夏目漱石のレビュー一覧
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ネタバレたまたま友人と同じ人を好きになることは決して珍しいことでもないと思うが、なぜこんな寂しい結末になってしまったのか。
先生は妻の心を汚すまいと、自殺したKとの詳細を胸に秘めたままいなくなってしまった。話せば良かったのに、と無粋な自分は思ってしまった。親しい周りの人が次々に死んでしまうことのほうが妻の心にはつらいだろうと思った。
先生は大学卒業後も、Kに対する罪悪感などから死んだように生きていた。そんな先生を慕った「私」に、遺書で赤裸々に過去を打ち明けたが、妻が生きている以上はそれを全て秘密にしておくよう言い残していったのはなかなか酷なことだと思った。 -
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『三四郎』『それから』に次ぐ3部作の最後。
『それから』の「高等遊民」から一転、勤め人となり安月給で慎ましやかな生活を妻としている主人公。お互いを労り合いながら仲睦まじい夫婦の様子が見られる前半。
後半になり意外なところから物語の核心に触れ始める展開となり、主人公は過去に犯した罪の意識から救いを求めて禅寺へと赴くが、何の悟りも救いも得らないまま帰宅。
妻もまた同じように罪悪感を抱いている事がわかる場面も前半に見られ、夫婦は今までもこれからも、ずっと罪悪感に苛まれながら生き続ける事からは逃れられないと言う悲哀の結末。
暗いし『三四郎』の様なユーモアのある楽しさを味わう事は出来ないけど、心理描写、 -
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小説”草枕”の反戦主義
夏目漱石の小説は数編読んでいるが、この小説では漱石がこの当時に起きた日露戦争に反対していたことが明確であったように感じている。
漱石は必ずしも自身の政治的な立場や主張は氏の文学作品の中で強く述べてはいないが反戦思想は強く持っていたものと理解できる。この作品は勿論多くの評論等で述べられているように漱石の作品の中でも優れた小説であり、秋の夜長に読む作品としては最適なもののひとつであるように感じている。 -
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帯に「村上春樹の『海辺のカフカ』カフカ少年も読んだ名作!」とあるからそんな場面があったんだろうか、忘れたがなるほど相通じるものがある。最近読んだ桐野夏生の『メタボラ』をも思い起こさせる不思議な作品だ。
といって当然こちらが先。あるものからのがれる逃避行の物語。逃げるってちょっと魅力的。
だけど「坊ちゃん」がぽっと世の中に家出すれば、だまされてとんでもないところに連れて行かれる。連れて行かれたところが銅銀山の飯場。
坑道に案内されて地獄を見、抗夫仲間にばかにされ、粗悪な食事がのども通らず、寝れば虫に悩まされる。しかし、そこは教養のある「坊ちゃん」人生が見えてくるからよしよし、というかなあん -
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津田由雄は30歳、延という23歳の女性と結婚して半年も経っていない。
お延とか延子とか呼ばれる彼女は細おもて色白、目が細いのだけど眉を動かすと魅力的である。
新婚なのに津田は病気で手術しなければならない、なのにしかしなにやら家計が苦しいのである。そのわけは新妻に高価な宝石の指輪をプレゼントしたから?いや、裕福に育った派手好きの彼女にいい顔をしたからに違いない。
気が強い新妻は新妻とて、なぜだか不安に付きまとわれる。一目ぼれの弱み、彼の愛情を独占したくてたまらないが、いまひとつすっきりしない。深いわけがありそうなきざしがあるのだ。
この夫婦がてんでばらばらならば、相談する津田の両親や親代わ -
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漱石の作品を丹念に読んでいくと、教科書的文学史的知識を通り越してやはり文豪だ、天才だと実感する。100年前にこんなすごい文学を書いた天才が日本にいた、という誇りが湧いてくる。
『行人』
人間と人間の関係を、心理の奥深くに探求してやまない作者の彷徨は、苦しくも胸を打つ。
前半、二郎は兄一郎のストイックな性格に翻弄され、兄の家族(妻、両親、妹)まで巻き込んで起こってくる葛藤を語る。兄嫁との三角関係まで疑われ、微妙な立場になる。あげく後半、兄の友人Hにも世話をかけ、手紙で描写される兄の性格とは。
「ひとのこころはわからない」と人を信じられない。いえ、いい加減なところで妥協できない性格なのだ -
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久し振りの夏目漱石。職業作家としての第1作とのことで、他の有名な作品と比べるとかなり力の入った(ところどころ難解で読みにくい)文体だなと感じる。ただ、内容は男女の恋愛を主軸に物語が展開しており、描写を全て理解してやろうと思わなければ、けっこう楽しめる小説だったと思う。
哲学を学んだ甲野欽吾、その勝気な妹の甲野藤尾。欽吾の友人である宗近一と、あどけなさの残る妹の糸子。藤尾を嫁にと考えている男、小野清三。清三の恩師である父を持つ、清三との婚約の約束がある内気な娘、小夜子。この6人を中心に物語は展開する。
藤尾と小野が両想いであるが、小野には許嫁である小夜子がいる。謙虚でおとなしい古い価値観