夏目漱石のレビュー一覧
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本棚にあったのを再読。書斎の硝子戸の中で世間と隔たって佇む漱石のイメージを思いながら読んだ。
文章がリズムが良くすらすらと頭に入ってくる。漱石の文章が私は好きだ。明治の人も今の人も頭は1つ、手足は1組ずつ、内臓の機能だって違いはないのだからテクノロジーが進んでも人生について思うことはさほど変わりはないだろうと思いながら読む。「死ぬ時まで生きる」は腑に落ちた。
胃潰瘍が生涯の宿痾なのだから神経の細かい人だったのだろうと思う。犬のヘクトーの死、2代目の猫の死などが印象に残った。
読むのは2回目か3回目か。たまに読みたくなるから本棚に置いておく。 -
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一言感想
「知らないってある種救い」
長文感想
今回で2回目の読破
前に読んだ時は第二章的なポジションの「両親と私」パートあんまおもんないなって思ってたけど今回は面白かった。その理由が2週目だからなのか、高2の時に比べて何かが成長したからなのかは正直わからない。
先生が私に過去を話す気になったのは先生と私の間に大きな出来事が起こっておらず、語弊を恐れずにいうならば私が先生のことを何も知らなかっただからなのではないかと思ったりした。
奥さんが、私が、Kが、知らない情報が先生を苦しめたり助けたり(?)してたなぁと思いました。
中学時代の友人に見せてる一面を高校時代の友人に見せたくないなとか、逆にこの話は高校時代の友人には話したいけど中学時代の友人には話したくないな、って出来事とかもあったりするので先生も似た心境だったのかはわからないけどそういうことなのかなって2026年の自分は解釈したいと思います
それはそうとしてめっちゃ分厚い遺書送るぐらいだから先生も私に対してなんかしらのクソデカ感情は抱いていたんだろうかなどと -
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★5.0
「私」と「先生」、そして先生の親友であるKを中心に、人間の心の奥にある孤独や罪悪感を描いた作品。友情と裏切り、愛とエゴ、そして近代という時代の中での人間の孤独を深く描いた小説。
高校の時教科書に載ってて面白かったから全部読んだ。
人間の複雑な気持ちの変化とか弱さ、孤独、罪の意識とか心の深淵を捉えていて、すごく好き。
昔の恋愛がどんなだったか分からないし、先生とKの恋愛に対する思いの深さは計り知れないけど、恋愛に関しは、行動したものがちだと思ってる。口で言ってたって意味ないんだよ先手必勝。
✍︎精神的に向上心のない者は、ばかだ。
#さとの本棚 -
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ネタバレ途中難しくて話についていけないところがあっても、ラスト付近の『呑気に見える人々も心の底を叩くとどこか悲しい音がする(曖昧)』の一文でとても切ない気持ちになる。
苦沙弥先生や寒月くんや迷亭さん、いつも楽しく盛り上がっててもそれぞれにそれぞれの人生で泣いたり悩んだりもしてるんだろうな。そしてその個人にしかわからない部分にはいくら仲良し同士で盛り上がってても、他人が入り込めない壁が、どうしても人間と人間の間にはあるよね、と思う。
とはいっても苦沙弥先生たちみんな面白くてあの雰囲気とても好きだし、猫の皮肉めいて見てるところも好き(笑)
夏目漱石氏の小説3冊しか読んだことないけど、これからもっと読んでみたくなった。
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私が読んだのは旺文社文庫の昭和44年10月の初版。一覧に出てこないのでこちらで代替。
旺文社文庫は「夢十夜・幻影の盾(他)カーライル博物館・薤露行・思い出す事など・現代日本の開化」というタイトル。
本棚にあったが買った覚えもない。たぶんBOOKOFFの店舗で買ったのだろう。
YouTubeの読書案内で(どの方かは忘れた)で「夢十夜」が名作だと言っていたので、読みたくなって読んだが、むしろ「思い出す事など」という修善寺の大患の前後を漱石自身が記したエッセイの方が面白かった。主観的に大病をした漱石の感じた事が書かれているので年表で読むより実感がこもっていて良かった。
「幻影(まぼろし)の盾」はさっぱりわからなかった。アーサー王物語に着想を得て漱石なりに書いたものらしいが、そもそも読んでも誰が誰なのか全然わからなかった。漱石が英文学に通じていたことがわかるだけだ。
「薤露行」も西洋を題材にした小説だが、「幻影の盾」と同じく筋もわからず。
肝心の「夢十夜」は「第一夜」、「第二夜」という風に十夜まで続くのだが夢を書くのなら私にもできそう、と思った。実際の夢なのか創作なのかはきっとどこかで批評家の方が分析しているのだろうが、取り留めのない夢をきちんと読める文章にしているのはさすが作家だ(思い立って夢を見た翌朝書いてみたが、人に読ませることのできる話にはうまくまとめられなかった)。
英文学に通じていたからこそ大所高所から俯瞰して小説を書けたのではないかと思うと同時に(故に高踏派と呼ばれたのではないか?)、アーサー王物語を題材に書いたものなどはわりと読みにくく、「吾輩は猫である」とか「坊ちゃん」「三四郎」その他の有名な小説群の方が日本語がこなれていて文章のリズムもいいのはやはり日本を題材にしているからかな、と思ったのでした。
巻末の年表も最近のとはまた違っていてとても良かった。 -
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この本の感想を書くのは、かなり難しいのかもしれませんが、しかしながら、書かずには前に進まないので、敢えて多少書きます。
漱石先生の全体的な作風は、以前のままなのですが、ひょっとしたら、作品自体が暴風雨アラシの前触れみたいな感じなのかもしれないと思いました。
人生に対して、真っ正面から臨む漱石先生ですから、佳作という事は無いに違いないでしょうが、しかしながら、「何で?」は尽きないのかもしれません。
でも、後期3部作という位ですから、次回作の『こころ』は非常に楽しみです。
途中、ウィットにも富みながら、愛くるしい登場人物に思いを馳せながら、楽しむ事は出来ると思います。 -
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小説の主眼は「先生」という屈折した人物の「心」の軌跡をたどることにあり、まさにぴったりのタイトルです。原題は『先生の遺書』
発行部数700万部、日本で一番売れたとされる小説を、気鋭のBL漫画家が描いた美しいイラストとともに読める。
かつてはその人の前に跪いたという記憶が、今度はその人の頭の上に足を載せさせようとする」
「別問題とは思われません。先生の過去が生み出した思想だから、私は重きを置くのです。二つのものを切り離したら、私にはほとんど価値のないものになります。私は魂の吹き込まれていない人形を与えられただけで、満足は出来ないのです」
「本当をいうと、私は精神的に癇症なんです。それで始終苦しいんです。考えると実に馬鹿馬鹿しい性分だ」
『止めてくれって、僕がいい出した事じゃない、もともと君の方から持ち出した話じゃないか。しかし君が止めたければ、止めてもいいが、ただ口の先で止めたって仕方があるまい。君の心でそれを止めるだけの覚悟がなければ。一体君は君の平生の主張をどうするつもりなのか』
彼は卒然『覚悟?』と聞きました。そうして私がまだ何とも答えない先に『覚悟、──覚悟ならない事もない』と付け加えました。彼の調子は独言のようでした。また夢の中の言葉のようでした。
私はただKがお嬢さんに対して進んで行くという意味にその言葉を解釈しました。果断に富んだ彼の性格が、恋の方面に発揮されるのが即ち彼の覚悟だろうと一図に思い込んでしまったのです。
私は突然『奥さん、お嬢さんを私に下さい』といいました。
男のように判然したところのある奥さんは、普通の女と違ってこんな場合には大変心持よく話の出来る人でした。『よござんす、差し上げましょう』といいました。『
私は何とかして、私とこの家族との間に成り立った新しい関係を、Kに知らせなければならない位置に立ちました。しかし倫理的に弱点をもっていると自分で自分を認めている私には、それがまた至難の事のように感ぜられたのです。
『道理で妾が話したら変な顔をしていましたよ。貴方もよくないじゃありませんか。平生あんなに親しくしている間柄だのに、黙って知らん顔をしているのは』
た。『奥さん、Kは自殺しました』と私がまたいいました。奥さんはそこに居竦まった[*267]ように、私の顔を見て黙っていました。その時私は突然奥さんの前へ手を突いて頭を下げました。 『済みません。私が悪かったのです。あなたにもお嬢さんにも済まない事になりました』と詫まりました。
私はただ人間の罪というものを深く感じたのです。その感じが私をKの墓へ毎月行かせます。その感じが私に妻の母の看護をさせます。そうしてその感じが妻に優しくしてやれと私に命じます。
私は私の過去を善悪ともに他の参考に供するつもりです。しかし妻だけはたった一人の例外だと承知して下さい。私は妻には何にも知らせたくないのです。妻が己れの過去に対してもつ記憶を、なるべく純白に保存しておいてやりたいのが私の唯一の希望なのですから、私が死んだ後でも、妻が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、凡てを腹の中にしまっておいて下さい。」
この作品では、エゴイズムと心の機微、罪への葛藤などが描かれ、高校の教科書にも掲載。
読み仮名が多く、用語解説もあり、中学生も大人も読める -
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漱石の未完の絶筆『明暗』。『明暗』を読まずして、漱石は語れないのではないかと思うぐらい、登場人物全てが浮き上がってくる描写に圧倒されました。2026年のはじめの方で、こんなに素晴らしい小説を読めて良かったです。未完でありながら、このクォリティーの高さ!漱石は天才的。
☆5以上
新婚早々、冷めきっている津田と妻(お延)のやりとりに、まずは興味津々になりました。何なんだ、この夫婦!という感じ。実は、津田はお延と出逢うまえに、清子と付き合っていました。そのことが、この小説展開の大事な要素となっています。
お延と津田の妹(お秀)の、女の怖さが垣間見られる心情描写、津田と妹(お秀)、兄弟同士の臨場感たっぷりの言い争い、結婚前の津田の秘密を知っている友人(小林)の悪意に満ち、とことんまで卑屈になってしまっている話しっぷり、津田と清子の出逢いのきっかけを作った人物、吉川夫人の怖いものなしの強気な姿......
どれもこれもおもしろくて、そして日本語力の素晴らしさに浸りながら、のめり込むように読んでいました。言葉一つひとつを、逃したくない気持ちでした。一人ひとりの人物像が、他者との関係性で、より生き生きとしてくるのです。
今も昔も、悩み多き結婚問題、夫婦関係。そして、男女の思いの不可思議なところ。明治、大正時代のことでも、全く古く感じません。男女はというか人間は、互いに分からないところがあるからおもしろいのだなぁとあらためて実感しました。
先がよめないドキドキ感があり、心理描写や日本語力で漱石と匹敵するか、それ以上の日本の小説に、今後出逢うことができるといいな。