夏目漱石のレビュー一覧
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注釈だけで20ページ以上あるし言葉とか解釈が難しくて読むのが大変だった。でも全体的には面白かった。作中の「非人情の旅」って、今で言う「自分探しの旅」のようなものだと思うけど、100年以上前でも、やってる人いたんだという驚きと、それを物語にしたのも、全然昔っぽくないというか、なんか良いなと感じた。
仕事や人間関係などの人の世に嫌気がさして、山里に逃避した主人公の気持ち凄く分かるなーと思いながら読んでた。時代は違えど、人が生きる上での悩みや苦痛、葛藤や生きづらさなどの根本は変わらないのかもしれない。そう思うと昔の人たちも同じことで悩んでたんだな〜自分だけが抱えていた悩みではないんだなーと元気がも -
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中盤こえるくらいまでやたらと難しい言い回しがくどくどと続く印象。漢籍や西洋の書籍からの引用が多いとかそういう話ではない。解説で、正宗白鳥は今作を批判したと読んだが、わからんでもない。
しかし終盤になると俄かに展開が速まり、筋に重きを置いたからなのか、格段と読みやすくなった。小野さんが突如として「真面目」になったのには少し狐に摘まれた感じがしたが、宗近一の言葉はなるほど人を動かす熱さがある。思わずじんと来た。
これまでに漱石の作品は『吾輩は猫である』『坊っちゃん草枕』『彼岸過迄』『こゝろ』『明暗』を読んだが、どれもそれぞれに特徴があっておもしろい。向田邦子の文章も好きだが、あの人のは反対にどれを -
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夏目漱石の自伝的小説。親族に無心され続ける中での思いがまとまっている。以下、印象的な文。
・(兄へ)「みんな自業自得だと云えば、まぁそんなものさね」これが今の彼の折々他人に洩らす述懐になる位彼は怠け者であった。
・「みんな金が欲しいのだ。いや、金しか欲しくないのだ」こう考えてみると、自分が今まで何をして来たのか解らなくなった。
・彼は金持ちになるか、偉くなるか、二つのうち何方かに中途半端な自分を片付けたくなった。然し今から金持ちになるのは迂闊な彼にとってもう遅かった。偉くなろうとすれば又色々なわずらいが邪魔をした。そのわずらいの種をよくよく調べてみると、矢っ張り金のないのが大原因になっていた。 -
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人生初となる夏目漱石本、チャレンジしてみました。
読み始めてしばらくは、生きている時代の違いに加えて、文豪の操る空気感に圧倒されたというか、どう受け取っていいかわからない雰囲気だったんですが、これは通常の『話を楽しむ』という目線で見るのでなく、そもそもスタート地点から描かれているものの趣旨を理解することがとても大事だな、と、読み終わって一層感じてます。
最初に『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。』と、有名な語り出しから始まるところは、究極な話、この核心的なところで、この主人公は自分の画業(または創作のヒント)のために気分転換をしに出かけ -
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「草枕」と同じく、とてつもなく難解な地の文。いやぁ、すごいですね。よくこんな文章が書けるものだと感心します。恐ろしい教養です。
それもすごいのですが、なんといっても会話がすごい。登場人物それぞれに何か秘めたるものがあり、自分の思惑に話を持っていこうとするが、相手はそうはさせじ意識的にか無意識にかする。そういったやり取りが、とてつもなくスリリングです。
登場人物の中ではやはり「藤尾」が魅力的です。おそらく漱石としては、藤尾を完全な悪女として描きたかったのでしょうが、思いのほかに筆が進んでしまったのでしょう。欠点があるのも人間らしさとして、また魅力の一つになっています。
その点で、最後の展開は納得 -
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明治の切ない恋愛話。
当時の九州片田舎と東京は今以上に格差があり上京する三四郎は戸惑いがあったろう。
列車で知り合った謎の女性の振る舞いへの冷静な対処など少し背伸びする様子が伺えた。
様々な出会いに対し終始受け身の三四郎と、常に動き回りトラブルの中心のような与次郎はとても対照的で、だからこそ三四郎の「静」が強調されているように感じた。
そんな受動的な三四郎が一目惚れのように惹かれる美彌子に対するポジティブさや様々な嫉妬はいじらしい。
三四郎の気持ちを知りつつ口数少なく切り返す様は小悪魔そのもの。
実らぬ恋の末、その美彌子を描いた絵画を見に行く三四郎の気持ちは幾ばくか。
美彌子とのキーワー -
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ネタバレ前作の『虞美人草』とは打って変わって、生々しい現実が牙を剥くような、異様なおぞましさを放つ作品でした。
恋愛事件のために東京の家を出奔した主人公の19歳の青年は、周旋屋の長蔵に誘われるまま坑夫になる決心をし、栃木の足尾銅山に向かう。途中、周旋屋から勧誘された"赤毛布(あかげっと)"や"小僧"も加わり、奇妙な行程を経た末銅山にたどり着く。
飯場にひとり放り出された青年は、異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深くへ降りて行く…。
漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意図的に排して描いたルポルタージュ的異 -
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読むのにどれくらいかかっただろう。
2ヶ月弱か?
中学か高校の『こころ』ぶりの夏目漱石
いつも帰国した時にテキトーに本を買い漁って読むんだけど、ついついその時のセルラン上位の読みやすいが後味少ないいわゆるライトノベル…?というのか?に飽き飽きして、ちょっと文学を読んでみた
結果的にめちゃくちゃ時間を使って、2週間1ページも読まない日、逆に一晩で100ページ読む日
夏目漱石が世に対して、自身に対して、猫を通して風刺する感じの内容
哲学デブの手紙からの猫のdisりは読んでて食らった
人は理解できないものをありがたいと思う
そして最後、なんか2ヶ月一緒に過ごした猫の最後を知ってちょっとセンチ