【感想・ネタバレ】文鳥・夢十夜・永日小品のレビュー

みなさんは正夢を見たことがありますか?
正夢は、自分の現実における記憶に基づいて、脳が錯覚を起こしている状態だそうです。

みなさんの夢は白黒ですか?それともカラーですか?
年配の方であればあるほど、夢は白黒と聞いたことがあります。
現代の若者は特に、テレビ等も含めほぼすべての経験をカラーでします。

このように、夢は現実で起こった様々なことに起因して、脳が見せているものなのでしょう。
また、夢十夜で語り手が見た夢は非日常的な世界でありながら、日常に溢れている人間の醜い部分をとても繊細に描いてあります。

「長いあいだ大空を落ちている間に、角が取れて滑らかになったんだろうと思った。」
「堪えがたいほど切ないものを胸に盛れて忍んでいた。」
「ただ背中に小さい小僧が食っ付いていて、その小僧が自分の過去、現在、未来をことごとく照らして...」

人間味のある短編集をお好みの方は是非一読ください。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年12月30日

夢十夜大好き。不可思議、不条理かつ神秘的な雰囲気をわずか数ページで作りあげるのは文豪だ。
夏目漱石が自転車に苦戦する日記も面白い。

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Posted by ブクログ 2022年05月01日

『夢十夜:ファンタジーホラーの原点!?』

文豪 夏目漱石の短編集。エッセイ風の「京に着ける夕」「文鳥」「永日小品」「倫敦消息」「自転車日記」、幻想小説的な「夢十夜」。特に「夢十夜」は、恒川光太郎のファンタジーホラーを読んでいるよう。意外でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年10月10日

夢の中の話。

「こんな夢を見た。」から始まる第一夜。
百年目に合うから百合の花。文章は余韻が残る言葉が散りばめられていてまさに夢のように幻想的。関係を曖昧にすることによって女の涙の解釈が分かれるところが技巧的。

第三夜。
民俗学に見られる民間伝承、「こんな晩」パターンの類型。不気味としか言いよう...続きを読むがない。「ちょうど百年」と出てくるが第一夜との関係性があるのかは謎。

第七夜
対象をつきはなして見ている。自殺者の視点に立って心情を描写している点において、類型的なものが見られないため何か伝えたいことがあったのか。

なんとも言えない、考えさせられる、でもわからない
謎に包まれたような、味のないものを食べているような気分になる作品。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

すごく好き。「こんな夢を見た」の書き出しから全てが始まる、夢十夜の現実離れした感じが心地良いです。特に第一夜は、情景を想像しながら読むと美しくて泣きそうになります。

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Posted by ブクログ 2022年12月05日

夢十夜よりも、永日小品のほうがより夢っぽい。
心地よさと不気味さと、誰かの日常風景が混在する様はどこかで見た夢のよう。

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Posted by ブクログ 2017年07月26日

書かれた時代がバラバラで、順番も意図があるかは分からないが、夢十夜を除いてエッセイ集のような感じだった。夢十夜はたまらん

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Posted by ブクログ 2012年07月15日

「夢十夜」を改めて読み返したくなったので購入したが、
冒頭の短いエッセイ「京に着ける夕」の、
格調高い語り口と内容のギャップにお茶噴いた(笑)
いや、大文豪の手に掛かれば、
こんなちょっとしたエピソードも立派な作品になるということか。
「夢十夜」については、脳の働きと夢について研究している学者曰く、...続きを読む
いくつかの根拠によって、まったくの作り話ではなく、
漱石が実際に見た夢を述懐していると思われる……とかなんとか、
高校生のときに読んだ科学系の本に、
そんな風に書いてあったと記憶しているけれど、よく思い出せない(泣)
が、何にしても、夢の持つ不条理感に充ち満ちていて、すこぶる面白い。

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Posted by ブクログ 2011年06月11日

「夢十夜」
第一夜
「百年、私の墓の側に坐って待っていてください。きっと逢いに来ますから」

夢ってなんだか不気味だ。私はろくな夢を見ない。

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Posted by ブクログ 2009年12月25日

大学の教授が「最近は夏目漱石や森鴎外も『古典』扱いで、若い人はどうも取っつきにくいと感じているようだが、そんなことは無い。日本語表現の勉強にもなるから是非読んで欲しい」と講義で仰られていたので、意識してこれら「古典」作品も読むように心がけてます。

実は私は夏目漱石の作品をこれまで一度も読んだことが...続きを読むありませんでした。
いくらなんでも『吾輩は猫である』『こころ』くらいは読んだことがあるだろ?と言われそうですが…本当なんです。
あ、でも『吾輩は猫である』は中学の時にチラッと読んだことがあるようなないような…。
でも全然ストーリーを憶えてないので読んでないのと同義ですね。(苦笑)

というわけでこの作品が私にとって初めての漱石作品なのですが…こんな幻想的なお話を書く人だったんだなーと驚き。
特に『夢十夜』は…深いですね。いくらでも考察できそう。
個人的に自転車好きとしては『自転車日記』も読んでて楽しかったです。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

初期の漱石の、ちょっと幻想のかほりのする作品を集めた短編集。夢十夜だけじゃなくて文鳥も永日小品も面白いよ。と書きつつ、今回はまだ読んだことのなかった「京に着ける夕」と「倫敦消息」と「自転車日記」だけを読みました。あと誕生日に夢十夜。
「京に着ける夕」は、特にこれといった事件もない淡々としたエッセイで...続きを読むしたが、いかに漱石が子規のことを大事に想っていたかというのが非常によくわかる小品だなあという印象。かつて京を共に旅した時のことを頻繁に回想して、寂しくて冷たい京で、ひっそりと、もうこの世にはいない友人を想う。漱石の孤独感が伝わってきたわー。うん、そして漱石は子規のこと好き過ぎw
「倫敦消息」は前々から読みたかったのでした。これは小説じゃなくて子規にあてた手紙なのでエッセイに近いのですがただの手紙でも面白く読めちゃうところに漱石のすごさを感じる。日本人であることの劣等感や下宿先の人や下女のことや、何でもない手紙の文章がことごとく面白い、笑い的な意味で。漱石の文章なのに笑っちゃうのは久々。やっぱり初期はいいね。
「自転車日記」は一転して文語調。まったく読んだことが無かったので、「自転車くらいすぐ乗れるじゃん」とか思っていたら。。。漱石転び過ぎ! 自転車ってのはなかなか難しい乗り物なんだなあ…フツーに今は乗ってるけど、漱石みたいに苦労していた頃も、かつては、ずっとずっと昔にあったのか…。神経衰弱だったし、漱石には、この自転車はなんだかんだで踏んだり蹴ったりだったのでは、と思わざるを得ない。人生の皮肉さを感じますな、何か。それにしても転び過ぎ下手杉w 文語調なのが余計可笑しさを添えてくれるわ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月17日

夢十夜が読みたくて一読。背表紙の紹介文観て文鳥も気になって読んでみた!

文学知識は皆無に等しいけど、夢十夜の各夜、文鳥それぞれ違う印象…

---ネタバレありめも---
「夢十夜」
個人的に第一夜、第七夜、第九夜、第十夜が好き。

第一夜
→十夜の中でも1番好き。神秘的でめっちゃ綺麗…雑な説明だけ...続きを読むど、これから死ぬ女性を土に埋めるのに、なんでこんなに描写キレイなんだろう…

第七夜
→大きな客船の話。どこに向かってるかわからない、船内の賑やかな乗客とも雰囲気合わない、なんで乗ってるんだろう。いっそのこと死んでしまいたいって船から海に飛び込んだけど、足元離れた瞬間に命が惜しくなる。でも時すでに遅しで海に沈むしかない…この死にたくなる感じ、すごい分かるし、惜しんだときには死ぬしかない運命なんが切ないというかなんというか…

第九夜
→消息不明父親の無事を祈って、熱心に毎晩御百度参りする母親と、その間欄干に括り付けられてる子供の話。でも実は父親は既に殺されていて、そう知ったのは「夢の中で母親から聞いた」らしい。
死んだのを知らずに、子供を縛り付けてまで毎晩祈り続けてるのか、もしくは死んだのを認められなかったのか、、、切ない悲しい


第十夜
→ミーハーな薄い人間を皮肉ってる感じがして面白かった。なんか好き…でもこの感想持ってしまった私の性格の悪さにもビビった。


「文鳥」
漱石の弟子三重吉から「文鳥飼いましょ」て勧められてかってみる話。なんか可愛らしかった。
朝起きるの苦手で、何かを面倒も見るのも苦手な、ズボラな性格。作家ってすごいのに、だらしない面見れて可愛らしかった。これ勝手に漱石の実話やと思ったけど、根拠はないらしい…

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倫敦消息も気になる…

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Posted by ブクログ 2020年11月09日

全体的に、なんとなく物寂しい雰囲気。
秋とか、雨の日とか、黄昏たい場面のお供におすすめです。

古い文体ですが、短いお話ばかりなので無理せずに読み進められます。

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Posted by ブクログ 2020年06月05日


装丁に惹かれこちらの角川文庫を選択
(このシリーズの装丁好きだなぁ…)



注!)ネタバレ有り

【京に着ける夕】
正岡子規と本当に仲が良かったのだなぁ
漱石は本当に子規のことが好きだったのだろう
至る場所で子規のことに触れて、子規と行った時の京を偲んでいる
子規のいない京で尋常ではない寒さを表...続きを読む現しており、悲しみの痛みがじんじん伝わる
切ないのだが、ちょっと羨ましいくらいの友情だ…


【文鳥】

漱石の教え子である三重吉に
文鳥をお飼いなさい
と勧められ、その気にさせられ、相当待たされてとうとう買わされる(飼わされる)

文鳥のはかなげで小さく壊れもののような描写が良い
…まぶたの周りに細いと淡紅色の絹糸を縫い付けたような筋が入っている…
細長い薄紅の端に真珠を削ったような爪がついて…
文鳥の軽い様子を…淡雪の精のよう…

想い叶わなかった他へ嫁に行った女性を文鳥にダブらせている
「いったん行けばむやみに出られるものじゃない
世の中には満足しながら不幸に陥ってゆく者がたくさんある」
籠の中で満足そうにくらす文鳥をみて想いを馳せているのだろう

途中から嫌な予感をさせる描写が続く
朝起きるのを怠け出す
家のものが文鳥の世話をしてくれたから…と、責任が軽くなったような心持ちがする
餌壺が粟の殻だけになる
籠が糞でいっぱいになる
あ~あ
そりゃあこうなったらどうなるか子供でもわかる
当然の結果であるのに、最後は家の小女にやつあたり!

鳥好き、動物好きからすると
怒りが勝ってしまってどうも宜しくない
最後まで懐かなかった文鳥
硬く冷たくなったから初めて掌に乗せることができた
皮肉なものである
(鳥好きとしては可愛がっていたインコが死んでしまった時の感覚がフラッシュバックして嫌な場面である)

立派な籠は台が漆で塗ってあった
日向へ曝しておくと黒みが取れて朱の色が出てくると三重吉が言っていた通り、
漆はいつの間にか黒みが脱けて、朱の色が出てきた
この対比もなんだか腹立たしい
描写はさすがなんだが、なんせと怒り奮闘で終わってしまった…


【夢十夜】
第一夜から第十夜で成る
これ好きな人多いだろうなぁ
夢と現実があいまい
時間の流れは不思議
ぞわっと怖いものや女子受けしそうなロマンティックなものまで…

「第三夜」を読んで…
子供の頃見た夢を思い出した
幼稚園か小学生だ
同級生を男の子をおんぶして歩いている
男の子は自分からは見えないのに何か不穏なものを感じる
おろして逃げたいのにおろせない
もう耐えられない!と思って男の子を見ると…
ひ、一つ目になっている
怖いのにどうしてもどうしても下ろせないのだ
あれから何十年経っても忘れられない
きっと誰しも忘れられない不思議な夢や怖い夢や不可解なことがあるのだろうな
そんな共感


【永日小品】
エッセイと短編かな?
ノンフィクションとフィクションのはざまな感じ
悪くない
脳味噌使いまくった日でも、精神状態が高ぶっていても、疲れて寝っ転がった状態でも、
半分寝落ち状態でも…
ゆる〜く楽しめる
くすりと口元が緩む
ほぉ~と思いをめぐらる
悪くない


【倫敦消息】
留学中のロンドンから正岡子規に宛てた書簡

ロンドンでの留学生活は相当居心地悪そうである
人種差別も確かに今よりひどそうだ
それでも病気の子規に対して、若干不幸を盛ってブラックユーモアにしたサービス精神、思いやり精神すら感じる
悪くない(笑)


【自転車日記】
これまたロンドン留学中、引きこもりがちになった(神経衰弱に陥っていた)漱石が下宿の婆さんから気晴らししろと勧められ異国の地で乗れない自転車に乗る練習をする
いい大人が異国の地で…
中古自転車を引っ張り出して、帰国の際面倒をみることになる大塚氏にレクチャーを受ける
もちろんちっとも上達せず悪戦苦闘
英国人にじろじろ見られたり、笑われたり、巡査に注意されたり、もちろん自転車から落っこちたりとまぁ滑稽である
テンポの良いどたばたコメディみたいな自転車日記だ
(クィーンの「Bicycle Race」がぐるぐるまわり出して止まらない♪)
特に本人も楽しいわけではないだろうが、この無様さをボヤきながら自虐的にブラックユーモアで軽快に展開していく
トホホながら笑ってしまった



全般的に
力を抜いてゆるーく隙間時間に楽しめる内容
うん「悪くない」 
この一言に尽きる
正岡子規の影を作品のあちこちで感じる
二人のキャラの違いもとても感じさせられた


【備忘録】色
淡紅色トキイロ
蒼い
唐紅カラクレナイ
蘇枋スオウの色…黒みを帯びた赤色

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

夢十夜が読みたくて読みました。難しいねぇ…第一夜と第三夜と第十夜が好きかな。倫敦消息もいいね!こんな手紙もらってみたいものだ。留学中の話はどれも面白いなぁ。

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