夏目漱石のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夏目漱石は面白いと思うものと面白くないものが自分の中ではっきりしているのだけど、坑夫は何年か前に読んだ時はひどくつまらないと思って途中で読むのをやめてしまった作品だった。
しかし何年かぶりに再読してみて、とても面白かった。
ストーリーらしきストーリーがないという評判なのだけど、ストーリーらしいストーリーに食傷気味の自分にとっては、逆に興味深かった。
人間は矛盾に満ちている、という主人公の考え方は、現代のアイデンティティみたいな概念に対するアンチテーゼとして読めた。日記のように淡々と進んで行くが、出てくる登場人物たちがみな生き生きしているように感じた。
やっぱり、夏目漱石は読みを極めて行き -
Posted by ブクログ
『野分』について
小説の体を成していますが、思想的な主張の色彩が濃く表れています。
学問とはかくあるべしと主張をする者と、それに共鳴する者が主軸になりますが、彼らが最後に報われるというわけではありません。その点で、理想を宣言しつつ、理想主義者が肩身の狭い思いをする現実を批判した作品のように思います。
各々の言い分にうなずける部分があって、それぞれの主張の中間地点に、歩きやすい道があるんじゃないかと思ってしまいますが、その中途半端な考えは、彼らの方からするともっての他なのでしょう。
幕引きが突然に訪れる感があります。その分劇的ですが、もう少し先まで顛末を知りたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
出オチと思いきや、話が進めば進むほどどんどんヒドくなる。
架神先生のロックなアイデアと勢いのある台詞回し、そして意外と上品な筆致でそれらを生かし、時にネームにも描かれていない酷いネタをブチ込んでくる目黒先生の漫画力、それらが単なる色物で終わらないクオリティを生み出す。
あと地味に夏目先生の原作…クレジットで同列に並んでいるのでそう扱っても良いはず…『こころ』という作品は、『ロミオとジュリエット』並みに、創作の原案としてもっと活用されても良いものなのかもしれない、と本作を読んで思ったり。
夏目作品が一方的にレイプされているように思えて、実は夏目作品が本作に一本筋を通すというか、深みを与えている