夏目漱石のレビュー一覧

  • 門(新潮文庫)

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    宗助は過去の罪があるがゆえに御米と自分だけの世界で生きていくことを徹底している。

    宗助は日々役所勤めをしつつ、何か楽しみがあるわけでもない。ただ、御米との閉じた世界で生きていくためには、働かなければならないだけで、それ以外の生きる意味や目標のようなものは何もない。
    そんな宗助の生き方の割には、作中では割と外からの働きかけが描かれている気がする。小六が二人の生活に割り込んでくるところも、外的な働きかけであるし、家主の阪井との交流もそう言えそう。
    特に阪井を経由して、安井との邂逅の可能性が立ち上がってくるあたり、宗助と御米の二人だけの世界は二人の中では強固でありつつも、様々な快適要因に揺さぶられ

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    2026年06月27日
  • 門(新潮文庫)

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    門の前にたたずみ、それをくぐり抜ける事も避けて通ることもできない閉塞的な気持ちにとても共感した。
    明けない夜はないという言葉がよく聞かれるが、朝がきてもまた必ず夜はやってくるだろう、その繰り返しから逃れることは今後もできないのだろうという暗い予感を胸に抱いて生きるしかない。そんな主人公に自分を重ね合わせた。
    しかし、ただ暗い気持ちになったのではなく、苦い過去を持っているからこそこの小説の面白さが分かったのだと思い、少し自分を肯定してあげられそうな気持ちにもなった。

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    2026年06月26日
  • こころ

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    教科書で読んだのはごく一部だったんだと気が付いた。全体を読んでみると、Kが出てくるのは最後の遺書のところで、教科書ではいきなり自殺してしまったので、何のことやら高校生には理解できなかった。今読んでもなぜ自殺しなければならなかったのか、よくわからない。女に振られたくらいで死にたくなるのかな。意外にも第1部の部分が楽しく読めた。文章は素晴らしく、本当に目の前に風景画広がるようだった。

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    2026年06月25日
  • こゝろ

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    ネタバレ

    ずっとちゃんと読んでみたいなと思っていたのが、ようやく果たせた。
    昔授業でやった部分は、本当に終盤のクライマックスに近いところだったのね。

    要約してしまえば、事件そのものはとても単純なのだけれど、そこに至るまでとその後の人間の心の動きがものすごく丁寧に描かれている。
    だからこそ、読者はギュッと心を掴まれ、ドキドキしながら読み進めずにはいられない。

    何も知らない第三者の目線を通して、事件後の暗い影に覆われた先生の人生が少しずつ垣間見えていき、最後に遺書によってその真実が明らかになるという構成も素晴らしい。

    あぁ、とにかく、悲しい。
    先生は本来真面目で思いやりのある人だったし、その部分は事件

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    2026年06月25日
  • 門(新潮文庫)

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    ネタバレ

    今は嫌でもあらすじを先に知ってしまうので
    連載当時に新聞で読みたかったなと思う。

    夫婦のどことなく陰のある生活が、細やかな季節の描写とともに描かれる。
    季節が巡る描写に関しては、後の吉村昭を思わせるぐらい、執拗に描いているように思えた。
    中盤にようやく出てくる宗助と御米の関係の深まりが、季節の描写に繋がっていくところは見事としか言いようがない。

    安井に身バレしないか不安すぎて参禅までするのに、大家に小六を預けるなど、なんて爪の甘い男かと思ったが、こういう辻褄の合わなさが人間心理のリアリティなのかなとも思った。

    夏目漱石を連続して5冊くらい読んでいるが、坊ちゃん以外の主人公はなんとも煮え切

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    2026年06月22日
  • 樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外

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    森鴎外 青年
    かわいいな!男の子やな!
    頑張れよっ
    大人になって読むからこの感想なんやろうか
    今読んでよかった

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    2026年06月19日
  • こころ

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    夏目漱石前・後期各三部作のうちではやはり「こころ」が群を抜いて面白く、また、高校生の自分がなぜこれを読んでいたのかも何となく理解した。

    正直、「こころ」以前の5作品は物語に大きく影響のないような風景もスケッチのように細々と描かれていて、少し退屈な部分もあるのだが、「こころ」はかなりドラマチックな作風。

    「先生」というキャラクターのミステリアスさ、見え隠れする過去の謎、「先生」、「御嬢さん」、「K」という3人のスリリングな関係、そして後期三部作共通のテーマである「嫉妬」が暴発した結果もたらされる悲劇という、お話としての面白さ。

    さらには、異性を好きになることの苦しさ、最愛の妻にさえ言えない

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    2026年06月17日
  • こゝろ

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    記録。
    一瞬の刹那の苦しみとその後の後悔の苦しみどっちが苦しいのかと言う問いは現代でも通用する問題だ。

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    2026年06月17日
  • 明暗

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     未完だと知ってはいたけど、ここで終わるんだ!と、黄色いレンガの道が途切れてしまってポツンと取り残されるドロシー(そんなシーンあったかどうか覚えてないが)みたいに呆然としてしまった。それはとりもなおさず、ここまでの道のりがとても面白かったからで、主に津田とおのぶという主人公夫婦がひたすらごねごねと心中を吐露するかたちで、二人と彼らを取り巻く人物たちの一日一日の様子が語られていくだけなのだが、こういうの好きである。
     細かくいろんなところで思うところはあったが、妹の見舞いの顛末のところで、「このひとめんどくさい!」とそこまででいちばん心が跳ね、そしたらその直後に夫婦関係にも微妙な変化が訪れたのが

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    2026年06月12日
  • 私の個人主義

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    夏目漱石ってこういう語り口の人なんだ。
    前半の1/2くらい講演を引き受けることになったけど延期が続いた経緯をぐだぐだ言い訳してる感じが面白い。
    個人主義は自分でツルハシを持って文学を掘り進めた話、外国のカタカナ語をありがたがっていないで自分で考えることの勧め、他方で他人の自由も尊重しなければいけないことなど、いずれも今にも通じる話である。自分が右を向いていても、左を向いている人に強要しない。
    権力を持つものはその義務を果たさなければならないし、金力を持つものはその責任を意識なければならないという。
    個人主義は国家主義と対立するものではなく、自然と相対的になるものだが、国家主義の道徳など一段低い

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    2026年06月12日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

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    ドラマ「月夜航路」に、この話が出てきたので、読んでみた。10の不思議な夢の話だった。 
    綺麗な挿絵も相まって、怖い美しい話が多かった。
    夏目漱石さん、美しい文書を書く方だったのですね。
    やっぱり第一夜の夢の話が一番好きだな

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    2026年06月06日
  • 夢十夜

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    漫画です。岩波から!それだけで新鮮。
    何度も読んだ夢十夜だが、ほかの人はこんな風にイメージしているのか、と新しい感覚で読めました。
    文字だけの方が想像が広がっていい気もするけど、第三夜は他人のイメージを借りた方が怖いと思った。

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    2026年06月05日
  • それから(新潮文庫)

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    吾輩は猫であるの次に読んだので、ストーリーがある分読み進めるのが早かった。
    遊民の代助の内面が丁寧に描かれており、代助は分析力があり聡明な設定だが、辛い過去に忘却という蓋をしていたり、三千代を思う気持ちが止められなくなったり、最後は頭の中が赤で埋め尽くされるなど、彼の言う自然には逆らえないものだと思った。

    私は漱石の、場面をガラリと変える描写が好きで、特に三千代への思いを初めて具体的に示した、馬鈴薯と金剛石の描写と、激しい雨の中、部屋中を百合の花の香りで満たして三千代に告白するシーンが好きだ。後者のシーンは、本当に百合の香りがしてくるようだった。

    夢十夜とそれからを読んで、百合の花やその香

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    2026年06月02日
  • こゝろ

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    高校の教科書に「先生と遺書」だけ載っていて、ずっと読みたいと思っていた。

    天皇が崩御したから大将も後を追うなんて今の時代じゃ考えられないけど、時代が違えば考え方も変わっていくものだし、Kと先生の理由も共感は出来なくてもそういう時代だったのかーと思った。
    同じ時代同じ国に生きてても、理解できない気持ちなんて沢山あるんだし、そういうこともあるんだなぁって。

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    2026年06月01日
  • 明暗(新潮文庫)

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    漱石は人間を解明する文学だと誰かが言っていたけど、まさに心の機微がわかる細やかな心情と会話の駆け引きが面白かった!

    なぜタイトルが明暗なのか、主人公にまつわる過去と現在の人間関係の謎は残されたまま未完になってしまったのが惜しい、、文学史上いちばん読書会にもってこいの本なんじゃないか?と思うくらい象徴的で抽象的かつ安定して面白い。未完だからこそ正解もなく皆の意見がきけそうだなと…とかいって感想を話す人もいないけど^_^

    漱石好きな人はトルストイも好きそう、2人のリアリティある登場人物のいきいきした世界観が私にはハマってる

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    2026年05月30日
  • 吾輩は猫である

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    ライフワークかと思うくらい、読むのに長い時間がかかった。
    苦沙弥先生の家に集う知識人の会話が滑稽で洒落ていた。
    落雲館とヴァイオリンの話がツボだった。
    終盤の、近代人の個性の肥大化についてはとても読み甲斐があった。

    もう一度読み返したいけど、長すぎて勇気がいる。

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    2026年05月27日
  • こころ

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    平生は皆善人なんです、少なくともみんな普通の人間なんです。
    それが、いざという間際に急に悪人に変るんだから恐ろしいのです。
    だから、油断が出来ないんです。

    先生の叔父は金のために悪人に変わった。
    先生は愛のために悪人に変わった。
    Kは...と考えてしまう。

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    2026年06月09日
  • 吾輩は猫である

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    前に読んだのは確か高校生の頃で、その時はアンドレア・デルサルトとトチメンボーくらいしか記憶に残らなかった。改めて読んでみると、人間に対する強烈な風刺と皮肉が描かれている。「吾輩」の眼を通して、人間はどうしようもなく救い難い存在であることが、生々しく描かれている。

    一方で、これが人間の生きる術でもある。以前読んだ時は、迷亭はただの嫌な奴くらいにしか感じなかったが、改めて読んでみるとこの世の儚さ、その中で目一杯生きることは何なのかを教えられる。

    長編であるが、リズミカルで読みやすい。

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    2026年05月24日
  • こゝろ

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    ネタバレ

    やりきれない、ひたすらやりきれない。

    最初は、妻のことを気遣い、Kへの罪悪感を消化するのであれば、毎月の墓参りを続けつつ、Kの分まで長生きして妻を幸福にするのが筋では?と読みながら感じていた。
    しかしどうも先生の語り口をみるに、Kを自殺させるに至った罪の自覚よりも、そうしてしまった自分の未熟さや浅はかさを恨んでいたり、Kの呪縛から解放されたいように思える。それならば最期に自分でケリをつけるという結論に至っても不思議ではないなと。

    オカルトな解釈をしてみると、Kの幽霊が先生に取り憑いたのでは、という解釈もできる。特に、295ページの「私の胸には〜」から始まる、先生の行動を強制したり、縛りつけ

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    2026年05月24日
  • マンガで読む名作 三四郎

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    自分が若く青春時代に突入しかかった頃は、女性が眩しく、近寄りがたく、どう接して良いか分からない存在だった。その青臭さを忠実に表現している訳ではあるが。それが面白いかと問われたら、はて?となるかも。

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    2026年05月16日