夏目漱石のレビュー一覧

  • 彼岸過迄(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    さすがに濃厚な内容でした。読むのに骨を折ってしまい、時間がかかりました。
    が、さすが文豪、これぞ文学といった「構成」。
    難解ではありながら、読んでいると腑に落ちる「文体」。
    人物の細かな心情変化、とくに「男性の嫉妬心」「猜疑心」を絶妙に表現していました。

    夏目漱石の文学的知識が多少なりともあるからこそ、読み進めていけるけれど、現代小説に慣れきってしまうと、漢文の素養をいかんなく発揮した回りくどい漱石の言い回しは読みにくく感じてしまうかもしれません。
    が、夏目漱石の表現は、大げさに思える比喩の一つ一つを繋げていくことで「ああ、これしか表現のしようがない」と思えるようなもので、咀嚼して読んでいく

    0
    2018年10月30日
  • 吾輩は猫である

    Posted by ブクログ

    夏目漱石の処女作。小学生低学年のうちの子が知っていたこともあり、氏の著作で一番有名な作品だと思います。
    主人公は英語教師の苦沙弥先生にひょんなことから飼われることになった一匹のネコ。
    「吾輩は猫である。名前はまだ無い」という有名な書き出しの通り、吾輩などという不遜な一人称の妙に堂に入ったネコ君の目から、苦沙弥先生やその仲間たちの滑稽な会話や、ネコ同士の交流、そして不合理極まりない人々の生体をネコの視線から風刺した作品になっています。

    基本的に読みやすく、クスりとくるシーンもあったのですが、冗長なところもあり読みづらさを感じる時もあります。
    人々の日常の描写がネコの視点から語られており、物言わ

    0
    2018年10月07日
  • 道草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この作品に至るまでの多くに登場する苦悩する主人公がいます。「道草」は明確に自身の過去を下敷きにしているとのことですが、他の作品にもやはり作者自身の苦しみが投影されていたんだなと改めて思い至ります。

    先日、漱石山房記念館に行ってまいりました。周辺の路地を入ったあたりなどは、当時の香りがほんの少しだけ残っていて、また記念館て掲出されている夏目さんの生涯に触れ、なるほどこういう境遇から編み出された名作たちなんだ、と感じ入りました。

    苦悩の末、全くなにも解決しないままであったり、あるいはむしろ精神を分裂してしまった主人公たちがある中で、本作は僅かではありますが一件落着の感がないわけではありません。

    0
    2018年09月29日
  • 明暗(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    お延が悪いとは思えないので、お秀とやりあった後の夫婦2人のかわした微笑がとても良かったのに、話が思いもよらない方向に向かっていき怒りや苛立ちと共に引き込まれた。
    これまでお延やお秀や吉川夫人が所謂女の世界というものを表していたけど、本当は清子が一番厄介なのでは。既に清子のことばかり考えている津田が、この未完の先の結末を表している気がする。それを想像するのも良い。

    0
    2018年09月24日
  • それから

    Posted by ブクログ

    古典的名作という事に騙されてはいけない。内容はかなり先鋭的。今現在でも充分通用する主題を描いてます。もちろん時代が時代なので、それなりの古臭さや時代錯誤的なところはありますが。

    なにせ主人公の徹底したパラサイトぶりががすごい。プラス徹底したニート(高等遊民という便利な言葉はあるが)。しかも、姦通罪というおどろおどろしい法律があった時代の不倫なので、不倫に向き合う二人の深さがなんとも言えない。

    現代の薄っぺらい恋愛物とは一味も二味も違う。あらためて、古典の凄さを感じた次第です。若い人にぜひんで欲しい。

    0
    2018年08月29日
  • 坑夫(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    それなりの家に生まれて学問も修めていた青年が
    言い寄ってくる女と、許嫁との三角関係に苦しんだあげく
    死にたくなって、そこを逃げ出してしまう
    ところが死に場所を探すうちにだんだん死ぬ気も萎えてきた
    そんな折、ぽん引きのおっちゃんに引っ掛けられて
    鉱山労働者になる決心をする
    安易なわりにプライドの高い彼は
    何度も引き返すチャンスを与えられながら
    その誘惑をことごとく跳ね返し
    ついには居直り者のふてぶてしさを手に入れる

    「虞美人草」に続く、夏目漱石の新聞連載第二弾
    ただしこれは、「春」の執筆が進まない島崎藤村の穴埋めとして
    急遽書き下ろされたもの
    いちおう教養小説としての体裁をつけており
    また、前

    0
    2018年07月28日
  • 三四郎

    Posted by ブクログ

    一通りざっと読んだだけなので、主人公三四郎は美禰子さんのことが好きだったのか、よくわからずに終わってしまいました。ただ、三四郎の優柔不断さや美禰子さんとのひねくれた会話など、『こころ』に通ずる部分はあるなと感じました。今度はじっくりと一つ一つの言葉を追って、より深いところまで追究したいと思っています。
    また、個人的には16-17ページの、「ベーコンの論文集」の「二十三ページ」を読むか読まぬかでもちゃもちゃするシーンが面白かったです。思わずくすりと笑ってしまいました。

    0
    2018年05月03日
  • 夢十夜 他二篇

    Posted by ブクログ

    夢十夜も永日小品もいろんな話があって、解説を細かく調べたくなる話もいくつかあった。
    どんどんのめりこんでしまった。

    0
    2018年03月22日
  • マンガで読む名作 三四郎

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    三四郎の美穪子への恋心や周囲の人との関わりが描かれた作品。日常の(学生)生活の中に織り込まれて展開されている印象であるため、若干の退屈さを覚える一方、それが自分と重ね合わせることのできるリアリティを生み出しているのかもしれない、と思った。

    文章で読むとまた違うのかもしれないが、この作品の中で描かれている美穪子にはやはり、惹かれるものがあった。どこかミステリアスな雰囲気があり、それが美穪子を「気になる女」に仕立て上げているように思う。

    ~(個人的)パワーワード~
    1.「あなたは余っ程度胸のない方ですね」
    2.「ストレイシープ」
    3.「熊本より東京は広い、東京より日本は広い、日本より……頭の中

    0
    2018年02月28日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    丁寧な文章で漱石の身の回りの事が語られており、漱石がなどんな生活をどんな考えを持ちながら執筆活動をしていたのかが伝わってきた。

    ふだんの生活の中の何気ない会話でも一つ一つに物語が感じられてじわじわとくる作品。

    0
    2018年02月27日
  • 道草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    漱石の作品は、何回読みなしても、その度に違った印象や違った味わい、それまでにはなかった見え方のする作品ばかりだが、今回の「道草」は、一番その感が強かったかもしれない。
    他の方もお書きになっているが、若い頃はネガティブな内容だけが続いて正直そんなにいい小説かな、と思わなくもなかった。が、数十年経って読み返してみると、置かれた状況は違うかもしれないが、いろいろなものが降りかかってきて、でもそれらを無視するわけにもいかず、そしてそれらは遠い昔に起因しているということは本当によくわかる。簡単に言ってしまえば「しがらみ」ということなのかもしれないが、それゆえ、大人になってからのほうが共感できる作品なのか

    0
    2017年12月01日
  • それから

    ネタバレ 購入済み

    ちゃぶ台返し

    3年前義侠心という情に流されてからのそれから
    全ての登場人物の思惑とはかけはなれた主人公
    唯一人それを喜んだ三千代の不在と、物語の終盤散在する代助の発狂の兆しが当時にあっての純粋に理性的な存在の危うさを浮き彫りにしています。

    0
    2017年11月11日
  • 門

    ネタバレ 購入済み

    もんもんと

    坂井へ書生に出した小六がのちのち安井と接触するリスクについて
    宗助が思い至らなかったか承知だったのか、
    あえて描かれていないところに宗助の人柄と来るべき冬に
    奥行きと色彩が残されたように思います。
    限られた余地の鮮やかではありえない何色かが。
    門の開く余地を見る思いです。

    0
    2017年11月06日
  • 三四郎

    購入済み

    明瞭なる淡くはかなさ

    いかようにも形容しがたい顛末が三四郎なる主人公名をあえて題にした漱石の意図したところでしょうか。

    0
    2017年11月03日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    学問に対する志は確かに大切だと思う。ただ金力を余りにも毛嫌いしすぎている印象はあった。ラストの展開、中野君は高柳君の作品見たさもあって金を融通したのではないか。もしそうなら高柳君の行動は中野君の見当違いになりはしないか?事象や主張が明確なだけに、疑問の多い作品だった。それだけに、反論やら別の展開を想像しやすいのは面白かった。あと、同意できる部分や上手い表現は他の作品に劣らず多かった。
    結婚式で、立派な中野君と見窄らしい高柳君が出会った時、お互いがお互いを「これは」と思ったとあるが、この辺りは言葉の選び方が秀逸だと思う。「これは」と思うだけで、その先はお互いの友情やら思い遣りが考えるのを一歩留ま

    0
    2017年10月14日
  • 坊っちゃん

    Posted by ブクログ

    読み始めてすぐ一行一行面白くて声に出して笑ってしまった。こんな文学あるのか。
    主人公は一本気で曲がったことが嫌いな典型的な江戸っ子。話を読んでいくと完全な勧善懲悪ものになっていくんだろうな、というもので、一応主人公は懲悪を遂げる。しかし、気持ちがスカッとしただけで解決にはならない。出だしの軽妙な面白さからわくわくしながら読み進めると、最後は少し寂しい気持ちにもなる。
    そう考えると清の存在というのは唯一の救いだろう。この人物がいなかったらただの悲しい話になってしまっていたと思う。

    0
    2017年09月24日
  • 漱石文芸論集

    Posted by ブクログ

    漱石の作品が本書に述べられているように理論的に著されていると思うと感慨もひとしおだ。しかしまた、東大での英文学の講義が理に走り過ぎて最初は不評だったことも頷ける。西洋文明に対する批判的態度も、実際に彼が英国留学を経験したうえでのことで、当時の多くの日本人や現在の自分などが想像しえない境地にいるからだと思える。講演録もユーモア溢れるものだったが、「道楽と職業」が最も楽しめた。

    0
    2017年08月21日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    高校生の頃に読んだ。終いまで鉛筆で手書きのルビがふってあった。でも内容が全然頭に残っていない。今読み返すと、須永が千代子に対して抱く嫉妬も含めた思いと、行動には移せない態度が我がことのように感じられた。宵子の亡くなる場面を描いた場面は、漱石の実体験を基にしたものだけに切なさが伝わってくる。序盤の敬太郎のエピソード、須永の長い独り語り、松本の締めくくりの話というのは、推理小説の謎解きのようで構成そのものを楽しめた。

    0
    2017年08月21日
  • 道草(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    解説から、これが漱石の完成された最後の小説であったことを知る。何故『道草』と題したのか? 妻にも子にも優しくできず、元の養親からは無心され、思うように生きられない苦しさが、目的地へたどり着けないもどかしさと重なったのだろうか。漱石の自叙伝でもある本作は、読み手にとっても苦しさ、やりきれなさを感じさせる。だから、途中から妻・鏡子の『漱石の思い出』を読み始めた。そこには多少なりとも温かい家庭人としての漱石が見出されて安心した。漱石の作品を通じて所々で味わう江戸言葉も良い。

    0
    2017年08月19日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    晩年の夏目漱石の随筆。死についての随筆が多い。太田達人との会話を契機に、美しい破滅や死 から 生への執着や則天去私へ 心境の変化が起きていると思う

    タイトルの意味は 狭い硝子戸の中にいる漱石の身近な出来事を筆に随って書いた本ということ

    0
    2017年08月11日