【感想・ネタバレ】明暗のレビュー

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Posted by ブクログ

主人公の津田と妻のお延の日常の生活を描いた作品、ただの生活描写ではなく、人間模様に焦点が当てられています。主人公の忘れられない元彼女に思い切って会いに行くのだが・・・。というお話。

学生の頃に途中で読むのをやめた本です。未完で終わっている作品ですが、当時の自分も未完でした。今になって読み返すと、なかなか面白い作品で、どんどん夏目漱石の世界に浸っていってしまいました。年齢を重ね時間を無駄に過ぎた分、微妙な関係の津田夫婦、また微妙な関係の津田と小林、そして最後に気になる清子との距離感が絶妙すぎです。特に女性の心の内、津田の心の内を詳細に描写しているため登場人物の心の変化が非常に面白いです。
また、女性の心の描写から当時の日本の慣習や家族の在り方、家族の中でのそれぞれの立ち位置などが読み取れます。そのため、津田の心だけでなく、女性陣の心の「明暗」がねちっこく感じるところもあり、かわいくみえるところもありで飽きさせないところが作品の面白さの一つと思いました。

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2023年10月20日

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存在は、対比で浮かび上がる。
これでいいんだと自己肯定。

「続」は読みたくない。
いいらしいけどね。

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2009年10月04日

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作者の死により未完になりながらも、その長さは漱石の作品の中で最長です。ほとんどの登場人物が内心では対立しています。思惑を持って行動をしています。そのため表面的には仲良くしていても、そのうちは複雑に絡み合っています。その心理戦も描かれています。作品全体が暗いのですが、時折光がチラチラします。漱石は、どのような結末を望んでいたのか、先を考えるのも楽しいです。

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2009年10月04日

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いま大格闘してます(卒論)。
漱石作品の中でいちばんなまなましい。
生きることの無様さ滑稽さ、それでも飽く迄生きることをやめない人物たちにこころ打たれます。

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2009年10月04日

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津田の入院中に起こる事件や疑念の数々は読んでいてどきどきした。変に浮世離れしたことでなかっただけに余計どきどきした。
それが温泉宿に行ってお延から離れてしまい、世界がガラッと変ると妙な物足りなさを感じ、それがまた未完で終ったために、清子の人となりも充分に読み取れないまま終了。致し方ないとは言え欲求不満に近いものが残った。


最後の大江健三郎の解説は正直なにが言いたいのかわからなかった。漱石の研究者でもなし、作品が未完である以上『明暗』の終結を知っているわけでもなし、説得力が元々乏しいところに来て、何かよくわからない分析のし方で、読んでいると小説の余韻が打ち壊される気がしてとばした。
また、註釈も余計なのが多かった。それこそ解説で書けよと思うものが沢山。今の時代から推測の難しい時代背景とか文化風習とかそういうものにとどめておけば好いものを、自分の研究ノートみたいなスタンスで書かれた日には、自分の理解で物語読もうと思う読者の邪魔にしかならない。

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2023年02月15日

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夏目漱石 「明暗」

三角関係を中心に複雑に交錯する人間関係から 自意識を描いた心理小説?

全体の雰囲気は「行きどまりの先にまだ奥がある」という正体不明の不安や陰気さに包まれている。

自意識の強い人物と社会規範的な人物を対称的に描いているが、外から見た自分と 内から見た自分の二重構造を意図しているのでは?

絶筆未完。社会に背立し、物質的不安を抱える津田夫妻、小林、清子がどう変化するのかが読みたかった

津田妻「自分の過失に対しては、自分が苦しみさえすればそれで沢山」

小林「僕には細君がないばかりじゃないんです。何もないんです。親も友達もないんです。つまり世の中がないんです〜人間がないんだもとも言われる」

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2020年11月28日

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夏目漱石の最後の作品にして、執筆途中で作者病没のため未完で終わった長編作品。
188回、手元にある岩波文庫で「吾輩は猫である」を越える581ページありますが、最期の作品ということで文章もかなり熟れていて読みやすく、読み始めるまでは決心が入りましたが、読み始めると意外に早く読み終わりました。
作中の文章のうち会話文が多くを占めていて、かつ本作中のキャラクターは曲者だらけなので、会話内容は苛烈なものが多く、登場人物による謀り、誤魔化しも多いため読み始めると区切りまで読まないと気が収まらないような内容になっているためかと思いました。
また、一つの会話が終わると続いて次の役者が登場するような構成になっていて、気がついたら時間を忘れてどんどん読み進めてしまうような作品だと思いました。
絶筆ですが、ほとんどクライマックスまで書かれていて、今行っている対話が終わったら、次が最終章ではなかろうかという雰囲気がしているのですが、そんな半ばでぷっつりと作品として終了しているのが非常に残念です。
明暗の続編は粂川光樹や水村美苗といった作家さんが執筆されているそうなので、そのうち、是非読んでみたいと思います。

主人公の「津田由雄」とその妻「お延」の夫婦関係を中心とした物語です。
津田は痔疾を患っていて、治療のために入院が必要となり金策に工面する必要が出るところでストーリーが始まります。
津田には実はかつて「清子」という恋人がいて、今は別れ彼女も人妻なのですがこれをお延に隠していて、それがあって二人の関係はギクシャクしています。
本作は「自己本位」と「則天去私」の境地を描こうとした作品と言われていて、これらは相反する言葉に見えて根幹はつながっており、お延という優秀な妻を持ちながら清子に会いに行ってしまう津田を通してそれを描くつもりだったのかなと思いました。
エゴイズムは夏目漱石の後期三部作を通して描いてきたテーマですが、本作ではそれをさらに昇華させて、己の行動は天に則した結果であり、それに抗うことは自己を否定するということになる、そういった内容を本作で書きたかったのかは確かめるすべはないのですが、そういったことを伝えたかったのかもしれないと思いました。

読みやすい作品なのですが登場人物が多く、名前が岡本とか藤井とか小林とか没個性のため、序盤は誰が誰だかわからずに苦労します。
また、彼らが結構相互に関係していて読んでいてわけが分からなくなりがちなので、相関図をしっかり把握しながら読み進める必要があると思います。
吉川は津田の上司なのですが、津田の父と交友があり、また、お延の育ての親の岡本とも繋がりがあります。
また、吉川の妻は津田に清子を紹介しており、津田と仲がよく、津田の妹のお秀と裏で繋がっている。
清子のことはお延には隠していて、そのため津田はお延に吉川夫人と会話した内容も大部分を隠す必要があり、お秀はそんな2人の夫婦関係を非難している。
その他、いろいろなポジションの人物が登場しますが、彼らの相互関係も気にしながら読み進めないと後で誰が誰だかわからなくなるので注意が必要です。

私的には、結局の所、夫婦の間で終わってしまったことをコソコソし続けている津田が悪いのだと思いますが、いかんせんこれからというところで漱石先生が逝去され、もし最後まで書ききっていればどういう終わりになっていたのでしょうか。
漱石先生の最終作に相応しい秀作ですが、やっぱり最後まで読んでみたかったと思います。

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2019年04月28日

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最長にして未完の絶筆。これはとてつもなく強烈。登場人物それぞれがそれぞれに感情移入できない不愉快さだし、そんな彼らの展開する会話劇がまたぐいぐいひりひり気分悪い。中途半端なところで終わっているものの、それがどうしたというくらいすごく面白い。それに比べて、いかに「こころ」が生ぬるいことか。最後の最後でこんなのを書いてしまうのだから漱石はすごい。

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2017年06月03日

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夏目漱石未完の遺作。
津田とその妻お延を中心に展開される物語。登場人物それぞれの心理描写が本当に素晴らしい。夫婦間の心理戦とも言える裏のかき合いや、親戚たちや小林というダーティーな友人との心理戦などは、読んでいてハラハラドキドキして物語にどっぷり引き込まれる。さらに、津田が結婚する前に思いを寄せていた清子が登場し、いよいよ佳境!ってところで物語が終わっている。気になって仕方がない!
個人的にはお延に幸せになってほしい。解説で大江健三郎が書いていたみたいに最後には津田とお延が顔を見合わせて微笑してほしいと願う。

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2013年04月13日

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夏目漱石未完の遺作。有名な本を今更読むと言うのが恥ずかしながら一度はやはり読んでおきたく。第一印象から文章や言葉選びが綺麗で、日常の言葉なのにあまりにクリアに伝わってくるのでどきっとしたりする事がしばしば。さすがでした。他の名著でもしばしば、読みながら何をぐだぐだしているんだろうこの本有名だけど面白いかなぁどうかなぁとか思いながら読み進めて行くのだけれど、後から思い返せばとても深遠で壮大で何日も、ずっと思い返してたりする。本の1つだった。未完なので結末ばかり気にされるけれど、良い物は個々の要素がどの全体とも綺麗に呼応する様に出来ているので、どこで切っても関係ないと思うんだよね。と言うのも良く言われる話ですが

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2012年01月19日

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ネタバレ

「彼岸過迄」「行人」「こころ」の後期三部作や、それがさらに私小説的にドグマった「道草」より全然暗くない。複数の視点に立って、ありもしない「本当の自分探し」から進化したと言えば、言葉が軽すぎでしょうか?

結末の予想に関しては、おおむね日本文学畑の人は全てが未解決のまま終わり、海外文学系の人はドラマチックな結末を迎える、というような傾向に分かれるというようなことが書かれた研究書を読んだ記憶がありますが、「なるほど」という感じもします。日本文学派の中には、「明暗」の次には「猫」に戻ったような作品を書いていただろうという予測もあり、またまた「なるほど」と。「続明暗」がまさに、筆者が外国系だから、まさにそういった予測を体現しているのかもしれません。

個人的には、社会主義者的人物の小林の存在が好きです。

追い込まれた時、読みます

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2012年01月23日

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漱石の美しい文体で語られるも、内容はメロドラマ的(笑)
前半で張られたたくさんの伏線を引っ張ったまま、終盤に突入したところで未完に終わっているのがまたなんとも想像力を掻き立てられます。

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2010年10月16日

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漱石の作品中最長にて未完の作品。その心理描写がものすごく細かく、ついつい引き込まれていってしましました。このように人は考えを巡らすのだろうか、と思う程に書かれていたのですが、もしかしたら私も知らぬうちに即座にいろいろな思いを馳せて人と接しているのかもしれないと思いました。大人になったら、人間関係がめんどくさそうだと思いました\(^o^)/テキトウ

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2009年10月04日

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夏目漱石(1867-1916)晩年の長編小説。作者逝去により未完(1916年)。津田由雄と延子の夫婦関係を軸として話は展開。その馴れ初めの裏には清子という女が関係している。登場人物ひとりひとりの性格が巧みに描かれている。そこにはエゴイズムを追いかけた漱石の跡が感じられる。

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2009年10月04日

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