夏目漱石のレビュー一覧

  • 明暗(新潮文庫)

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    僕にとっては…「微細な糸を、丹念に、緻密に織り上げていった結果、巨大な、極美な織物が出来上がった」といった感じの作品。未完に終わっているので、「出来上がった」とはいわないのかもしれないけど…。読めども読めども、知り尽くせない、語り尽くせない、巨大なミクロコスモス。

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    2021年01月31日
  • こころ

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    BookLive! こころ

    わかりやすかたった

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    2021年01月17日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    心の内側を描いた傑作
    三四郎達より須永はだいぶ自分のことをわかっているし、敬太郎としての読者にそれを話してくれる。

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    2021年01月08日
  • 行人(新潮文庫)

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    【兄さんがこの眠りから永久覚めなかったらさぞ幸福だろうという気がどこかでします。同時にもしこの眠りから永久覚めなかったらさぞ悲しいだろうという気もどこかでします】(文中より引用)

    知識人の一郎を兄に持つ二郎は、旅行先でその兄が妻に不信を抱いていることを知る。心の内の疑いを晴らすため、一郎は二郎に対し、彼女と旅行に出て欲しいと頼み込むのだが、一夜を過ごした二郎は兄に結果を報告する時宜を逸してしまい......。著者は、近代日本を代表する作家・夏目漱石。

    焦点が当てられる登場人物がパートによってずいぶん異なるため、どこに主眼を置くかでずいぶんと印象が異なってくるのではないかと思います。やはり圧

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    2020年11月26日
  • 私の個人主義

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    (2018年2月のブログ内容を2020年11月に転記したものです)

    夏目漱石は英文学を専攻し、学校は出たものの、文学とは何かということをつかめず、悶々とする日々を送っていました。幸いにも教師の職にはありつきましたが

    “「その日その日はまあ無事に済んでいましたが、腹の中は常に空虚でした。空虚ならいっそ思い切りが好かったかも知れませんが、何だか不愉快な煑え切らない漠然たるものが、至る所に潜んでいるようで堪らないのです。」。”

    そして、ついにはロンドンに留学したが、分からない。しかし、そうしているうちについに分かったのです。「文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自分で作り上げるより外

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    2020年11月23日
  • 硝子戸の中

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    素敵な本でした

    面白かったです。

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    2020年10月11日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    ネタバレ

    夢の中の話。

    「こんな夢を見た。」から始まる第一夜。
    百年目に合うから百合の花。文章は余韻が残る言葉が散りばめられていてまさに夢のように幻想的。関係を曖昧にすることによって女の涙の解釈が分かれるところが技巧的。

    第三夜。
    民俗学に見られる民間伝承、「こんな晩」パターンの類型。不気味としか言いようがない。「ちょうど百年」と出てくるが第一夜との関係性があるのかは謎。

    第七夜
    対象をつきはなして見ている。自殺者の視点に立って心情を描写している点において、類型的なものが見られないため何か伝えたいことがあったのか。

    なんとも言えない、考えさせられる、でもわからない
    謎に包まれたような、味のないも

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    2020年10月10日
  • 夢十夜

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    漱石の「夢十夜」をマンガ化したもの。原作の幻想的な雰囲気を醸し出すイラストだ。岩波現代文庫版には、オマージュ「第十一夜」が最後に付いていて、あとがきに相応しい作品だった。

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    2020年08月24日
  • 私の個人主義

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    この本は漱石なのです。

    漱石は「自己本位」という四文字を発見して、すくわれました。私も頭の中がぐちゃぐちゃになったら、この作品をよみ、漱石の言葉を聞きます。この本を読んでいる間、漱石はまるで今この世にいきているようなパワーを与え続けてくれます。おそらく、漱石の魂がこの本に込められているからだと思います。そういった意味で、彼は不死なのです。この本とこの思想がある限り。
    ちょっと匂わせたくらいにして、後は皆様に読んでもらいましょう。これは生きている意味を問う傑作です。ご自身でご覧あれ。

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    2020年08月15日
  • 坊っちゃん

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    この本を読む前、文学史は結構堅いイメージがありました。しかしこの本を読んでみたところ表紙に描かれている「坊ちゃん」という名前は意外な人からつけられたことや登場人物の、坊ちゃんから見た名前が面白かったです。

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    2020年07月25日
  • 坊っちゃん

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    夏目漱石「坊ちゃん」
    投稿一作目。夏目漱石をちゃんと読んだのは物心着いてから初めてだとおもうが、意外と読みやすく書きなぐったかのような痛快な文章で面白かった。江戸っ子の、口は達者ではないけど愛嬌のある頑固な坊ちゃん。坊ちゃんが四国の田舎の学校に数学教師として配属されてからの、色々な人間、嫌な取り繕った狭い世界との戦い。清の存在によりなんだかほろりとするような、暖かい作品になっているような気がする。楽しかった、坊ちゃんのように純粋に人情で生きたい。そして帰る場所があることの素晴らしさよ

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    2020年07月16日
  • こころ オブ・ザ・デッド ~スーパー漱石大戦~ 1

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    夏目漱石が好きなら買い

    夏目漱石ファンなら笑えること請け合いのゾンビバトル+旅情漫画。
    1巻ではこころ、門、坊っちゃん、吾輩は猫であるのパロディキャラが出てきます。特に坊っちゃん前後編はキャラ重視で面白いです。
    ただし若干グロ多し。冷酷な独裁者と化した赤シャツとのバトルはなかなかの迫力でした。

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    2022年09月29日
  • 坊っちゃん

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    離れてみて初めて清からの慈しみを理解できて、東京に戻ったその足で清に会いに行く。二人での生活は短かったかもしれないけれど、坊ちゃんにも清にとっても愛しい時間であってほしいな。
    ぼこぼん先生、響きが好きだ。

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    2020年06月21日
  • 明暗(新潮文庫)

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    ネタバレ

    (個人的)漱石再読月間の15。
    2020年5月2日〜19日。

    ラストを飾る未完の大作。

    何回も読んでいるのにその度に、「清子と会話する場面までよく生きて書いてくださいました」と思ってしまう。清子が姿を見せ、口を開かなかったらまったく次を想像できないから。
    水村美苗『続 明暗』をすぐに読みたいが我慢。

    『こころ』が米澤穂信なら、こちらは石持浅海だろう(個人的見解です)
    相手の裏を読み合うヒリヒリする会話がたまらない。まあ、津田はだいぶ甘いけど。

    せっかく中長編15作品を読み終えたので、短編も一気に行ってしまいましょう。

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    2020年05月19日
  • 行人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    (個人的)漱石再読月間の12。残すは3。

    初読は高校生の時だと思うが、当時は哲学書や思索的なものが好きで、この作品もとても面白く読んだ記憶があるのだが…いやこれは高校生には無理でしょ!特に男女、家族、夫婦の問題は時代を超えて無理。齢を重ねてから読むべし。

    後半の兄の友人の手紙は、漱石再読を始める直前に読み返した埴谷雄高「死霊」の三輪4兄弟を思い起こさせた。思索を重ねに重ね、狂うか、死か、宗教しかないと苦しむ兄。
    軽薄な父とその性質を受け継いだ語り手である弟の方が生きやすい。思索的であるとはなんと生きづらいことか。

    …自分が本来好きな読書の形とは何なのか、それを考えることができて、再読月間

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    2020年05月14日
  • 私の個人主義

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    バイブル的存在の一冊。
    あくまで一つの考え方ではあるものの、物の考え方、姿勢の在り方は参考になる。
    今でも通用する内容なので人間の本質って変わらないという事か。
    本当の意味での個人主義とは自立、自律、寛容、責任、義務と深く結びついており、他者排除ではない。
    何度も読み返す価値あり。

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    2020年05月08日
  • 虞美人草(新潮文庫)

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    ネタバレ

    (個人的)漱石再読月間の6。

    いよいよ虞美人草です。10代の中頃に読んだはずなのですが、まっったく歯が立たず、藤尾の壮絶なラストだけはくっきり記憶にあるものの、とにかく辛かった思い出しかないので、今回の再読月間に当たり、最後に回そうか、さもないとここで引っかかって終わらないかも…くらいの苦手意識だったのが、なんとするする読めるし、もう面白くてたまらない。最初の朝日新聞での連載小説で、気合いを入れて、面白い仕掛け満載なのがよくわかり、いやぁ、私も読書人として成長したなぁと感慨深いものがありました。

    キーワードは「道義」と「悲劇」

    ここでもやはり、お金がないのはツライということが延々と述べら

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    2020年05月07日
  • 私の個人主義

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    漱石による講演の書き起こし。ネガティブな枕からあれよあれよと話題が転じて最後にピタッと着地する。オススメ!

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    2020年05月04日
  • 行人(新潮文庫)

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    二郎の目を通して伝わってくる、兄の苦悩と孤独。
    それを思うと、やるせない気持ちになる。
    何となくそれを感じていたからこそ、もう少し親しい言葉を掛けてあげて下さいと、嫂に言ったのかも知れないけど…夫婦間のことって二人にしか分からないこともあるから…

    何と言うか、上手く言えないんだけど、読むのに体力を使う小説だった。でも、面白かった。

    兄はこの後どうなるんだろう。
    兄の苦悩の孤独を思えば、Hさんの言うように、このまま目が覚めなかったら、永久に幸福なのかも知れない。

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    2020年04月29日
  • 坊っちゃん

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    ▼トシを重ねて読み返すたびに、本筋の事件のオモシロさよりも「坊っちゃん」と、坊っちゃんの疑似母的な「清」とのラブストーリーに、ココロ打たれます。泣ける。涙が止まりません。そうか、これは「赤毛のアン」だったのか。アンの物語に見えて、アンを巣立たせるマリラとマシューの物語でもある。さすが、漱石。

    ▼「坊ちゃん」夏目漱石。1906年初出。どうでもいいですが「赤毛のアン」が1908年。岩波文庫。2019年8月に、何度目かの再読。短い。あっという間に読めます。

    ▼大人になって読めば読むほど、哀しい話だなあ、と思ってしまいます。坊ちゃんの勤務先で起こった事件については、勧善懲悪は全く成されないまま。赤

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    2020年04月17日