夏目漱石のレビュー一覧
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宗助は過去の罪があるがゆえに御米と自分だけの世界で生きていくことを徹底している。
宗助は日々役所勤めをしつつ、何か楽しみがあるわけでもない。ただ、御米との閉じた世界で生きていくためには、働かなければならないだけで、それ以外の生きる意味や目標のようなものは何もない。
そんな宗助の生き方の割には、作中では割と外からの働きかけが描かれている気がする。小六が二人の生活に割り込んでくるところも、外的な働きかけであるし、家主の阪井との交流もそう言えそう。
特に阪井を経由して、安井との邂逅の可能性が立ち上がってくるあたり、宗助と御米の二人だけの世界は二人の中では強固でありつつも、様々な快適要因に揺さぶられ -
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ネタバレずっとちゃんと読んでみたいなと思っていたのが、ようやく果たせた。
昔授業でやった部分は、本当に終盤のクライマックスに近いところだったのね。
要約してしまえば、事件そのものはとても単純なのだけれど、そこに至るまでとその後の人間の心の動きがものすごく丁寧に描かれている。
だからこそ、読者はギュッと心を掴まれ、ドキドキしながら読み進めずにはいられない。
何も知らない第三者の目線を通して、事件後の暗い影に覆われた先生の人生が少しずつ垣間見えていき、最後に遺書によってその真実が明らかになるという構成も素晴らしい。
あぁ、とにかく、悲しい。
先生は本来真面目で思いやりのある人だったし、その部分は事件 -
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ネタバレ今は嫌でもあらすじを先に知ってしまうので
連載当時に新聞で読みたかったなと思う。
夫婦のどことなく陰のある生活が、細やかな季節の描写とともに描かれる。
季節が巡る描写に関しては、後の吉村昭を思わせるぐらい、執拗に描いているように思えた。
中盤にようやく出てくる宗助と御米の関係の深まりが、季節の描写に繋がっていくところは見事としか言いようがない。
安井に身バレしないか不安すぎて参禅までするのに、大家に小六を預けるなど、なんて爪の甘い男かと思ったが、こういう辻褄の合わなさが人間心理のリアリティなのかなとも思った。
夏目漱石を連続して5冊くらい読んでいるが、坊ちゃん以外の主人公はなんとも煮え切 -
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夏目漱石前・後期各三部作のうちではやはり「こころ」が群を抜いて面白く、また、高校生の自分がなぜこれを読んでいたのかも何となく理解した。
正直、「こころ」以前の5作品は物語に大きく影響のないような風景もスケッチのように細々と描かれていて、少し退屈な部分もあるのだが、「こころ」はかなりドラマチックな作風。
「先生」というキャラクターのミステリアスさ、見え隠れする過去の謎、「先生」、「御嬢さん」、「K」という3人のスリリングな関係、そして後期三部作共通のテーマである「嫉妬」が暴発した結果もたらされる悲劇という、お話としての面白さ。
さらには、異性を好きになることの苦しさ、最愛の妻にさえ言えない -
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未完だと知ってはいたけど、ここで終わるんだ!と、黄色いレンガの道が途切れてしまってポツンと取り残されるドロシー(そんなシーンあったかどうか覚えてないが)みたいに呆然としてしまった。それはとりもなおさず、ここまでの道のりがとても面白かったからで、主に津田とおのぶという主人公夫婦がひたすらごねごねと心中を吐露するかたちで、二人と彼らを取り巻く人物たちの一日一日の様子が語られていくだけなのだが、こういうの好きである。
細かくいろんなところで思うところはあったが、妹の見舞いの顛末のところで、「このひとめんどくさい!」とそこまででいちばん心が跳ね、そしたらその直後に夫婦関係にも微妙な変化が訪れたのが -
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夏目漱石ってこういう語り口の人なんだ。
前半の1/2くらい講演を引き受けることになったけど延期が続いた経緯をぐだぐだ言い訳してる感じが面白い。
個人主義は自分でツルハシを持って文学を掘り進めた話、外国のカタカナ語をありがたがっていないで自分で考えることの勧め、他方で他人の自由も尊重しなければいけないことなど、いずれも今にも通じる話である。自分が右を向いていても、左を向いている人に強要しない。
権力を持つものはその義務を果たさなければならないし、金力を持つものはその責任を意識なければならないという。
個人主義は国家主義と対立するものではなく、自然と相対的になるものだが、国家主義の道徳など一段低い -
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吾輩は猫であるの次に読んだので、ストーリーがある分読み進めるのが早かった。
遊民の代助の内面が丁寧に描かれており、代助は分析力があり聡明な設定だが、辛い過去に忘却という蓋をしていたり、三千代を思う気持ちが止められなくなったり、最後は頭の中が赤で埋め尽くされるなど、彼の言う自然には逆らえないものだと思った。
私は漱石の、場面をガラリと変える描写が好きで、特に三千代への思いを初めて具体的に示した、馬鈴薯と金剛石の描写と、激しい雨の中、部屋中を百合の花の香りで満たして三千代に告白するシーンが好きだ。後者のシーンは、本当に百合の香りがしてくるようだった。
夢十夜とそれからを読んで、百合の花やその香 -
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ネタバレやりきれない、ひたすらやりきれない。
最初は、妻のことを気遣い、Kへの罪悪感を消化するのであれば、毎月の墓参りを続けつつ、Kの分まで長生きして妻を幸福にするのが筋では?と読みながら感じていた。
しかしどうも先生の語り口をみるに、Kを自殺させるに至った罪の自覚よりも、そうしてしまった自分の未熟さや浅はかさを恨んでいたり、Kの呪縛から解放されたいように思える。それならば最期に自分でケリをつけるという結論に至っても不思議ではないなと。
オカルトな解釈をしてみると、Kの幽霊が先生に取り憑いたのでは、という解釈もできる。特に、295ページの「私の胸には〜」から始まる、先生の行動を強制したり、縛りつけ