夏目漱石のレビュー一覧

  • 三四郎

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    一通りざっと読んだだけなので、主人公三四郎は美禰子さんのことが好きだったのか、よくわからずに終わってしまいました。ただ、三四郎の優柔不断さや美禰子さんとのひねくれた会話など、『こころ』に通ずる部分はあるなと感じました。今度はじっくりと一つ一つの言葉を追って、より深いところまで追究したいと思っています。
    また、個人的には16-17ページの、「ベーコンの論文集」の「二十三ページ」を読むか読まぬかでもちゃもちゃするシーンが面白かったです。思わずくすりと笑ってしまいました。

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    2018年05月03日
  • 夢十夜 他二篇

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    夢十夜も永日小品もいろんな話があって、解説を細かく調べたくなる話もいくつかあった。
    どんどんのめりこんでしまった。

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    2018年03月22日
  • マンガで読む名作 三四郎

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    ネタバレ

    三四郎の美穪子への恋心や周囲の人との関わりが描かれた作品。日常の(学生)生活の中に織り込まれて展開されている印象であるため、若干の退屈さを覚える一方、それが自分と重ね合わせることのできるリアリティを生み出しているのかもしれない、と思った。

    文章で読むとまた違うのかもしれないが、この作品の中で描かれている美穪子にはやはり、惹かれるものがあった。どこかミステリアスな雰囲気があり、それが美穪子を「気になる女」に仕立て上げているように思う。

    ~(個人的)パワーワード~
    1.「あなたは余っ程度胸のない方ですね」
    2.「ストレイシープ」
    3.「熊本より東京は広い、東京より日本は広い、日本より……頭の中

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    2018年02月28日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    丁寧な文章で漱石の身の回りの事が語られており、漱石がなどんな生活をどんな考えを持ちながら執筆活動をしていたのかが伝わってきた。

    ふだんの生活の中の何気ない会話でも一つ一つに物語が感じられてじわじわとくる作品。

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    2018年02月27日
  • 道草(新潮文庫)

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    漱石の作品は、何回読みなしても、その度に違った印象や違った味わい、それまでにはなかった見え方のする作品ばかりだが、今回の「道草」は、一番その感が強かったかもしれない。
    他の方もお書きになっているが、若い頃はネガティブな内容だけが続いて正直そんなにいい小説かな、と思わなくもなかった。が、数十年経って読み返してみると、置かれた状況は違うかもしれないが、いろいろなものが降りかかってきて、でもそれらを無視するわけにもいかず、そしてそれらは遠い昔に起因しているということは本当によくわかる。簡単に言ってしまえば「しがらみ」ということなのかもしれないが、それゆえ、大人になってからのほうが共感できる作品なのか

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    2017年12月01日
  • それから

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    ちゃぶ台返し

    3年前義侠心という情に流されてからのそれから
    全ての登場人物の思惑とはかけはなれた主人公
    唯一人それを喜んだ三千代の不在と、物語の終盤散在する代助の発狂の兆しが当時にあっての純粋に理性的な存在の危うさを浮き彫りにしています。

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    2017年11月11日
  • 門

    ネタバレ 購入済み

    もんもんと

    坂井へ書生に出した小六がのちのち安井と接触するリスクについて
    宗助が思い至らなかったか承知だったのか、
    あえて描かれていないところに宗助の人柄と来るべき冬に
    奥行きと色彩が残されたように思います。
    限られた余地の鮮やかではありえない何色かが。
    門の開く余地を見る思いです。

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    2017年11月06日
  • 三四郎

    購入済み

    明瞭なる淡くはかなさ

    いかようにも形容しがたい顛末が三四郎なる主人公名をあえて題にした漱石の意図したところでしょうか。

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    2017年11月03日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    学問に対する志は確かに大切だと思う。ただ金力を余りにも毛嫌いしすぎている印象はあった。ラストの展開、中野君は高柳君の作品見たさもあって金を融通したのではないか。もしそうなら高柳君の行動は中野君の見当違いになりはしないか?事象や主張が明確なだけに、疑問の多い作品だった。それだけに、反論やら別の展開を想像しやすいのは面白かった。あと、同意できる部分や上手い表現は他の作品に劣らず多かった。
    結婚式で、立派な中野君と見窄らしい高柳君が出会った時、お互いがお互いを「これは」と思ったとあるが、この辺りは言葉の選び方が秀逸だと思う。「これは」と思うだけで、その先はお互いの友情やら思い遣りが考えるのを一歩留ま

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    2017年10月14日
  • 坊っちゃん

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    読み始めてすぐ一行一行面白くて声に出して笑ってしまった。こんな文学あるのか。
    主人公は一本気で曲がったことが嫌いな典型的な江戸っ子。話を読んでいくと完全な勧善懲悪ものになっていくんだろうな、というもので、一応主人公は懲悪を遂げる。しかし、気持ちがスカッとしただけで解決にはならない。出だしの軽妙な面白さからわくわくしながら読み進めると、最後は少し寂しい気持ちにもなる。
    そう考えると清の存在というのは唯一の救いだろう。この人物がいなかったらただの悲しい話になってしまっていたと思う。

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    2017年09月24日
  • 漱石文芸論集

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    漱石の作品が本書に述べられているように理論的に著されていると思うと感慨もひとしおだ。しかしまた、東大での英文学の講義が理に走り過ぎて最初は不評だったことも頷ける。西洋文明に対する批判的態度も、実際に彼が英国留学を経験したうえでのことで、当時の多くの日本人や現在の自分などが想像しえない境地にいるからだと思える。講演録もユーモア溢れるものだったが、「道楽と職業」が最も楽しめた。

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    2017年08月21日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    高校生の頃に読んだ。終いまで鉛筆で手書きのルビがふってあった。でも内容が全然頭に残っていない。今読み返すと、須永が千代子に対して抱く嫉妬も含めた思いと、行動には移せない態度が我がことのように感じられた。宵子の亡くなる場面を描いた場面は、漱石の実体験を基にしたものだけに切なさが伝わってくる。序盤の敬太郎のエピソード、須永の長い独り語り、松本の締めくくりの話というのは、推理小説の謎解きのようで構成そのものを楽しめた。

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    2017年08月21日
  • 道草(新潮文庫)

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    解説から、これが漱石の完成された最後の小説であったことを知る。何故『道草』と題したのか? 妻にも子にも優しくできず、元の養親からは無心され、思うように生きられない苦しさが、目的地へたどり着けないもどかしさと重なったのだろうか。漱石の自叙伝でもある本作は、読み手にとっても苦しさ、やりきれなさを感じさせる。だから、途中から妻・鏡子の『漱石の思い出』を読み始めた。そこには多少なりとも温かい家庭人としての漱石が見出されて安心した。漱石の作品を通じて所々で味わう江戸言葉も良い。

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    2017年08月19日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    晩年の夏目漱石の随筆。死についての随筆が多い。太田達人との会話を契機に、美しい破滅や死 から 生への執着や則天去私へ 心境の変化が起きていると思う

    タイトルの意味は 狭い硝子戸の中にいる漱石の身近な出来事を筆に随って書いた本ということ

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    2017年08月11日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    夏目漱石は面白いと思うものと面白くないものが自分の中ではっきりしているのだけど、坑夫は何年か前に読んだ時はひどくつまらないと思って途中で読むのをやめてしまった作品だった。

    しかし何年かぶりに再読してみて、とても面白かった。
    ストーリーらしきストーリーがないという評判なのだけど、ストーリーらしいストーリーに食傷気味の自分にとっては、逆に興味深かった。

    人間は矛盾に満ちている、という主人公の考え方は、現代のアイデンティティみたいな概念に対するアンチテーゼとして読めた。日記のように淡々と進んで行くが、出てくる登場人物たちがみな生き生きしているように感じた。

    やっぱり、夏目漱石は読みを極めて行き

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    2017年08月09日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    「私は凡ての人間を、毎日々々恥を掻く為に生まれてきたものだとさえ考えることさえある」と綴っているが、凡ての人間とまでは言わなくても、殆どの人間は恥を感じることなく生きているように感じる。俺が感じている生き辛さの正体はまさしく生きていることが恥ずかしいという実感である。硝子戸の外に出ると、他(ひと)との交わりが意識の上に昇ってきて、他と話している自分の表情や発する言葉、全ての交わりがぎこちなく感じられて、生きていることが恥ずかしいと感じるのである。

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    2017年08月05日
  • 文鳥・夢十夜・永日小品

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    書かれた時代がバラバラで、順番も意図があるかは分からないが、夢十夜を除いてエッセイ集のような感じだった。夢十夜はたまらん

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    2017年07月26日
  • 三四郎

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    最初、ずーんと暗くて無理だと思ったが、
    読み進めるとくすぐったいような爽やかなような青春小説だった。これが所謂"エゴイズム"??

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    2017年07月25日
  • 道草(新潮文庫)

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    夏目漱石が伝えたかったのは 則天去私(私心を忘れて 天に任せる)だと思う。

    厄介な親類との陰鬱な心理戦が多いが、寂しさでスタートした物語が 妻と赤ちゃんの幸せのシーンで終わり、主人公の それでも 生きなきゃいけない というメッセージは感じた。タイトルから 考えると 道草をしたが、則天去私の境地で、落ち着くところに 落ち着いた ということだろう

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    2017年07月17日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    「野分」
    最初の「白井道也は文学者である」に 引き寄せられた。白井道也だけでなく 高柳君も 夏目漱石なのだろうか。「野分」は 夏目漱石の決意書であり、若い学者への職業論。最後の演説は 野分という言葉の通り、台風のような 強い言葉。風が吹くタイミングで ストーリーが転回している

    著者が文学者として伝えたかったのは 「文学は 人生そのものである〜苦痛であれ、困窮であれ〜それらをなめ得たものが 文学者である」

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    2017年08月03日