夏目漱石のレビュー一覧

  • 三四郎

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    夏目漱石の前期三部作と呼ばれる3作(三四郎・それから・門)の一作目。
    この3作は独立していて主人公も別、世界観に繋がりもないのですが、なんとなく前の物語から次の物語に続くようになっていて、前作の主人公が成長すると次の作品の主人公のようになり得る、次の物語のようになっています。

    本作の主人公「小川三四郎」は九州の田舎から上京してきた大学生で、純朴さの残る素直で真っ直ぐな青年です。
    三四郎が東京でいろいろな人や考えに触れ、体験し学ぶ話なのですが、どのような物語であるかを説明しようとするとどうも難儀します。
    何を書き出そうとしても言葉にした途端に違うものになるというか、日本語って存外不自由なんだなと思いました。

    大学構内の池の畔で出会った女性「里見 美穪子」と友人の「佐々木 与次郎」、三四郎の同郷で理学教師の「野々宮 宗八」宗八の妹「よし子」、そして上京時の列車で偶然乗り合わせた、与次郎が慕う英語教師「広田 萇」が中心人物。
    三四郎は美穪子を気にしていて、三四郎と美穪子の関係が本作で重要な要素なのですが、三四郎が美穪子に恋をしていたのかというと、それについて作中具体的な記述はありません。
    また、宗八が用品店でリボンを購入し、そのリボンを後日美穪子が身につけていたことを三四郎が気にする描写があるのですが、やはり宗八と美穪子の関係性についても説明はなく、また、三四郎がそれを見たことで感じた思いについても直接の記述はなく、状況や行動から、読者はそれを察するしかないです。
    結局の所、三四郎は美穪子に恋をしていたのかというと、それは読者自身が判づるところであり、そして実際のところそこは本作においては重要な部分ではないです。

    物語は基本的に三四郎の主観で、三四郎が語り部となり進むのですが、三四郎の知らぬところで進行する話があり、三四郎の目線から、登場人物の思い、行動について察して読み進めるような部分があります。
    夏目漱石は"I love you."を「月が綺麗ですね」と訳したという有名な逸話がありますが、本作を読むと強ち嘘ではないと思えます。
    読むのが難しそうに感じますがストーリーがわかりやすいためか結構読みやすく、楽しく読むことができました。

    本作は読む人によって捉え方が異なるような気がします。
    実直な三四郎を、振り回そうとして振り回せなかった美穪子が、その想いに気づかないまま選んでしまった過ちに至るまでの物語、と、私は解釈しました。つまり、悲劇であると思いました。
    ただ、もう一度読むと、別の感想を持ちそうな気がします。どういった感想を持ったか共有したくなる、そんな一冊でした。

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    2018年12月15日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    夏目漱石が、主に生と死について書いた随筆集。夏目漱石が謙虚で誠実な人だったということが伝わってくる。読み物として普通に面白いからおすすめ。

    100年も昔の文章なのに、何の違和感もなく読めてすごいなあと思う。誰にでも読める文章で詩的に、生死というものを書き表している。

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    2018年12月04日
  • 彼岸過迄(新潮文庫)

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    さすがに濃厚な内容でした。読むのに骨を折ってしまい、時間がかかりました。
    が、さすが文豪、これぞ文学といった「構成」。
    難解ではありながら、読んでいると腑に落ちる「文体」。
    人物の細かな心情変化、とくに「男性の嫉妬心」「猜疑心」を絶妙に表現していました。

    夏目漱石の文学的知識が多少なりともあるからこそ、読み進めていけるけれど、現代小説に慣れきってしまうと、漢文の素養をいかんなく発揮した回りくどい漱石の言い回しは読みにくく感じてしまうかもしれません。
    が、夏目漱石の表現は、大げさに思える比喩の一つ一つを繋げていくことで「ああ、これしか表現のしようがない」と思えるようなもので、咀嚼して読んでいくことでスルメのように味わいが出てくる。

    構成として、短編をつなぎ合わせて一つの長編をなすというもの。
    夏目漱石の「後期三部作」のテーマである「自意識」が客観的に、主観的に、さまざまな視点を通して描かれていく。

    やはり漱石はすごいなと思わせるのは、その構成の妙にあります。
    一見主人公に見える「敬太郎」は全編通してその存在は感じとれるものの、後半になるにつれて徐々にその存在が希薄になっていきます。
    最後にはたんなる「聞き手」として、脇役になってしまう。

    敬太郎は刺激を求め、様々な人から話を聞くし、自分の足も使うのですが、彼の内面はなにか好奇心をくすぐるようなものはないかと、外の世界にばかり向いていて、自分の物語を形成することはしない。

    ですが、敬太郎が話を聞きに行く人々は、それぞれがドラマを抱えていて、後半になると、中心人物は「須永」になっていきます。
    須永は自意識の塊で、その性質のために刺激を受けないように過ごしているけれど、内面では劇的な感情の波がある。

    聞き手に回り切ってしまった「敬太郎」には、あまりにも内面や環境そのものに何もなかった。
    だからこそ、須永の感じる苦悩を、敬太郎は感じなくてもよいけれど、その分、ドラマチックな事からは遠ざかるしかない。
    この対極的な二人から、近代人の苦悩についてあぶるように浮かび上がらせるという多重構成になっています。

    後半になるに従い、心情のとらえ方が難しく感じましたが、須永の「嫉妬心」は、読みごたえがありました。
    思えば、男性のドロドロとした感情の波を事細かに描写するような小説はこれまであまり読んだことがないかもしれません。
    女性を愛しているわけではなく、自分を愛しているかもしれない立場にいる女性が、自分ではなく他の人を選ぶ可能性がある、と感じたときの激しい感情の描き方は、体験がなければ書けないと思います。

    もう、夏目漱石すごいの一言。近代以降の物質的豊かさを手に入れた人たちの苦悩をいち早く描いて、しかも人物の心情の描写が細かくて生々しい。
    「須永」の卑屈さとかたまらないくらいリアルでした。

    「行人」では、「須永」タイプを主観にしたストーリーが繰り広げられるそうなので、そのうち「行人」にもチャレンジしてみようかと思います。

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    2018年10月30日
  • 吾輩は猫である

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    夏目漱石の処女作。小学生低学年のうちの子が知っていたこともあり、氏の著作で一番有名な作品だと思います。
    主人公は英語教師の苦沙弥先生にひょんなことから飼われることになった一匹のネコ。
    「吾輩は猫である。名前はまだ無い」という有名な書き出しの通り、吾輩などという不遜な一人称の妙に堂に入ったネコ君の目から、苦沙弥先生やその仲間たちの滑稽な会話や、ネコ同士の交流、そして不合理極まりない人々の生体をネコの視線から風刺した作品になっています。

    基本的に読みやすく、クスりとくるシーンもあったのですが、冗長なところもあり読みづらさを感じる時もあります。
    人々の日常の描写がネコの視点から語られており、物言わぬネコから人の行動の滑稽さや愚かしさをユーモラスに語られるところが本作の特徴です。
    児童文学のような設定ですが、子供でも読みやすいような、ライトに読めるような作品ではないと思います。
    有名な作品にもかかわらずちゃんと読んだ人が少ない原因は、恐らくそういったギャップによるところではないかと思います。
    本作は結構ページ数もあり、内容も冗長で難解な箇所もあるので、個人的には漱石の入り口としては「坊っちゃん」をおすすめします。
    もちろん日本文学としては比較的読みやすい作品で、日頃から文学に触れている方であれば楽しく読める作品ですが、そういった方はまず間違いなく読んでいると思うので、「吾輩は猫である」をこれから読もうとする人、つまりは普段文学作品を読まない人に向けては、いの一番に進められる作品ではないと思います。

    本作の発表当時はまだ日本の自然主義文学は黎明期なのですが、本作は自然主義とは明確な違いが感じられました。
    また、夏目漱石の文学は、後に氏が自ら低徊趣味と呼称していましたが、処女作である本作もその雰囲気が感じられました。
    実験牧場的な自然主義とは異なり、ただ登場人物がおりそれを観察するネコがいるだけのストーリーで、物語中出来事はありますが、それによって劇的に場面が変わったり思い悩むようなことはなく、淡々と、というよりは悠然と日常が、ネコによって描写されるのみとなっています。
    作中では主人公のネコが恋に落ちたり、苦沙弥先生の家に泥棒が入ったり、いろいろのことが起きるのですが、それは舞台設定に投げられた事件というよりもただのエッセンスと呼ぶべきで、「そういった内容があったのだ」で続く物語となっています。
    先が気になる話というよりは、楽しくってページを捲ってしまう、そういう小説だと思います。

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    2018年10月07日
  • 道草(新潮文庫)

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    この作品に至るまでの多くに登場する苦悩する主人公がいます。「道草」は明確に自身の過去を下敷きにしているとのことですが、他の作品にもやはり作者自身の苦しみが投影されていたんだなと改めて思い至ります。

    先日、漱石山房記念館に行ってまいりました。周辺の路地を入ったあたりなどは、当時の香りがほんの少しだけ残っていて、また記念館て掲出されている夏目さんの生涯に触れ、なるほどこういう境遇から編み出された名作たちなんだ、と感じ入りました。

    苦悩の末、全くなにも解決しないままであったり、あるいはむしろ精神を分裂してしまった主人公たちがある中で、本作は僅かではありますが一件落着の感がないわけではありません。これは、半自伝という性質から、自身の未来に向けて照らしたいかすかな光であったのでしょうか。

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    2018年09月29日
  • 明暗(新潮文庫)

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    ネタバレ

    お延が悪いとは思えないので、お秀とやりあった後の夫婦2人のかわした微笑がとても良かったのに、話が思いもよらない方向に向かっていき怒りや苛立ちと共に引き込まれた。
    これまでお延やお秀や吉川夫人が所謂女の世界というものを表していたけど、本当は清子が一番厄介なのでは。既に清子のことばかり考えている津田が、この未完の先の結末を表している気がする。それを想像するのも良い。

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    2018年09月24日
  • それから

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    古典的名作という事に騙されてはいけない。内容はかなり先鋭的。今現在でも充分通用する主題を描いてます。もちろん時代が時代なので、それなりの古臭さや時代錯誤的なところはありますが。

    なにせ主人公の徹底したパラサイトぶりががすごい。プラス徹底したニート(高等遊民という便利な言葉はあるが)。しかも、姦通罪というおどろおどろしい法律があった時代の不倫なので、不倫に向き合う二人の深さがなんとも言えない。

    現代の薄っぺらい恋愛物とは一味も二味も違う。あらためて、古典の凄さを感じた次第です。若い人にぜひんで欲しい。

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    2018年08月29日
  • 坑夫(新潮文庫)

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    それなりの家に生まれて学問も修めていた青年が
    言い寄ってくる女と、許嫁との三角関係に苦しんだあげく
    死にたくなって、そこを逃げ出してしまう
    ところが死に場所を探すうちにだんだん死ぬ気も萎えてきた
    そんな折、ぽん引きのおっちゃんに引っ掛けられて
    鉱山労働者になる決心をする
    安易なわりにプライドの高い彼は
    何度も引き返すチャンスを与えられながら
    その誘惑をことごとく跳ね返し
    ついには居直り者のふてぶてしさを手に入れる

    「虞美人草」に続く、夏目漱石の新聞連載第二弾
    ただしこれは、「春」の執筆が進まない島崎藤村の穴埋めとして
    急遽書き下ろされたもの
    いちおう教養小説としての体裁をつけており
    また、前作「虞美人草」とのテーマ関連をにおわせてもいるが
    基本的には、人に聞いた話をそのまま出したような形である
    人間は時々で考えが変わるものだという無責任主義を掲げ
    むしろ反・教養小説としての完成を試みているが
    しかし最終的に主人公は
    一個の刹那主義者として自己規定するに至った
    自己規定があるからこそ、こんな告白を小説家相手にするわけで
    だからまあその点、失敗作と言うべきなんだろう
    反・教養小説(つまり堕落だ)の試みは
    芥川龍之介の「羅生門」へ受け継がれたように思う

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    2018年07月28日
  • 三四郎

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    一通りざっと読んだだけなので、主人公三四郎は美禰子さんのことが好きだったのか、よくわからずに終わってしまいました。ただ、三四郎の優柔不断さや美禰子さんとのひねくれた会話など、『こころ』に通ずる部分はあるなと感じました。今度はじっくりと一つ一つの言葉を追って、より深いところまで追究したいと思っています。
    また、個人的には16-17ページの、「ベーコンの論文集」の「二十三ページ」を読むか読まぬかでもちゃもちゃするシーンが面白かったです。思わずくすりと笑ってしまいました。

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    2018年05月03日
  • 夢十夜 他二篇

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    夢十夜も永日小品もいろんな話があって、解説を細かく調べたくなる話もいくつかあった。
    どんどんのめりこんでしまった。

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    2018年03月22日
  • マンガで読む名作 三四郎

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    ネタバレ

    三四郎の美穪子への恋心や周囲の人との関わりが描かれた作品。日常の(学生)生活の中に織り込まれて展開されている印象であるため、若干の退屈さを覚える一方、それが自分と重ね合わせることのできるリアリティを生み出しているのかもしれない、と思った。

    文章で読むとまた違うのかもしれないが、この作品の中で描かれている美穪子にはやはり、惹かれるものがあった。どこかミステリアスな雰囲気があり、それが美穪子を「気になる女」に仕立て上げているように思う。

    ~(個人的)パワーワード~
    1.「あなたは余っ程度胸のない方ですね」
    2.「ストレイシープ」
    3.「熊本より東京は広い、東京より日本は広い、日本より……頭の中は広いでしょう。囚(とら)われちゃだめだ。」

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    2018年02月28日
  • 硝子戸の中(新潮文庫)

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    丁寧な文章で漱石の身の回りの事が語られており、漱石がなどんな生活をどんな考えを持ちながら執筆活動をしていたのかが伝わってきた。

    ふだんの生活の中の何気ない会話でも一つ一つに物語が感じられてじわじわとくる作品。

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    2018年02月27日
  • 道草(新潮文庫)

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    漱石の作品は、何回読みなしても、その度に違った印象や違った味わい、それまでにはなかった見え方のする作品ばかりだが、今回の「道草」は、一番その感が強かったかもしれない。
    他の方もお書きになっているが、若い頃はネガティブな内容だけが続いて正直そんなにいい小説かな、と思わなくもなかった。が、数十年経って読み返してみると、置かれた状況は違うかもしれないが、いろいろなものが降りかかってきて、でもそれらを無視するわけにもいかず、そしてそれらは遠い昔に起因しているということは本当によくわかる。簡単に言ってしまえば「しがらみ」ということなのかもしれないが、それゆえ、大人になってからのほうが共感できる作品なのかもしれない。
    今回の読書で、私の中の漱石作品ランキングの上位に食い込んだ。また読み返したとき、未来の私はどんな感想を持つのだろう。

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    2017年12月01日
  • それから

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    ちゃぶ台返し

    3年前義侠心という情に流されてからのそれから
    全ての登場人物の思惑とはかけはなれた主人公
    唯一人それを喜んだ三千代の不在と、物語の終盤散在する代助の発狂の兆しが当時にあっての純粋に理性的な存在の危うさを浮き彫りにしています。

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    2017年11月11日
  • 門

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    もんもんと

    坂井へ書生に出した小六がのちのち安井と接触するリスクについて
    宗助が思い至らなかったか承知だったのか、
    あえて描かれていないところに宗助の人柄と来るべき冬に
    奥行きと色彩が残されたように思います。
    限られた余地の鮮やかではありえない何色かが。
    門の開く余地を見る思いです。

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    2017年11月06日
  • 三四郎

    購入済み

    明瞭なる淡くはかなさ

    いかようにも形容しがたい顛末が三四郎なる主人公名をあえて題にした漱石の意図したところでしょうか。

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    2017年11月03日
  • 明暗(まんがで読破)

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    まんがで読破を読破しようシリーズ。
    夏目漱石は高校の時にたいてい読んだと思うけど、明暗はまだ読んだことがなかったんだと思う。
    明治のダメ男を描く漱石の典型的な話だと思うけど、未完のままこれが絶筆に。漱石はどんな結末に持っていきたかったのか。小説だとするならば、清子さんに走ってしまったんでしょうね。でも、漱石自身の話がベースだっていうから、そこまで突拍子もないことにもできなかったかもね。

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    2017年10月22日
  • 二百十日・野分(新潮文庫)

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    学問に対する志は確かに大切だと思う。ただ金力を余りにも毛嫌いしすぎている印象はあった。ラストの展開、中野君は高柳君の作品見たさもあって金を融通したのではないか。もしそうなら高柳君の行動は中野君の見当違いになりはしないか?事象や主張が明確なだけに、疑問の多い作品だった。それだけに、反論やら別の展開を想像しやすいのは面白かった。あと、同意できる部分や上手い表現は他の作品に劣らず多かった。
    結婚式で、立派な中野君と見窄らしい高柳君が出会った時、お互いがお互いを「これは」と思ったとあるが、この辺りは言葉の選び方が秀逸だと思う。「これは」と思うだけで、その先はお互いの友情やら思い遣りが考えるのを一歩留まらせるのだ。しかし、その先を考えさせざるおえないのだ。

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    2017年10月14日
  • 坊っちゃん

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    読み始めてすぐ一行一行面白くて声に出して笑ってしまった。こんな文学あるのか。
    主人公は一本気で曲がったことが嫌いな典型的な江戸っ子。話を読んでいくと完全な勧善懲悪ものになっていくんだろうな、というもので、一応主人公は懲悪を遂げる。しかし、気持ちがスカッとしただけで解決にはならない。出だしの軽妙な面白さからわくわくしながら読み進めると、最後は少し寂しい気持ちにもなる。
    そう考えると清の存在というのは唯一の救いだろう。この人物がいなかったらただの悲しい話になってしまっていたと思う。

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    2017年09月24日
  • 漱石文芸論集

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    漱石の作品が本書に述べられているように理論的に著されていると思うと感慨もひとしおだ。しかしまた、東大での英文学の講義が理に走り過ぎて最初は不評だったことも頷ける。西洋文明に対する批判的態度も、実際に彼が英国留学を経験したうえでのことで、当時の多くの日本人や現在の自分などが想像しえない境地にいるからだと思える。講演録もユーモア溢れるものだったが、「道楽と職業」が最も楽しめた。

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    2017年08月21日