夏目漱石のレビュー一覧

  • 吾輩は猫である

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    読んだのは青空文庫だ。意外に長編だが、筋がある訳でもないのでどこで終わっても良いし、どこまでも続けられる。
    当時はどう受け取られたのか知らないが、ユーモア小説であって文学という固さはない。これを崇め奉って文学研究が重ねられているのが不思議。そもそも何故残っているのかも分からない。もっと売れていたものもあったやに聞くが、歴史の篩というのも気まぐれだと思う。いや、面白いんですけどね。
    明治の苦悩と現代の苦悩は真っ直ぐに繋がっていて、解決されないままむしろ複雑化して今に至るので、古典に直接答えを求めても無駄ですね。どの時代もその当時には今こそが時代の転換点だと感じるものなのだろう。

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    2025年11月08日
  • 彼岸過迄

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    ネタバレ

    大学を卒業した田川敬太郎は同じ下宿に住む森本と親しくしていたが、ある日森本は家賃を踏み倒し満州へ。
    大学の友人・須永の叔父・田口に仕事との紹介を頼みにいくが、そこで田口にある男の尾行を依頼される。尾行相手は田口の義弟・松本で一緒に歩く女性は田口の娘・千代子であった。松本を訪ねる田川。幼くして死んだ松本の娘。
    須永と千代子の恋。

    短編をつなげて長編にした作品。田口の尾行がちょっと探偵小説っぽくって面白い。「雨の降る日」は漱石の娘の死を託した話で切ない。

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    2025年11月06日
  • それから

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    ずいぶんかかった。
    いつから読まなきゃと思っていたんだったか。

    谷崎潤一郎の『蓼食う虫』を彷彿とさせる主人公の足踏み状態。進まない。ちっとも先に進まない。四の五の言ってばかりなり。なんなん!ブルジョワの余裕というには金に余裕はないし、それなのにあの余裕は。いやだから余裕ではない。

    だから結末に向かっての雪崩れ込み方は,オヨヨである。
    さぁ、職を探そう!と外に飛び出すってあーたびっくりよ。

    思わず、そのあとが知りたくて『門』に突入しちゃったじゃないの。

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    2025年11月03日
  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

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    「文鳥」は、文鳥への優しさと、世話を怠った自分への苛立ちが交錯する描写は、漱石先生の人間味を感じられる。小さな命を手のひらで受け止める姿が印象的。

    「夢十夜」第一夜が幻想的。

    随筆「思い出す事」が特に印象深かった。修善寺での瀕死の体験を静かに振り返る漱石の姿に、命の重みと文学の深さを感じた。「三十分ばかりは死んで入らしったのです」(p209)という妻の言葉が胸に残る。

    詩の趣について語るくだりも美しく、漱石が自らの精神史を詩を通して見つめていたことが伝わってくる。短編集の中でも、この一篇が心に残る読書となった。

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    2025年11月01日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    夢十夜なんかものすごいのだけど、これって漱石以外が書いたらやはり評価されるのだろうか。
    でも、ものすごい

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    2025年10月31日
  • 私の個人主義

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    漱石は陰鬱で面白みのない人というイメージだったが,講演を読むとそれなりに諧謔のセンスがあるし,ウケをねらうサービス精神もあったんだなと。
    「私の個人主義」は学習院の学生向け講演だが,今でも通用する話かと。
    漱石を読むといつも明治以降この国の課題は一貫しているように思われる。

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    2025年10月31日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    NHK『100分で名著』で、ある作家さんが「漱石作品のなかで好きな作品3つ」のなかに挙げていたので、読んでみました。
    おもしろかったです!

    まったく知らない世界の話で、ぐいぐい引き込まれました。 

    人の品格とは職業(医者か坑夫か…)ではなく、「教育から生ずる、上品な感情」と主人公が感じるシーン、大好きです。

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    2025年10月18日
  • こころ

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    解説書いてる菊田均先生、初めの知識系はタメになったけど、後半は自分で問題提起したものにハッキリした答を出さず話があっちこっちADHDの思考回路みたいに飛び飛びで、そのくせ問題提起だけは山積みになっていって、謎だけ残された感あって後味めっちゃ悪かったし分かりづら

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    2025年10月09日
  • 三四郎

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    ネタバレ

    三四郎を中心に展開される当時の東京大学学生生活の描写が良い。
    三四郎と美禰子の関係が最初に読んだときは、良く分からないしあまり面白さも感じなかったけど、何回も読んでいるうちに面白くなってきた。漱石の作品はそういうのが多い。

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    2025年09月30日
  • 草枕(新潮文庫)

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    言葉が難しい。笑
    内容説明読んで、かなりそそられたので読んでみた。大筋の大筋だけは理解したと思うが、微細なニュアンスなどが取りきれてないと思う。
    なんせ、言葉が難しすぎる。笑
    でも、内容はとても魅力的なものだったと思う。

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    2025年09月30日
  • 悪魔 乙女の本棚作品集

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    イラストレーターのしきみさんの、乙女の本棚作品集です。どこか怪しい美しさのある、しきみさんのイラスト。作品の冒頭に、どういう意図でこのイラストを描いたのか、解説が入っていて、一度読んだことのある作品でも、新たに楽しむ事が出来ました。

    新規収録作品は、芥川龍之介の悪魔。短い作品ですが、インパクトがありました。最後の悪魔の表情が、文章を底上げしている気がします。
    素敵な作品集でした。


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    2025年09月26日
  • 行人(新潮文庫)

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    夏目漱石後期三部作のひとつ。個人主義に目覚めた兄・一郎が、伝統的家族観との狭間で苦悩する。語り手の弟・二郎が章を経るにつれて、個人主義に傾いてゆく様子が秀逸。

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    2025年09月23日
  • 草枕(新潮文庫)

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    “山路を登りながら、こう考えた。
    智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。”

    『草枕』の冒頭、受験勉強で暗記したので、今でも覚えています。しかし、

    その先をこれまで読もうとしませんでした。情けないこと、この上なしです。

    とにかく、今回読めて良かったです。芸術的感性が文章全体にあふれ出ていました。多彩な漢語が散りばめられていて、湯水のごとく出てくるようでした。東洋の神秘を感じました。

    1人の青年画家が、絵を描くために温泉場にやってきて、那美さんという女性に出会います。2人はいい関係になるのかなと期待していたのですが・・・

    色々な人との世間話や絵画の世界、木蓮の花の描写、書や硯の話に興味がわきました。

    読んでいる途中で、ストーリーの面白さというより、画家の混沌とした頭の中をのぞいていく感じでいいのかなあと思いました。

    小説の終わり方が印象的でした。芸術の神様降臨!!って感じです。

    最後に、この小説の内容と直接関係ないのですが、次の一文に引きつけられました。

    “丹青は画架に向って塗抹せんでも五彩の絢爛は自ずから心眼映る。”
    意味→絵の具をことさらキャンバスに塗って画を描かないでも、美しい色彩はおのずと心の目に浮かんでくる。

    心眼=心の目

    トルストイしかり、サン=テグジュペリしかり、そして漱石しかり。偉大な3人の書物に“心の目”の記述あり。

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    2025年09月23日
  • 道草(新潮文庫)

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    健三は学問によりいち早く「近代」を吸収したが、個人主義の目をもって故郷を眺めたとき、それは「家族」という名の伝統的価値観によって彼を縛るしがらみでしかなかった。また教員という職業から高給取りとみられていた彼は、かつての養家島田を筆頭に親族一同から常に金銭的援助を求められていた。しかし健三の家にも資産がないばかりか家計は火の車なのである。家族や慣習とったしがらみに悩まされ、また金策に苦労する中で健三は妻御住との夫婦関係も悪化させてゆく。二人の関係が冷えるほど、御住は当てつけの如く産まれたばかりの子どもの世話に傾倒する。しかしそんな妻を健三は冷ややかに見てしまう。「家族」というコミュニティが解体されていく時代において、いつかは自分も妻も自立した子どもに見放される運命にあるからである。それは奇しくも自分が今まさに島田を見捨てようとしているのと同じように。最終的に、健三は島田の執拗な金銭の無心に対して手切れ金という形で決着をつけるが、それによりこれまでのしがらみが片付いたとは到底思えないのであった。
    「家族」という伝統的価値観から抜け出しきれない健三の葛藤が描かれているが、そこからの脱却を試みた先にあるのは、「お金」に象徴される近代的価値観による新たなしがらみであるという皮肉を感じる作品であった。

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    2025年09月08日
  • 道草

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    ネタバレ

    健三は学問によりいち早く「近代」を吸収したが、個人主義の目をもって故郷を眺めたとき、それは「家族」という名の伝統的価値観によって彼を縛るしがらみでしかなかった。また教員という職業から高給取りとみられていた彼は、かつての養家島田を筆頭に親族一同から常に金銭的援助を求められていた。しかし健三の家にも資産がないばかりか家計は火の車なのである。家族や慣習とったしがらみに悩まされ、また金策に苦労する中で健三は妻御住との夫婦関係も悪化させてゆく。二人の関係が冷えるほど、御住は当てつけの如く産まれたばかりの子どもの世話に傾倒する。しかしそんな妻を健三は冷ややかに見てしまう。「家族」というコミュニティが解体されていく時代において、いつかは自分も妻も自立した子どもに見放される運命にあるからである。それは奇しくも自分が今まさに島田を見捨てようとしているのと同じように。最終的に、健三は島田の執拗な金銭の無心に対して手切れ金という形で決着をつけるが、それによりこれまでのしがらみが片付いたとは到底思えないのであった。
    「家族」という伝統的価値観から抜け出しきれない健三の葛藤が描かれているが、そこからの脱却を試みた先にあるのは、「お金」に象徴される近代的価値観による新たなしがらみであるという皮肉を感じる作品であった。

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    2025年09月08日
  • 坊っちゃん

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    ネタバレ

    恥ずかしながら大人になるまで読んだことがなかった。
    道後温泉に行った際に読んでみようと思い購入。
    坊ちゃんの竹を割ったような裏表のない性格にスカッとしますね。
    坊ちゃんにとっては松山は苦い思い出であったみたいですが。

    それにしても、清に松山は忌み地なんて言われてたんですね。

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    2025年09月05日
  • 坊っちゃん

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    さすがに読んでおかないとと思って手に取りました。時代劇のように勧善懲悪っぽい。だけど主人公にも落ち度がある点もあり、そこがむしろ親しみ深くなるところ。無駄がなく倦怠感を感じずにスラスラ読めました。

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    2025年08月28日
  • 文鳥・夢十夜(新潮文庫)

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    娯楽というよりは勉強だった。
    これは夏目漱石の「小品(しょうひん)」が七編入っていて、そもそも小品って何?ってところから私は分からなかった。

    最初は小品の意味も分からず読んでいて、これは何?小説?それとも漱石のセッセイ?とどんどん分からなくなったので、解説を一旦読んでみると、何となく分かった。

    小品は日本特有とも言えるジャンルで、小説でもなく、感想でもなく、短編小説と随筆の間のような、曖昧な領域なのだとか。

    面白い。
    でもそれで少しこの文体とかになっとく。

    最後まで読んだけど、ちょっと難しい(不慣れな)ところもあって、全部を全部堪能できた訳ではいけど、最初の「文鳥」はとんでもなく良かった!!
    家で飼っていたセキセイインコのてれちゃんが懐かしくなり、涙してしまった。
    これは鳥飼った人にしか分からない事なのか、そうでなくても感動するものなのか。
    とにかく私には強いインパクトを残して、とても短い小品なのに、すごい!さすが文豪!と感激。

    その次は、「夢十夜」内の「第一夜」がものすごく綺麗だった。美しかった。

    あとは「永日小品」内の「モナリザ」の雰囲気も独特で好きだったし、

    「思い出すこと」の中のドストエフスキーの生死と漱石自身の生死を比べるところも面白かった。

    最後の小品の「手紙」は比較的読みやすく、楽しめた。最後どうなったのかすごく気になる!!

    ちょっと読むのが大変だったときもあるけど、とりあえず1番は、「文鳥」を読めたことだけでも嬉しい!てれちゃん、うちに来てくれてありがとう〜!!いつも精一杯可愛がってるあげられなくてごめんね〜(涙)




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    2025年08月24日
  • 私の個人主義

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    要約としては、「国家主義」の理念が大変盛んで、国家の利益のために生きることが強調されていた時代において、漱石は「個性こそ発展させるべきである」という”個人主義”の立場を主張する。
    学習院でのこの講演の流れとしては、まず松山中学校から第五高等学校(現熊本大学)の教師時代、その後、ロンドン留学・・・と彼が歩んだ人生を振り返る形で話は進む。
    その中で今の世は「他人本位」に生きる人が多いが、「自己本位」で生きてきたことを語る。そして若い人たちも自己本位に生きる道を勧める。
    後半は、権力と金力とともに得られる自由(他人の自由を尊重すべき)、そして権力と金力を持つ人間として果たすべき義務について語る。

    自己本位とは、「自らに依り、主体的に頭を使って考え、自らの道を行き、目標を成すこと」と漱石は考えた。つまり思索の原点を”自己”を出発点せよ、ということ。

    大学時代から教師、そして自己本位という言葉を得るまで、漱石が終始抱えていたのは「漠然とした焦り」である。漱石は留学の期間中、当時有名な作品をことごとく読もうとしようと決心する。ところが1年後、読み終えた本のあまりに少なかったことに驚く。さらに、漱石は幼少期から親しんできた漢文の文学と、現在彼が習得している英語の文学との間に大きな違いがあることに深い苦悩を感じる。
    漱石はロンドン時代にとうとう「自己本位」という概念を手にする。
    この時漱石は初めて文学とはどんなものであるか、その概念を根本的に自力で作り上げるより他に、自分を救う途はないのだと悟った。そこで漱石は自分で「文学論」を創る。

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    2025年08月15日
  • タナトスの蒐集匣 -耽美幻想作品集-(新潮文庫nex)

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    とても豪華な1冊。
    求めていた文豪の短編がビッシリ詰まっていて、不気味!耽美!最高!
    夏目漱石、夢野久作、江戸川乱歩、太宰治が入っていてとても嬉しい。
    どれも面白くて良い。

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    2025年08月14日