夏目漱石のレビュー一覧
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小説の内容が云々よりも、当時の「蒸発」の一種をみたようで、おもしろかった。
東京の中流階級の家にうまれた男の手記の体裁をとる。女絡みの出来事をきっかけに自殺を考え、次いで世捨て人になろうと考えたやさきにポンビキに拐かされ、足尾銅山に連れられて坑道を体験したのち、坑夫になろうと決心したものの健康診断で気管支炎と診断され、帳簿管理の仕事をあてがわれて数年後に東京へ戻るとゆう筋書き。
前半から中盤は落ちこぼれた知識分子が頭脳を無駄遣いしているような、江戸時代の黄表紙本みたいな文章。最近漱石独特の宛て字があまり好きでないことに気がついた。
物語性に乏しいとゆうことで従来あまり注目されてこなかった -
Posted by ブクログ
ネタバレ坊っちゃんの生い立ちについては冒頭で語られますが、
もしかするとそれはフェイントで、実際彼は無菌室で育てられ、
一ヶ月だけ外界に放り出されたアンドロイドなのではないだろうか?
読み終えた後、そんな風に感じました。
本作は、草枕や猫に比べるとすごく砕けててコミカルで
同じ人が書かれたとは思えないほど読みやすいもので、
よくある教訓や風刺を込めたものとは少しねじれに位置する
娯楽性に富んだもののように思います。
昭和の考え方の人の教えとして自分が耳にしてきた言葉は、
新米の頃は3年の間は上司の言う事をきちんと聞き、
余計な口ごたえや反抗はしてはいけない云々というのが
美徳として当然と見られてい -
Posted by ブクログ
読者に断って置きたいが、元来人間が何ぞというと猫々と、事もなげに軽侮の口調をして吾輩を評価する癖があるは甚だよくない。人間の糖から牛と馬が出来て、牛と馬の糞から猫が製造された如く考えるのは、自分の無智に心付かんで高慢な顔をする教師などには有勝の事でもあろうが、はたから見て余り見ともいい者じゃない。
煩悶の極尻尾をぐるぐる振ってみたが何等の功能もない、耳を立てたり寐かしたりしたが駄目である。考えてみると耳と尻尾は餅と何等の関係もない。要するに振り損の、立て損の、寐かし損であると気が付いたからやめにした。
「へん、手めえが悪体をつかれてる癖に、その訳を聞きゃ世話あねえ、だから正月野郎だって事よ -
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若者に向けた個人主義のすゝめを主題とした講談録である。この作品では、「やりたいことを見つけ、それに邁進しよう」というメッセージが掲げられている。一見すると陳腐に感じられる内容かもしれないが、この講談録が多くの人々に読まれ続ける所以は次の2点にあるだろう。
1.漱石自身が個人主義に目覚める過程での実体験が語られており、説得力と具体性を持っていること。
2.江戸時代の「イエ」や家柄を重んじる価値観から、自由や独立を重視する明治時代へと移行した時代背景を反映していること。
これらの要素が、漱石のメッセージに時代性と共感性を与え、読者にとって興味深いものとしていると思う。 -
Posted by ブクログ
僕の好きな著者である夏川草介は、
夏は、夏目漱石。
川は、川端康成。
介は、芥川龍之介。
そして草は、草枕(夏目漱石 作)からとっていて、本作に興味を持った。
生きづらい世の中から煩いを切り離して映すことができるのが画や詩である。この非人情を主人公が求める物語。
知が働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。そんな生きずらい世の中は現代も同じだなと感じた。本作のテーマは「自分を主観で見るから辛い。自分を詩中や画中のように非人道(自分の利害を棚に上げる、他人事、都合の良いように)にする事で楽になれる。」だと思った。
しかし、当の主人公が水墨画でなく、絵の具を使った西洋画に拘っ