夏目漱石のレビュー一覧

  • 虞美人草(新潮文庫)

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    登場人物のキャラがしっかり立っておりあとは自然に物語が進んでいく。

    前半とくに詩的だか仏教的だか何れにせよ難解な文章が挿入されており、それは飛ばした。

    「僕が君より平気なのは、学問の為でも、勉強の為でも、何でもない。時々真面目になるからさ。なるからと云うより、なれるからと云った方が適当だろう。
    真面目になれる程、腰が据わる事はない。真面目になれる程、精神の存在を自覚する事はない。天地の前に自分が現存しているという観念は、真面目になって始めて得られる自覚だ。
    真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ。遣っ付ける意味だよ。遣っ付けなくっちゃいられない意味だよ。人間全体が活動する意味だよ。口が巧者に

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    2013年09月23日
  • 坊っちゃん

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    道後温泉に行ったので読みたくなった。
    子どもの頃読んだ時きりなので、単に面白い記憶しかなかったが、改めて読むと奥の深い話だった。

    正義感の強い単純で一本気な「坊ちゃん」、社会に出て、正義を通したようで教職員間では孤立、結局のところ解決策は暴力で、教師という高給な職を辞めた。
    社会に適応できない男の話、世の不条理を書いた物なのか。

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    2017年02月07日
  • 虞美人草(新潮文庫)

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    最初は非常に難しくて、あまり面白くなかったんですが、最後の1/4くらいは、一気に読んでしまいました。誠実と現実の打算。たぶん簡単には言えないのだろうけど、最後に奔走する人物の言葉一つ一つに引き込まれました。おすすめです。

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    2013年06月26日
  • 草枕

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    草枕は眺めるように読む小説である。

    主人公は日常の生活圏から逃げ、自己に沈静しながら、現れてくる世界をただ眺めようとする。それは「おのれの感じから一歩退く」ためである。漱石自身が苦しみに対処するためにそれが必要だった。

    草枕は漱石が「自分の屍骸を、自分で解剖して、その病状を天下に発表」した小説である。余と那美さんは二人とも漱石の分身だ。漱石は自分の屍骸を美しい言葉で綴る。それが彼が苦しみから逃れるための方法だった。

    読者はそれを眺める。しかし、漱石の言葉が美しすぎるがために、読者は自分が読んでいるものが彼の死骸だとは思わないのである。

    漱石の病跡には諸説あるようだが、この小説に現れた病

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    2013年06月08日
  • こころ

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    最初に読んだのは高校生の時分でした。
    その時は一歩退いて、物語だけを追いかけていた記憶しかないけど、今回は若かりし「先生」の視点で読めました。
    で、感想。ちょっと、先生、自己中入ってません?身勝手な人。

    10年、20年先は「先生」の視点から眺めることができるのでしょうか。
    100年前の話が今の感覚でも読むに耐えるってすごいですね。

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    2013年05月17日
  • 吾輩は猫である

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    これは名作です。
    間隔をあけて読む毎に違った印象を受けるくらい、多様な思考が詰まっているように思います。
    しかも、皮肉がおもしろい!

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    2013年04月28日
  • 明暗

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    夏目漱石未完の遺作。
    津田とその妻お延を中心に展開される物語。登場人物それぞれの心理描写が本当に素晴らしい。夫婦間の心理戦とも言える裏のかき合いや、親戚たちや小林というダーティーな友人との心理戦などは、読んでいてハラハラドキドキして物語にどっぷり引き込まれる。さらに、津田が結婚する前に思いを寄せていた清子が登場し、いよいよ佳境!ってところで物語が終わっている。気になって仕方がない!
    個人的にはお延に幸せになってほしい。解説で大江健三郎が書いていたみたいに最後には津田とお延が顔を見合わせて微笑してほしいと願う。

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    2013年04月13日
  • 門

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    前期三部作と言われる三作の中では世間的評価が最も低いかもしれないが、それはこの作品が恋愛成就後の現実を描くからだろう。
    二人は共犯者としての過去を共有するが、その罪をそれぞれに見つめた結果、ある意味最も遠い存在同士になってしまう。
    それでも人生は容赦なく回り続けるため、その現実を受け入れ、慣らされていく(そして時に過去に慄く)。
    この作品は決して諦めを描いているのではなく、生きるということの本質を抉りだそうと漱石がもがいているのだと思う。

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    2013年04月12日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    お坊っちゃまの社会科見学シリーズ土方派遣編。

    いつになっても始まらない小説だが、曰く「小説ですらない」のだから仕方ない。
    道中も穴の中の出来事もきっとどうでもいいし、
    結局どちらにしろ実りはなかったんだからどんなバランスだろうと構いやしないんだろう。

    人に薦められるかっていうとかなり厳しいが、
    程度は様々あれど同じような落ちかけ寸前の若者(?)は多くいるだろうから読んどけばいいんじゃないか。虚しさがしみる。

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    2013年02月03日
  • 夢十夜 他二篇

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    すこし星新一を思い浮かべながら読んでた。
    夏目漱石っぽくなくて、でも理屈っぽいとこはやっぱそうか、とかいろいろ。

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    2013年01月07日
  • 門

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    『三四郎』『それから』に続く、いわゆる三部作の締め。もっとも、前2作とは打って変わって、筋立て上ではドラマチックな展開はほとんど無い。むしろ、『それから』にも通じるような道徳上の「不義の愛」が、いつまでも宗助と御米の人生を暗くし続けている。その描写が手を変え品を変えなされる。『それから』同様に、「自然」とも「運命」とも称される、自我を超越した何らかの力が生活に働きかけているとしか思えないような出来事を、宗助も御米も体験してしまう。この繰り返しは、生活上の小康状態を得た最後のシーンでもなお予感されている。「またじきに冬になるよ」という言葉は、「自然」「運命」の力の強大さを表して余りあるものではな

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    2012年11月22日
  • それから

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    『三四郎』『門』との内容的関連から「三部作」と称される小説。前作『三四郎』が青年の自己形成を主題としたBildungsromanの趣が強いのに対して、本作の主人公・長井代助は物語の開始時点で高等教育を修了し、父や兄からの経済的援助のもとに高等遊民的な生活を送っている。その生活が、平岡とその妻三千代の登場によって撹乱される。三千代への愛、平岡との友情、家族との関係など、様々なファクターを考慮しつつ、代助は自己内省を深めていく。その末に到達した結論は、合理性(ここでは父の薦める通りに見合い結婚をすること)ではなく、三千代への愛を貫くことだった。しかし、それによって家からは勘当され、平岡との友情も破

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    2012年11月21日
  • 三四郎

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    ようやく読み終えた!
    思ってた以上に切なくて、焦れったくて、どうしようもなかった。
    また読みたい。

    特に印象に残ったところ
    ・「ああああ、もう少しの間だ」
    ・「あなたはよっぽど度胸のない方ですね」
    ・「可哀想だた惚れたって事よ」
    ・「あなたに会いに行ったんです」
    ・「そう。じゃ頂いて置きましょう」「ヘリオトロープ」
    ・ヘリオトロープの壜。四丁目の夕暮。迷羊。迷羊。空には高い日が明かに懸る。
    ・「われは我が愆を知る。我が罪は常に我が前にあり」

    以下は雑感。

     『三四郎』を初めて読んだ。なかなか印象深い作品で、学生時に読んでいれば、また違った感想を抱いたかもしれないなとも思う。
     『三四郎』

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    2012年12月25日
  • 坊っちゃん

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    実は赤シャツこそが「坊ちゃん」だった。って解釈もあるらしいけれど、そもそも主人公が「坊ちゃん」っていうのもよくわからん。坊ちゃん=正直で世渡り下手ってこと?

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    2012年11月05日
  • 三四郎

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    迷える羊が森で巡り合い、束の間同じ時を過ごすけれど別々の群れへと再び帰っていく話。三四郎と里見嬢は恋愛感情よりも同朋意識が強かったのではないかな。

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    2012年11月02日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    ネタバレ

    肉体労働の仕事に就くか否かで迷ってて、少しでも参考になるかと思って読んだ。


    坑夫になる前の心境、なってからの心境。
    なってはみたが、辞めたくなる心境。

    漱石も言っているが、人間の心とは変わりやすいものだ。

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    2012年10月14日
  • こころ

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    タイトルどおり"こころ"が書かれた本。かなり読みやすい方かと思われる純文学。高校生の時に使っていた教科書に掲載されていたのだが全文未掲載で続きが気になりつつも放置し続けて最近になって全文読んだ本。読んで良かったと思います!いつの時代も人間の"こころ"ってこうなんだなーとちょっと親近感をもてるお話。

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    2012年10月08日
  • 虞美人草

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     「こういう危うい時に、生まれつきを叩き直しておかないと、生涯不安でしまうよ。いくら勉強しても、いくら学者になっても取り返しは付かない。此処だよ、小野さん、真面目になるのは。世の中に真面目は、どんなものか一生知らずに済んでしまう人間がいくらもある。皮だけで生きている人間は、土だけでできている人形とそう違わない。真面目がなければだが、あるのに人形になるのは勿体ない。(中略)僕が平気なのは、学問のためでも、勉強のためでも、何でもない。時々真面目になるからさ。真面目になるほど、精神の存在を自覚する事はない。天地の前に自分が現存しているという観念は、真面目になって始めて得られる自覚だ。真面目とはね、君

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    2012年09月03日
  • 吾輩は猫である

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    個性的な面々による会話は軽妙かつ人の真相心理をついていた。今も昔も考えることは同じなのでと感じさせられた。一方で会話以外の説明は冗長かつ表現が古く読むのに多少苦労した。また、それぞれのエピソードが完結していなく、もう少し結論が知りたい点もあった。
     全体的にはさすが文豪の作品だけのことはあった。猫を主人公とした軽いタッチの作品ではあるが、その裏に世相への批判、人間のおぞましい心理など巧みに表現されていた。多少長いが一読する価値はある。

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    2012年08月28日
  • 漱石文芸論集

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    夏目漱石は、おそらく近代日本の作家の中では例外的に、文学を理論的に考えようとした書き手である。漱石は、小説が「書かれるもの」=言語による再現であることに自覚的だったし、だから、小説の構成やさまざまな語りの技術=技法をおろそかにできないとも考えていた。一定の留保は必要ではあるが、漱石のテクストは、彼の文学理論の実作化という側面があることは事実である。そして、この自覚が、漱石と?外とを分けるポイントでもあるのだろう(?外は稀代の名文家であるが、小説的な構成、構想力という点では、漱石と比べて見劣りがする)。

     それにしても、この構成は編者の磯田光一によるものなのだろうか。抄録がほとんどで、一つ一つ

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    2019年02月17日