夏目漱石のレビュー一覧

  • リライトノベル 坊っちゃん

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    夏目漱石の「坊っちゃん」をあまり意識しないほうがいいかも。これを読んでから、実際の「坊っちゃん」はどんな話か読んでもらいたい。
    周囲の視線を気にするお年頃の中学生。個性豊かな先生たちと過ごす学園生活。

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    2018年08月22日
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

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    いやはや、これは。
    はぁぁあ。
    なんとも。

    いいっ!

    カーソン・マッカラーズの「結婚式のメンバー」のあとがきで、「たけくらべ」を思い出した。だなんて村上さんが書いてたもんだから、気になって気になって文庫をペラペラとめくってみたんですが、原文はもとより、口語訳でさえなんだかちんぷんかんぷんと思ってたところ、池澤夏樹編の日本文学全集で、川上未映子が訳してるって聞いて、そりゃぁ好きだわきっとと思い、このかわいいピンクの全集を手にしました。
    それがほんとに私にしっくりピッタリ!だって川上未映子の「乳と卵」も、「先端で、さすはさされるわ…」も面白いねと思ってたから、そりゃもう楽しめたし、好きだったし

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    2018年08月19日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    ネタバレ

    実在の人物の経験を基にした作品と聞いた。無知と無鉄砲さ、生死に対しての軽さが、この若さのリアルで、いつの時代も人間というものは変わらないのかもと思わされた。心は固形体じゃないと考えているところなんか、とても共感した。
    暗い坑の中で1人考えるところが印象的だった。
    周りにいくら教えられても、自ら経験していく順序を追わないと答えの出せない気持ちは分かる。この、東京に帰ったという事実だけ淡々と最後語られるところが、主人公が人間を知り社会を知り大人になったということを感じさせる。
    サラッと終わったのに不思議な余韻がある。

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    2018年06月20日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    語り手が変わっていく独特のスタイル。
    語り手であり聞き手にもまわる主人公がいますが、ストーリーやテーマの中心になるのは、その友人だと思います。

    夏目漱石好きなだなあ、と私が感じるポイントが存分に表れています。人間の内面が本当によく描かれています。そしてそのいちいちに、そういう気持ちわかるよ、と言ってしまいそうになるのです。

    この時代は美しい。
    個人の内面が、他者あるいは世間にいまほど影響されることはなかったでしょう。それだからこそ、内面を変容させることは困難で、彼らのように自分でどうにかするしかなかった。そこに苦しさと美しさがあるように、私には思えました。

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    2018年05月27日
  • 夢十夜 他二篇

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    正統派ブンガク
    かかった時間は…こまぎれに読んだのでわからない

    「夢十夜」「文鳥」「永日小品」が収録されている。まあ購入したのは「夢十夜」でも読んでみるかな、と思ったからだが、「永日小品」がものすごくよかった。

    思えば私にとっての夏目漱石は「吾輩は猫である」が始まりだった。小学生の自分にとってさえ、作品全体に流れる、なんとなく対象と距離をおく視点や、逆に対象に没頭する視点、そして日常や光景の切り取り方にユーモアのようなものを感じ取ったことを覚えている。

    「永日小品」はまさに、その「吾輩」の面白さと相通ずるものであると思う。それぞれの断片が、どこかもの悲しく、というか皮肉めいて描かれながら

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    2018年05月19日
  • 道草(新潮文庫)

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    ネタバレ

    金のこと、新しい命のこと、代わりに死にゆく命のこと、切っても切れない縁のこと。大人になると現実味を帯びて絡んでくる、逃れられない事象に頭がクラクラする。
    色んな厄介ごとが降りかかってくるが、それをかわしながら、どこかで自分を納得させ諦めながら生きていく。
    後半の健三の言葉の意味を考えてしまう。事実はいつまでも消えないし現実は地続きなのかもしれない。

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    2018年05月11日
  • 硝子戸の中

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    表題のエッセイは、作家の内省的な思考の結露だが、明治150年経た今でもうなってしまうほどの読みごたえはある。当時からめんどうくさい読者はいたのだな。

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    2018年04月12日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    ネタバレ

    夏目漱石晩年のエッセイ。
    解説に詳しく書いてありましたが病気をしながらも
    何とか生き長らえている自分に対比して
    いつの間にか亡くなってしまう知人を思い
    生への執着について哲学的に述べているところが印象に残りました。

    また漱石の生い立ちや日々の生活が垣間見えて
    親しみを感じました。

    それにしても漱石は思慮深く、その考えを的確な表現を
    用いて述べているので理路整然としており
    その頭の良さを再認識させられました。

    個人的には人間は死ぬまで自分は死なないと思っている
    みたいな文章の部分が特に印象深く残っています。

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    2018年03月17日
  • 吾輩は猫である

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    苦沙弥先生のような自若の中に天然を併せ持った性格は個人的にツボだった。そこに迷亭の飄々とした性格が合わさると尚面白い。

    高度な教養から高度な洒落が放たれて、反応できない所が多過ぎたが、漱石の俗人を寄せつけない天才肌を感じられて面白い。

    猫に人間哲学を啓蒙された気分になった。人間を皮肉っているが厭味がないのは、それが至極的を射ているからだと思う。
    100年以上経っても人間の本質は変わっていない、だからこそ色褪せず支持される作品だと感じる。

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    2018年02月19日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    「現代の青年に告ぐ」は明治の青年達にだけでなく、平成を生きる私にも十分に伝わった。生きるってことに真摯に向き合えと叱咤激励されている気分。

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    2017年12月10日
  • 明暗

    購入済み

    明暗の感想

    漱石最期の作品でありしかも未完である。わが国文学史上、漱石は近代文学の重鎮であり、このような書籍がゼロ円とは感動した。他の作品についても同様の扱いをお願いしたい。

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    2017年11月12日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「愛読書は何?」と聞かれたらコレ。
    圭さんも、碌さんも、白井道也も、高柳くんも、みんな個性があっていい。

    『二百十日』
    こちらは圭さんと碌さんの会話調で進むが、舞台のプロットのように映像化しなくとも読み進めていくだけで、ふたりが世の中に(という圭さんが)世の中をどのように捉えて憤っているかを感じさせてくれる。
    戦の前の決意表明的なものでアル。

    『野分』
    こちらは『二百十日』の意気込みを実践の場で、3人を核として描いているような作品。
    自分からしてみれば…もう少し他者に優しくあっていいんじゃないかと思う白井先生・ペシミストすぎる高柳くん・幸福で金があるがゆえに灯台下暗しな中野くん…という印象

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    2019年06月04日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    ネタバレ

    知人などが死んでいく話も多いが淡々としている。
    自分の歴史を小説にしてほしいと言ってきた女とのやり取りが特に印象に残っている。流れに身を任せて、大切な記憶が薄れていっても平凡でも、生きるほうが適当としたその判断が心を打った。
    平凡でも生きている。悩み尽くし疑い尽くしたが故の平凡なのではないか。
    魂を自由に遊ばせるという表現が、軽やかで好きだ。
    最後、春の景色と心の状態が穏やかに描かれており読んでいて心地よい。満足感が見える。

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    2017年08月30日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    「二百十日」弥次喜多よろしく小気味よい会話が続く。阿蘇の噴火口を、宿から明治時代の装備でもって徒歩で目指す大変さが伝わってくる。もちろん山岳小説ではない。漱石お得意の批判的精神が、時に漢文的表現が現れるので気が抜けない。「野分」冴えない文学者・白井先生の、同時代に同調できない不器用な生き様のやりきれなさを描いたものと読み進めたら、終盤の堂々たる講演がとても印象的なものとなった。高柳君ではないが立ち上がって拍手を送りたい。転地療養用の百円を寄贈してしまった後の高柳君はどうなるのだろう?

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    2017年08月21日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    新潮文庫に使われているスピンを見ると本書を開けた風がなく、30数年来の積読本であった。『坊ちゃん』にも似た軽妙な文章で、落語に出てくるような大家の若旦那が女性関係でしくじって、当時最下層の仕事と目されていた鉱山労働者に身をやつした回想を心理的考察を交えて綴られたものと読み進めた。しかし解説を読むと、荒井という青年の持ち込み材料であったことを知り、「小説になる気づかいはあるまい」などと放り投げたような表現が妙に気になったことを改めて実感した。また『虞美人草』との構成の対比など夢想だに出来なかった。修行不足だ

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    2017年08月20日
  • 虞美人草(新潮文庫)

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    2017.8.11
    とてもよかった。さすが夏目漱石、読むだけで日本画や歴史、言葉遣いも勉強になる。
    登場人物のだれもがリアルで、いろんな視点で語られるので性格が細かく描写されていてとてもおもしろい。家族の関係、兄妹、師弟、恋の駆け引き…それぞれの想いが見えてどうなるんだろうと読み進めれば、宗近君がすべてまっすぐにまとめてゆく。
    結婚となると恋愛ほど単純ではなく、両家の関係や今までの義理、相続など、いろいろな思惑が絡んでくるのがよくわかった。男性陣が27,28、女性陣が24くらいで、ちょうど同世代であるから余計に感情移入したのかもしれない。
    結婚前のわたしにこれを渡したのは父親の計らいなんだろう

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    2017年08月11日
  • 吾輩は猫である

    購入済み

    こんな本だったのか!

    とにかく有名な小説なんだから素晴らしいのは当たり前ですよね!
    ところが自分で最初から読むのは初体験とゆうお粗末なのです。
    意外と受験対策とか教養のためにとかで名前だけは知っていても全部通して読んだことのない本って多いんじゃないでしょうか。

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    2017年06月25日
  • こころ

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    時間さえあるのなら、また読みふけりたい。明治時代だからこその人間関係、構成される人格、時代背景は現代人からすると不可解で単純ではない。
    私から始まり先生と御嬢さん友人Kそれぞれの目線に立ったとき、きっと物語の最後と同じ顛末になるのではないか?それが明治が作った皮肉で純白で無知で恐れいる内容だと思う。
    夏目漱石は生に執着があり時代背景を変えたかった、もしくは変わる時代を眼にのこしたかったのではないか?明治に抗っているようにもみえた作品だった。

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    2017年04月20日
  • こころ

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    ネタバレ

    ふと教科書にのっていたところを思い出し
    なぜKの自殺部分を載せたのかを疑問に思って
    読み直しました。

    改めて読むと先生もKも小難しい
    明治時代の男性はこんな感じだったのか
    それともやはり当時でも小難しい登場人物だったのか

    名作は名作
    高校時代とは違った目線で楽しめました。

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    2017年03月09日
  • 思い出す事など 他七篇

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    大病や大けがをすると、人生観が変わる、というのはよく聞く話です。
    自分は幸いなことにそれ程のことは長らく無かったのですが、一昨年に左足踵の骨折という大けがをして2カ月くらい車いす、半年くらい杖突きで暮し、そのときにそういう気持ちはなんとなくありました。
    まあ、コペルニクス的に何かが変わる、ということでも無くて、「健康ってありがたいなあ」とか「一寸の差でもっとひどく、あるいは死んでいたかも知れない訳で、人知や能力というよりも、不条理な運っていうのはあるなあ」とか。その「一寸の差」で実際にもっと酷いことになったり、死んでしまう人もいるわけで。それに比べて自分がどうしてコレで済んでいるのかというと、

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    2017年01月31日