも教えてくれてプライバシーダダ漏れやったり。
その上病人の都合で入院したり退院したり。