夏目漱石のレビュー一覧

  • 草枕

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    漱石さんが文豪たる所以はこれかという本著。
    “智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。”という一文があまりにも有名だが、これは表す内容もさながら、リズムがとても心地良いのも一因ではないか。全体の描写も瑞々しく美しい文体からなっている。この本を読む為に適当な旅に出るのも悪くないだろう。

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    2010年03月25日
  • 三四郎

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    ・「三四郎」「それから」が甲乙つけがたくどちらも好きです!
    ・『改札場のきわまで送って来た女は、 「いろいろごやっかいになりまして、……ではごきげんよう」と丁寧にお辞儀をした。三四郎は鞄と傘を片手に持ったまま、あいた手で例の古帽子を取って、ただ一言、 「さよなら」と言った。女はその顔をじっとながめていた、が、やがておちついた調子で、 「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑った。』
    ・「なにつまらない――かわいそうだたほれたってことよというんです」「あたりまえにのばすと、こうです。かあいそうだとはほれたということよ」
    ・『「本当は金を返しに行ったのじゃありません」美禰子はし

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    2013年05月11日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    「豆腐屋主義」について語られる『二百十日』。
    主義を曲げずに教壇から姿を消して文人になる道也先生、陰の高柳君と陽の中野君が出てくる『野分』。

    明治時代に生きる若者に向けた、若者がどう社会の中で活動していかなければならないかを、漱石先生は伝えたかったのかなぁ…。今の時代の僕らにも通じているような主張があって、頑張らないとなぁと思っちゃう。

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    2010年10月17日
  • 草枕

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    7/28
    最後の章、汽車と舟の対比が面白い。
    ただ一番は、風呂の場面で会話が一切ないこと。描写だけで全て書ききれる辺り、現代文学の力不足を感じる。

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    2009年10月07日
  • それから

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    主人公の代助は現在で言えばネオニートと言う言葉で一蹴されそうな身分。職につかず親の仕送りで生計を立てている。しかし普通のニートや引きこもりのように学びもせずただ娯楽に耽っていたりと言うことはない。彼は日々芸術など高尚な世界との交流を楽しみ学ぶ高等遊民であり、ニートと言う言葉で片付けるにはあまりにも舌足らずと言う気がする。

    3回読んだが、難しいところが多い。三四郎より簡単だったと言う人がいたが、僕にとっては哲学的表現が多いように感じ三四郎より難解であった。

    色々と難しい代助の人生観は度々理解できないものがあるが、共感できたりするところが多い。彼の人生観をただのニートの言い訳とみなすのはあ

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    2009年10月04日
  • 明暗

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    存在は、対比で浮かび上がる。
    これでいいんだと自己肯定。

    「続」は読みたくない。
    いいらしいけどね。

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    2009年10月04日
  • それから

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    大学時代に読んだはずなのに、こんなにおもしろい話とは思わなかった。
    やっぱり、その時々で感じるものって違うんだな。

    ダイヤモンドかポテトーか、結局なやむところは同じで、
    漱石に先見の明があったのか、それとも人間なんてものは今も昔も変わりないということなのか…

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    2009年10月04日
  • それから

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    夏目作品で一番印象に残っていた本。
    やはり「僕の存在にあなたが必要だ」の箇所は
    今読んでもキュンとくる。

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    2009年10月04日
  • 倫敦塔・幻影の盾(新潮文庫)

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    漱石初期作品集。『漾虚集』を中心に。
    小説って何なのだろう。漱石の短編を読んでいるとわからなくなります。
    とりえあず、作品のラストについてる漱石自身の解説的なところはどう扱えばよいのやら。
    それも話の一部として読むべき? うーん!
    あと、私が思っている以上に漱石作品の位置づけの中で『草枕』が重要なところに立っているのだなーということがわかりました。
    比較対照として一番使われてますよねーなぜだー!

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    2009年10月04日
  • 夢十夜 他二篇

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    ネタバレ

    夢十夜:1908年(明治41年)。
    こんな夢を見た、で始まるシュールで幻想的な十の物語。ソウセキなんて難しいと思っていたけど、こういうのは好きかも…と、学生時代に思った。

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    2022年09月06日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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     読めて良かったー。読み応えのある「野分」の方が好き。
     金銭本位な世の中で学者という人間は窮屈だったろうと思う。それでも敢えて苦しい境遇に身を置いて、社会に屈せずに己の道を貫く道也先生の姿勢に背筋の伸びる思いがする。
     人間としての「道」が、富や権力より大事だということをきっとわたしは頭では理解しているけれど、だからといってそれを堂々と口にするのはなんとなく気恥ずかしくて、結局は世俗の評価基準に甘んじてしまっている。でもそれではいけないと思わされる。どんなに世界が歪もうと正しいものは正しいと、信じ続ける勇気を与えてもらっているような気がして。
     中間部分あたりで道也先生の語る「文学」の話と、

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    2022年11月20日
  • 行人

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     非常に思いテーマを扱っている小説だった。一郎のように、知識や研究に生きる人にしか理解できない苦悩があるのだろう。なにもかもを分析して研究して理解することはすばらしい事だけど、人の心はそうはいかないものだと思う。それでも、理解して解釈しないでは居られないということ自体、どれほど苦痛だろうか。決して、解決されるような問題ではないのだから。
     知識人ゆえ、一つのところに留まれない苦痛は、死ぬか狂うか宗教に入るかというところまで一郎を追いつめている。私自身は一郎のように知識人ではなく平凡な人間で、一郎ほど思い詰める事も無いから理解しがたい部分もあるけど、ただ、ひとところに留まれないような感覚、焦燥感

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    2009年10月04日
  • 三四郎

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    ネタバレ

    上京したての三四郎は、
    まだ自分のことばを持っていない。
    気持ちをうまくことばにできない。
    まわりの与次郎や広田先生みたいに、
    気のきいたことひとついえない。
    その、ことばにできない部分が新鮮で、
    上京したての気持ちがフラッシュバック。
    ヘタなことをいうより、
    黙っている三四郎がよかった。
    ことばはほとんどなくても、
    美弥子と通じ合う瞬間があって、
    その瞬間が、肖像画みたいに、
    三四郎の中に残っている。

    ○ヘリオトロープの瓶。四丁目の夕暮。ストレイシープ。ストレイシープ。空には高い日が明かに懸る。

    ことばにも、かたちにもならない、
    淡い恋の気持ちに浸される、いい本だ。
    与次郎くんの胡散臭さ

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    2018年11月11日
  • それから

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    代助が何時間も本を読んだり、
    庭を眺めたり、あてもなく散歩したり、
    アンニュイに陥ったりするカリスマニートぶりをもっと見てたかったけど、
    そのままだと家族も親友も敵にまわしてしまうらしい。
    歩きたい、っていう以外の目的を持って歩くのは歩行の堕落だ、
    という代助の考え方、好きだ。

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    2009年10月04日
  • こころ

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    大学生の"私"と、海岸で出会った"先生"と慕う二人が繰り出す痛々しく切ない話。親友を裏切った罪悪感に苦しむ先生の心、裏切られた親友の心、先生の秘密を知った"私"の心など何人もの思いが錯綜し、それぞれの心を考えるだけで胸が締め付けられます。
    先生の言葉一つ一つが重く深く、考えさせられるものばかりでした。
    冷静にみえて時に熱くなる先生、マジメで不器用な親友、その間に何があったのか、また読みたくなる一冊です。

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    2013年11月25日
  • 行人

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    聡明な頭脳を持つ哲学者である兄。それゆえに思考のみが先走り、本人が望んでいる行動に移せない。行動に移るなら愚鈍でなければならない。それにもなれないという哀れさ。

    中盤で、兄が自分の妻の貞操を確かめる場面があるが、あの時どちらに転んでも兄は同じ反応を起こしたのではないだろうか。
    自分で妻に対して聞きただしたかった。しかしそれができずに弟に頼む。結局何もないにも関わらず、兄は弟に対して癇癪を起こしてしまう。

    「自己本位」という漱石について使い古された言葉を念頭において考えれば、ここでは「受身な我儘」がテーマになっていたのではないか。
    妻に何も言えず、弟に任せる兄、ふと縁談が勝手にまとま

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    2009年10月04日
  • 門

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    『三四郎』『それから』に続く、前期三部作最後の作品。親友であった安井を裏切って、その妻である御米と結婚した宗助が、罪悪感から救いを求める様を描く。

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    2009年10月04日
  • 行人

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    「死ぬか、気が違うか、宗教に入るか』。一郎が徐々に追いつめられていく過程が、とても恐ろしく、また悲しくもある。周りに理解されないことをわかったうえでの苦しみなのかな。何かを感じる1冊です。

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    2009年10月04日
  • 彼岸過迄

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    冒険などのロマンが好きな敬太郎。職を得るため探偵めいたことをしてのち、やがて彼は友人・須永の深い内面世界の傍観者となる―――ってこんな感じでいいんだろうか。前半はイラン&失敗&構成がなってないっていう意見が昔からあるらしいが退屈な日常に漠然とした不満を持って何か起こらないかなと敬太郎が思ってるのはいいなと思った。「雨の降る日」から急に面白くなり始めます。雨の降る日は漱石の実体験に基づいてるだけあってリアルで怖い。そのあとの「須永の話」須永と千代子の関係やエピソードに激しく燃えました、萌えました、悶えました。千代子可愛すぎる!!「嘘よ」のシーン可愛すぎる!ノックアウトされたあ!非常に密度の高い理

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    2009年10月07日
  • 草枕

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    智に働けば角が立つ、情に 掉させば流される。 意地を通せば 窮屈だ。とかくこの世は住みにくい。‥この続きも素晴らしいのですよ。

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    2009年10月04日