あらすじ
勤め先の社長夫人の仲立ちで現在の妻お延と結婚し、平凡な毎日を送る津田には、お延と知り合う前に将来を誓い合った清子という女性がいた。ある日突然津田を捨て、自分の友人に嫁いでいった清子が、一人温泉場に滞在していることを知った津田は、秘かに彼女の元へと向かった……。濃密な人間ドラマの中にエゴイズムのゆくすえを描いて、日本近代小説の最高峰となった漱石未完の絶筆。(解説・柄谷行人)
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小林ー!小林よー!
と卑屈で屁理屈こねこねで強烈な小林に胸焼け気味にもなりましたが、なぜか引き込まれて夢中になって読みました。
あと、話している間の心理描写もすごいです。
相手の考えていることを推測してみるけど、夫婦でも兄妹でも、当たらないもんなんだな、と。
ですが、軽蔑の感情だけは伝わる…ので、自分も気をつけたいと思いました。
未完の小説ということで、「本当はどうなの?!」と気になることはたくさんあるけれど、読んでよかったです!
Posted by ブクログ
夏目漱石の未完にして遺作。しかし、もしここで漱石は『明暗』の完了を考えていたとしたらどうだろうか。『明暗』を読み終えて、小説がここで終わっていてもいいのではないかとも思える。
漱石と言えば、私は高校生の時に現代文の授業で、『こころ』を読み通し、読み込む授業を受けた。クラス担任の国語の授業である。『こころ』は日本近代文学の最高傑作であるとされ、当時国語が苦手であったので、知識や読解力がなく、深い意味がよく分からなかった。大人になった今、読み直してみたい作品である。
これまで、『こころ』の他に『坊ちゃん』『三四郎』『それから』『門』『草枕』を読んだ。どれも当然面白かったが、何度読み返しても面白いだろうし、新たな内容と意味が発見できるだろう。幼い頃、家にあった『吾輩は猫である』を読み始めたが、最後まで読んだか記憶にない。
『明暗』には、主人公津田由雄と延夫妻を中心に周囲に登場する人物達との人間模様と人々の心理が描かれているが、社会や世間や結婚や恋愛や人間心理と全てが詰まっている。灰汁の強い友人小林、津田の妹の秀子、親戚や仕事関係の人達などの喋る言葉が多声的に内面心理と共に描かれ、物語を面白くする。
この作品の登場人物達が自分の主張を通そうとするエゴイズム(利己主義)を描くために、各人の言葉と心理を多声的にしたことがあると思う。それに付け加えるべきもう一つの特徴は、延や秀子などが語り、その心理が描写されている点である。女性の声をこれほどまでに真実に近く違和感なく描けるのは、流石日本一の文豪夏目漱石であると思った。男は女のことが分からないのだ。女もそうなのだろうか、女に生まれてみなければ分からない。男女は分かり合えないが、歩み寄ることが大事なのかもしれない。
総じて、やはり全ての描写が素晴らしく完璧だ。津田は延との結婚に満足していない。津田は昔付き合っていた清子が、なぜ自分を捨てて、他の人と結婚したのか分からない。そして最後の場面で、津田の手術後の湯治場で清子と会う。そこで物語は終わる。それからどうなるの、という所である。もっともっと漱石の作品を読み続けていたかった読者の一人である。
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ブッ刺さった。今の自分にグサグサ刺さる…
体面を気にしてるのに、壁を作ったり、牽制することでしか自分を保てない。一度した結論を納得しながらどこかで
変わるんじゃないかと思ってる。でも自分からは行動を移せない。自分を表現することと相手を理解することのバランス…
少々ダウナーに浸ります
漱石すげぇ
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僕にとっては…「微細な糸を、丹念に、緻密に織り上げていった結果、巨大な、極美な織物が出来上がった」といった感じの作品。未完に終わっているので、「出来上がった」とはいわないのかもしれないけど…。読めども読めども、知り尽くせない、語り尽くせない、巨大なミクロコスモス。
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(個人的)漱石再読月間の15。
2020年5月2日〜19日。
ラストを飾る未完の大作。
何回も読んでいるのにその度に、「清子と会話する場面までよく生きて書いてくださいました」と思ってしまう。清子が姿を見せ、口を開かなかったらまったく次を想像できないから。
水村美苗『続 明暗』をすぐに読みたいが我慢。
『こころ』が米澤穂信なら、こちらは石持浅海だろう(個人的見解です)
相手の裏を読み合うヒリヒリする会話がたまらない。まあ、津田はだいぶ甘いけど。
せっかく中長編15作品を読み終えたので、短編も一気に行ってしまいましょう。
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実は漱石の作品中、最もお気に入りかも。
兎に角登場人物が皆周りの腹を伺いつつ、本音をひた隠す。
と言うかこれは本当の現実だと思う。本音って誰も世に公言したことがないはず、だからこそ家族という最小単位であっても社会には緊張関係が絶えず存在する。
しかしこの厳然たる事実にはあまり皆目を向けたがらない、何故なら精神的に厳しいであろうから。漱石はそれに拘泥し、延々とそれこそ終わりなき描写に終始する。
未完だが、漱石には終わらせる腹積もりはあったのだろうか?
色んな妄想をかき立てるある意味至高の本です、当方にとっては。
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小林が津田に言う。"君は度胸が坐ってないよ。厭なものを何処までも避けたがって、好きなものを無闇に追懸けたがってるよ。なまじ自由が利くためさ。贅沢をいう余地があるからさ。僕のように窮地に落とされて、勝手にしやがれという気分になれないからさ"。気持ちを開放出来なければもはや不自由である。わざわざ温泉場まで追いかけていって、津田と清子はどうなっていくのだろう。だからと言って、他の作家が書いた続篇を読みたいとは思わないな。前後期三部作から自分で想像するのも一興。
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明と暗。
夫婦、親子、男女、兄妹、貧富・・・
数々の明と暗を登場人物に織り込みながら、時には明が暗となり、暗が明となる。
心理描写は精細にそして奥深く、読む者を惹きつける。
未完であることも作品として完成度を高めているような気もする。
漱石を読む面白さの一つが、明治という価値観が純粋な形でぶつかり合う時代背景を知ること。
社会主義の萌芽、資本主義の価値観に戸惑う中産者階級、自己に目覚める女性・・・
以下引用~
・「普通世間で偶然だ偶然だという、所謂偶然の出来事というのは、ポアンカレーの説によると、原因があまりに複雑過ぎて一寸見当が付かない時に云うのだね」
・「僕は味覚の上に於いても、君に軽蔑されながら、君より幸福だと主張する如く、婦人を識別する上に於いても、君に軽蔑されながら、君より自由な境遇に立っていると断言して憚らないのだ。つまり、あれは芸者だ、これは貴婦人だなんて鑑識があればある程、その男の苦痛は増して来るというんだ。・・・」
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何と言う小説。
水村美苗さんの「続明暗」を読みたいな、と思い再読したのだけど。
此処に津田という男がいる。主人公である。会社員で、まずは悪くない勤め人で、30前後のようで、新婚である。その妻が延子。
粗筋で言うと、津田が胃腸らしき病気である。大層ではないが数日入院して手術が必要だ。会社と、世話になっている親戚筋に挨拶して入院。手術する。
津田の家庭はやや使い過ぎで、毎月の給料では足りない。京都の親が仕送りをくれていたが、仲違いしてそれが途切れた。金策に困る。
延子は新婚で、津田との愛情、夫婦のあり方にぼんやり不安がある。
津田の妹、秀子。津田の上司の吉川氏の奥さん。…などが、「延子は、いまいちな嫁ぢゃないか」、と言う。
津田はプライドと保身だけではっきりしない。ふらふらする。そうして無事に退院する。
退院したら、吉川の奥さんが、「湯治の旅に行け」、と、言う。津田が独身時代に惚れ抜いて、振られた女、清子。その清子に会いに行け、と言う。
津田はかつて、吉川の奥さんの紹介で清子と交際した。そして、津田は清子に振られた。清子は津田を振って、別の男と結婚した。で、津田もしょうがなく延子と結婚した。延子は、そんなことは何も知らぬ。
その清子が今、ちょっと病気で、その温泉宿にいる。吉川の奥さんが、津田に「行け」、と言う。なんで振ったのか、聞いてこいと言う。会社は夫に言って、休みにしてやる。金はあげる。延子にはタダの湯治と言え、と。その間に延子には私が「教育」してやる、と。
津田は情けなく言いなりになる。湯治に行く。清子と再会する。色々会話をはじめる。どうなるどうなる。 東京の延子には何が起こるのか。怖くて不安な心理小説である。
だが、そこんとこで、漱石は死んでしまう。
未完。おいおい!!
というわけで。
会社員と専業主婦の夫婦が、ちょっとやりくりに困りながら、夫が胃腸らしき病気で入院して退院して湯治に行く、という粗筋(笑)。
それが、最高に面白い。
もう、心理描写が全て。
ヒトというものは、プライドと競争と、人情と依存と見栄と、世間体と愛情に、揺れて揺られて高瀬舟、というマコトに情けなくも可笑しくて、ゾッとするものである、というサスペンス。
津田が妹と、妻延子の噂をしている病室に、当人の延子が、ガラッと入ってくるところなど、単純に小説的な痛快さ、タマラないカタルシスがある。
うーん。文章のテンポ、格調、日本語の快楽。心理を解剖して観察するのだが、淡泊端然、偉ぶらず、の諧謔精神。
好みとしては、至高の小説。
10代の頃に漱石は、夢中に読破したのだけど、40になって改めて舌を巻く。
(脱線すると、漱石初体験に「我輩は猫」は、最悪。アレは第一章ダケならともかく、通して考えれは漱石最悪の退屈小説です。初めは「坊ちゃん」「こころ」あたりが良いと思う。オモシロイから。)
25年ぶりくらいの二度目の体験、この歳になってなお更に、愉快興奮な読書だった。
初の青空文庫。タダっていうのもヘンな心地ではあるけれど。
Posted by ブクログ
流石に漱石の小説は文学的だと感じる。心理描写がまるでドフトエフスキーのようだと思った。お延ぶの溌剌とした魅力とお清のしっとりとした魅力がよく描けている。自分だったらどちらに恋するのだろうかと考えたが、自分は津田と異なり、おのぶにはまって後悔するタイプなのだと思ったt
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漱石の死去により未完となった大作。
勤め先の社長夫人の仲立ちで半年ほど前にお延と結婚し、平凡な毎日を送る津田由雄には、お延と知り合う前に将来を誓い合った清子という女性がいた。
ある日突然津田を捨て、津田の友人・関に嫁いでいった清子が、一人温泉場に滞在していることを知った津田は、痔の手術後の湯治という名目のもと、密かに彼女の元へと向かった…。
これまでの漱石の作品には似ていません。大上段に構えるでもなく、飾り過ぎない筆致で描かれる市井の人々の日常ですが、これが滅法おもしろい。
一応、主人公は津田ではあるものの、彼も数ある登場人物たちの一人にすぎないという点で、かなり相対的に描かれています。
そして、登場人物たちが、強烈な個性をぶつけ合う展開は、ドストエフスキーの小説を髣髴とさせるスリリングなもの。
とりわけ、これまでの作品では恋愛の対象として対岸の存在だった女性たちが、いきいきと、饒舌を振るう様子が、先の予測を許しません。
思うとおりにいかない他人の言動。そのしがらみに絡め取られた津田の葛藤が読者のそれとして迫り来る。漱石最後の小説にして、実は漱石の新境地ではないでしょうか。
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新婚の男には、忘れられない女がいた――。
大正5年、漱石の死を以て連載終了。
人間のエゴイズムの真髄に迫った、未完にして近代文学の最高峰。
勤め先の社長夫人の仲立ちで現在の妻お延と結婚し、平凡な毎日を送る津田には、お延と知り合う前に将来を誓い合った清子という女性がいた。ある日突然津田を捨て、自分の友人に嫁いでいった清子が、一人温泉場に滞在していることを知った津田は、秘かに彼女の元へと向かった……。
濃密な人間ドラマの中にエゴイズムのゆくすえを描いて、日本近代小説の最高峰となった漱石未完の絶筆。用語、時代背景などについての詳細な注解、解説を付す。
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未完の遺作というこで、どんな終わり方になるのか期待しつつ、それからのストーリーを想像するものの先が読めない感じです。
とても緻密な心理描写に少し疲れを感じるのは、私だけでしょうか。何が《明》で何が《暗》、二項対立では消化できない人間の心の中を垣間見たような気がします。
Posted by ブクログ
愛されたい。尊敬されたい。自分の持つ欲望を満たしたい。相手が持つ欲望をさらけ出してやりたい。しかし自尊心と敬仰がそれらを遠ざける。そんな様子が登場人物の会話から伝わった。小林はそこに遠慮がなく、かなり刺さる人物だった。
Posted by ブクログ
津田由雄は30歳、延という23歳の女性と結婚して半年も経っていない。
お延とか延子とか呼ばれる彼女は細おもて色白、目が細いのだけど眉を動かすと魅力的である。
新婚なのに津田は病気で手術しなければならない、なのにしかしなにやら家計が苦しいのである。そのわけは新妻に高価な宝石の指輪をプレゼントしたから?いや、裕福に育った派手好きの彼女にいい顔をしたからに違いない。
気が強い新妻は新妻とて、なぜだか不安に付きまとわれる。一目ぼれの弱み、彼の愛情を独占したくてたまらないが、いまひとつすっきりしない。深いわけがありそうなきざしがあるのだ。
この夫婦がてんでばらばらならば、相談する津田の両親や親代わりの叔父夫婦と、延の親代わりの叔父夫婦らは、みんなそれぞれ、思い通りにはなってくれない。仲人も友人も妹も津田をつつきこそすれ、親身になってくれない。
くれない、くれないと言ったって、他人は思い通りにならないもの。その他人だって津田がエゴイストと思っているのだから。
その証拠に相思相愛と思っていた清子という人に逃げられた過去がある津田、どうもそんなところに原因があるらしい。らしいしかわからない。なぜなら漱石の死去によって絶筆になってしまったから。
いろいろあって津田が別れた清子を「どうして?どうして?」と温泉場まで追って、ストーカーまがいの行動に移っていくのにはあっけにとられる。漱石さんいいところで筆を置いちゃった。
とストーリーは通俗的?って思わない。ちゃんと立派な近代小説の始まりにして最高峰、そう、こんな長い会話文の(ドストエフスキーばりの)日本の小説が昔にもうあったんだね。迫力満点、おもしろいのなんの、さすが文豪。これを読んで小説を書きたいと思った人が多い、というのもわかる。いまごろわかって恥なんだが。
書いちゃった作家さん、あろうことか続きを書いちゃった水村美苗さんの「続 明暗」すごく楽しみなような、こわいような。
Posted by ブクログ
すごい執念深さ。なんだろう。人物描写、状況描写の細かさ、正確に表現しようとする精密さが半端ない。描写説明が長すぎて話の進みが遅く、ちょっとじれったくなってしまうほど。
でも描写の内容は、すごい。この感じを文章で表現するなんて!と思うところだらけだった。とにかく夏目漱石ってめちゃくちゃ執着するひとだったんだろうな、と思いました。
残り少なくなってきた時に、ん?到底あと少しで終わる感じではなく、まさか上下巻作品なのか?!と思って調べたら、作者病没の未完とのことでした。何も知らずに読んでました。
どんな結末だったんだろう。。気になりますー!
Posted by ブクログ
一つ一つの会話に意味があって、心理描写も細かい。登場人物がそれぞれ癖があって、一筋縄ではいかない。
くどいなとか、引っ張るなとか思う場面もあるが、どこか軽妙で飽きない。
津田が清子に会って、これから大きく事態が動きそうなところで終わってしまったのは残念。
Posted by ブクログ
お延が悪いとは思えないので、お秀とやりあった後の夫婦2人のかわした微笑がとても良かったのに、話が思いもよらない方向に向かっていき怒りや苛立ちと共に引き込まれた。
これまでお延やお秀や吉川夫人が所謂女の世界というものを表していたけど、本当は清子が一番厄介なのでは。既に清子のことばかり考えている津田が、この未完の先の結末を表している気がする。それを想像するのも良い。
Posted by ブクログ
一度、挫折したのですが読み直して漸く読み切れた感じです。
物語の進み方が前半、半分は「明」で、後半が「暗」といった感じで、落語の語源や仏教語源に使われる単語が盛り込まれているのにも拘わらず、非常にイメージが湧きやすい内容でした。
続きが気になり、また良い所で未完になってしまっているのが、とても勿体なく、悔しい所です。
言葉の選び方や、使い方により夏目漱石という人間像が浮かび上がってくる作品だと思います。
ただ、前半はかなり根気が要りましたね。
とはいえ、前述の通り勿体なく悔しい作品でもあります。
Posted by ブクログ
日常のたった一瞬で10も15も思いを煩わす事がある。この本は、その一瞬を永遠と書きだした本だと思った。その内容は人情とは異なり利己的な指向で描きだされ、粘着性をおび醜悪さを引き出していた。同時に、人の感情の移ろいやすさ弱さも読み取れ、次の展開をみたいという好奇心も呼び起こした。
読み進めるにつれ、自分の場合だったらどうだろうかと考え、胸を突く文章が何度もあった。読むのに苦労するが、その苦労を押してなお魅力的な一冊だった。・・・途中何度も発狂しそうになったが・・・。
完結しなくてよかった。
Posted by ブクログ
漱石未完の長編。
実は未完だというのは本を最後まで読むまで知らなかった僕。
それくらい先入観なしで読んでいたのがある意味奇跡かも。
漱石の小説は結構すきなのね。
なんかニヒリズムがどの主人公にもあるような気がして、
津田もそういう類の人間だ。
自分が本当に好きな女性と結婚できずに、
堕落をしてあげく親の金が支給されないとなるととんでもないことだと言わんばかりの感じ。
一応真面目な僕からすると働けって。
各々の登場人物が非常に特徴あるように描写されていて、
文章の美しさは三島由紀夫ほどではないけれども、
いつも漱石の小説に惹かれるものがある。
たぶん感情移入しやすいのだろうか。そうでもなければすらすら読めないよな。
結局明暗というタイトルの意味が掴めないまま読み終わってしまった。
だけど、それも読者にゆだねる終わり方なので、
こういう本で読書会すると面白いのかもね。
Posted by ブクログ
夏目漱石は昔から好きだった。何十年ぶりかで読んだけど、夏目漱石の本は好きだな~。人間の心理をうまく描写されていて、これはこれでいい感じで終わってるのでは?と思った。
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漱石てこんなに俗っぽかったけか・・・と。
まだるっこしい、説明的にすぎると思うようなところもないではないです。
心理描写が。あまりに微細にわたっていて、下世話と感じるほど。
なんというか朝の連ドラみたいな解説ぶり。(見てないけど、梅ちゃん先生冒頭5分でおなかいっぱい、みたいな感じかも。)
ベタなのは、古典ですもの、当然のことかしら。
それでも、面白いは正義。正義は面白い。
小説ってそんなでしたね。私、小説は好きです。
Posted by ブクログ
「明暗」の題名は(意)。漱石が小説執筆中に芥川龍之介と久木正雄に示した漢詩のなかの語「禅家で用ひる熟字」と説明された「明暗双々」の解釈を中心に論議されてきた。たとえば小宮豊隆はいわゆる「則天去私」と結びつけて、「私の世界」とそれを超越した「天の世界」と明・暗と考え、禅語との関りに消極的な荒正人は、登場人物各自の立場や状況に応じた価値観の「明と暗の交錯」に題意を求めている。昼の世界と夜の世界、日常と非日常、現実と異界など、明と暗を分つ説は従来ささまざまだが、人間関係・因果関係に視覚的問題も加えて、見える(と思っている)ものと見えないものとの別を措定することも可能だろう。諸説それぞれに異同はあっても「其話を己は聞きたくないのだ。然し又非常に聞きたいのだ」39頁などの「Aであるとともに非Aでもある」という文型の頻出が示すように、矛盾対立する価値観の並立とそのたえざる反転が、小説世界を形成するについては、近年ほぼ共通の理念に達しつつある。なおこの小説は漱石の死によって未完に終わった。
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お互いのことを労りあっているようでいて、何処か無関心である。他者のことを考えているようでいて、自分のことを考えている。決して自分からは本音を言わず、腹の探り合いのような掛け合い。そのような人間模様が長々と、ある意味冗長に続き、そこから、やっと本音の部分が現れてくる。そのような、主人公の夢現と言えるような霧の中で生きているような心持ちがどうなるかであろうことの要因である、消え去ってしまった元恋人との掛け合いが最後の最後に現れる。その掛け合いの端緒において、絶筆となってしまう。気持ちは幻の旅館に取り残され、、
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当時は延子の様な女性は人気が無かったのだろうか?現代に生きる自分には延子は自分の思いをストレートに表現出来、端々に可愛さが滲み出てくるいじらしい女性と感じるのだけれど、どうも主人公にとっては(また漱石にとっても)、魅力的に映っていない様である。
片や清子だが、主人公は彼女の何に惹かれたのか?書かれている文章からでは、取り付く島のない、KY気味で、自主性にも欠ける様な女性に思える…となると、結局は美人だったからなのか?だとしたら非常に残念……
考えてみれば、漱石の作品に於いて、女性は大きな役割を持っているものが多いし、恋愛を扱うものも多いのだけれど、女性の描かれ方や在り方について、何故だか違和感を覚えてしまう…
Posted by ブクログ
夏目漱石の小説は、どこか馴染めないところがある。上流階級のエリートで、男性中心という世界観が自分とは縁遠いという感じを起こさせるからだ。ただ、本作はお延という女性の心情を事細かに描写していて、感情移入できる感じがあった。天真爛漫な清子の域には、とても達せそうもない。
Posted by ブクログ
夏目漱石の最後の大作、そして未完の作品。漱石の小説の特徴でもある、登場人物の心理描写がかなり詳しく描かれている。また漱石お得意の、仕事をしないでふらふらしている人も出てくる。
明治時代の、若く結婚半年の夫婦と取り巻く家族や友人の物語。未完なのでテーマは想像するしかないが、夫婦であってもお互いを理解しあい、信頼しあうのは簡単ではないということだろうか。
夫の津田は、延子との結婚の前に付き合っていた女性がいたが、その女性が突然他の人と結婚をしたため、津田もすぐに延子と結婚した。延子は夫の自分に対する愛情に自信が持てず、持ち前の勘の鋭さでその女性の存在に気が付く。津田は手術後の療養の名目で温泉に行くが、そこに例の女性が泊まっていることを知っており…。
延子にとっては津田の愛こそが自分の存在意義を確認する唯一の手段であるが、それを感じられないためにもどかしい気持ちでいる。津田も延子に愛情を感じることが出来ない部分もあるが、こういうものだと諦観している。
本心を言い合えない夫婦というのは昔は普通だったのだろう。読んでいるともどかしい部分もある。例えば、見舞いに来てほしいと思っても、夫はそう口に出さず、妻はその気持ちを推し量りながらも、見舞いに行かないと夫の機嫌が悪くなることを知っている、という風だ。
夫婦関係は完璧を求めると破たんすると思う。期待をそこそこに、相手を束縛するのではなく、自由にすることがうまくいく秘訣なのではないか。
Posted by ブクログ
この小説は、当時の新聞に掲載された連載ものである。
そして漱石の絶筆作品であったことは言うまでもない。
ある日突然連載されなくなり、楽しみにしていた読者を残念がらせたという。
だから巻末には「未完」と書いている。
仮に漱石自身が生き永らえたとしても、この作品の真価は未完のままのような気がする。
何故なら気着点を見出すことが出来ないのです。
Posted by ブクログ
レビュー書くの忘れてた。
母が持っていた明暗をがめてきてものすごく時間をかけて読んだ。母が学生時代に古本で買ったと言ってて、(角川文庫なんだが)文学部のある大学の近く?の古本屋?だから多分おなじよーにゼミでやった過去の学生の書き込みが脈々と…
「変な書き込みあったで。レポートのメモみたいな」
「それあたしやないで」
「これは違うと思うけどおかんの字の書き込みもあったで」
という会話をした。
しかしリュックに入れてるときに台風に遭ってふにゃふにゃにさせてしまったのはわたしです。お詫びにグラシン紙かけときました。
内容はね…あんな駆け引きしかしてないよーな会話ばっかりしよったら日常生活パンクしてしまうわ。主人公には全く共感できん。へたれなくせに主張が激しい。小林も意味不明。奥さんにはめっちゃ同情してしまう。自分でまいた種な面もあるけど可哀想やわと思ってしまう。
続明暗は読むつもりはなかったんやけど、変なとこで終わっとるからなー。読みたい気がするなー。