夏目漱石のレビュー一覧

  • それから

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    「代助は決してのらくらして居ゐるとは思はない。たゞ職業の為ために汚されない内容の多い時間を有する、上等人種と自分を考へてゐる丈である。」

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    2011年12月18日
  • 思い出す事など 他七篇

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    漱石は小説も面白いが、むしろ随筆や日記の方が面白い。
    本書もその類。

    死の淵から辛くも生き延びた漱石と、逝ってしまった周囲の人々。
    生き延びた悦びと、自分だけが生き残ってしまったことへの言いがたい感慨が、淡々とした筆致の中に情緒を感じさせ印象深い。

    20代の頃は、漱石のよさがわからなかった。
    ようやくわかる年になったか、と、こちらも感慨深い。

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    2011年12月17日
  • 三四郎

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    中学生の時に読んだ本。
    しかしタイトルは覚えていても中身が思い出せない。。。
    ということで、10数年ぶりに再読してみました。

    本作は三四郎の学生生活を書き綴った作品。
    田舎から出てきた三四郎の周りに、
    自分とは異なる考えを持つ様々な人物との交流から
    様々な経験を得るようなストーリー。

    明治時代の作品なので、学生生活といっても
    現代とはマッチしないし、言葉が難しいのもあるけども、
    色々な心理描写があり、全体の雰囲気は分ります。

    本作はずっと気になる美禰子に失恋した感じで終わります。
    本作は「それから」「門」と3部作なので、
    さらに引っ張りだして他も読んでみようと思い

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    2011年12月16日
  • 思い出す事など 他七篇

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    ネタバレ

    大病で生死をさ迷ったにも関わらず
    やはりひょうひょうとした漱石らしい記述で
    その時々の思いを写したエッセイ。

    しかしその醒めた語り口のなかにも
    生き返った自分と、戻らなかった隣室の患者を比べ
    生死の不可思議に考えをめぐらせたり
    療養によって今までの日常生活を離れてみたからこそ
    解る人とのつながりに感動したり
    生きて帰って来れたことに、素直に安堵したり…
    漱石の人間らしい暖かな気持ちがにじみ出ている。

    べたべたと飾り立てず、淡々と、しかしリアルに
    生と死をとらえたエッセイとして
    非常に面白く、心を打つ作品だった。

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    2011年11月17日
  • 道草

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    これは初めて読んだ。作者の自伝的な作品。
    せっかくロンドンに留学したのに、帰国したら貧乏になっていた彼の家。
    親戚縁者から借金や小遣いをせびりに来られてストレスを感じている。
    奥さんともしっくりこないし、けんかをする。
    何が面白いか、と言ったら人物描写だ。なかでも元養母が丸い年寄りになって座布団に座っている様子。
    彼女の描写は見事。
    喘息持ちのお姉さんの描写も面白い。口やかましくて愛されていないのに、夫に妾がいることに気づかず弟から貰っている小遣いを与えていて、夫孝行と呼ばれている。

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    2011年09月22日
  • 思い出す事など 他七篇

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    布団の上から身を動かせずに見えるものがこんな豊かで慈愛に満ちたものなのか、そしてそれを表現している文章の綺麗さに感動してしまった。死に近いという一点のみでは、少なくともその気概を持って接する分には若い人には負けない。どっかでこういう言葉を聞いたけど、いやいや、もうただただ頭を垂れるしかない小さな自分がそこにいるだけだった。
    知り合いの旦那さんが亡くなられる数年前に読んでいた本が並んである本棚から拝借してきた本の中の一冊なんだけれども、こうやってものを介して出会う前に一度お話ししたかったなと思わずにはいられません。
    思い入れこみでの評価だけども、星5つの基準を変えなきゃなと思いました。

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    2011年09月04日
  • 漱石 ホラー傑作選

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    しっかり?夏目漱石読んだのはじめてだな〜。

    夢十夜をちゃんと読みたくて借りたけど予想以上に収穫があった。

    中でも『永日小品』と『我が輩は猫である』の「迷亭くんの話」がよかったな。
    なんかもう足先がぬるま湯に浸かっているような安心感がある。でも足先しか浸かってないから肝心の本体はふとした瞬間に寒気が走る。そんな気持ちいいホラー。

    夏目漱石を一度キッチリ読もう。
    実はかなり好きな文体で話の組み方でござった。

    古い文体だと毛嫌いしてはいけませんね。読みだすとかなりハマりそうな気がする。

    それにしても『夢十夜』の完成度の高さよ………

    全部ものすごく好きだわ〜。

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    2011年08月21日
  • 三四郎(新潮文庫)

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    3度目の三四郎。

    最初に読んだのは、高校生のとき。「坊ちゃん」のような派手な展開もなく、田舎者の三四郎が美禰子さんに憧れるが、地味な失恋をするという陳腐な青春小説という印象で、面白い本とは思えなかった。

    50代での再読で漸く良さがわかった。汽車の中の情景、途中下車した名古屋での女性との一夜、水蜜桃を頬張りながらの富士山談義で構成される印象的な導入部。日露戦争後当時の東京の情景と漱石が思うこれからの日本の将来への展望も良く書かれていて、読書の楽しさが味わえた。

    そして、今回は「それから」「門」を読んでからの「三四郎」。漱石の世界に馴染んでからの「三四郎」の世界は心地よかった。なんと言っても

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    2023年12月08日
  • 虞美人草

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    エンターテイメント小説として非常に面白く、なんといっても会話文の巧さがこの若者たちの群像劇を瑞々しく魅力的なものへと引き立てている。

    冒頭の甲野さんと宗近君の登山における和気藹々なやり取り、続く第2幕の小野さんと藤尾の只ならぬ男女の仲を匂わせる会話の応酬を立て続けに読んだら最後、ぐっと物語に引き寄せられてしまった。

    活き活きとした会話文とは対照的な漢語下し調の地の文は、その装飾的に過ぎる難しい表現に読み進めることを戸惑いもしたが、あまり拘泥せずに読み進めてゆくと、地の文を支配するリズムに虜となってしまうから不思議だ。

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    2011年06月23日
  • 坊っちゃん

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    四国の中学に数学の教師として赴任した江戸っ子の坊っちゃん。校長の〈狸〉や教頭の〈赤シャツ〉は権力をふりかざし、中学生たちはいたずらで手に負えない。ばあやの清を懐かしみながら、正義感に燃える若い教師の奮闘の日々が始まる。

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    2011年08月24日
  • こころ

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    1914年(大正3年)。
    明治の精神とやらはともかく、生物として、配偶者の獲得は弱肉強食の仁義なき戦いである。だからKを出し抜いた先生については、私はさほど責める気になれない。人間はしょせん動物なのだから。第一、勝敗を決めるのは先生でもKでもなくお嬢さんであり、その点において3人の間に不正は何ら存在しなかったのだから。

    だがKは死ぬべきではなかったと思う。生きて愛する女性のために、未来を祝福してやるべきだったのだ。たとえ心で号泣したとしても。そこで涙をのんで祝杯をあげてやることこそ、どんな道を説くより見事な心意気じゃないかと私は思う。そうすれば2人は幸せになれただろうし、世界に女はお嬢さんだ

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    2015年11月07日
  • 門

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    宗助と御米は世間から見捨てられた夫婦だ。それは二人にとって覚悟の上でのことであった。 宗助の終わりの言葉「うん、然し又ぢき冬になるよ」はあまりに悲しい。

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    2011年05月08日
  • 彼岸過迄

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    狂言回し的な主人公である敬太郎の周辺の人物たちを巡る作品。

    同じ下宿の住人である森本、友人の須永、その叔父である、実業家の田川と、高等遊民の松本、そして、従妹の千代子。
    話は、森本から始まり、田川と松本との接触、須永と千代子の関係、松本の話に終わる。
    本作で最も中心を成すのは、須永と千代子の話、補足的にそれにまつわる松本の話である。

    「行人」の一郎同様、須永の苦悩は根本的に、千代子(それに拡大解釈すれば彼の母)を含めた女を介した、他人に対する「不可解」なのではないかと思う。
    同時に、「行人」のレビュー・感想に記したごとく、自らにとっても、この「不可解」や、他者との交感、他人を受け入れる苦悩

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    2011年05月07日
  • 行人

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    弟の二郎と妻お直との仲を疑う、学者である兄の一郎の苦悩を綴った作品。

    高校時代の国語教師は「漱石は女を不可解な存在と感じていた」と論じたのを覚えている。
    本作や「彼岸過迄」を読むと、漱石が「不可解」だったのはおそらく、女のみならず全ての他者、特に、最も近しいはずの身内ですら、その「不可解」の対象だったのではないかとすら感じる。

    他の方のレビューに目を通すと、その感想には、概して一郎へ共感したかどうかの分かれ目があるように思える。
    だがそれは、他の方々が一郎へ共感したかどうかを重要視したのではなく、個人的には、はたして他人は一郎のような苦悩を抱えたことがあるのかどうか、が気にかかったのだ。

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    2011年05月07日
  • それから

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    代助の三千代への愛が真実の愛であるのに、代助が謂うところの義侠心によって、三千代を平岡に譲ったことが私には腑に落ちない。これでは真実の愛よりも義侠心のほうが代助にとっては価値あるものになるのではないか。私には、やはり謎だ。 代助から打ち明けられて初めは泣いていた三千代だが、「…けれども私もう度胸を据ゑてゐるから大丈夫なのよ。だつて何時殺されたって好いんですもの」と代助に言うのだが、ここで三千代の愛は代助の愛より強いのではないのかと想った。 三千代が愛しい。

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    2011年05月05日
  • 道草

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    自分としては漱石の中で一番わかりやすくて大好き。
    そこまで人間関係も複雑ではなく、多分小学生でも読める。

    漱石読んだことない人へ第一番に勧める本ではないと思うけど、
    読みやすさでは坊っちゃんやこころをはるかに凌ぐ。個人的には。

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    2011年04月30日
  • 夢十夜 他二篇

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    追記
    表題作「夢十夜」について学部で読書会を行なって随分理解が深まったので追加。

    夢十夜はそれぞれを漱石が見た夢と考えてもいいが、よく読んでみると技工の優れた点や、後の作品の片鱗、漱石らしい主張などなど様々なものが盛り込まれている。


    第一夜は、死や土の匂いなど負の要素が確かにあるのにそれを全く意識させない美の連続、流麗な文章の巧みさは漱石ならでは。特に白い肌の色から白百合への色の流れの美しさと輪廻の象徴は脱帽。

    他にも七夜八夜が表す英国文化に迎合する日本批判は十夜の庄太郎に見える「それから」の代助の片鱗などなど。たった数ページの文章でも読めば読むほど深みが知れて底が見えない作品でした。

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    2013年02月25日
  • 門

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    夏目漱石の前期三部作、三四郎、それからに続く最終作の位置づけ。

    ある事情により俗世を離れ崖下の家でひっそりと暮らす宗助と御米。
    過去も未来もない二人がその日その日を緩やかに生きていく。

    そんな二人の時間に一つの変化が訪れる。変化の中を生きて行くふたりを書いた退廃的でそれでいてどこか羨ましい。


    ゆるやかな日々に羨望を抱く小説でした。漱石の作品の中でも随一だと思います。

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    2011年03月30日
  • 倫敦塔・幻影の盾(新潮文庫)

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    漱石は文豪なんだよ凄い人なんだってとわかっている筈なのに、どうも吾輩は猫なんて庶民的な作品のイメージからか侮りつつ読み始める感じなんですが、いきなり「倫敦塔」で度肝を抜かれ。
    何これ、基本英国史、それにダンテにシェークスピアに仏教の無一物に終いには都々逸まで!何この人、本当に万能なんじゃないの。何でも知りすぎでしょうよ。
    あと「一夜」がお気に入り。「草枕」や「虞美人草」に近いかなと。綺麗綺麗しい文章。艶やか。
    でも「幻影の盾」と「かいろ行」はこの人こういうのは向かないんじゃ?と思っちゃったけど。日本の話に英文的雰囲気が有るのは良いけど逆はなんだかな。英国紳士に和傘持たせるような違和感。

    でも

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    2011年03月05日
  • 思い出す事など 他七篇

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    「修善寺の大患」と呼ばれる大喀血、そして三十分の死。その前後、夏目漱石は何を思い、どんな風に過ごしていたのか。療養生活を振り返りながら諸処の想いを綴った随筆。ほか「子規の画」「変な音」「三山居士」等随筆を収録。

    以前文庫に収録されていたものを読んだのですが改めて読書。毎年年明け付近には読んでるので。久しぶりの漱石だったのですがやはり筆致が素晴らしいし、どんな些細なことでも含蓄深い。思っていたよりスイスイ読めました。時折挟まれる俳句と漢詩もいい味を出しています。晩年は漢詩が多い漱石ですがこの頃から漢詩多めです。
    個人的には人生の悲哀と煩悶にいつも苦しんでいる小説が多いので漱石もなんかいろいろ小

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    2011年01月24日