夏目漱石のレビュー一覧
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夏目漱石、前期3部作は『三四郎』『それから』『門』。3作品は、恋愛→結婚→結婚後 という、つながりが感じられます。眼前に現れる景色が違い、訴えてくるものも違うため、3作品の優劣はつけ難いです。
しかし、『門』は派手な部分はないけれど、しっとりした余韻を感じ、私の好みです。ひとつの事実や心理を表現する描写が巧みで、心に奥深くまで刺さります。恐ろしいぐらい、うまい。3作品共通して言えるのは、日本語のゆかしさが感じられ、文章に落ち着きと骨力があるということ。現代の小説よりも漢語が多く使われているため、漢語から伝わるイメージが作品世界を作っていました。漢籍の教養が下地にあるということは、すごいことで -
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『三四郎』(夏目漱石)以上に、心理描写に引き込まれました。
主人公の長井代助、30才。裕福な家のお坊ちゃんで、親の脛をかじっている。働かないで暮らせる。インテリと頼りなさが同居した感じ。
読み始めからゾクゾクします。不倫の話。代助の不倫相手は友人、平岡常次郎の妻(三千代)。代助と三千代は、互いに好意を持っていました。しかし、代助は平岡と三千代の結婚をとり持ってしまう。自分の気持ちより、友人の思いを優先して。
三千代との再会で過去の恋が再燃すると、頼りなげな代助が、大人の男性になっていくように思いました。しかし2人のやりとりから、三千代の方が度胸が座っていると感じる面も。彼女は病気持ちで、 -
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三四郎の心模様が、静かで落ち着いた文章の中に流れていました。色で言えばグレーに近い感じです。それは悪い意味ではありません。心というものの描き方が上手い、それにつきるのだと思います。
東京帝大入学のため、熊本から上京途中の三四郎は、汽車の中で、ある女性に出会います。その女性とひょんなことから、同室で一泊することになります。読んでいる方がハラハラして、“三四郎、今後、女性と付き合えなくなるのではないか”と気を揉んでしまいました。「あなたは余っ程 度胸のない方ですね」なんて言われたら一生トラウマになってしまう。この女性、悪魔みたい。「度胸がない」という言葉は、三四郎のお母さんの手紙の中にもありま -
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10/24の #ヨンデルホン
#吾輩は猫である / #夏目漱石(#新潮文庫)
#ドクリョウ #ヨミオワリ
夏目先生、読み終わりました。小説の概念が変わりましたよ。当時の読者は、どこをおもしろがっていたのでしょう。そして、文豪と呼ばれる理由も分かりました、先生は文がお上手ですね。さすがです。
2025/05/28 22:50
#ヨミハジメ
夏目先生、「箆棒」と書くのですね、「べらぼう」。勉強になります。それと、字が多いです。頁が遅々と進みません。
2025/05/29 21:14
夏目先生、「坂本竜馬」に「天璋院」、幕末がお好きですか?
それと、枚数が多いからでしょうか、1枚1枚が薄い気がし -
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本書には、「夢十夜」「文鳥」「永日小品」の3つの小品がおさめられています。
「夢十夜」
人間の深層心理をえぐっているような、とても怖くてゾクゾクするもの(第三夜)もあれば、漱石の芸術観が表れていて興味深いもの(第六夜:運慶の彫刻)もあります。何度も読み返したくなる文章です。さすが!と思いました。
「文鳥」
漱石が執筆するときの“さらさら”というペンの音。文鳥の“千代々々”の声。静かな場面を演出していました。文鳥の観察がとても細やかで、文鳥を“淡雪の精”と表現しているのが素敵でした。漱石のちょっと不器用な一面や、もの悲しさが感じとれました。
「永日小品」
漱石の人柄を垣間見ることのできる随 -
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8/14〜10/31
青空文庫でコツコツ
わ〜ゆっくり(会社で)読んでいたら結構時間かかっちゃった。とても面白かった。感想はゆっくり書くよ。夏目漱石の文好きだなぁ、他の作品も読みたいな。(つづく)
前半は猫の語りが多いからスラスラ読みやすく、猫がどう考えるのか、猫から見た人間の面白さなどが伝わってくる。中盤から後半にかけては、主人とその友人たちとの他愛のない(しょうもない)生活について、会話文中心で、猫の補足(ツッコミ)という形態になってくる。このあたりからじっくり読む(時間がかかる)イメージ。
内容の備忘
1 猫と主人(苦沙弥)との出会い
何にも優れていないのに、何にでも手を出す主人 -
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ネタバレこの傑作が400円足らずで売っていて、高校・大学の時に読んでから久しく経った今、もう一度本書を買って読んでみた。何度読んでも味わい深い小説である。
自分の上位互換である分身(K)を迂闊にも隣に置き、Kに対する模倣と嫉妬から対象(お嬢さん)を欲しがり、手に入れたはしたがKへの嫉妬を媒介とする愛であったため、K亡き今、お嬢さんへの愛情も薄れてしまった。最終的には主人公も自殺の道を選ぶのである。
解説にもあるが、漱石の文章構成は元々建築志望だっただけあり、非常に読みやすく、滑らかに読めてしまう。また、ルネ・ジラールは優れた小説には模倣の欲望が描かれていると言う。『こころ』はまさに模倣の欲望がもた