夏目漱石のレビュー一覧

  • それから

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    「自然」でありたいと希望し、近代の論理に抗って三千代を選ぶ代助。しかし、後半の代助の心の動きは「自然」ではないように感じるところがある。柄谷行人はそれは姦通を扱ったから、無意識の発露であるからという。漱石は「拙」であっても「自然」であることを目指していたが、むしろ「自然」であるためには「拙」になってしまうのかもしれない。中世に戻りつつある現代において漱石を読む意味はこの辺りにあるのか。

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    2017年01月16日
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

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    2016/10/22
    たけくらべ

    これまで、樋口一葉がなぜお札に載っているのか不思議だった、という以前に気にもとめてこなかったのだけれど、たけくらべ、面白すぎて一気読み。文体が軽快でリズミカル。読んでて気持ちがいい。そして何より、思春期の登場人物の心の内を表す文章は秀逸で、それはもうかゆくてかゆくてたまらない背中をピンポイントでさすってもらったかのように、私の胸にストンと落ちた。今回は川上未映子さん訳で楽しんだが、また違う翻訳でも読んでみたい。

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    2016年10月22日
  • 坊っちゃん

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    ネタバレ

    小学生の時に、かなり大ざっぱな児童むけリライト版『坊っちゃん』を読んだことはあるが、オリジナルの通読は今回が初めて。読後の感想を一言で述べると「面白い。が、いいのか、これ?」。

    あらすじ紹介には「正義感に燃える若い教師の奮闘の日々」と書いてある。『金八先生』みたいな熱血教師ものかと早合点しそうになるが、だまされてはいけない。『坊っちゃん』は語り口こそ軽妙だが、のちに『こころ』という作品で人間の孤独についてげんなりするほど粘着質に書いた、あの夏目漱石の作品である。ハートフルストーリーを求めて読むと肩すかしをくらう。

    第一に、主人公の〈おれ〉は理想に燃えて教師になったのではなく、たまたま恩師に

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    2022年09月06日
  • 坊っちゃん

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    面白い‼️
    4年ほど前にに、母が江戸っ子なので、主人公のセリフをべらんめえ調で読んでもらったところ、笑いすぎて涙が出たほど面白かったです! 

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    2016年10月02日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    「小説の様に拵えたものじゃないから、小説の様に面白くはない。」

    しかしそんな欠陥を、漱石特有の精確な心理描写と飄々としたユーモアでねじ伏せてしまった異色作、いや意欲作と呼びたい。

    「……壁へ頭を打けて割っちまいたくなった。どっちを割るんだと云えば無論頭を割るんだが、幾分か壁の方も割れるだろう位の疳癪が起った。」
    こういう屁理屈っぽい笑いのセンスはさすが!

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    2016年09月21日
  • 三四郎

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    上京したての大学生が悩むことなんて、百年前でも今もさして変わらない。
    大学一回生の頃を思い出してとても懐かしい気持ちになった。時間をおいて再読したい。

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    2016年08月21日
  • 吾輩は猫である 上

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    ネタバレ

    人間の何の変哲も無い営みを、猫の視点から、風刺めいて面白おかしく描写しているところが斬新でした。

    登場人物たちが個性豊かで、すごく活き活きしています。漱石先生は生前、かなり風変わりな人だったそうなので、漱石先生の分身であるキャラクターたちがとても個性的なのは理解できました。特に主人公の友人である迷亭は強烈でした。
    高等遊民であり自由人な登場人物達のとりとめのない会話がとにかく面白く、その様子が脳裏に描かれましたし、文章も読み応えがありました。

    作中では、唐突に会話が始まったり、色んなシーンがめぐりめぐり出てきて、純文学だけどエンターテイメント性に富んでいて、飽きさせない作品でした。
    作中に

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    2016年07月07日
  • 吾輩は猫である

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    漱石のユーモアとトウェインのユーモアって似てる気がする。相手の主張をあえて受け入れてシニカルに考察するところとか。

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    2016年04月29日
  • 三四郎

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    明治中・後期の溌剌とした精神が表現されている一方、西洋化へと無謀に舵を切る当時の社会状況への痛烈な批判皮肉が感じられる。
    森有礼の死と運命を共にする広田先生は何を象徴するか。

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    2016年04月11日
  • 吾輩は猫である

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    ネタバレ

    読書とは経験則である。というのを身をもって実感した本。
    小学生の時は解読不能だったのだけど、中学生になってようやく内容が頭に入るように…。
    タイトルはチャーミングな癖に、なんて瓦煎餅な本なんだ!と思ってました。
    今ではおもしろく読めますです。はい。

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    2025年05月28日
  • 坊っちゃん

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    漱石の作品の中でも最も大衆的で最も親しまれている作品。主要な登場人物は全員欠陥を抱えている。そして自分は坊ちゃんに似ていると感じた。おそらく読者の誰もがうらなりや野太鼓、山嵐、赤シャツ、若しくは狸といった主要な登場人物の誰かに似ていると感じるであろう。そこがこの作品を今なお親しまれるべき作品にしている理由だと思う。とにかく登場人物に自分の欠点が投射されていて愉快でたまらない。

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    2016年02月15日
  • 夢十夜

    購入済み

    前から好きだった

    何回読んでもどきっとしてしまう、好きな作品です。

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    2016年01月24日
  • 道草(漱石コレクション)

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    漱石への興味は、私の場合、まず明治に確立されて今なおそのまま名文と感じられる文体です。これは主語動詞がかっちりした英語に堪能だったこと、新聞小説としてのひきしまった章だてをとっていたことなどの影響なのでしょうか。

    自伝的な「道草」も、「片付かない日常」を描きながらも、やはり読ませるなあと感心します。

    幼少時は里子にだされた、ロンドン留学をへて帰国その後はー、経歴では短く語られる間の事情を本人は書き残しています。

    ぎりぎりの線で折り合いをつけていかなくてはならない親戚や縁者、反りの会わない妻。目指すところがあるのにという気持ちが「道草」の題名ににじみます。

    しかし奥さんは、結構近代的で似

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    2015年12月08日
  • 坊っちゃん

    購入済み

    現代にも通じる

    これが1906年に発表されたものかと目を疑いたくなるほどの洗練された文章ということにまず驚かされる。

    そして、約8万文字という短さも、当時付録として発表されたことからも頷ける。

    しかし、内容は何回読んでも新しい発見があるほどの洗練された文章や構成。独特の軽妙な文章のリズムは「って」という促音の多い表現からと、現代のテキスト解析技術によって明らかにされている。

    そう思うと「俺」よりも先に亡くなった清は、私達を見てどう思うだろうか。

    答えが見つからないまま、また今日も読みふけってしまう。

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    2015年11月16日
  • 坊っちゃん

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    こんな職場の人間関係話、
    いつの時代にもあるんだなあと思った。(学生の身だけど)

    山嵐が実は黒幕なのではないか、と勝手にひやひやしてました。

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    2015年10月12日
  • 坊っちゃん

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    ネタバレ

    なるほど楽しい。いや楽しい。読み始めた当初はこんなにものめりこむとは思いもしなかった。痛快というイメージだったが中々哲学チックな事を言っており、ぼっちゃんやるじゃない、と言ってしまうほど。後半は赤シャツシャツしていたがメランコリーな感じも一興。しかし東京を好きにはならない、田舎が好きです。

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    2015年06月17日
  • 坊っちゃん

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    ネタバレ

    四国の中学に数学の教師として赴任した江戸っ子 の坊っちゃん。校長の「狸」や教頭の「赤シャ ツ」は権力をふりかざし、中学生たちはいたずら で手に負えない。正義感に燃える若い教師の奮闘 の日々が始まる。

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    2015年06月10日
  • 吾輩は猫である

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    名著、間違いなく名著。楽しく読めてしまうのにすごく深い内容。西洋の思想が入ってからの日本人の変化についての考察は本当に考えさせられた、というか烏滸がましくも同じようなことで悩んでいただけに、妙な感慨が…

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    2015年05月02日
  • こころ

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    ネタバレ

    国語の教科書で学習し、漫画で読み、やっとちゃんと読めた一冊。漫画の方を先に読んでいたので、どうしても映像がそれになってしまうのは残念だった。次からは改善したいが既に多くの名作を読んでしまっている。失敗だ。もちろん漫画では伝わってこなかったことや省略されている箇所が読めたので大満足だ。岩波の物は少し読みにくいと聞いていたがスラスラと読むことが出来たので、それもよかった。恋愛を取るか友情を取るか、果たして私がとるべき行動はどれが正解なのか、死ぬまでに自分なりの答えが出せればいいと思う。

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    2015年03月14日
  • それから

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    漱石前期三部作の第二作。
    自他共に認める、高等遊民である主人公代助の親友の妻を愛してしまうことによって、実社会に落とし入れられていくまでを描く、漱石による愛の物語。

    まず、代助が高等遊民を自称名乗るに当たり、それに合わせて描かれる高等遊民らしい描写に圧倒されるだろう。
    特に漱石の他作品(特に初期作品)を読んだことがある人なら、彼の幅の広さを感ぜられる。
    漱石自身が持つ百面相とも言える、作品毎の表情の変化は、それだけで読むに値するのかもしれない。

    漱石は文学論上半自然主義派の余裕派に分類される作家であるが、この「それから」内では余裕を感じつつも、自然主義的要素が所々に見ることができる。(あく

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    2015年03月12日