夏目漱石のレビュー一覧

  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この一冊がオムニバス。しかも「夢十夜」「永日小品」「思い出す事など」はそれぞれ10、24、33の独立した小品からなる。それゆえ、どこからでも、どれからでも読み出せる代わりに、一品一品を味わいながら読むと、とても数日では済まない(すなわち、時間をかけて楽しめる)。
    なかでも「永日小品」には、唸るような小品が多い。たとえば「猫の墓」。飼っていた老猫が死にゆくさま、漱石自身ではどうにもならぬこと、まわりのみなが無関心なさま、しかし亡くなった途端に関心が向き、その死を悼む、それが感動的なまでに書かれている。「クレイグ先生」は、ロンドン時代に個人教授をしてもらった老先生の思い出。そのアパートの様子、先生

    0
    2025年06月14日
  • 私の個人主義

    Posted by ブクログ

    夏目漱石が学習院大学で講演した内容をまとめた本。漱石自身が悩み抜いた人生について、わかりやすく伝えている。自分に刺さる部分が多い。

    教師に向いてないのに教師の職に就いて、心の中は不本意なことをしているとなんだか煮え切らない気持ちでいっぱいなところも、悩んで書物を読み漁るところも自分と重なる。

    結局、漱石はこうした懊悩を経て、自己本位の4文字を手にし、自分で概念を作り上げる必要があることを認識し、ここに目指すべきところがあったと自覚していく。

    自分も今まさに悩み抜いているのであるが、漱石のように自己の道を切り開いていけるのかと考えさせられた。数年後の自分と比較して、答え合わせをしたい。

    0
    2025年06月04日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    かつての日本でも早い段階でこんな面白い文章を書いたのがすごい。今の口語は夏目が開発したと言っても過言ではないと思う。
    あと読みやすい。めっちゃ書くの大変だったと思う。
    日本の近代小説の幕開けは夏目から?
    猫からみた人間の説明が実に滑稽で面白い。
    主人が面白かった。
    猫の喋り方が学者みたいで面白い

    0
    2025年06月02日
  • 坊っちゃん

    Posted by ブクログ

    50歳を過ぎて遅ればせながら読み始めた夏目漱石の読んだこと無くてもタイトルは知っていた本書。
    アガサ・クリスティのタイトルが好きな私には『坊っちゃん』というタイトルに興味を惹かれなかったという阿呆みたいな理由で未読でしたけど、なんとなく想像していた内容であろうはずもなく、主人公は、なんて危なっかしい思考回路でそれでいて憎めない主人公なんだ。読み始めたら止まらない人物描写の嵐。私のような単純な人間は、やっぱり清が好きになるし、赤シャツと野田に怒りと憎しみを感じるし、山嵐には、ごめんって思う。そんな風に感情移入を余儀なくされるのである。
    きっと、数多の素晴らしい感想が生まれたであろう名著に未熟な読

    0
    2025年05月31日
  • 私の個人主義

    Posted by ブクログ

    何度読み返しても、面白い。
    「道楽と職業」 「現代日本の開化」
    「中味と形式」 「文芸と道徳」
    「私の個人主義」
    身近な事柄や体験などを盛り込んで、掴みが良く、独創性にとんだ講話が次第に深い内容になって行く展開が素晴らしい。

    高校時代に、漱石に講話してもらいたかった。

    現代社会にも通ずる所があるので、多くの方に読んで欲しい。

    0
    2025年05月30日
  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    文章の流れを追うのが難しい短編集ではあるが(夢十夜は読みやすい)漱石先生の豊かな語彙が遺憾無く発揮され読んでて気持ちの良くなる短編集。夢十夜の第一夜、第六夜は高校の時に課題でやったなと懐かしく思った。第六夜の「大自在の妙境に達している」というセリフどんだけ生きてても絞り出せる気がしない。132ページの行列は読んでてニヤニヤしてしまうほど微笑ましい描写で大好き。思い出すことなどでは修善寺の大患での漱石先生の日記のようなもので修善寺の出来事を詳しく知りたかった自分には大変興味深かった。吐血して危篤状態となったことの意味を深く考察した漱石先生の文章がとても切実で身に染みる。特に5章19章が大好き。漱

    0
    2025年05月21日
  • それから(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    随分前に『三四郎』を読んで、漱石ふつうにおもしろいなと思っていたのですが、前期三部作の2作目にあたるこちらを読むのにだいぶかかりました。
    『三四郎』はラストが少し物悲しさもありますが、全体的に青春小説風ですがすがしさがありましたが、こちらは最初から全体的に詰んでいるというか、代助自体は最初は悠々自適としていますが、明らかにそう長くは続かないだろうという不安感が、読者の方にも共有していて、この不発弾、いつか爆発するんだろうという緊張感がただよっていて、読みごたえがありました。
    また、『三四郎』や『こころ』にも表れていましたが、時代が物質的文化へシフトしていくときに、時代は変わるけど、さて人のここ

    0
    2025年05月19日
  • 三四郎(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    巧いとしか言いようがない。冒頭、いきなり掴みから入る。九州から上京するくだり、名古屋の宿で、車中で一緒になった若い女性と同室・同衾。そして名古屋から、向かいの席に座った男は……。
    手紙や葉書や電報、絵画や演劇、演説会や引っ越し、どの小道具や出来事も絶妙な使われ方をしていて、無駄がない。しかもみな自然だ。そしてなんといっても、会話が機智と機微に富む。
    脇役たちもみな個性的。どこにでも顔を出す与次郎がいい味を出している。
    話は、8月末から12月末までの4カ月間に三四郎に起こった出来事。朝日新聞の連載は9月1日から12月29日と、シンクロしている。新聞の読者にとってはリアルタイムな話の展開。これも見

    0
    2025年05月08日
  • こころ

    購入済み

    高校の現代文の授業で読み、今でも忘れられない作品。
    明治期の文豪による、近代文学作の最高傑作だと私は思う。

    0
    2025年05月03日
  • こゝろ

    Posted by ブクログ

    然し、…然し君、恋は罪悪ですよ。というのは、私のみならず読むこちら側にも先生はどんな人生を送ってきたのだろう、と思わせる一言。
    遺書での先生には、人間らしい醜さが顕になってるいるけれど、人間誰しも持っている1面ではないだろうか。
    明治の精神と共に死んだ先生。奥さんの気持ちが慮られる。「私」はこの後どうしたんだろうか。それもまた謎だ。

    0
    2025年12月27日
  • 三四郎(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    物語としては出来事が無さすぎるが、それがリアルでいい。何も進展していかない感じも、実際にはよくあることなんだろうな。問題を持ってきたり引っ掻き回すのは与次郎くらい。
    それにしても美禰子は、三四郎の気持ちを分かった上であのような態度を取っていたと私は感じる。女性特有の承認欲求というか、本命から本質的に手を繋いでもらえないさみしさを、他の男からの好意を仕向けて埋めようとしたんだろうな。完全な思わせぶりと呼ばれる行為。無意識の偽善者だと称されているけど、これは違う。完全に意識的な犯行だ。三四郎があまり積極的でない人間だから、何を起こすこともないし、自分も大事なことは起こさないようにコントロールできる

    0
    2025年05月01日
  • 三四郎(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    掴みから小気味よい。
    夏目漱石が生きた時代の学生の在り方を通して、現代や自分自身のことも振り返るきっかけになった。
    学問への価値観が面白かった。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    「迷子の英訳を知っていらしって」学問、友情、恋愛への不満や戸惑い。
    何度読んでも新鮮な気持ちになれる、みずみずしい永遠の傑作。
    『それから』『門』へと続く前期三部作の第一章。

    0
    2025年04月17日
  • それから

    Posted by ブクログ

    前期三部作の第一作目である三四郎より気に入った

    三四郎より随分と知識人らしい高次元での懊悩が書かれていて、読みにくい部分はあったけど、漱石自身が知識人だったこともあり、そこはリアルに描かれていたような気もする。

    前期三部作のラストである門も読みたいです

    0
    2025年04月12日
  • 門(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    漱石先生の作品を読んでいると、自然、時代を感じずには居られないのでありますが、今回も文体共々透き通る様な感じを受けました⁉️
    初期3部作という事で、身構えて読み進めましたが、一万円札ではなくて、千円札に落ち付く由来を何となく感じるに至りました‼️
    そういう事から、些か腑に落ちない点も在りますが、しかしながら、疑い無く名作であると判を押したいです⁉️
    漱石先生の作品はこれからも楽しみです

    0
    2025年04月08日
  • 行人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    一郎の苦悩も二郎の苦悩も嫂や家族の苦悩も何となく分かるが解決し難い物なのよね。

    他の心なんか解らないものね。

    それはそうと地元和歌山の観光の話は時代は大きく違うが情景を想像しやすく、且つ昔の地元の様子が少しわかって良かったです。

    0
    2025年04月07日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    これが処女作なの強い。
    吾輩にもその他登場人物にも愛着出てきた頃最後の衝撃。
    主人の代わりに私が泣いてやるからな。

    0
    2025年04月03日
  • 坊っちゃん

    Posted by ブクログ

    「赤シャツ」「マドンナ」「親譲りの無鉄砲」の3つの記憶のみで読んでみたが想像以上に面白くて驚いた。生粋の江戸っ子の坊ちゃんがなんとなく教師になって愛媛に赴任する物語。ごく日常的なストーリーなのに、坊ちゃんの独特の語り口調が脳内でリズムに乗りまったく飽きない。田舎だと馬鹿にしながらも生活していくうちに馴染んでいく...という展開だと思っていたが最後まで好きになれず「こんなところはもう御免だ」と帰っていくのが斬新だった。坊ちゃんの単純な性格、かなりの毒舌、清への思いなどが妙に好ましく思い流石の名作だと唸った。

    0
    2025年03月26日
  • こころ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「恋は罪悪ですよ、よござんすか。そうして神聖なものですよ」

    「自由と独立と己れとに充ちた現代に生れた我々は、その犠牲としてみんなにこの淋しみを味わわなくてはならないでしょう」



    自由と独立の明治の時代、その裏で人々は孤独でもあった。私も先生もKも奥さんもお嬢さんも家族を失い孤独な身であった。
    Kの自殺は、単なる失恋でもなく、といって現実と理想の衝突というだけでもなく、人間の孤独を感じたからではないだろうか。先生が叔父に謀られていたと気づいた時と同じように。
    傷ついた本人が最もその寂しさを理解しているはずなのに、それでも先生はKを裏切ってしまった。そこで先生は「自分もあの叔父と同じ人間で

    0
    2025年09月28日
  • 三四郎

    Posted by ブクログ

    頭の十数ページで読むものを掴んで掴んで、惹きつける。あの頃、中学の帰りに祖母の家で読んだ頃はわからなかったヘーゲルもベーコンも、ついにはわかる様になった。
    あれは現実世界の稲妻である。なんて、とても素敵だ。捨てた文がない。とても偉大な小説だ。

    0
    2025年03月22日
  • 門

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    三四郎→それから→門につれて主人公の表現や環境が陰鬱で諦念をまとったものに変わって行くその変化が印象深かった。どの作品も明治時代の東京を舞台にしていて個人の自由、自立が重要視され始める時代になった結果、登場人物がある行動を選択する葛藤が描かれていてよかった。『門』ではその葛藤した選択の後が描写されていて「ようやく春が来た」となっ
    ても「じき冬がまたくる」と返してしまうほどに罪の意識に苛まれ、今後もずっとその重荷を背負って生きて行く主人公が痛ましかった。

    0
    2025年03月21日