あらすじ
発行部数700万部、日本で一番売れたとされる小説を、気鋭のBL漫画家が描いた美しいイラストとともに読める。
この作品では、エゴイズムと心の機微、罪への葛藤などが描かれ、高校の教科書にも掲載。
読み仮名が多く、用語解説もあり、中学生も大人も読める
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Posted by ブクログ
小説の主眼は「先生」という屈折した人物の「心」の軌跡をたどることにあり、まさにぴったりのタイトルです。原題は『先生の遺書』
発行部数700万部、日本で一番売れたとされる小説を、気鋭のBL漫画家が描いた美しいイラストとともに読める。
かつてはその人の前に跪いたという記憶が、今度はその人の頭の上に足を載せさせようとする」
「別問題とは思われません。先生の過去が生み出した思想だから、私は重きを置くのです。二つのものを切り離したら、私にはほとんど価値のないものになります。私は魂の吹き込まれていない人形を与えられただけで、満足は出来ないのです」
「本当をいうと、私は精神的に癇症なんです。それで始終苦しいんです。考えると実に馬鹿馬鹿しい性分だ」
『止めてくれって、僕がいい出した事じゃない、もともと君の方から持ち出した話じゃないか。しかし君が止めたければ、止めてもいいが、ただ口の先で止めたって仕方があるまい。君の心でそれを止めるだけの覚悟がなければ。一体君は君の平生の主張をどうするつもりなのか』
彼は卒然『覚悟?』と聞きました。そうして私がまだ何とも答えない先に『覚悟、──覚悟ならない事もない』と付け加えました。彼の調子は独言のようでした。また夢の中の言葉のようでした。
私はただKがお嬢さんに対して進んで行くという意味にその言葉を解釈しました。果断に富んだ彼の性格が、恋の方面に発揮されるのが即ち彼の覚悟だろうと一図に思い込んでしまったのです。
私は突然『奥さん、お嬢さんを私に下さい』といいました。
男のように判然したところのある奥さんは、普通の女と違ってこんな場合には大変心持よく話の出来る人でした。『よござんす、差し上げましょう』といいました。『
私は何とかして、私とこの家族との間に成り立った新しい関係を、Kに知らせなければならない位置に立ちました。しかし倫理的に弱点をもっていると自分で自分を認めている私には、それがまた至難の事のように感ぜられたのです。
『道理で妾が話したら変な顔をしていましたよ。貴方もよくないじゃありませんか。平生あんなに親しくしている間柄だのに、黙って知らん顔をしているのは』
た。『奥さん、Kは自殺しました』と私がまたいいました。奥さんはそこに居竦まった[*267]ように、私の顔を見て黙っていました。その時私は突然奥さんの前へ手を突いて頭を下げました。 『済みません。私が悪かったのです。あなたにもお嬢さんにも済まない事になりました』と詫まりました。
私はただ人間の罪というものを深く感じたのです。その感じが私をKの墓へ毎月行かせます。その感じが私に妻の母の看護をさせます。そうしてその感じが妻に優しくしてやれと私に命じます。
私は私の過去を善悪ともに他の参考に供するつもりです。しかし妻だけはたった一人の例外だと承知して下さい。私は妻には何にも知らせたくないのです。妻が己れの過去に対してもつ記憶を、なるべく純白に保存しておいてやりたいのが私の唯一の希望なのですから、私が死んだ後でも、妻が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、凡てを腹の中にしまっておいて下さい。」
この作品では、エゴイズムと心の機微、罪への葛藤などが描かれ、高校の教科書にも掲載。
読み仮名が多く、用語解説もあり、中学生も大人も読める
Posted by ブクログ
何十年ぶりかに読んだ。
こんな話だったなーと思いながら、先生の最後の手紙のところでは、先生の心の高まりや思いが伝わってきた。
Kがひたすらつらい。
絵も素敵だった。