夏目漱石のレビュー一覧
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漱石への興味は、私の場合、まず明治に確立されて今なおそのまま名文と感じられる文体です。これは主語動詞がかっちりした英語に堪能だったこと、新聞小説としてのひきしまった章だてをとっていたことなどの影響なのでしょうか。
自伝的な「道草」も、「片付かない日常」を描きながらも、やはり読ませるなあと感心します。
幼少時は里子にだされた、ロンドン留学をへて帰国その後はー、経歴では短く語られる間の事情を本人は書き残しています。
ぎりぎりの線で折り合いをつけていかなくてはならない親戚や縁者、反りの会わない妻。目指すところがあるのにという気持ちが「道草」の題名ににじみます。
しかし奥さんは、結構近代的で似 -
購入済み
現代にも通じる
これが1906年に発表されたものかと目を疑いたくなるほどの洗練された文章ということにまず驚かされる。
そして、約8万文字という短さも、当時付録として発表されたことからも頷ける。
しかし、内容は何回読んでも新しい発見があるほどの洗練された文章や構成。独特の軽妙な文章のリズムは「って」という促音の多い表現からと、現代のテキスト解析技術によって明らかにされている。
そう思うと「俺」よりも先に亡くなった清は、私達を見てどう思うだろうか。
答えが見つからないまま、また今日も読みふけってしまう。 -
Posted by ブクログ
漱石前期三部作の第二作。
自他共に認める、高等遊民である主人公代助の親友の妻を愛してしまうことによって、実社会に落とし入れられていくまでを描く、漱石による愛の物語。
まず、代助が高等遊民を自称名乗るに当たり、それに合わせて描かれる高等遊民らしい描写に圧倒されるだろう。
特に漱石の他作品(特に初期作品)を読んだことがある人なら、彼の幅の広さを感ぜられる。
漱石自身が持つ百面相とも言える、作品毎の表情の変化は、それだけで読むに値するのかもしれない。
漱石は文学論上半自然主義派の余裕派に分類される作家であるが、この「それから」内では余裕を感じつつも、自然主義的要素が所々に見ることができる。(あく -
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糸瓜忌のBBで「仰臥漫録」の代わりにプレゼンした作品。但し集英社文庫で。理由は解説が優れているから。だけどそもそも岩波書店が発行した最初の書物が「こころ」だった。岩波文庫の解説は古井由吉!実父の臨終間際を放って東京行きに飛び乗る道徳性、日露戦争ではなく勃発直前の第一次大戦に見る作品の背景、この2つは意見が違うが「先生」とKと「私」という3人の大学生の精神分析が面白い。Kは郷里を欺いた報いで学業も生活も破綻していく。猜疑心が強い「先生」は端からそれが許せない。自他共にだ。どう読んでも49章と50章は圧巻。
岩波文庫創刊時のラインナップ。先日の読書会で、今年も岩波文庫を1冊も読めなかったと言って -
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夏目漱石の『こころ』刊行から百年、らしい!
ということで、漱石のこころに触れるための、名言が作中や書簡などから抜粋されて掲載されている。
読んだことのないものも多数あった。
心を打たれるものもあれば、反面、内容の解釈ができないものも多数あった。
本書の構成として、言葉の注釈は幾つか加えられているけども、”名言”に対する解説は一切なく、読者にその解釈(味読)をゆだねている形になっている。
余計なことはしないという、良い計らいだ。
漱石の言葉に触れる良い機会だった。
やはり原著/原作に当たることが大切だと思う。
※最近、名言のみを集めた本が多数出版されているけども・・・。
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Posted by ブクログ
ネタバレ物語としては「三四郎のキャンパスライフ」というなんでもない話だけど、人物描写が今でも通用するのでおもしろい。今もこんな人いるよね!みたいな。冒頭、名古屋が出てくるのもちょっとうれしかったり。
漱石先生はときどき文明開化の総括的なことを作品の中で登場人物に語らせるのだけど、文明開化によってまるっと西洋の文明を受け容れてしまうことでがらっと風土が変わってしまった日本に、戸惑っている感じが伝わってくる。きっと漱石先生自身がそうだったのかなと思うのだけど、西洋文化を喜んで受け入れられる人がいる一方で、新しい動きに馴染めなずもやもやしている私みたいな人が、明治時代にもいたのだなぁ。
いま與那覇潤さんの「