【感想・ネタバレ】草枕(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

住みにくい人の世を芸術の力で打破できぬかと思案する青年画家。あるとき温泉場の出戻り娘・那美に惹かれ、絵に描きたいと思うが何か物足りない。やがて彼が見つけた「何か」とは――。豊かな語彙と達意の文章で芸術美の尊さを描く漱石初期の代表作。(「漱石の文学」江藤淳、「『草枕』について」柄谷行人)

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Posted by ブクログ

古本屋で目に入ったので何十年か振りに返しまし
た。
あの「智に働けば・・・」で始まる草枕です。

一人の画家のモノローグが主な内容になりますが、
このモノローグの語彙力は尋常じゃないです。

広辞苑で調べても載っていない言葉が次々と繰り
出されて、自分の見た事象や考えを表現していて
明治の知識人の凄みを感じます。

手に取った本は新潮文庫昭和61年2月25日82刷
あり、単価は何と200円です。

消費税なんて存在しておらず、バーコードもあり
ません。

たった200円程度で最高峰の文学に触れることが
できる国なんて他にあるのか?

これはすごいことだと皆、思うべきです。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

小説なんか本を開いたところをいい加減に読んでいるのが楽しいという主人公の青年画家に「筋を読まなけりゃ何を読むんです。筋の外に何か読むものがありますか」と、山里の温泉宿で出会ったわけありな宿の娘の那美が返すのだが、本作はその那美の台詞に応えるように、筋以上に素晴らしい「画」がたくさん出てくる。宿での中庭越しに、少しだけ空いた障子の隙間に、一人つかっている湯船の湯煙越しに、主人公がとらえる那美の姿。人が誰も入ってこないような森の奥の池の椿の大群生、那美の兄の家から眺める蜜柑畑の広がり、出征する那美の従兄弟を停車場に送るまでの舟からの通り過ぎゆく眺め。それらが画題を切り取るように画家の目を通して描写される。文中、画の対象がないその場の空気のようなものを描きたいと主人公が言う場面があって、それは漱石自らの創作上のテーマのようにも感じたが、漱石がタルコフスキーや溝口や小津の映画を知ったら、画や詩だけでは表現できなかった方法の答えになったかも。いやむしろサイエンス・サルのような制作会社のアニメ作品こそ草枕の世界を最もうまく描けるかも知れないなぁなんて思った。百花繚乱のような漢語の修飾、床屋問答みたいなゆるい会話だけのような場面の、西洋近代文学のアンチテーゼのような表現の創出や、ラスト近くの近代文明主義の批判などの舌鋒の強さに、現代の世界各国のミュージシャンや映像クリエイターがやっているように、当時の文化の第一線であったろう文学者たちもお互いにバチバチやってたんだろうなぁと思ったりしたのだった。

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2025年01月20日

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言葉を、意味を指し示すという「機能」から解放してみる。
「なんかいい」という主観を、客観的に突き詰めて書いていく。

夢なのかもしれない、というストーリー。

風呂場に現れる女の幽霊のような姿。

画が浮かぶ。

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2024年08月15日

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2002年に留学先の和書コーナーで購入し、日本語の奥深さ・複雑さ・美しさに改めて感化した作品。
この作品が私を読書狂いにしている。

◾︎ 再読記録@2024.08
2024年に後書きを含めて久しぶりに読み返し、
なんとも懐かしい思いになると同時に、
お終いはこういう終わり方であったか!、
(後書きを読んで) 漱石先生はかういう気持ちで買いたのか…、
など、昔は感じられなかった感覚があって面白かった

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2024年08月08日

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ネタバレ

美しい。そして緻密。漢詩の引用とか、主人公が詠む歌とかもおそらくすげーのだろう。

心の余裕のある時に味わいたい。

感想が短いのは、つまり、自分の中で解釈しきれていないということですから、お目汚しして申し訳ありません…

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2024年03月24日

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グレングールドの愛読書と聞いて昔々に手を出した時は挫折してしまった本書、ようやく読み切ることができた。日本語の美しさに打ち震え、一字一字がそれぞれに絵と色彩を持った漢字という表現の豊かさと、それを理解できることの喜びに痺れる超ド級の名作だった。この本に出会えて良かった。

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2023年10月17日

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言葉が難しい。笑
内容説明読んで、かなりそそられたので読んでみた。大筋の大筋だけは理解したと思うが、微細なニュアンスなどが取りきれてないと思う。
なんせ、言葉が難しすぎる。笑
でも、内容はとても魅力的なものだったと思う。

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2025年09月30日

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“山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角人の世は住みにくい。”

『草枕』の冒頭、受験勉強で暗記したので、今でも覚えています。しかし、

その先をこれまで読もうとしませんでした。情けないこと、この上なしです。

とにかく、今回読めて良かったです。芸術的感性が文章全体にあふれ出ていました。多彩な漢語が散りばめられていて、湯水のごとく出てくるようでした。東洋の神秘を感じました。

1人の青年画家が、絵を描くために温泉場にやってきて、那美さんという女性に出会います。2人はいい関係になるのかなと期待していたのですが・・・

色々な人との世間話や絵画の世界、木蓮の花の描写、書や硯の話に興味がわきました。

読んでいる途中で、ストーリーの面白さというより、画家の混沌とした頭の中をのぞいていく感じでいいのかなあと思いました。

小説の終わり方が印象的でした。芸術の神様降臨!!って感じです。

最後に、この小説の内容と直接関係ないのですが、次の一文に引きつけられました。

“丹青は画架に向って塗抹せんでも五彩の絢爛は自ずから心眼映る。”
意味→絵の具をことさらキャンバスに塗って画を描かないでも、美しい色彩はおのずと心の目に浮かんでくる。

心眼=心の目

トルストイしかり、サン=テグジュペリしかり、そして漱石しかり。偉大な3人の書物に“心の目”の記述あり。

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2025年09月23日

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熊本住んでた時にたまに行ってた温泉がモデルだったの思い出して積読だったけど読んだ。

『こころ』読んだ時とか正直あまりピンと季来なかったけど、
描写の表現が綺麗(特に前半)だと感じたけど途中話が急に飛んだ気がした。

こういう情緒のある出逢いに憧れたりする。

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2025年05月10日

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僕の好きな著者である夏川草介は、
夏は、夏目漱石。
川は、川端康成。
介は、芥川龍之介。
そして草は、草枕(夏目漱石 作)からとっていて、本作に興味を持った。

生きづらい世の中から煩いを切り離して映すことができるのが画や詩である。この非人情を主人公が求める物語。

知が働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。そんな生きずらい世の中は現代も同じだなと感じた。本作のテーマは「自分を主観で見るから辛い。自分を詩中や画中のように非人道(自分の利害を棚に上げる、他人事、都合の良いように)にする事で楽になれる。」だと思った。
しかし、当の主人公が水墨画でなく、絵の具を使った西洋画に拘っている。かと思ったら、西洋から取り入れた文明に対して並々ならぬアンチテーゼを述べていたり。
本作はそんな単純な話ではないと思った。また整理しながら読み直したい。

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2024年11月17日

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ほぼ随筆。劇的な物語はないものの、漱石先生の日々感じていることの片鱗が分かって面白かった。やはり文章は文句なしに綺麗。素晴らしかった。ただ、他の作品に比べて少し読みづらかった。

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2024年11月07日

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編集者の松岡正剛氏は、「日本のための5冊」と題したある講演で次のようなことを言った。

「我々日本人は『草枕』を継承していない」

本作を通して描かれているのは「幽玄の美」である。つまり、現実なのか夢なのか判然としない曖昧性の高い世界観である。古来、日本人はそうした幽玄の世界に日本特有の美を見出してきたのではないだろうか。だとすると、この世界観を現代で実装するにはどのような手段があり得るか。3DCGやメタバースといった仮想空間は1つの可能性としてあり得るだろう。そんな考えが本書を読んでいる際に頭をよぎった。

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2024年07月31日

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20年余も積読だったようだ。

そもそも、夏目漱石の作品はあまり読んでこなかったのだけど、やはり読むべきかなと思ってしまった。

内容としては、小説とその登場人物の語りを借りた当時の芸術や社会に対する反論であると読み取った。

それ以上に感じたのは、作品を埋め尽くすかのようなレトリックの量と質だ。

冒頭文はあまりに有名だけれど、本文中のレトリックはそれをも凌駕する。

明治の文であり、また漱石の博学ゆえに難解な語もあるが、脚註に道草せずにその韻や語調を楽しみたい。

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2024年04月08日

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注釈だけで20ページ以上あるし言葉とか解釈が難しくて読むのが大変だった。でも全体的には面白かった。作中の「非人情の旅」って、今で言う「自分探しの旅」のようなものだと思うけど、100年以上前でも、やってる人いたんだという驚きと、それを物語にしたのも、全然昔っぽくないというか、なんか良いなと感じた。

仕事や人間関係などの人の世に嫌気がさして、山里に逃避した主人公の気持ち凄く分かるなーと思いながら読んでた。時代は違えど、人が生きる上での悩みや苦痛、葛藤や生きづらさなどの根本は変わらないのかもしれない。そう思うと昔の人たちも同じことで悩んでたんだな〜自分だけが抱えていた悩みではないんだなーと元気がもらえる。

特に現代はSNSの普及で人付き合いが密接になったり、見ず知らずの人から誹謗中傷されたり、いいねの数を気にしたり、幸せそうな他人と自分を比較したりと、昔より色々と便利にもなったけど、常に人から見られているようで、何かと生きにくい。

そういう他人と競っても自己満足にしかならないのに、無駄に見栄を張って対抗するから疲れてしまう。だから、人間関係とか全てリセットして、東南アジアに一人旅したり、主人公のように知り合いなんかいるはずのない田舎に逗留したりしたいなーと最近思ってる。

主人公のように芸術の才能は無いのかもしれないけど、モンゴルの遊牧民のように世界を転々としながら、その土地の自然やカルチャーや人々に触れて、感じたことを自由に文章にしたり、心の赴くままに生きたい、というのが自分の夢だな。

少し逸れたけど、物語に関しては、画家の主人公の思考(作品への苦悩や芸術の概念、芸術家の在るべき姿の追求など)がとても多くて、面白かった。こんなに一人で孤独に悩んで、思索して、創作するのがアーティストなんだなと思った。

那美さんのキャラも結構好きだったな。本性が掴めなくてフワフワしてる不思議ちゃんのような感じ。「久一さん。御前も死ぬがいい。生きて帰っちゃ外聞が悪い」
「動詞なんぞ入るものですか、それで沢山です」 那美さんの独特な言い回しというか強気な発言も面白かった。

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2024年03月08日

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人生初となる夏目漱石本、チャレンジしてみました。

読み始めてしばらくは、生きている時代の違いに加えて、文豪の操る空気感に圧倒されたというか、どう受け取っていいかわからない雰囲気だったんですが、これは通常の『話を楽しむ』という目線で見るのでなく、そもそもスタート地点から描かれているものの趣旨を理解することがとても大事だな、と、読み終わって一層感じてます。

最初に『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。』と、有名な語り出しから始まるところは、究極な話、この核心的なところで、この主人公は自分の画業(または創作のヒント)のために気分転換をしに出かけた逗留先で、徹底的に第三者にこだわった立ち位置で、『スノッブにならず、誰とも程度をこえて干渉せず、かといって自分の創作にも必要以上に固執せず』というスタンスを一貫していて、まさにこれが冒頭の文言に当てはまってるんだと思いました。

主人公は、行く先々や、関わる人たちとのふれあいから、情景を読み取るために観察力をはたらかせることに最大限の力を発揮していて、そのほとんどは自分の思い通り頭にインプットされてはいたものの、とある女性の形容しがたい表情を見たことで、謎に対する自分なりの答えが導きだされるまで、いろんな角度から、ごく自然に、ときに不自然に、対象物を捉えていくシーンが描かれます。

特に愛着もなければ義務があるでもないにせよ、そういう自分の疑問に対して素直に真剣に取り組むことこそ、住みにくい世から煩いを抜いてありがたいものを作る、画業に就くものの役割だ、と、いうのが主人公のポリシーのようで、全体をとおしてのメッセージだったのかなと。自分はそんなふうに感じました。

人と出会って打ち解けて、ドラマがあって、ハッピーエンド・・・的なコテコテの話からは極限のねじれ位置にあるような、一種、不思議な読書体験でした。
漱石先生のほかの作品も是非とも読んでみたいと思います。


ここからは余談ですが、ミレーのお話が載っている、山本有三の心に太陽を持て、を読んだあとなんの意図もなくここにもミレーの話題が・・・ってとこに個人的に戦慄をおぼえました(笑)

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2024年02月08日

Posted by ブクログ

自分なんかが評価していい一冊ではない。

圧倒的な語彙と表現力。自分はその半分も理解できていないと思う。

どのような努力を重ねたら、このような日本語力を身につけることができるのだろう。漱石は確か英語もできるはず。

ストーリーというより、言葉の渦の中をゆらゆらとただ流されていくという感覚で読んだ。漱石の言葉の波の中をただ旅をするが如く。

途中で言葉の注釈を読むのをやめた。流れが止まるから。言葉の正確な意味などわからなくても、なぜかその情景、感覚が誌面から伝わってきた。不思議な感覚だった。

もっと言葉を知れば、きっとまた違った感覚を得ることができるのだろう。何度も繰り返し読むことで、きっと新しい画工や那美さんに出会うことができるのではないか。きっとそれは、何度も同じ場所を旅するが如く。



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2023年11月05日

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最終盤で急に尾崎豊みたいなこと言い出す小説、と表現すれば読む興味も多少湧いてくるのではなかろうか。
文章は難しく、そして長い。頁をめくった時に目に見える範囲が丸々文字で埋まっていた時の絶望感。我慢して読むしかないが、正直内容はほとんど頭に残らない。
しかし、終章で様子が変わる。文章がスラスラと頭の中に入ってくる。そして現実へ引きずり出された余≒夏目漱石がどこか尾崎豊みたいな調子で汽車に詰め込まれた人間の個性について「あぶない、あぶない」と嘆き出す。
『草枕』と言えばその冒頭が有名だが、この最後の部分にこそ読者の心を動かすエッセンスに満ちていると思う。そして何よりラストの余韻。芸術の本質がほんの一瞬だけ覗いたような、そのとても美しい終わり方には惚れ惚れする。

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2023年05月24日

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漱石の本を5冊ほど読みました
語弊を恐れず言うと現代人からすると、漱石の中でも特に読み辛い本だと思います(追記:後日読んだ漱石入門の本でも難しい部類に分けられ強ち間違いではないかと思いました)

文語体であること、漢学表現に富み教養がなければ想像しにくいこと、何か刺激の強いドラマチックなストーリーではないことなど、他人にオススメできる要素は正直ありません

ですが、それでも私が読んで良かったと思えるのは、話の冒頭と終わりのテンポとキレの良さ。

あとは漱石の人柄が知れたことかなと思います。
元来気性の荒い人だったそうですが、、、草枕全編を通して、自然主義文学や近代小説への批判ともとれる主人公を通した漱石の間接的な思想の代弁や表現手法、ストーリーからは漱石の熱い性格が窺い知れてそれが良い読後感にもなっています。

だから、万人にウケるものでは決してないと断言できますが、自分にとっては時間が経ってまた読み返したいなと思える数少ない一冊であり、誰かにとってもそんな本であるだろうと思います。

23年2月追記:
有名な話とのことですが、那美さんにはモデルがいるそうですね。漱石が旅先で出会った家の娘だそうで、お風呂で出会ったのも実話だとか。
ものすごく面白い女性だったそうで、漱石はずっと覚えてらしたそうです。どんな会話があったのかな、なんて想像するだけで楽しくなりますね。

23年8月追記:
audibleで再読。
初読が難しかった分、繰り返し読むほど面白いなと思えて星4にしました。理屈っぽいパートと、直接的にも間接的に那美さんに振り回されていくパートのバランスが良く、結末として那美さんの素顔に我が意を得るというこの収まりの良さに感動しました。
理屈っぽいパートはいまだに全て理解できたとは言い難いのですが、主人公が漱石の思想を代弁しているようにも思えて、漱石ってこんな人なのかな?とか想像しながら読むとなお面白いです。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

『神様のカルテ』の主人公、一止先生がいつも読んでいる『草枕』が気になって、読んでみた。

『神様のカルテ』に草花の描写が多い理由がわかった。『草枕』の影響だなと。作者の夏川草介さんも夏目漱石が大好きで、一止先生と同じように『草枕』ばかり読んでいたに違いない。

『草枕』は、画家の目を通して語り、絵画のような小説だった。椿の描写は特に美しく、印象に残った。

私は、夏目漱石の『こころ』がめちゃくちゃ好き。一方で、夏目漱石の作品はほとんど読んでいない。『坊ちゃん』は登場人物もストーリーも知っているけれど、いつ本を読んだのか、全く記憶にない。読んだのが、子供の時だったから記憶にないのかもしれない。『吾輩は猫である』にいたっては、知っている気になっているけれど、冒頭の2文しか知らないかも。
夏目漱石は、書き出しが最高に上手い。

そして、夏目漱石は、『草枕』から読んではいけない。夏目漱石アレルギーになってしまう。美しい小説だけれど、夏目漱石初心者には難しい。

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

冒頭の有名な一節に惹かれて読み始めました
正直言って難しかったです
漱石の他の著書も文体や時代など、わかりにくかったけれど、”草枕”と”猫”は特に難しい
途中で挫折しそうになったけれど、内容的には興味深かったので、わからなければ、同じ箇所を2〜3回と音読して何とか理解しようとしました
それでもわからないところは諦めました…
読解力の足りない私ですが、でも面白かった 心地良かった
何年後かにまた読んでみたいです

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「非人情」をテーマとした作品。主人公が画家で、絵を書くために何がきっかけのようなものを探して最後には那美の憐れさが浮いた表情に惹かれるといった内容だと理解した。ストーリーよりも日露戦争という時代背景によって死地に向かう久一との別れに心打たれるものを感じました。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

難しい作品だった。
解説を読むことにより、ようやくこの本の醍醐味が分かった。
この書物は、読むのではなく、軽く読み流すもの。

先に解説を読んでから、小説部分を読むのもいいのかもしれない。

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

若き画家が温泉場に逗留する。その古びた温泉場で地元で悪様に言われてる出戻りの綺麗な娘、那美に画家として惹かれていく。
美しい自然のなかで、美しい女性を描こうとするとき、その女性に何か足りないものを感じる。その綺麗な女性の表情に足りないもの、漱石は、嫉妬でなく、憎悪でなく、神の知らぬ情、憐れとした。
人を馬鹿にする微笑い、勝とう、勝とうと焦る八の字。それだけでは、美術とならないのだ、
なんか深いですね。
難解なんだが、読み返せば、読み返すたび、なんか発見がある。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

漱石先生的芸術論。難解。
自分の頭では恥ずかしながら三割も理解できないのが悔しい。
那美さんとの会話が知己に富み色っぽく、それだけでも読んで良かったなと。
後半の芸術とはの箇所はかなり情熱的で、若き漱石先生が俗世を削ぎ落とした先の「根本」みたいな物を掴んで引きずり出そうとするのが垣間見える・・・ううん、まだ咀嚼しきれてないし、感想を述べるのもおこがましい気がする。
「憐れ」が加わり画となる、か。
人生の修行をもう少し積んでから読み直したい。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

人の世に疲れた主人公の非人情の旅ということで、あまり接点はないが、彼女に振られた悲しみを別の形に変えるべく70キロ自転車を漕いで大阪から滋賀まで行った当時の一人旅を思い出したりした。

正直かなり難しかった…
那美さんとの会話は自分も心地良くて、楽しかった。

読むにあたって文体そのものにも苦労したけど、1番は自分の頭の中に当時の様な情景を補完できる元のイメージがなさ過ぎる所。
頭で情景を組み立てながら読んでいるから、当時の日本の資料や写真だったりでイメージを作ってから読むのがいいかもしれない。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

冒頭を覚えたくて読みました。
最後まで見ましたが読めませんでした。といったのが正直なところ。
知識不足で会話がある部分しか理解が追いつかなかったので解説やあらすじ(Wikipedia)を見ながら一応こういう話だったのねって感じで終了

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

とんでもなく難解。当時の人達は、注釈なしに読むことができたのでしょうか。軽い作品を読みたくて、薄めの本作を選んだのですが、これが全くの見当違い。本文と注釈を行ったり来たりしながら、ゆっくりゆっくり読み進めることになりました。
最初はなかなか入り込めなかったですが、徐々に波長が合ってきて楽しく読めるようになってきました。この作品は登場人物の「余」と同じように、「非人情」の心持で相対するのが良いのではないかと思いました。
ところどころにすごい描写がありましたが、特に印象に残っているのが那美が風呂場に現れる場面。これはとんでもないです。すさまじい語彙量におぼれそうになる感じが、「余」の驚きとも同調するようで息が詰まります。
面白いとは言えませんが、不思議な体験をさせてもらったな、という感覚です。

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2023年09月16日

Posted by ブクログ

電車に揺られながら、こう読んだ。無理くり席に座れば角が立つ。流れに任せれば乗換駅を誤る。意地を通して突っ立っても窮屈だ。とかくに通勤電車は住みにくい。

住みにくさが高こうじると、家賃が高い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟さとった時、詩が生れて、画えが出来る。

世は両面を兼ね備えており、陰影が濃いほどまた光が際立つ。かと言うて1枚に世の光と影、哀れに愉快、全てを詰め込むのは難しかろう。難しいから画家は放浪し、湯治をし、飯を食って屁をする。その中で発見せし一瞬を映すこそが画家なのだろう。

と思った本でした。

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2023年08月04日

Posted by ブクログ

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

なんかの本に引用されてた冒頭がかっこよすきて読んでみた。
親しみない言葉もでるから読破にめっちゃ時間かかったけど、なんか気になって最後まで読みたくなる作品。

ちょくちょく出てくるどストレートな本音めっちゃ面白い。
作品の設定も綺麗だなぁ~

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2023年07月12日

Posted by ブクログ

漱石の三部作よりも、こっちの作品の方が気楽に読めますね。『坊っちゃん』みたいな痛快なストーリーではありません。

『吾輩は猫である』『坊っちゃん』に次ぐ、
夏目漱石初期の作品ということです。
かなり難しい言葉が並んで、注釈の量も膨大でした。
それでも読んでいて面白かったですねぇ。
はっきりした筋があるわけでもないんですが、
かえってその方が小説の中の世界の広さを感じました。

>智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。
>兎角に人の世は住みにくい。

と1ページ目から、世間に対して嘆息のような断じかたを
している主人公ですからね。
そういった窮屈さから逃れた小説になったんでしょう。

解説を読んでみると、これは奇妙な小説だなんて書かれていますが、
それほど小説を読み込んでいない、それも明治とか大正とか昭和初期とかの
小説にあまり触れていないせいなのか、奇妙だとは思いませんでした。
きっとね、現代の小説を近代に持ち込んだら、
「なんだこの小説は、なっとらん」
みたいな言われ方をするのかもしれない。

『草枕』は全然「あり」だと思いましたよ。
10代とか20代とかの頃に読んだ、
夏目漱石の代表作の『こころ』とか『三四郎』は、
読んでもまるで何も残りませんでしたが、
今回読んだ『草枕』と以前読んだ『門』は面白く読めたんですよねぇ。
その前に『坊っちゃん』を読んだんですけど、
それもなかなか面白かった。
これは自分が30歳を超えて、
読み方が変わってきたっていうことなんでしょうか。
『それから』とか昔読んだものを読み返したら
全く違う印象を持つ事になるかもしれない。

それにしても今作はすごいボキャブラリーでした。
言葉の閃きがスパーンと出てくるんだろうなぁ。
ヒロインの那美も良かったですね。
時代とか世間とかの窮屈さに押し込められるか押し込められないかの
境界のところで生きている女性のように読めました。
またちょっと危険を感じさせるところなんかも読んでてわくわくしちゃった。
現実にこういう女生と出会ったら、
破滅させられてしまうそうな怖さもありましたね。
夢に出てくるなら大歓迎です。

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2025年06月14日

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